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第1章 ココどこですか?
辿り着いた先は…桃源郷?!それとも…
しおりを挟む*** ある村の長視点 ***
幼い頃、友人たちと釣りをした小川は
既に干やがり共に駆け回った山々は足を踏み入れる事すら許されぬ地となる。
それでも。
この場所にずっと住んでいたかった。
今更の感傷など、らしくも無いモノが夢となって毎夜訪う。やはり、村人全てを率いての移住は正気の沙汰ではなかったという事か。
野獣に立ち向かう大人達は、今のところ負傷者のみなのは、それは単なる幸運だ。
『長、野獣とは違う気配に囲まれています。我らが敵の目を、引き付けます。その隙に女子供と年寄りと共に先に逃げ延びて下さい。』
我が一族で、最高位の戦士であるルフ。
彼の目にも決死の覚悟がみえる。
なるほど。
相手はそれほどの脅威か。
『あの夢のような農村へ行きましょう。
家や種もふんだんにあるという。
野獣の恐怖も無い夢の地、東方の森、辺境の村へ。』
全部信じた訳じゃない。
いや、殆ど信用していない。それでも自滅の道より僅かでも希望の道を選んだつもりだったのだ。
ルフは、胸に夢の地を思いながら最後の戦いに挑むつもりか。
『お前らなら、すぐに追いつくな。』
片手を差し出させば、その手を叩いてニヤリと笑った。
『そうさ、このルフに任せておけ。』
自慢の大剣を片手に、暗闇へと歩いていくルフとその部下たち。
見送りながらも、感傷に浸る暇は無い。すぐに皆を集める。
『急げ!!1人でも多く逃げ延びるぞ!!』
それでも
暗闇から淡く光る、それらはあっさりルフ達を通り越して今、、俺の周りをぐるりと取り囲んでいる。
狙いはリーダーの俺か!
俺とて、一太刀くらいは意地をみせるぞ!!刀を構えた途端、耳が痛い。
『♪☆$3^」4♪』
『々々63\752**☆☆』
甲高い音が頭の中に鳴り響く。
『長、待って。この子達何か言ってる。
大丈夫、私たちは案内人だって言ってるわ。』
突然、集まっていた中から、年長の少女が出てきてそう言った。
何?何のとこだ??
ぐるぐる回っていた光が段々収まってきたら、小さな人型になった。
『『『精霊様!!!』』』
大勢の声が木霊のように響きわたったと同時にその場にひれ伏す。
まさか、こんな荒地に精霊様が?!
我が世界から消えつつあると言われている精霊様は様々な恵を齎す存在。
近年、そのお姿が消えた事が現状の要因の一つと言われているのに。
何故、こんな場所へ?
そして『案内人』とは??
『ふぅ、やっと人語を思い出した。
お前たち、東方の森近くの辺境の村へ移住するもの達か?』
お言葉が!!
お言葉を頂くなんて、なんと。
『聞こえておるのか?とにかく、移住者か?それならば急げ。危険の排除は力を取り戻りした我らが引き受けよう。』
『とにかく、矢作対策をせねば。人手が来なければ、何をやらかすやら。。』
『精霊使いも荒いしの。。』
ん?
最後の方は声が小さくて聞こえないが、なんという幸運。夢の地まで、精霊様の御加護を賜わるとは。
顔を上げた俺の目に、こちらへ駆け寄るルフ達の歓喜に満ちた顔が見えた。
微かな希望の光は、確かなものとなり我らの道は今、明るく照らされた。
これから、希望の地へと…。
(違う意味で全く期待を裏切る現実を知るまであと、12日。。)
*** 矢作視点 ***
『ドヤンさん達は矢作さんの家づくりで忙しいとばっかり』
新しい村の入ると、ズラッと並ぶ家並みに
村長から驚きの声が上がる。
実は全部、収納庫がやったのだ。
まずは新しい収納庫スキルで
【ツーバイフォー(2×4工法)】利用する事を思いついた。
そうだ、合成スキルを使えば、収納庫の中で家は簡単に建つのでは、と。
その通り!!
家は収納庫で組み上がった後、イメージに沿って出すだけ。
簡単で助かる。
あっという間、村づくり完成。
しかし、ここで問題発覚。
種まきや、畑の世話をする人達がまだ到着しない。それなのに、種は撒かれた。
うっかり、土づくりの時に種まきもイメージしてしまったのだ。
大量の芽が出て困り果てていたら、全く想像してない所から助けの手が来たのだ。
捨て子達だ。
3ヶ月が待てないのか、森から出てきた子供たちは自ら『役に立ちたい』『働きたい』そう言い出したのだ。
しかし、それは何ら不思議ではない。
俺も昔、親がそれぞれ家庭を作って捨てられた時に自らの力で生き抜いて来たから分かるのだ。
子供たちに無理はダメだ。でも、技量を付けたり色々な体験がこれからを作るのだ。
それはこれから先の人生の大きな助けとなる。(俺自身がそうだったように、な。)
『俺たちに農地の手伝いをさせて。』
『私も。』『僕も。』
『分かった。でも、働くのは5時間まで。
その後はきちんと休んで栄養をとること。無理だと思ったらきちんと休む事。』
そう言った途端、歓声が上がる。
役に立てる、嬉しいと口々に騒ぐ子供たちに胸熱になる。
俺も張り切らなきゃ。
それから、辺境の村の外側にいくつもの農地が生まれた。
1つ目の囲いの中が最初。
今や、囲いは3つに。その間は全て農地となった。
『育ちすぎる作物達は気にするな。やれるだけで大丈夫だから。
ちょっとやり過ぎただけだからな。』
広大になった農地に、目が点にになった子供たちにそう声をかけた。
『まあ、忙しいのは移住者が来るまでだから。無理の時は休むんだぞ。』
笑顔でそう言ったら、一斉に顔を逸らした。
何故?
そうか、照れたのだな。
まだ、人馴れしない可愛い子供たち。
農地での仕事を通して、更に絆は深まった(矢作比)
移住者が来るまで、あと12日。
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