62 / 69
第3章 目的地は、敵地?!
味方か、敵か…それ以外もあるのか?!
しおりを挟む
ピーーーーーー。
高い音が合図だった。
森の中に響き渡る合図の音に森が大きく揺さぶられた。
何をしなければならないか、皆分かっていた。この場所を離れる時だと。
『お父さん。待っててね。』
既に道は出来ていた。
僕らだけに見えるこの白き道を進むだけだ。
ゾワッとした。
感覚が鋭い方ではないが、後ろの2人が消えた瞬間の嫌な感触はジルから事情を聞いた今も続いていた。
『大丈夫ですよ。この王宮であんな仕掛けが出来るのは王族と賢者様くらいです。
きっと安全な場所にいますよ。』
ジルの揺るぎない言葉に頷いた。
信頼している。
もちろん、ジルを。こんな風に人を無条件で信頼するようになるなんて以前の俺なら考えられなかった。
日本に居た時より、人を信じられるようになったのはこの世界での出会いのおかげだ。命懸けで見ず知らずの世界から来た怪しい人間を助けてくれる人間がいるなんて思わなかった。
平和な日本では信じられない危険な出来事の連続で少し麻痺していたが、この世界はおとぎ話ではないのだ。
簡単に人の命が消えてしまう。そんな世界なのだ。
『矢作さん。ご心配は分かりますがこの先に待っている方をお待たせする訳にはいきません。草薙さんの身の安全のためにも今は。』不安を見抜かれてジル言われる。
分かっている。
今、出来ることをするだけだと。
それにしても、この豪華絢爛な廊下の先は嫌な予感が充満しているが。
「先輩なら絶対大丈夫です。」
草薙の声が聞こえた気がした。いつものいい加減な戯言が。
「そうだな。お前を待たせる訳にはいかないしな。」
『えっ?』
『いや、何でもない。さあ、ジル。王様の元に案内を頼む。』
そうだ。
いつも通り、ただひたすらに前へ突き進むだけだ。
***草薙視点***
森…じゃなかった。
落ち着いて見回すゆとりが出来て気づいた。
突然の転移でかなり慌てたらしく、少し早とちりした。
とは言え、かなり森に近い庭だ。
木々は生い茂り鬱蒼としたこの場所は陽の光もあまり届かない。
こんなの日本なら【庭】とは呼ばないが。
それでも【庭】だと実感したのは、森っぽいこの鬱蒼とした木々の中に明らかな人工物が見えるからだ。
「温室??」
それも温室っぽい建物の中に花々が咲き乱れているのが目に入ったのだ。
だから【庭】なのだ。
『草薙様。御身は私の命に替えてもお守りします。しかし今は迂闊に動かれませぬようお願いいたします。』
サンさんの目が異様な光を帯びて、俺を見てる。手は限りなく懐の隠し武器を手にしているな(本来、王宮は武器の携帯は厳禁だ。ジルも持っている気がするが…)
転移はひとりぼっちじゃなく、予想外にもサンさんも一緒でホッとする。しかし、先程のサンさんの言葉からすれと、ここはジルも知らない場所か。もしかして2人に俺たちの転移場所が分かってないのかも。
コレ…詰んだかな。。
!!!
『🎶🎶🎶~』
歌か??
何か歌声ようなモノが聞こえる気がして振り返った。
『なんだ?こえすゆ。いこ。』
魅惑的な声に誘われるように、動き出した俺に慌てるサンさん。
『今、動かないでくださいと言ったばかりで。あっ、、草薙様。お願いですから先に行かれませんよう。』
止める彼の声は聞こえるけれど、あの声の主に会いたい気持ちが抑えられない。
『歌、なに?する。』
『えっ?歌声がするのですか?私には全く聞こえません。となれば罠の可能性が。』
『ふふふ。罠とかじゃないわ。私の花園にようこそ。お客様が来て嬉しいわ。』
び、びっくりした!!!
サンさんと歌声の主を探したいと話していた途端に目の前にこの子が現れたから。
フリフリの衣装の小さな少女の登場に、サンさんが固まっているな。
『いいえ。固まったのではないわ。私の装身スキルなのよ。でも不思議ね。貴方には効かないなんて。』
「あ、あの。俺は草薙と言います。サンさんは大丈夫ですか?彼が固まっているのを解いて欲しいのですか。あっ、まずは貴方のお名前を教えてくださいませんか?」
可愛い顔の少女に見上げられながらも、ビビらないのは姉貴達のおかげだな。
女は怖い。
心に深く刻まれた俺の学びの1つだ。
そう。
例え、絶生の美少女でも油断大敵なのだ。
それにしても、こんなに綺麗で可愛い女の子はテレビでも見た事ないな。
『ふーーん。本当に効かないのね。じゃあ、おじ様どうしましょう?』
えっ?おじ様??
あれ?俺、日本語で喋ったはずじゃあ…。
『ふむ。だからジルが、わざわざワシに手紙なぞを送り付けたのだな。』
この鬱蒼とした森のどこに居たのか、おじ様と言われた老人も突如真後ろに現れた。
冷や汗がツーと背中を伝ったのを感じるのだけがこれが夢とか幻じゃないと伝えてる。こんな風に突然人が現れる。こんな事、頭は拒否して混乱して…。
『ワシがヤトだ。』
ラスボス現る。
『そして、私がユンよ。一応この国の第二王女よ。』
あぁ。ラスボス撤回。
隠しボス、王女殿下が現れた。。
高い音が合図だった。
森の中に響き渡る合図の音に森が大きく揺さぶられた。
何をしなければならないか、皆分かっていた。この場所を離れる時だと。
『お父さん。待っててね。』
既に道は出来ていた。
僕らだけに見えるこの白き道を進むだけだ。
ゾワッとした。
感覚が鋭い方ではないが、後ろの2人が消えた瞬間の嫌な感触はジルから事情を聞いた今も続いていた。
『大丈夫ですよ。この王宮であんな仕掛けが出来るのは王族と賢者様くらいです。
きっと安全な場所にいますよ。』
ジルの揺るぎない言葉に頷いた。
信頼している。
もちろん、ジルを。こんな風に人を無条件で信頼するようになるなんて以前の俺なら考えられなかった。
日本に居た時より、人を信じられるようになったのはこの世界での出会いのおかげだ。命懸けで見ず知らずの世界から来た怪しい人間を助けてくれる人間がいるなんて思わなかった。
平和な日本では信じられない危険な出来事の連続で少し麻痺していたが、この世界はおとぎ話ではないのだ。
簡単に人の命が消えてしまう。そんな世界なのだ。
『矢作さん。ご心配は分かりますがこの先に待っている方をお待たせする訳にはいきません。草薙さんの身の安全のためにも今は。』不安を見抜かれてジル言われる。
分かっている。
今、出来ることをするだけだと。
それにしても、この豪華絢爛な廊下の先は嫌な予感が充満しているが。
「先輩なら絶対大丈夫です。」
草薙の声が聞こえた気がした。いつものいい加減な戯言が。
「そうだな。お前を待たせる訳にはいかないしな。」
『えっ?』
『いや、何でもない。さあ、ジル。王様の元に案内を頼む。』
そうだ。
いつも通り、ただひたすらに前へ突き進むだけだ。
***草薙視点***
森…じゃなかった。
落ち着いて見回すゆとりが出来て気づいた。
突然の転移でかなり慌てたらしく、少し早とちりした。
とは言え、かなり森に近い庭だ。
木々は生い茂り鬱蒼としたこの場所は陽の光もあまり届かない。
こんなの日本なら【庭】とは呼ばないが。
それでも【庭】だと実感したのは、森っぽいこの鬱蒼とした木々の中に明らかな人工物が見えるからだ。
「温室??」
それも温室っぽい建物の中に花々が咲き乱れているのが目に入ったのだ。
だから【庭】なのだ。
『草薙様。御身は私の命に替えてもお守りします。しかし今は迂闊に動かれませぬようお願いいたします。』
サンさんの目が異様な光を帯びて、俺を見てる。手は限りなく懐の隠し武器を手にしているな(本来、王宮は武器の携帯は厳禁だ。ジルも持っている気がするが…)
転移はひとりぼっちじゃなく、予想外にもサンさんも一緒でホッとする。しかし、先程のサンさんの言葉からすれと、ここはジルも知らない場所か。もしかして2人に俺たちの転移場所が分かってないのかも。
コレ…詰んだかな。。
!!!
『🎶🎶🎶~』
歌か??
何か歌声ようなモノが聞こえる気がして振り返った。
『なんだ?こえすゆ。いこ。』
魅惑的な声に誘われるように、動き出した俺に慌てるサンさん。
『今、動かないでくださいと言ったばかりで。あっ、、草薙様。お願いですから先に行かれませんよう。』
止める彼の声は聞こえるけれど、あの声の主に会いたい気持ちが抑えられない。
『歌、なに?する。』
『えっ?歌声がするのですか?私には全く聞こえません。となれば罠の可能性が。』
『ふふふ。罠とかじゃないわ。私の花園にようこそ。お客様が来て嬉しいわ。』
び、びっくりした!!!
サンさんと歌声の主を探したいと話していた途端に目の前にこの子が現れたから。
フリフリの衣装の小さな少女の登場に、サンさんが固まっているな。
『いいえ。固まったのではないわ。私の装身スキルなのよ。でも不思議ね。貴方には効かないなんて。』
「あ、あの。俺は草薙と言います。サンさんは大丈夫ですか?彼が固まっているのを解いて欲しいのですか。あっ、まずは貴方のお名前を教えてくださいませんか?」
可愛い顔の少女に見上げられながらも、ビビらないのは姉貴達のおかげだな。
女は怖い。
心に深く刻まれた俺の学びの1つだ。
そう。
例え、絶生の美少女でも油断大敵なのだ。
それにしても、こんなに綺麗で可愛い女の子はテレビでも見た事ないな。
『ふーーん。本当に効かないのね。じゃあ、おじ様どうしましょう?』
えっ?おじ様??
あれ?俺、日本語で喋ったはずじゃあ…。
『ふむ。だからジルが、わざわざワシに手紙なぞを送り付けたのだな。』
この鬱蒼とした森のどこに居たのか、おじ様と言われた老人も突如真後ろに現れた。
冷や汗がツーと背中を伝ったのを感じるのだけがこれが夢とか幻じゃないと伝えてる。こんな風に突然人が現れる。こんな事、頭は拒否して混乱して…。
『ワシがヤトだ。』
ラスボス現る。
『そして、私がユンよ。一応この国の第二王女よ。』
あぁ。ラスボス撤回。
隠しボス、王女殿下が現れた。。
60
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
異世界おっさん一人飯
SILVER・BACK(アマゴリオ)
ファンタジー
サラリーマンのおっさんが事故に遭って異世界転生。
秀でた才能もチートもないが、出世欲もなく虚栄心もない。安全第一で冒険者として過ごし生き残る日々。
それは前世からの唯一の趣味である、美味しい食事を異世界でも食べ歩くためだった。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。
くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。
しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた!
しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!?
よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?!
「これ…スローライフ目指せるのか?」
この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。
キンモクセイ
ファンタジー
スキル「ファミレス」を手にした。
ハズレスキルかと思い、主人公の思うがまま行動している。
そんな時に1人の少女と出会い、運命が変わる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる