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番外編1 騎士団長、料理に挑戦する!?
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「団長、その……本当にやるんですか?」
騎士団の厨房で、料理長のガストンが困惑した顔をしていた。
「ああ。ミーニェに手料理を作って驚かせたい」
シュレツは真剣な表情でエプロンを身につけた。騎士団長の威厳ある姿に、可愛らしいエプロンという組み合わせが妙にちぐはぐだ。
「でも団長、失礼ですが料理の経験は……」
「ない」
きっぱりと答えるシュレツに、ガストンは頭を抱えた。
「じゃあ、せめて簡単なものから――」
「いや、ミーニェの好きそうなものを作る。薬膳スープだ」
「や、薬膳!?」
ガストンの顔が青ざめた。薬膳料理は材料の組み合わせが難しく、下手をすると毒にもなりかねない。
「大丈夫だ。レシピは研究室から借りてきた」
シュレツが取り出したのは、ミーニェの研究ノート。そこには確かに薬膳スープの作り方が書かれているが……
「団長、これ、ミーニェ様の薬膳ですよね?」
「ああ、以前作ってもらったことがある」
「……かなり専門的な内容です……ミーニェ様ですよ?」
「? ああ。そうだな」
何もわかってなさそうなシュレツにガストンは頭を抱えた。
「天才薬師ミーニェ様の薬膳を、いきなり作れると思っていらっしゃるんですか!?」
「問題ない。俺は騎士団長だ。これくらい――」
ドンッ!
包丁で野菜を切ろうとして、まな板ごと真っ二つにしてしまった。
「……? ……力加減が難しいな」
「そういう問題じゃないです!」
その後も惨状は続いた。火加減が分からず鍋を焦がし、塩と砂糖を間違え、最後には何故か紫色の煙が立ち上る謎の物体が完成した。
「こ、これは……」
もはや毒、という言葉をガストンはぎりぎりで飲み込んだ。
「失敗か」
シュレツが肩を落とした。
「だ、団長、気を落とさないでください。料理は練習ですからね……!」
「そうか……では、もう一度薬膳を!」
「いえ! まず基礎から!」
ガストンの必死の指導により、なんとか目玉焼きくらいは作れるようになったシュレツ。しかし……
「これでは、ミーニェを驚かせられない」
「いやいや、団長が料理してるだけで十分驚きますよ」
そんな会話をしていると、扉が開いた。
「シュレツー? いる?」
ミーニェの声だ。シュレツは慌ててエプロンを外し、目玉焼きを隠した。
「ど、どうした?」
「騎士団の厨房から変な煙が出てるって聞いて……あれ?」
ミーニェが厨房を見回す。焦げた鍋、散乱した野菜、そして紫色の謎物体……
「なにしてるの? 実験?」
「あ、えっと」
「まさか……料理してたの?」
「い、いや、これは……」
「ふふっ」
ミーニェが笑い出した。
「シュレツが料理なんて、珍しいわね。新しい趣味? 応援するわよ」
「いやその……驚かせようと思ったんだが」
「え」
「君を……」
「!」
ミーニェは目を見開いたあと、くすくすと笑った。
「十分驚いたわよ」
ミーニェは汚れたエプロンを手に取る。
「ふふ、私のために料理、ねえ?」
「ああ……薬膳スープを作ろうとしたんだが……」
失敗作を見て、また笑うミーニェ。
「これ、組み合わせが違うわね。この材料だと、毒になってしまうわ。いや毒としてはかなり優秀ねこれ……」
「なっ!?」
シュレツとガストンが同時に青ざめたのを見て、ミーニェは口を押えて笑った。
「それで? そっちに隠してるのは?」
「……卵を焼いた」
「あら目玉焼き」
そしてミーニェは近くにあったフォークを掴むと、少し不格好な目玉焼きをひょいと口の中に入れて、ぺろりと食べた。
「まあ、悪くないかも?」
「み、ミーニェ!?」
「美味しいわよ」
「そ、そうか……? なら、いいんだが」
少し照れるシュレツの横で、ガストンが涙を拭いている。並々ならぬガストンの努力の成果である。それをみて、ミーニェは軽く肩を落としたあと、提案する。
「うん。シュレツの愛情が入ってるから」
シュレツが赤くなりながら、顔をそらした。
「次は、もっと上手に作れるようになる」
「楽しみにしてる」
でも、ミーニェは思った。完璧じゃないシュレツも、素敵だと。
その夜、研究室に戻ったミーニェは、日記に書いた。
『今日、シュレツが料理を作ってくれようとした。目玉焼き。すごく嬉しかった』
一方、シュレツは自室で決意を新たにしていた。
「次こそ、完璧なサプライズを……」
翌日から、こっそり料理の練習を始める騎士団長の姿があった。騎士団の面々は、生暖かい目で見守りつつ、時々味見役を務めることになる。
「団長、これは……砂糖と間違えていませんか」
「かもしれない……? では、もう一度」
「団長の根性には感服しますが……」
ミーニェへの想いは、シュレツを不屈の男にしていた。
ガストンの指導もあり、数日後、ついに一人でスープを完成させた。ただ、薬膳ではなくミネストローネだ。それはガストンの提案だった。きっとこの方が喜ばれますよ、と。
「よし、今度こそ……」
研究室に向かうと、ミーニェは実験に夢中だった。
「ミーニェ、少し休憩しないか」
「あら、シュレツ。ちょうどお腹すいてたの」
「実は……」
保温した鍋を取り出すシュレツ。
「これを、作ってきた」
「え?」
蓋を開けると、美味しそうな香りが広がった。
「すごい! 一人で作ったの?」
「ああ。ミネストローネだ。皆に味見してもらったから、今度はちゃんと美味しいはず……!」
「……皆に何日ミネストローネ食べてもらったの?」
「い……五日、ほど……」
「ふふ。今度お礼言わないと」
ミーニェは微笑むと、スプーンで一口すくって、口に運ぶ。
「あ、美味しい……本当に美味しい」
「よかった」
安堵するシュレツの手を、ミーニェが握った。
「ありがとう。大切に全部いただくね」
「ああ」
二人で一つの鍋を分け合いながら、幸せな時間を過ごした。
サプライズは、やっと成功した――と思ったシュレツだったが。
「ところで」
「なんだ?」
「ガストンさんから聞いたわよ。まな板を真っ二つにしたって」
「ガストン……!」
口が軽い料理長を恨むシュレツだったが、ミーニェは楽しそうに笑っていた。
「頑張ってくれて、本当に嬉しい」
「……そうか」
結局、サプライズとしては上手くいっているか微妙だが、ミーニェの笑顔が見られたから、今回は、それでよしとしよう。次こそは。
シュレツはそう思いながら、次のサプライズ計画を練り始めるのだった。
騎士団の厨房で、料理長のガストンが困惑した顔をしていた。
「ああ。ミーニェに手料理を作って驚かせたい」
シュレツは真剣な表情でエプロンを身につけた。騎士団長の威厳ある姿に、可愛らしいエプロンという組み合わせが妙にちぐはぐだ。
「でも団長、失礼ですが料理の経験は……」
「ない」
きっぱりと答えるシュレツに、ガストンは頭を抱えた。
「じゃあ、せめて簡単なものから――」
「いや、ミーニェの好きそうなものを作る。薬膳スープだ」
「や、薬膳!?」
ガストンの顔が青ざめた。薬膳料理は材料の組み合わせが難しく、下手をすると毒にもなりかねない。
「大丈夫だ。レシピは研究室から借りてきた」
シュレツが取り出したのは、ミーニェの研究ノート。そこには確かに薬膳スープの作り方が書かれているが……
「団長、これ、ミーニェ様の薬膳ですよね?」
「ああ、以前作ってもらったことがある」
「……かなり専門的な内容です……ミーニェ様ですよ?」
「? ああ。そうだな」
何もわかってなさそうなシュレツにガストンは頭を抱えた。
「天才薬師ミーニェ様の薬膳を、いきなり作れると思っていらっしゃるんですか!?」
「問題ない。俺は騎士団長だ。これくらい――」
ドンッ!
包丁で野菜を切ろうとして、まな板ごと真っ二つにしてしまった。
「……? ……力加減が難しいな」
「そういう問題じゃないです!」
その後も惨状は続いた。火加減が分からず鍋を焦がし、塩と砂糖を間違え、最後には何故か紫色の煙が立ち上る謎の物体が完成した。
「こ、これは……」
もはや毒、という言葉をガストンはぎりぎりで飲み込んだ。
「失敗か」
シュレツが肩を落とした。
「だ、団長、気を落とさないでください。料理は練習ですからね……!」
「そうか……では、もう一度薬膳を!」
「いえ! まず基礎から!」
ガストンの必死の指導により、なんとか目玉焼きくらいは作れるようになったシュレツ。しかし……
「これでは、ミーニェを驚かせられない」
「いやいや、団長が料理してるだけで十分驚きますよ」
そんな会話をしていると、扉が開いた。
「シュレツー? いる?」
ミーニェの声だ。シュレツは慌ててエプロンを外し、目玉焼きを隠した。
「ど、どうした?」
「騎士団の厨房から変な煙が出てるって聞いて……あれ?」
ミーニェが厨房を見回す。焦げた鍋、散乱した野菜、そして紫色の謎物体……
「なにしてるの? 実験?」
「あ、えっと」
「まさか……料理してたの?」
「い、いや、これは……」
「ふふっ」
ミーニェが笑い出した。
「シュレツが料理なんて、珍しいわね。新しい趣味? 応援するわよ」
「いやその……驚かせようと思ったんだが」
「え」
「君を……」
「!」
ミーニェは目を見開いたあと、くすくすと笑った。
「十分驚いたわよ」
ミーニェは汚れたエプロンを手に取る。
「ふふ、私のために料理、ねえ?」
「ああ……薬膳スープを作ろうとしたんだが……」
失敗作を見て、また笑うミーニェ。
「これ、組み合わせが違うわね。この材料だと、毒になってしまうわ。いや毒としてはかなり優秀ねこれ……」
「なっ!?」
シュレツとガストンが同時に青ざめたのを見て、ミーニェは口を押えて笑った。
「それで? そっちに隠してるのは?」
「……卵を焼いた」
「あら目玉焼き」
そしてミーニェは近くにあったフォークを掴むと、少し不格好な目玉焼きをひょいと口の中に入れて、ぺろりと食べた。
「まあ、悪くないかも?」
「み、ミーニェ!?」
「美味しいわよ」
「そ、そうか……? なら、いいんだが」
少し照れるシュレツの横で、ガストンが涙を拭いている。並々ならぬガストンの努力の成果である。それをみて、ミーニェは軽く肩を落としたあと、提案する。
「うん。シュレツの愛情が入ってるから」
シュレツが赤くなりながら、顔をそらした。
「次は、もっと上手に作れるようになる」
「楽しみにしてる」
でも、ミーニェは思った。完璧じゃないシュレツも、素敵だと。
その夜、研究室に戻ったミーニェは、日記に書いた。
『今日、シュレツが料理を作ってくれようとした。目玉焼き。すごく嬉しかった』
一方、シュレツは自室で決意を新たにしていた。
「次こそ、完璧なサプライズを……」
翌日から、こっそり料理の練習を始める騎士団長の姿があった。騎士団の面々は、生暖かい目で見守りつつ、時々味見役を務めることになる。
「団長、これは……砂糖と間違えていませんか」
「かもしれない……? では、もう一度」
「団長の根性には感服しますが……」
ミーニェへの想いは、シュレツを不屈の男にしていた。
ガストンの指導もあり、数日後、ついに一人でスープを完成させた。ただ、薬膳ではなくミネストローネだ。それはガストンの提案だった。きっとこの方が喜ばれますよ、と。
「よし、今度こそ……」
研究室に向かうと、ミーニェは実験に夢中だった。
「ミーニェ、少し休憩しないか」
「あら、シュレツ。ちょうどお腹すいてたの」
「実は……」
保温した鍋を取り出すシュレツ。
「これを、作ってきた」
「え?」
蓋を開けると、美味しそうな香りが広がった。
「すごい! 一人で作ったの?」
「ああ。ミネストローネだ。皆に味見してもらったから、今度はちゃんと美味しいはず……!」
「……皆に何日ミネストローネ食べてもらったの?」
「い……五日、ほど……」
「ふふ。今度お礼言わないと」
ミーニェは微笑むと、スプーンで一口すくって、口に運ぶ。
「あ、美味しい……本当に美味しい」
「よかった」
安堵するシュレツの手を、ミーニェが握った。
「ありがとう。大切に全部いただくね」
「ああ」
二人で一つの鍋を分け合いながら、幸せな時間を過ごした。
サプライズは、やっと成功した――と思ったシュレツだったが。
「ところで」
「なんだ?」
「ガストンさんから聞いたわよ。まな板を真っ二つにしたって」
「ガストン……!」
口が軽い料理長を恨むシュレツだったが、ミーニェは楽しそうに笑っていた。
「頑張ってくれて、本当に嬉しい」
「……そうか」
結局、サプライズとしては上手くいっているか微妙だが、ミーニェの笑顔が見られたから、今回は、それでよしとしよう。次こそは。
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