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第十二話 三つ巴
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松下之綱と前野長康が馬に跨りながら話している。
「之綱殿……誠にありがとうございます。おかげで命拾い致しました」
「何を仰るか? 命拾いしたのは殿下でございます」
「……」
しばらく、沈黙し馬の蹄が土を踏みつける音のみが聞こえた。
長康は命をかけて、秀吉に共に困難に立ち向かってきたことを思い出して欲しかった。
ただ、それだけだった。
夕陽が沈み始めている。
「間も無く、夜となりますな」
之綱は呟いた。
「明ける時……私たちは見ることができましょうか?」
長康は之綱が人知れず咳き込み、吐血していたことを知っている。
長くはないだろう。
しかし、秀吉に意見できる人間の一人だ。
彼が亡くなれば、豊家はまた闇に沈み始める。
嘘であってもできると答えてほしい。
しかし、之綱は寂しそうに微笑んだまま、答えようとしなかった。
「うひゃああ。そうであったのか。殿下がまた……薬を……誰か薬をぉぉ」
前田利家はストレスが原因である持病の頭痛が発症する。
半兵衛と秀長が利家を宥めながら話し出す。
「心配はいりません。あの方は慈悲深く、思慮深い人。秀次殿はしばらくの間、厳封し隠居してもらいます」
「で、ですが……大丈夫なんでしょうか」
困惑している三人の元に宇喜多秀家が現れる。
「殿下! 殿下はどこですか!?」
「婿殿……ワシはワシはどうすればぁ」
利家が泣き始める。
それもそのはず、利家は豊家に尽くし、古くからの仲である秀長や半兵衛と共に秀吉の悪行を防いできた。
だからこそ、わかる秀吉の二面性。
下手をすれば親友ですら手にかけるだろう残虐さと根の部分にある情け。
今は周囲のサポートが完璧で情け深い部分が大きいが根の部分では違う。
それはわかっているが、息子のような存在である秀家、秀包、真田信繁、宗茂たちの前では激甘な秀吉。
何かあれば彼らに頼るしかない。
利家は延々と愚痴を吐く。
「義父上、ご安心ください。配下の反乱の鎮圧に目処がつきました」
竹中半兵衛は何かに気づき、秀家に問う。
「はて……目処とは?」
「はい、お恥ずかしいことではございますが、内府殿の配下にございます榊原康政殿、三成殿から紹介していただきました大谷吉継殿に尽力していただき……」
「内府殿は斯様なことをされているのか? 明が攻めにきた時も関東一円の内政のため江戸に籠られておったはずであるが……」
半兵衛は何かに気づく。
ーーこれでは諸大名の情報は筒抜けではないか? 三成も似たようなことをしているが、いったい何を?
半兵衛は思考を研ぎ澄ませるが……
「猿を出せい!」
大阪のおばちゃんのような威勢が良い声。
北政所が駒姫、宗茂、秀包、信親元親親子を連れて現れた。
「北政所さま!」
秀家の顔が子どもに戻る。
「あらぁ秀家ちゃんやないの? 今日は秀包もおるし……もしかして、信繁もおるんちゃう?」
「いえ、本日は……」
前田利家がガタガタ震えながら、駒姫を見て言う。
「その姫はもしや!?」
「うん、最上さんのとこの駒ちゃん」
「ぷぅ」
利家は気絶した。
「義父上ぇ!」
秀家の絶叫が二条城に響き渡る。
半兵衛など古くからの家臣と秀吉が息子と同じように接してきた大名たち。
徳川家康家臣。
石田三成と五奉行と秀家、家康を除く大老たち。
三つの勢力が覇権を握ろうとしている。
利家、秀長が亡くなれば混沌とするだろう。
果たして、どうなるのか?
続く。
「之綱殿……誠にありがとうございます。おかげで命拾い致しました」
「何を仰るか? 命拾いしたのは殿下でございます」
「……」
しばらく、沈黙し馬の蹄が土を踏みつける音のみが聞こえた。
長康は命をかけて、秀吉に共に困難に立ち向かってきたことを思い出して欲しかった。
ただ、それだけだった。
夕陽が沈み始めている。
「間も無く、夜となりますな」
之綱は呟いた。
「明ける時……私たちは見ることができましょうか?」
長康は之綱が人知れず咳き込み、吐血していたことを知っている。
長くはないだろう。
しかし、秀吉に意見できる人間の一人だ。
彼が亡くなれば、豊家はまた闇に沈み始める。
嘘であってもできると答えてほしい。
しかし、之綱は寂しそうに微笑んだまま、答えようとしなかった。
「うひゃああ。そうであったのか。殿下がまた……薬を……誰か薬をぉぉ」
前田利家はストレスが原因である持病の頭痛が発症する。
半兵衛と秀長が利家を宥めながら話し出す。
「心配はいりません。あの方は慈悲深く、思慮深い人。秀次殿はしばらくの間、厳封し隠居してもらいます」
「で、ですが……大丈夫なんでしょうか」
困惑している三人の元に宇喜多秀家が現れる。
「殿下! 殿下はどこですか!?」
「婿殿……ワシはワシはどうすればぁ」
利家が泣き始める。
それもそのはず、利家は豊家に尽くし、古くからの仲である秀長や半兵衛と共に秀吉の悪行を防いできた。
だからこそ、わかる秀吉の二面性。
下手をすれば親友ですら手にかけるだろう残虐さと根の部分にある情け。
今は周囲のサポートが完璧で情け深い部分が大きいが根の部分では違う。
それはわかっているが、息子のような存在である秀家、秀包、真田信繁、宗茂たちの前では激甘な秀吉。
何かあれば彼らに頼るしかない。
利家は延々と愚痴を吐く。
「義父上、ご安心ください。配下の反乱の鎮圧に目処がつきました」
竹中半兵衛は何かに気づき、秀家に問う。
「はて……目処とは?」
「はい、お恥ずかしいことではございますが、内府殿の配下にございます榊原康政殿、三成殿から紹介していただきました大谷吉継殿に尽力していただき……」
「内府殿は斯様なことをされているのか? 明が攻めにきた時も関東一円の内政のため江戸に籠られておったはずであるが……」
半兵衛は何かに気づく。
ーーこれでは諸大名の情報は筒抜けではないか? 三成も似たようなことをしているが、いったい何を?
半兵衛は思考を研ぎ澄ませるが……
「猿を出せい!」
大阪のおばちゃんのような威勢が良い声。
北政所が駒姫、宗茂、秀包、信親元親親子を連れて現れた。
「北政所さま!」
秀家の顔が子どもに戻る。
「あらぁ秀家ちゃんやないの? 今日は秀包もおるし……もしかして、信繁もおるんちゃう?」
「いえ、本日は……」
前田利家がガタガタ震えながら、駒姫を見て言う。
「その姫はもしや!?」
「うん、最上さんのとこの駒ちゃん」
「ぷぅ」
利家は気絶した。
「義父上ぇ!」
秀家の絶叫が二条城に響き渡る。
半兵衛など古くからの家臣と秀吉が息子と同じように接してきた大名たち。
徳川家康家臣。
石田三成と五奉行と秀家、家康を除く大老たち。
三つの勢力が覇権を握ろうとしている。
利家、秀長が亡くなれば混沌とするだろう。
果たして、どうなるのか?
続く。
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