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改稿前
23話「ニクラス公爵夫妻を呼べ!」
しおりを挟む「衛兵! 衛兵はおるか!」
国王が怒鳴る。
「はっ! ここに!」
衛兵が二人入ってきた。
「ミラはどうしている?」
「水晶に魔力を込めている最中に血を吐いて倒れたので部屋で休んでいます」
衛兵が現実を告げる。
「今すぐ叩き起こし水晶に魔力を込めさせろ! 血を吐こうがゲロを吐こうが続けさせろ! 倒れたら水をかけて覚醒させろ! 魔力が尽きたら寿命を魔力に変換させるんだ!! 若いから寿命はたっぷり残っているだろう!!」
「そんな……ミラが死んでしまいます!」
へーウィットが顔面を蒼白にし、国王にすがりつく。
「もとはと言えばミラがリーゼロッテに与えるはずのアンドヴァラナウトの指輪を盗んだからこうなった! 責任を取るのは当たり前だ!! 四の五の言うならへーウィット、貴様の魔力も水晶に込めさせるぞ!!」
「ひぃぃっ……! そっ、それだけは……許して下さい父上……!」
へーウィットは我が身可愛さにあっさり引き下がった。
へーウィットの魔力量は普通の人間より少ないので、水晶に魔力を込めたとしても屁の役にも立たない。国王はそのことが分かっていたのでそれ以上は何も言わなかった。
「それからニクラス公爵夫妻を呼べ! リーゼロッテの行方を知っているかもしれん! ついでにミラのしでかした不祥事の責任を取らせる! ミラは国家予算の三年分の経費を注ぎ込んだアンドヴァラナウトの指輪を盗んだのだ! 公爵家の財産を全て差し押さえるぞ!!」
「「承知いたしました」」
衛兵が敬礼をして退室する。
「リーゼロッテに公爵夫妻への情が残っていると良いのだがな、ニクラス公爵夫妻はリーゼロッテをおびき出す餌にする! それまでは生かしておけ!」
リーゼロッテはもはやハルシュタイン王国はおろか、ネーベル大陸にすらいない事を国王は知らない。
そして呼び戻すことは永遠に不可能だということも……。
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