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第1章 ココどこですか?
切符の謎を解く鍵は?!
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家の完成まで、まだ間があるので村長にお願いして地下室に事務局を作って貰った。
簡単なテーブルと椅子
テーブルの上に木に書いた看板を1つ
《神木ロジスティクス有限会社》
日本語で書いた。
誰も読めないと言われたけれど、どうしても日本語の看板にしたかった。
忘れそうで怖かったのかもしれない。
夢なのでは。
最初の頃は何度もそう思った。
長すぎる。
結局、現実主義の俺はこの状況を受け入れて先へ進む事にした。
そのキッカケがコレだ。
【ウィンドリア行き 片道切符】
シワシワになった緑の紙は、感光紙なのか
文字が少しづつ薄くなっている。
これ以上、薄くなるのが怖くてそっと眺めていたら。
『矢作様、それは何だ?』
黒装束。背後は取るな!と何度も言ったのに。心臓に悪い。
『何かは俺こそが知りたい。』
『それはこの国の言葉ではないな。』
珍しく、返事があるな。
いつもは現れても、無言が常なのに。
余程、日本語が珍しいのか。
『ルカサ語ではないのか?矢作様はこの国から外へ出た事がなかったと聞いた気がするが…』『ルカサ語!?』
じわりと汗が滲む。
『黒装束。何を言っているんだよ。この看板と同じ文字で書かれているだろう?
良く見てくれ。』
『いや、私には違う文字に見える。』
ま、まさか。
俺はひったくるようにテーブルの上にあった紙を1枚取ると《神木矢作》と書いた。
何度も書きなれた俺の名前。
『これと同じだろう?』
黒装束に緑の紙と、この文字を比べるように差し出せばあっさりと『違う』の答え。
何だ?
俺は日本語と別の言葉の区別がつかないのか?
いや、ウィンドリア語はわかっている。
『矢作様の話しているのは、ウィンドリア語じゃない。だいだいそんな言葉はない。
それぞれの国の言葉はあるけれど、世界共通言語はないんだ。
私や矢作様が話しているのはヌーヤ語だ。』
じゃあ…俺は。
『矢作様。ルカサ語と看板の文字はとても似ている。それにルカサ語は失われた言語の呼ばれるものだ。
ルカサ語を操るもの達は、いづこかに消えたと言われている。
今から数百年前だ。』
失われた言語?!
『そうだ。この話は国の中でも極秘になる内容だ。それ以上は詳しくないんだ。
すまない。』
まだ、言われている内容を消化出来ない。
あまりの展開についていけないのだ。
しかし、混乱の極みにいる俺を慮って慌てて言葉を重ねてくれた黒装束には驚いた。
素顔を晒す事は無いが少しづつ打ち解けてきてくれたのかもしれないな。
『そこからは私が補足しましょう。
矢作様への恩返しを少しでも出来れば幸いですかは。
ルカサ語は極秘ですが、手がかりはあります。それは首都にある王立図書館の閲覧禁止区域に行けばもしかしたら。
これ以上は私も詳しくないのですが、手がかり位は得られるかと。そして、閲覧禁止区域への入室は私が必ず得て来ます。
ですから、必要な時が来たら是非声を掛けて下さい。』
扉がいつの間にか開いていたようだ。
あまりの展開に、全然気がつかなかった。
好青年のBESTタイミングでの申し出に、少し違和感を感じながらもその有難い申し出に感謝を述べた。
『必ず王立図書館へは行きたい。このルカサ語の秘密を知りたいのだ。
でも、今はその時じゃないと思っている。それでも可能だろうか?』
『もちろん!!先程も述べた様に矢作様のお役に立てる事がようやく見つかったのです。嬉しい限りです。』
うん臭いといつも感じている好青年の笑顔が、今日は柔らかく感じた。
人間とは、勝手な生き物だな。
自分に良くしてくれる人に、すぐ好意を持ってしまうな。
『それより、素敵な窓口を開かれましたね。ただ、村長家の地下室へ訪れる人は稀ですが。』
『ここは、俺の基地のような場所にしたいと思っている。展開が早すぎて情報の整理が追いついていないし、在庫管理もおざなりだしな。これでは良い取引は出来ない。』
あー、パソコンが欲しい。
在庫管理はExcelが1番だ。
それと…。
『この間の戦いは、色々考えさせられた。
それについても、好青…ジルの意見を聞きたいと思っていたんだ。
是非、相談に乗って欲しい。』
あの野獣放牧地は、全て大岩でペシャンコにして収納済だがその後が問題だ。
『はい。あの土壁ですね。』
そう、土壁の強度と出入口の設置の仕方。
更には、壁と壁の間に作る予定の農地と農村問題。
問題山積だ。
『あの場所に行く方法は扉を開けるしかないのですが、扉が壊れていて現在は使用不能なのです。』
野獣にボコボコにされた扉の金属は、歪んで開け閉め出来ない。
更には、修理方法がない。
いや、あるにはあるがそれは〚鍛冶師〛に頼む必要があるがここからはかなりの距離らしいのだ。
『村に炉を開くしかないと思って、試作品は既に作ったんだ。
火炎石より上級の熔岩石もある。
ただ、それを直してくれる〚鍛冶師〛がこの村には居ないんだ。』
ん?
また、固まった??
好青年は、大丈夫か?数日に1度は固まってるし。
この間、ドヤン達に頼んだ【クーラーボックス】の試作品を見た時もなったし。
捨て子のリーダーが来たから、合わせた時なんか失神したしな。
心配して【特万能薬】を飲ませようとしたら、真っ白な顔色になって逃げ出したし。
うん臭いのに、虚弱体質とは気の毒だ
『ふぅ。もう慣れました(この任務は本当にある意味過酷過ぎだよ…。)
矢作様、分かりました。〚鍛冶師〛の派遣が可能かどうか問い合わせしてみます。』
『ジルも苦労性だな。』
黒装束が何か呟いたが小さ過ぎて聞こえなかった。
再び、緑の紙に視線を戻せばやはり、日本語に見える。
もしかすると、ルカサ語は…。
緑の紙の文字は、また少し薄くなった…気がした。
簡単なテーブルと椅子
テーブルの上に木に書いた看板を1つ
《神木ロジスティクス有限会社》
日本語で書いた。
誰も読めないと言われたけれど、どうしても日本語の看板にしたかった。
忘れそうで怖かったのかもしれない。
夢なのでは。
最初の頃は何度もそう思った。
長すぎる。
結局、現実主義の俺はこの状況を受け入れて先へ進む事にした。
そのキッカケがコレだ。
【ウィンドリア行き 片道切符】
シワシワになった緑の紙は、感光紙なのか
文字が少しづつ薄くなっている。
これ以上、薄くなるのが怖くてそっと眺めていたら。
『矢作様、それは何だ?』
黒装束。背後は取るな!と何度も言ったのに。心臓に悪い。
『何かは俺こそが知りたい。』
『それはこの国の言葉ではないな。』
珍しく、返事があるな。
いつもは現れても、無言が常なのに。
余程、日本語が珍しいのか。
『ルカサ語ではないのか?矢作様はこの国から外へ出た事がなかったと聞いた気がするが…』『ルカサ語!?』
じわりと汗が滲む。
『黒装束。何を言っているんだよ。この看板と同じ文字で書かれているだろう?
良く見てくれ。』
『いや、私には違う文字に見える。』
ま、まさか。
俺はひったくるようにテーブルの上にあった紙を1枚取ると《神木矢作》と書いた。
何度も書きなれた俺の名前。
『これと同じだろう?』
黒装束に緑の紙と、この文字を比べるように差し出せばあっさりと『違う』の答え。
何だ?
俺は日本語と別の言葉の区別がつかないのか?
いや、ウィンドリア語はわかっている。
『矢作様の話しているのは、ウィンドリア語じゃない。だいだいそんな言葉はない。
それぞれの国の言葉はあるけれど、世界共通言語はないんだ。
私や矢作様が話しているのはヌーヤ語だ。』
じゃあ…俺は。
『矢作様。ルカサ語と看板の文字はとても似ている。それにルカサ語は失われた言語の呼ばれるものだ。
ルカサ語を操るもの達は、いづこかに消えたと言われている。
今から数百年前だ。』
失われた言語?!
『そうだ。この話は国の中でも極秘になる内容だ。それ以上は詳しくないんだ。
すまない。』
まだ、言われている内容を消化出来ない。
あまりの展開についていけないのだ。
しかし、混乱の極みにいる俺を慮って慌てて言葉を重ねてくれた黒装束には驚いた。
素顔を晒す事は無いが少しづつ打ち解けてきてくれたのかもしれないな。
『そこからは私が補足しましょう。
矢作様への恩返しを少しでも出来れば幸いですかは。
ルカサ語は極秘ですが、手がかりはあります。それは首都にある王立図書館の閲覧禁止区域に行けばもしかしたら。
これ以上は私も詳しくないのですが、手がかり位は得られるかと。そして、閲覧禁止区域への入室は私が必ず得て来ます。
ですから、必要な時が来たら是非声を掛けて下さい。』
扉がいつの間にか開いていたようだ。
あまりの展開に、全然気がつかなかった。
好青年のBESTタイミングでの申し出に、少し違和感を感じながらもその有難い申し出に感謝を述べた。
『必ず王立図書館へは行きたい。このルカサ語の秘密を知りたいのだ。
でも、今はその時じゃないと思っている。それでも可能だろうか?』
『もちろん!!先程も述べた様に矢作様のお役に立てる事がようやく見つかったのです。嬉しい限りです。』
うん臭いといつも感じている好青年の笑顔が、今日は柔らかく感じた。
人間とは、勝手な生き物だな。
自分に良くしてくれる人に、すぐ好意を持ってしまうな。
『それより、素敵な窓口を開かれましたね。ただ、村長家の地下室へ訪れる人は稀ですが。』
『ここは、俺の基地のような場所にしたいと思っている。展開が早すぎて情報の整理が追いついていないし、在庫管理もおざなりだしな。これでは良い取引は出来ない。』
あー、パソコンが欲しい。
在庫管理はExcelが1番だ。
それと…。
『この間の戦いは、色々考えさせられた。
それについても、好青…ジルの意見を聞きたいと思っていたんだ。
是非、相談に乗って欲しい。』
あの野獣放牧地は、全て大岩でペシャンコにして収納済だがその後が問題だ。
『はい。あの土壁ですね。』
そう、土壁の強度と出入口の設置の仕方。
更には、壁と壁の間に作る予定の農地と農村問題。
問題山積だ。
『あの場所に行く方法は扉を開けるしかないのですが、扉が壊れていて現在は使用不能なのです。』
野獣にボコボコにされた扉の金属は、歪んで開け閉め出来ない。
更には、修理方法がない。
いや、あるにはあるがそれは〚鍛冶師〛に頼む必要があるがここからはかなりの距離らしいのだ。
『村に炉を開くしかないと思って、試作品は既に作ったんだ。
火炎石より上級の熔岩石もある。
ただ、それを直してくれる〚鍛冶師〛がこの村には居ないんだ。』
ん?
また、固まった??
好青年は、大丈夫か?数日に1度は固まってるし。
この間、ドヤン達に頼んだ【クーラーボックス】の試作品を見た時もなったし。
捨て子のリーダーが来たから、合わせた時なんか失神したしな。
心配して【特万能薬】を飲ませようとしたら、真っ白な顔色になって逃げ出したし。
うん臭いのに、虚弱体質とは気の毒だ
『ふぅ。もう慣れました(この任務は本当にある意味過酷過ぎだよ…。)
矢作様、分かりました。〚鍛冶師〛の派遣が可能かどうか問い合わせしてみます。』
『ジルも苦労性だな。』
黒装束が何か呟いたが小さ過ぎて聞こえなかった。
再び、緑の紙に視線を戻せばやはり、日本語に見える。
もしかすると、ルカサ語は…。
緑の紙の文字は、また少し薄くなった…気がした。
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