【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ

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1章

8話「目覚める真実、砕けた枷」

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遺跡が轟音と共に揺れ動く。強烈な魔力が衝突する中心で、私は自らの内に秘めたセフィラの力を解き放っていた。

「《律動解放・セフィラ・ラグナレウム》――!」

私の全身を包む黄金の輝きは、一瞬にして周囲の魔力の奔流を跳ね返し、遺跡を包む闇を押し戻す。

「ふふ……いいぞ、ノクティア! それこそ我々の血の真の姿だ!」

レヴィアが陶酔した表情で私を見つめる。しかし、彼女の闇はあまりにも濃く、強大だった。私は目を細め、その禍々しい姿を睨みつけた。

「あなたのようにはなりません。私が守りたいものは、力で支配する世界などではありません」

私の言葉に、レヴィアは冷笑を浮かべる。

「守る? そんな甘さがいずれお前を滅ぼすだろう。だが、その前に私がお前を導いてやる」

レヴィアが手を振ると、黒い魔力が凝縮し、私を取り囲むように襲い掛かる。

「《結界展開・第四層、守護の輪》!」

即座に結界を張り巡らせ、闇の魔力を食い止めるが、その衝撃で遺跡の壁が大きく崩れ落ちる。

「逃げろ、術士団!」

ゼラードの鋭い指示が飛び、王都の術士団は迅速に退避を始めた。だがゼラード自身は、その場を一歩も動こうとしない。

「何をしているの、ゼラード!」

私が叫ぶと、彼は薄く微笑みながら応えた。

「君が何者なのか、最後まで見届けなければ王都への報告ができないからな」

その視線は冷徹だが、どこか興味を含んでいる。彼もまた、この戦いの結末を見届ける覚悟なのだ。

「くだらぬ連中だ。どこまでいっても王都の傀儡でしかない」

レヴィアは軽蔑の眼差しでゼラードを一瞥し、再び私へ視線を戻した。

「さあ、決着をつけようじゃないか。我々の血統に相応しい未来を創るために!」

私の胸に激しい痛みが走る。セフィラの魔力を完全に解放すると、私自身の精神が徐々に蝕まれるのだ。だが、今ここで退くわけにはいかない。

(守りたいものがある。負けるわけには……!)

痛みに耐えながら、一歩ずつレヴィアへと近づく。その時、遺跡内の文字が再び光り、幻影が鮮明に浮かび上がった。

『我らの使命は支配ではない――調和を守り、人を導くことだ』

その声は古代セフィラ一族の長のものだった。私はその言葉に勇気を得て、全身に再び力を込めた。

「見えていますか、レヴィア? 私たちの一族が本当に望んだ道を」

レヴィアは幻影を見て動揺を隠せない。

「そんなものは幻だ! 力ある者が世界を導く。弱きものがそれに従う。それが自然の摂理だ!」

「違います! 強さとは、人を踏みにじるためのものではなく、人を支えるためにあるのです!」

私は右手を掲げ、周囲の魔力を掌に集中させる。

「《浄化の律動、解放》!」

金色の光が奔流となり、闇の力を包み込む。だが、レヴィアも容易には屈しない。

「私の力が、貴様の甘い理想などに破れるものか!」

レヴィアの叫びとともに、黒い魔力が激しくうねり、私の力と激突する。二つの力が激しく衝突する中、私は必死で自分の意志を保った。

(絶対に、負けない!)

刹那、強烈な閃光が遺跡全体を包み込んだ。遺跡の外まで衝撃波が届き、辺境の空を明るく照らし出す。

やがて光が収まると、レヴィアの姿はすでに消えていた。だが、最後に残した言葉が私の耳に残っている。

『また会おう、ノクティア……お前は必ず私と同じ道を歩むことになる……』

私は深く息を吐き、疲労困憊で膝をついた。ゼラードがゆっくりと近づいてくる。

「見事だな、ノクティア嬢。だが、これは始まりに過ぎない。君の力の真価を王都は見逃さないだろう」

私は彼を見上げ、静かに言った。

「それで結構。私はもう、誰にも縛られたりはしませんから」

ゼラードは微笑を浮かべ、無言で立ち去っていった。私は遺跡の中で一人残され、ゆっくりと立ち上がる。

(ようやく、私の戦いが始まった――)

砕けた枷を背に、私は新たな決意を胸に刻みつけていた。
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