備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず

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第3章 目的地は、敵地?!

味方か、敵か…それ以外もあるのか?!

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ピーーーーーー。

高い音が合図だった。
森の中に響き渡る合図の音に森が大きく揺さぶられた。

何をしなければならないか、皆分かっていた。この場所を離れる時だと。

『お父さん。待っててね。』

既に道は出来ていた。
僕らだけに見えるこの白き道を進むだけだ。





ゾワッとした。

感覚が鋭い方ではないが、後ろの2人が消えた瞬間の嫌な感触はジルから事情を聞いた今も続いていた。

『大丈夫ですよ。この王宮であんな仕掛けが出来るのは王族と賢者様くらいです。
きっと安全な場所にいますよ。』
ジルの揺るぎない言葉に頷いた。

信頼している。
もちろん、ジルを。こんな風に人を無条件で信頼するようになるなんて以前の俺なら考えられなかった。

日本に居た時より、人を信じられるようになったのはこの世界での出会いのおかげだ。命懸けで見ず知らずの世界から来た怪しい人間を助けてくれる人間がいるなんて思わなかった。
平和な日本では信じられない危険な出来事の連続で少し麻痺していたが、この世界はおとぎ話ではないのだ。
簡単に人の命が消えてしまう。そんな世界なのだ。

『矢作さん。ご心配は分かりますがこの先に待っている方をお待たせする訳にはいきません。草薙さんの身の安全のためにも今は。』不安を見抜かれてジル言われる。
分かっている。
今、出来ることをするだけだと。

それにしても、この豪華絢爛な廊下の先は嫌な予感が充満しているが。

「先輩なら絶対大丈夫です。」
草薙の声が聞こえた気がした。いつものいい加減な戯言が。

「そうだな。お前を待たせる訳にはいかないしな。」

『えっ?』
『いや、何でもない。さあ、ジル。王様の元に案内を頼む。』

そうだ。
いつも通り、ただひたすらに前へ突き進むだけだ。


***草薙視点***

森…じゃなかった。
落ち着いて見回すゆとりが出来て気づいた。
突然の転移でかなり慌てたらしく、少し早とちりした。

とは言え、かなり森に近い庭だ。
木々は生い茂り鬱蒼としたこの場所は陽の光もあまり届かない。
こんなの日本なら【庭】とは呼ばないが。
それでも【庭】だと実感したのは、森っぽいこの鬱蒼とした木々の中に明らかな人工物が見えるからだ。

「温室??」

それも温室っぽい建物の中に花々が咲き乱れているのが目に入ったのだ。
だから【庭】なのだ。

『草薙様。御身は私の命に替えてもお守りします。しかし今は迂闊に動かれませぬようお願いいたします。』
サンさんの目が異様な光を帯びて、俺を見てる。手は限りなく懐の隠し武器を手にしているな(本来、王宮は武器の携帯は厳禁だ。ジルも持っている気がするが…)

転移はひとりぼっちじゃなく、予想外にもサンさんも一緒でホッとする。しかし、先程のサンさんの言葉からすれと、ここはジルも知らない場所か。もしかして2人に俺たちの転移場所が分かってないのかも。

コレ…詰んだかな。。

!!!

『🎶🎶🎶~』

歌か??
何か歌声ようなモノが聞こえる気がして振り返った。


『なんだ?こえすゆ。いこ。』
魅惑的な声に誘われるように、動き出した俺に慌てるサンさん。
『今、動かないでくださいと言ったばかりで。あっ、、草薙様。お願いですから先に行かれませんよう。』

止める彼の声は聞こえるけれど、あの声の主に会いたい気持ちが抑えられない。

『歌、なに?する。』
『えっ?歌声がするのですか?私には全く聞こえません。となれば罠の可能性が。』

『ふふふ。罠とかじゃないわ。私の花園にようこそ。お客様が来て嬉しいわ。』

び、びっくりした!!!
サンさんと歌声の主を探したいと話していた途端に目の前にこの子が現れたから。

フリフリの衣装の小さな少女の登場に、サンさんが固まっているな。

『いいえ。固まったのではないわ。私の装身スキルなのよ。でも不思議ね。貴方には効かないなんて。』

「あ、あの。俺は草薙と言います。サンさんは大丈夫ですか?彼が固まっているのを解いて欲しいのですか。あっ、まずは貴方のお名前を教えてくださいませんか?」
可愛い顔の少女に見上げられながらも、ビビらないのは姉貴達のおかげだな。

女は怖い。
心に深く刻まれた俺の学びの1つだ。
そう。
例え、絶生の美少女でも油断大敵なのだ。


それにしても、こんなに綺麗で可愛い女の子はテレビでも見た事ないな。

『ふーーん。本当に効かないのね。じゃあ、おじ様どうしましょう?』
えっ?おじ様??

あれ?俺、日本語で喋ったはずじゃあ…。

『ふむ。だからジルが、わざわざワシに手紙なぞを送り付けたのだな。』
この鬱蒼とした森のどこに居たのか、おじ様と言われた老人も突如真後ろに現れた。

冷や汗がツーと背中を伝ったのを感じるのだけがこれが夢とか幻じゃないと伝えてる。こんな風に突然人が現れる。こんな事、頭は拒否して混乱して…。

『ワシがヤトだ。』

ラスボス現る。

『そして、私がユンよ。一応この国の第二王女よ。』

あぁ。ラスボス撤回。

隠しボス、王女殿下が現れた。。

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