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第1章 ココどこですか?
やっぱりバナナは偉大だ!!
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遺伝子の不思議について噛み締めていたら、可愛らしい子供たちから悲鳴が上がったので驚いて振り向いた。
暗いなあ。
ここの世界の昼は短いのか。
ここまで日暮れが早いと、これからの交渉にはランプの制作が不可欠だな。
『おい!!矢作聞こえてないのか!!』
キョウの大声に耳が痛い。
どうしたのか、慌てている様だ。
『家の周りに大型獣が勢揃いしている。
恐らく、お前がバナナと呼ぶ食べ物の香りに釣られたのだ。』
バナナ好きが集まったとは。
放し飼いの動物園を持つ村とは、ウィンドリアは珍しいところだな。
餌付けタイムは、交渉の後にして貰いたいものだと村長の方を振り返れば。
またもや、蒼白な顔色。身体は小刻みに震えていて最早立っているのが不思議な程だ。
しまった。
後悔先に立たずだ。
具合が悪かったのに、焦りが出たのか先走ってしまった。
『村長。ここはお任せ下さい。餌係は小学校の兎の飼育員以来ですが。あっそうだ。
バナナ以外にも与えて大丈夫ですか?
試したい事があったので。』
名案を思いついた俺は、更に震えが酷くなった村長をベットに寝かせて外へ出た。
バナナは収納庫に沢山ある。売り物よりこちらを優先して食べさせたいしな。
バナナと一緒に出した緑の球体。
予想よりも動物園は人気なのか、家の周りには大混雑していた。
恐竜っぽいのが2匹。
虎っぽいのは集団でいるな。
手前には、ツノのある猪か?
おぉ、屋根の上には小型のプテラノドンっぽいのもいる。
日本の動物園と違って、恐竜ほど大型な獣たちが放し飼いとは迫力があっていい。ヨダレを垂らして睨んでいる所など、臨場感があってドキドキするしな。
『よーし、ではバナナからだ。ソーレ!』
小さな個体にも均等にやる為に、次々とバナナを投げた。
おぉ?ティラノサウルスっぽいのが猪を虐めてるな。
では、これだ!!
振りかぶってボーリングの要領で下手投げしたのは【スイカ】
ウィンドリア仕様で直径が1m以上あるから腕がキツい。
ボコッ。
よーし。ティラノサウルスの脇腹に命中した。
さすがに痛かったのか、歯をむき出して吠えてこちらに向かって来た。
ん?飼育員を舐めてるな。
そんな事にビビっていては、飼育員は務まらない。
お仕置にソーレ。
大口開けて怒ったティラノサウルスっぽいヤツにハバネロの数千倍辛い唐辛子っぽいヤツの束を放り込んだ。
グ、グワッーーーーー!!!
辺りにティラノサウルスの悲鳴が木霊する。
すると、集まってた獣達が一斉に逃げ出してしまったではないか。
悲鳴をあげていたティラノサウルスももんどり打ちながら森の奥へと逃げてしまった。
しまった。
少しやり過ぎたな。
スイカの味見を獣達にして欲しかった失敗した。
少し肩を落とした俺が遠巻きにしていた村人達を振り向けば。
何で?!
歓喜の嵐?!!
抱き合って喜んだり涙を流したり。
極めつけは、俺を拝んでいたりする人も居る。
動物園でこれは正解なのか?
ふー、本当に常識が違う世界に来た。
異国なのだと感じた瞬間だった。
『アホかーー。
お前が常識を語るのは1万年早いわ!!
こんな事、たまたまだ。成功したからいいものの。
おい、聞いてるのかーー!!』
キョウは相変わらず煩い。
耳の健康が心配だ。
*** ベン(熊?)の子供たち視点***
父さまは、完璧な人間だ。
僕の今の歳には既に村長であるお祖父さんを失い、それでも若き村長として力を発揮してきたそうだ。
何度この話を聞いた事だろう。
母さまは『だから、貴方もきっと出来るようになるわ。』と繰り返し言ってくれるけど、当の本人である僕は僕の事を全く信じてない。
毎日の訓練は辛い。
厳しいからではない。言われた通り出来ない。言われた事の半分も理解出来ない。
だからだ…。
才能の差が大きすぎるのだ。
そんなある日。
僕の世界を揺るがす大事件が起きた。
その日の朝早く目覚めたのは偶然だった。
でも、目覚めて、家の中の空気が変わっているのに気づく。
何??
何か起きたのだろうか?
訓練の成果と言うには、嫌な感じがして冷たい汗が出る。
妹と弟を起こして、気配を殺して居間へと普段は落ち着いた母の慌てる声が響いた。
まさか、父さまに〚予感〛が下ったのか?!
胸のザワつきが一層酷くなる。
隙間から覗くと、父さまが倒れて見知らぬ男の人に背負われている。
気絶だよな。
気絶に違いない…そんな事はないはずだ。
早すぎる。父さまがそんな…。
その時、僕の右手を引っぱる温かな小さな手に我にかえった。不安そうに見上げる妹の瞳に気を取り直す。
そうさ、父さまに限って。
気を取り直して、再び隙間から覗けば。
母さまが長老さまの所に向う所だった。
家の中が静まり返る。
倒れた父さまに近づきたいけれど見知らぬ者は怖い。
そう思ったその時。
見知らぬ男と目が合った。
どうしよう。迷った俺の目に起き上がる父さまの姿が!!
良かった。
父さまは無事だった。
本当に良かった。ホッとした僕の目に信じられない光景が映った。
平伏し凄く慌てている父さま。
あの完璧な父さまが。
男の人に押されて、困り果てている。
その不思議な光景に驚く暇もなく、それから怒涛の出来事が幾つも続いた。
あまりの出来事に良く覚えてない。
ただ
全てが終わった後
妹と弟を庇って立ちはだかる僕の頭をその男の人が撫でながら
『将来は熊なのか?それとも別の…。生命の謎は深まるばかりだな。』と
意味の分からない事をブツブツ言ってた。
やっぱり怖い。でも優しい手だった。
それを見た完璧なはずの父さまが慌てて何か叫んでいる。
それを見た母さまが声を立てて笑っていた。
だからかな。
見知らぬ男の人を少しだけ好きになった夜になった。
暗いなあ。
ここの世界の昼は短いのか。
ここまで日暮れが早いと、これからの交渉にはランプの制作が不可欠だな。
『おい!!矢作聞こえてないのか!!』
キョウの大声に耳が痛い。
どうしたのか、慌てている様だ。
『家の周りに大型獣が勢揃いしている。
恐らく、お前がバナナと呼ぶ食べ物の香りに釣られたのだ。』
バナナ好きが集まったとは。
放し飼いの動物園を持つ村とは、ウィンドリアは珍しいところだな。
餌付けタイムは、交渉の後にして貰いたいものだと村長の方を振り返れば。
またもや、蒼白な顔色。身体は小刻みに震えていて最早立っているのが不思議な程だ。
しまった。
後悔先に立たずだ。
具合が悪かったのに、焦りが出たのか先走ってしまった。
『村長。ここはお任せ下さい。餌係は小学校の兎の飼育員以来ですが。あっそうだ。
バナナ以外にも与えて大丈夫ですか?
試したい事があったので。』
名案を思いついた俺は、更に震えが酷くなった村長をベットに寝かせて外へ出た。
バナナは収納庫に沢山ある。売り物よりこちらを優先して食べさせたいしな。
バナナと一緒に出した緑の球体。
予想よりも動物園は人気なのか、家の周りには大混雑していた。
恐竜っぽいのが2匹。
虎っぽいのは集団でいるな。
手前には、ツノのある猪か?
おぉ、屋根の上には小型のプテラノドンっぽいのもいる。
日本の動物園と違って、恐竜ほど大型な獣たちが放し飼いとは迫力があっていい。ヨダレを垂らして睨んでいる所など、臨場感があってドキドキするしな。
『よーし、ではバナナからだ。ソーレ!』
小さな個体にも均等にやる為に、次々とバナナを投げた。
おぉ?ティラノサウルスっぽいのが猪を虐めてるな。
では、これだ!!
振りかぶってボーリングの要領で下手投げしたのは【スイカ】
ウィンドリア仕様で直径が1m以上あるから腕がキツい。
ボコッ。
よーし。ティラノサウルスの脇腹に命中した。
さすがに痛かったのか、歯をむき出して吠えてこちらに向かって来た。
ん?飼育員を舐めてるな。
そんな事にビビっていては、飼育員は務まらない。
お仕置にソーレ。
大口開けて怒ったティラノサウルスっぽいヤツにハバネロの数千倍辛い唐辛子っぽいヤツの束を放り込んだ。
グ、グワッーーーーー!!!
辺りにティラノサウルスの悲鳴が木霊する。
すると、集まってた獣達が一斉に逃げ出してしまったではないか。
悲鳴をあげていたティラノサウルスももんどり打ちながら森の奥へと逃げてしまった。
しまった。
少しやり過ぎたな。
スイカの味見を獣達にして欲しかった失敗した。
少し肩を落とした俺が遠巻きにしていた村人達を振り向けば。
何で?!
歓喜の嵐?!!
抱き合って喜んだり涙を流したり。
極めつけは、俺を拝んでいたりする人も居る。
動物園でこれは正解なのか?
ふー、本当に常識が違う世界に来た。
異国なのだと感じた瞬間だった。
『アホかーー。
お前が常識を語るのは1万年早いわ!!
こんな事、たまたまだ。成功したからいいものの。
おい、聞いてるのかーー!!』
キョウは相変わらず煩い。
耳の健康が心配だ。
*** ベン(熊?)の子供たち視点***
父さまは、完璧な人間だ。
僕の今の歳には既に村長であるお祖父さんを失い、それでも若き村長として力を発揮してきたそうだ。
何度この話を聞いた事だろう。
母さまは『だから、貴方もきっと出来るようになるわ。』と繰り返し言ってくれるけど、当の本人である僕は僕の事を全く信じてない。
毎日の訓練は辛い。
厳しいからではない。言われた通り出来ない。言われた事の半分も理解出来ない。
だからだ…。
才能の差が大きすぎるのだ。
そんなある日。
僕の世界を揺るがす大事件が起きた。
その日の朝早く目覚めたのは偶然だった。
でも、目覚めて、家の中の空気が変わっているのに気づく。
何??
何か起きたのだろうか?
訓練の成果と言うには、嫌な感じがして冷たい汗が出る。
妹と弟を起こして、気配を殺して居間へと普段は落ち着いた母の慌てる声が響いた。
まさか、父さまに〚予感〛が下ったのか?!
胸のザワつきが一層酷くなる。
隙間から覗くと、父さまが倒れて見知らぬ男の人に背負われている。
気絶だよな。
気絶に違いない…そんな事はないはずだ。
早すぎる。父さまがそんな…。
その時、僕の右手を引っぱる温かな小さな手に我にかえった。不安そうに見上げる妹の瞳に気を取り直す。
そうさ、父さまに限って。
気を取り直して、再び隙間から覗けば。
母さまが長老さまの所に向う所だった。
家の中が静まり返る。
倒れた父さまに近づきたいけれど見知らぬ者は怖い。
そう思ったその時。
見知らぬ男と目が合った。
どうしよう。迷った俺の目に起き上がる父さまの姿が!!
良かった。
父さまは無事だった。
本当に良かった。ホッとした僕の目に信じられない光景が映った。
平伏し凄く慌てている父さま。
あの完璧な父さまが。
男の人に押されて、困り果てている。
その不思議な光景に驚く暇もなく、それから怒涛の出来事が幾つも続いた。
あまりの出来事に良く覚えてない。
ただ
全てが終わった後
妹と弟を庇って立ちはだかる僕の頭をその男の人が撫でながら
『将来は熊なのか?それとも別の…。生命の謎は深まるばかりだな。』と
意味の分からない事をブツブツ言ってた。
やっぱり怖い。でも優しい手だった。
それを見た完璧なはずの父さまが慌てて何か叫んでいる。
それを見た母さまが声を立てて笑っていた。
だからかな。
見知らぬ男の人を少しだけ好きになった夜になった。
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