婚約者様、勝手に婚約破棄させていただきますが、妹とお幸せにどうぞ?

青杉春香

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ライダ様との出会いから現在まで

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私はこれまでの人生で一番、走った。

止まることもなく足を動かし続けた。

どれだけ苦しくても走り続けた。

途中で馬車を拾い、遠くの街まで来ることができた。

今頃ラルダは大丈夫だろうか。

「でも、私だって油断できないわよね……」

すぐに、ライダ様の追手を手配するだろう。

「はやく、アルゴと合流しないと……」

私だって、なんの考えもなしにこの街に訪れたのではない。

これも元から計画のうちだった。

もし、計画が上手く行かなかったり、緊急事態が起きた際には、アルゴと合流するということをはなから取り決めていたのだ。

ただ、合流する際に逃げる場所は、複数指定しているため、アルゴはしらみつぶしに回ることになるだろう。

運良く早めに合流できることを願うしかない状況だ。

それと、チェルシーは今頃どうしているのだろうか。

上手くミルージュはやってくれているだろうか。

おそらく時間はもうない。

今頃、屋敷にも追手が来ているはずだ。

最後の計画は、チェルシーを眠らせて、屋敷から遠くに運び出すこと。その際、誰にも位置をバレてはいけない。

これは、ミルージュにお願いした。

一番重要な最後の砦だ。

今やっていることがそのための時間稼ぎになるのならそれでいい。

チェルシーが起きさえしなければ、状況がこれ以上悪化することもないだろう。

そんな風に考えながら、人目を気にして隠れるように歩いていると、

前方の方に見覚えのある、馬車と人影があった。

アルゴだ。

「おまたせしました。アマンダ様……どうやらまずい状況になっているみたいですね」

息をはぁはぁと荒くしながら、額には大粒の汗をいくつもかいている。

相当、探したのだろう。

「えぇ……。もう余裕はなし。絶体絶命だけれど、それでもまだチェルシーがいる」

「ええ……上手くいっているといいですね」

「とりあえず急ぎましょうか」

「はい」


さらに遠くの街へ逃げるために、足早にその場を去った。

疲れている中、申し訳ないが、アルゴにはしっかり働いてもらうしかない。


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