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第3章 目的地は、敵地?!
やっぱり王宮って、魔宮だった件***草薙視点***
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***草薙視点***
薄々分かってたよ。
こんな展開なんじゃないかと…。
軽やかな馬の駆け足の音を聞きながら、外を眺める余裕のある先輩と違って俺は既にテンパってた。
着替えをするのに、メイドさんを団体で連れてきたジル。嫌な予感はこの時に芽生えた。
そして…やっぱり俺も巻き込まれた。
正装という名の拷問はココから始まった。
可愛いメイドさんを眺める余裕もなく、髪は禿げそうな程引っ張られ、顔を凄い勢いで塗りたくられ。
更には着せ替え人形を何度も繰り返した後、着せられたのはこの世界の正装。
何処か中国のチャイナ服っぽい作りは、首元はしまって息苦しいし、マントみたいな布は重ねた枚数が多すぎて最早動けない。
壊れたロボットだな、俺。
あぁ、こんな事なら元気になったから一緒に行きたいなんて言うんじゃなかった。
後悔先に立たず。
今頃になって、日本の諺の妙に関心している場合じゃないな。現実逃避はこの位にしなきゃな。
そう、目の前に見えてきた(嫌でも目に入る大きさだしな…。)王宮に恐れを成している場合じゃないんだ。なんだけど。
コレ、オカシイから…。
こんなの、城とかいう範囲じゃ収まらないだろ。
大体、ここまで来るのも大変だった。
超大きな門を、何度も何度も検問されつつ潜る事数回。
(大抵の場合、ジルの顔見て一瞬でパスだけど。)
やっと最後の門を抜けたと思ったら、お次は終わりのない塀ときた。
そしてやっとこさ着いた最終目的地。
イマココ。
見えてきたえげつない城。
そう、ものすごーーくえげつない。
いや、確か俺はこれまで異世界モノのアニメで幾つも城とか宮殿とか見てきたけど大きさじゃ余裕でこっちが大勝利だな。
だって、屋根の先が雲に突っ込んでいてしかと見えないとか。
1つの城の大きさが、東〇ディズニーランドを超えてるとか。
正門の大きさは恐竜サイズでも楽勝のドデカさとか。
言いたい事はそれだけじゃない!!
何だよ、この城の数。
普通1個だよな。それがこの大きさの癖に見えてるだけでも、数十個。
よく見えてない後ろの方も合わせたら、100を超えそうな…
『ええ、王宮は125の城の総称です。
我々の向かう先は、まずは謁見の城。
そこはこの中でも3番目に大きな城です。』
心の声が、聞こえたかな。
でも、先輩鬼教師のお陰でリスニングだけは人並みになったな。
言ってる事は理解出来る。でも、脳が理解を嫌がってるけどな。
『ジル。草薙のびっくり症には構うな。それより早く謁見してヤト様の所に案内して欲しい。』
いや、先輩。
これを驚かない先輩の方が、変ですから。
ほら、ジルさんも固まったじゃないですか。
正門にズラリと並ぶ兵士の間を進むジルと先輩の強心臓組とは違う凡人の俺は、とにかく2人から置いてかれないように足を早めた。
堂々と歩く先輩のマントは、ジルさんとお揃いだ。【仁の客人】の印だとか。
無論、俺も同じマントを着てる。
ただ、颯爽と歩く(と、言うよりは周りの状況に一切構わず歩いてると言うべきか)先輩は既に競歩のスピードで距離は離れる一方だ。
い、息も切れる。
『サン。草薙殿をお前がお連れせよ。』
先頭を歩いて一切振り向いてないはずのジルが、遅れていた俺に気づいたらしい。
だって、俺今サンさんの肩の上だもん。
こんなの恥ずかしいよ。
そう思ったのも一瞬。
ジルさんと先輩のスピードが、更に上がった。勿論、サンさんも俺を担いでいるのにもの凄いスピードだ。
なのに…ゆ、揺れない?!
異常事態が続き過ぎて、少しボーッとしたのが間違いだった。
だって。
サンさんが魔法陣っぽい何かに乗ったような気がして声をかけようかな、と思った瞬間。
飛ばされましたから、俺とサンさんだけ。
現在、森の中。
えっーーー!!!
王宮って、警備は絶対安全じゃなかったのか!!
やっぱりこんなボケボケしてちゃ、この世界では生き残れないんだな。
先輩にばかり負担がかかるから、しっかりしなきゃと思ってた矢先ニコレかぁ。
日本に居た頃と一緒なんて、嫌だ。
今度こそは!!
俺はまだ半透明でない、普通の握り拳を空に向けた。
薄々分かってたよ。
こんな展開なんじゃないかと…。
軽やかな馬の駆け足の音を聞きながら、外を眺める余裕のある先輩と違って俺は既にテンパってた。
着替えをするのに、メイドさんを団体で連れてきたジル。嫌な予感はこの時に芽生えた。
そして…やっぱり俺も巻き込まれた。
正装という名の拷問はココから始まった。
可愛いメイドさんを眺める余裕もなく、髪は禿げそうな程引っ張られ、顔を凄い勢いで塗りたくられ。
更には着せ替え人形を何度も繰り返した後、着せられたのはこの世界の正装。
何処か中国のチャイナ服っぽい作りは、首元はしまって息苦しいし、マントみたいな布は重ねた枚数が多すぎて最早動けない。
壊れたロボットだな、俺。
あぁ、こんな事なら元気になったから一緒に行きたいなんて言うんじゃなかった。
後悔先に立たず。
今頃になって、日本の諺の妙に関心している場合じゃないな。現実逃避はこの位にしなきゃな。
そう、目の前に見えてきた(嫌でも目に入る大きさだしな…。)王宮に恐れを成している場合じゃないんだ。なんだけど。
コレ、オカシイから…。
こんなの、城とかいう範囲じゃ収まらないだろ。
大体、ここまで来るのも大変だった。
超大きな門を、何度も何度も検問されつつ潜る事数回。
(大抵の場合、ジルの顔見て一瞬でパスだけど。)
やっと最後の門を抜けたと思ったら、お次は終わりのない塀ときた。
そしてやっとこさ着いた最終目的地。
イマココ。
見えてきたえげつない城。
そう、ものすごーーくえげつない。
いや、確か俺はこれまで異世界モノのアニメで幾つも城とか宮殿とか見てきたけど大きさじゃ余裕でこっちが大勝利だな。
だって、屋根の先が雲に突っ込んでいてしかと見えないとか。
1つの城の大きさが、東〇ディズニーランドを超えてるとか。
正門の大きさは恐竜サイズでも楽勝のドデカさとか。
言いたい事はそれだけじゃない!!
何だよ、この城の数。
普通1個だよな。それがこの大きさの癖に見えてるだけでも、数十個。
よく見えてない後ろの方も合わせたら、100を超えそうな…
『ええ、王宮は125の城の総称です。
我々の向かう先は、まずは謁見の城。
そこはこの中でも3番目に大きな城です。』
心の声が、聞こえたかな。
でも、先輩鬼教師のお陰でリスニングだけは人並みになったな。
言ってる事は理解出来る。でも、脳が理解を嫌がってるけどな。
『ジル。草薙のびっくり症には構うな。それより早く謁見してヤト様の所に案内して欲しい。』
いや、先輩。
これを驚かない先輩の方が、変ですから。
ほら、ジルさんも固まったじゃないですか。
正門にズラリと並ぶ兵士の間を進むジルと先輩の強心臓組とは違う凡人の俺は、とにかく2人から置いてかれないように足を早めた。
堂々と歩く先輩のマントは、ジルさんとお揃いだ。【仁の客人】の印だとか。
無論、俺も同じマントを着てる。
ただ、颯爽と歩く(と、言うよりは周りの状況に一切構わず歩いてると言うべきか)先輩は既に競歩のスピードで距離は離れる一方だ。
い、息も切れる。
『サン。草薙殿をお前がお連れせよ。』
先頭を歩いて一切振り向いてないはずのジルが、遅れていた俺に気づいたらしい。
だって、俺今サンさんの肩の上だもん。
こんなの恥ずかしいよ。
そう思ったのも一瞬。
ジルさんと先輩のスピードが、更に上がった。勿論、サンさんも俺を担いでいるのにもの凄いスピードだ。
なのに…ゆ、揺れない?!
異常事態が続き過ぎて、少しボーッとしたのが間違いだった。
だって。
サンさんが魔法陣っぽい何かに乗ったような気がして声をかけようかな、と思った瞬間。
飛ばされましたから、俺とサンさんだけ。
現在、森の中。
えっーーー!!!
王宮って、警備は絶対安全じゃなかったのか!!
やっぱりこんなボケボケしてちゃ、この世界では生き残れないんだな。
先輩にばかり負担がかかるから、しっかりしなきゃと思ってた矢先ニコレかぁ。
日本に居た頃と一緒なんて、嫌だ。
今度こそは!!
俺はまだ半透明でない、普通の握り拳を空に向けた。
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