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ライダ様との出会いから現在まで
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私は知らなかった。
ライダ様とラルダの関係を……。
ラルダ、彼への好意があると自覚しながらもそんなことすら知らず、どうしようもないくらい彼を傷つけることになるなんて……。
全部私の責任だ。
私のたてていた計画は順調に進んでいた。
あとは土地を売るだけだった。
「よろしければ、ここに印鑑をお願いします。それで、手続きは完了します」
不動産の男の発言に従い、ハンコを押した。
「これでいいかしら?」
「はい。ありがとうございます。土地の代金の方はこちらの黒く大きい箱に詰めておきましたので」
言いながら現金の入った黒い箱を渡してきた。
「ありがとうございました」
「えぇ、こちらこそ」
互いに一礼をして店を去った。
男に貰った領収証を確認すると、普通の民家なら10軒ほど建てることも可能なほどの代金が記されていた。
「よかったですね! アマンダ様。 思っていた以上の額になりましたね」
「えぇ。正直、驚いています。」
これだけの資金があれば、当分の生活には困らないしライダ様から逃げることもできるかもしれない。
「協力してくれたお礼に、この代金の一割は貴方に差し上げますわ」
すると、ラルダはハッと目を見開き、かと思ったら目を細めた。
「またまた、ご冗談を……。あんまり揶揄うのはやめてください」
私の発言を一ミリも信じていない様子だ。
「いいえ。本当のことを言ってるの。冗談なんかじゃありません。でも、もしよければ、街の商店街の人たちにも還元してあげて欲しいわ」
彼は一瞬、時が止まったように表情を固めた後に、
「そうですか……はい。ありがとうございます! 心から感謝します。」
これで今回の作戦は上手くいき全てが終わった
はずだった……。
私の計画ミス。
ラルダを救いたい。この日に戻れるなら彼を救えるまでやりなおしたい。
私の目の前に影が立った。
「ーー何をしてるんだ。こんなところで家の面汚しが」
聞き覚えのある声だった。
「ライダ様……何故ここに?」
ライダ様とラルダの関係を……。
ラルダ、彼への好意があると自覚しながらもそんなことすら知らず、どうしようもないくらい彼を傷つけることになるなんて……。
全部私の責任だ。
私のたてていた計画は順調に進んでいた。
あとは土地を売るだけだった。
「よろしければ、ここに印鑑をお願いします。それで、手続きは完了します」
不動産の男の発言に従い、ハンコを押した。
「これでいいかしら?」
「はい。ありがとうございます。土地の代金の方はこちらの黒く大きい箱に詰めておきましたので」
言いながら現金の入った黒い箱を渡してきた。
「ありがとうございました」
「えぇ、こちらこそ」
互いに一礼をして店を去った。
男に貰った領収証を確認すると、普通の民家なら10軒ほど建てることも可能なほどの代金が記されていた。
「よかったですね! アマンダ様。 思っていた以上の額になりましたね」
「えぇ。正直、驚いています。」
これだけの資金があれば、当分の生活には困らないしライダ様から逃げることもできるかもしれない。
「協力してくれたお礼に、この代金の一割は貴方に差し上げますわ」
すると、ラルダはハッと目を見開き、かと思ったら目を細めた。
「またまた、ご冗談を……。あんまり揶揄うのはやめてください」
私の発言を一ミリも信じていない様子だ。
「いいえ。本当のことを言ってるの。冗談なんかじゃありません。でも、もしよければ、街の商店街の人たちにも還元してあげて欲しいわ」
彼は一瞬、時が止まったように表情を固めた後に、
「そうですか……はい。ありがとうございます! 心から感謝します。」
これで今回の作戦は上手くいき全てが終わった
はずだった……。
私の計画ミス。
ラルダを救いたい。この日に戻れるなら彼を救えるまでやりなおしたい。
私の目の前に影が立った。
「ーー何をしてるんだ。こんなところで家の面汚しが」
聞き覚えのある声だった。
「ライダ様……何故ここに?」
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