マルチバース豊臣家の人々

かまぼこのもと

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第十三話 三成の野望?

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秀家の言葉に半兵衛は考えた。

ーーこのままであれば、殿下が亡くなれば戦国に戻るかもしれない。

史実での秀吉は強引な改革と朝鮮出兵や自身の残忍な性格により各大名のヘイトを買い、安定した社会を築くために徳川家康が立ち上がり豊家を滅ぼして安定した政権を樹立した。

しかし、この世界では竹中半兵衛や豊臣秀長が間に入り、上手く機能している……のだが、秀次の失脚により話は変わる。

後継の候補には幼い秀頼しかいない。

徳川家の領地は蔵入地よりも大きい250万石。
家康自身に野心はないのだが、次期権力者となってもおかしくはない。

それ故に彼の家臣団は士気が高い。

ーー次は家康様の天下!

と、天海や正信は知略を巡らせていた。
大名と豊臣家の取次や揉め事の仲介などをして内情を調査し、豊臣政権内の最大派閥を形成し始めていた。

何度も言うが、今の家康が秀頼を利用して自身の政権を樹立することは可能な権力がある。

だが、三成と大谷吉継の行動もおかしい……何故だ?
三成、吉継の大名規模で家康と対立するのは常識的に考えて、ありえない。
確実に負ける。

家康のような地盤はない。

半兵衛は思う。

なぜ、まず秀長や自分に相談しないのか?

二人で天下を狙うのか?


いや、特に三成と吉継は義理に厚く目先の利益で動く者たちではないし、豊家への義理は感じている。玉砕覚悟で家康に挑戦などはしない。

裏で彼らを操っている人間いるはずだ。

半兵衛は頭の中で思考を巡らせた。

しかし、次の瞬間、


「ちょっと煩いわねぇ! ウチの秀頼ちゃんが泣くやん!」

淀が現れ、怒りを露わにする。
そして、半兵衛の思考はそこで止まり、

ーーまた家族劇か……

と思うのであった。

彼女は普段の言動は品があり、母親である市から引き継いだ美貌もあり憧れの的ではある。
しかし、息子である秀頼のことに関しては感情的になってしまう。

淀君が周囲を見回すと北政所がいることに気づく。

「あ、北政所様!」
「あら、茶々ちゃん、お元気?」
二人はキャッキャッと久しぶりに会った女友達のように、にこやかに話し合う。

長宗我部元親が咳払いをし、北政所はハッと気づく。

「そうそう、猿や猿。ウチの養女になる駒ちゃん、秀包ちゃんに元親さんのとこのノブに何してけつかるのよ!」

「あら、北政所さま、何がありましたか? お話しください」

「そうよ、聞いてよ……」

北政所の話を聞いた淀は配下の者を呼び、髪飾りを駒姫に渡す。

「これは母上から貰った物……これを持ちなさい」

「そんな……受け取れません」

「違うの。これは貴方の命を守るため。これで貴方も浅井……いえ、豊臣家の一員。命を狙われることはありません」

そして、淀は駒姫を抱きしめながら囁く。

「許してたもれ。貴方を亡き者にしようとした人、私も厳しく処置させていただきます……貴方は北政所さまの養女であるなら私と家族も同然。今後は全力で貴方様を助けます」

駒姫は他者からの優しさに嬉しくなり、淀の袖を涙で濡らした。

その後、秀吉は半兵衛と元親、北政所たちにやっぱり延々と怒られた。

その夜。

「直経……いますか?」

スゥッと暗闇から姿を現す遠藤直経。
彼は生きていたのだ。
今は姿を隠し、淀君のボディガード兼隠密として働いている。

「……何か?」

「私の家族になるであろう人が襲われました。調査をお願いします」

「……かしこまりました。首謀者がわかりましたら如何致しましょうか?」

直経はクナイを見せ、暗殺も可能だと暗にアピールする。

「最上義光殿のもとに突き出しなさい……おそらく、豊臣家に恨みを持たせるために動いたはずです。私たちとは敵になる存在」

「……かしこまりました。では……」

直経は暗闇の中に去り、それと同時に、

「茶々、おるかー?」

秀吉が笑顔を浮かべながら淀君のもとにやって来る。

「はい、はい! おりますよ」


淀はハッと髪を整えて、秀吉の方を振り向く。

「聞いてくれやぁ。何処ぞのアホが駒姫を亡き者にしようとしてな……怒られたわぁ」

「左様で……大変でございましたね」

秀吉はチョコンと淀の隣に座り肩を抱く。

「秀頼は元気か?」
「もちろんにございます」

秀吉は淀からの返事に微笑む。

「それは良きことじゃ……茶々、良いか?」

「どうかなさいましたか?」

秀吉は悲しげな瞳をしながら話し出す。

「最近、何かを考えようとしても頭が言うことを聞かず、餓鬼のような態度をとってまうんじゃ……もしかしたら、ワシは長くないのかもしれん」

「急に何を……」

「秀長も体調がよう悪なると聞いておる。もう羽柴……豊臣は終わりかもしれん。淀……せめて、おみゃあと秀頼だけでも幸せに暮らせるようするきに……」

淀は秀吉の言葉を遮るように接吻をした。

「母上は柴田勝家殿と共に闘い、果てました……今、私は母と同じ思いにございます」

「だが……」

秀吉は急な接吻と淀の意外な返答に困惑して言葉が出ない。

「私は貴方様を心より、お慕いしております……豊臣家と共に果てる覚悟をしております。私なりに貴方様の築いた豊臣の家。お守りいたします」

淀の何かを隠した艶やかな笑み。
秀吉はまた彼女の言葉に思うところはある……しかし、二人は肉欲の海に溺れていくのであった。




続く


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