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大家族
明(つくづく、人間社会じゃないってことを実感する)
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新暦〇〇〇三年八月二十二日
今日は誉と光の誕生日ではあるものの、<誕生日>なる概念自体が存在しない環境ではそれを祝う意味がない気がして取り敢えず今回は見送った。
正直、ここにあるのは人間社会じゃない。だから、人間社会で生きていく為に身に付けるべき感覚とはまったく異なるというのを実感する。
他の子達もそうだが、明と翔は特に、生まれながらにしてのハンターだった。動くものを獲物と認識し、襲い掛かるということを既に始めている。
人間の場合は、社会の中で生きていくには『他者を傷付けるな』ということが大前提になる。でなければ社会を乱すリスクとして疎まれることになるからだ。人間は生物としては非常に脆弱で、成体でも他者の助けなしでは生きていくこともままならない。だから他人に疎まれ恨まれるのは本来は自らを危険に晒す振る舞いなのだ。
俺は、ここに来てそれを改めて思い知らされたよ。エレクシアがいなければ、とうの昔に死んでいたって何もおかしくない。
刃の娘である明は、走ることができるようになった途端、俺や他の子供達を獲物に見立てて狩りの練習を始めるようになった。普段は大人しく周囲の様子を窺ってるんだが、少しでも油断すると飛び掛かってくる。それがまた容赦がなく乱暴で、生傷が絶えない。人間の子供なら完全に問題児扱いだろう。
人間の場合はそれを抑えるように諭していかなきゃいけないが、ここではそれは生きる為に必須の能力でもある。飛び掛かられる子供達にしても、それが天敵から身を守る為の練習にもなるんだろう。すぐにやられっぱなしにならなくなった。
非常に大人しくて、一見すると弱々しくも見える光でさえ、飛び掛かる明の顎に容赦のない掌底を入れて昏倒させることさえある。誰も教えていないのに腰の入った堂に入った見事な一撃だった。むしろ、光が一番、明のあしらいが上手いかもしれない。しかし、人間の俺からするとそのやり取りがおっかなくて敵わない。何度か本当に死んだんじゃないかと慌てさせられたことさえあった。
幸い、子供達は皆、肉体的にも非常に頑健でその程度では何ともないようだ。当然か。このくらいで死んでいてはここでは生きていけないだろうからな。
だが、おっかないものはおっかないんだよ! ほんと、勘弁してくれ。
それでも、時折、甘えるように俺に縋りついてきたりもする明は可愛いと思う。光を膝に抱いて明が俺の背中に縋りついて、誉が俺の頭に上って「うぉ~っ!!」って吠えて。
「って、じゃっかぁっしぃわ!! 落ち着いて絵本も読めないだろうが!!」
思わず声を上げると、明と誉はピューッと逃げ去ってしまう。が、まるで懲りる気配はない。光は自分が叱られた訳じゃないということを既に理解しているのか、俺が座るとすぐにまた膝に乗って「んっ!」と絵本をせがむ。
子供に対して『他人に迷惑を掛けるな』とついつい言ってしまいがちな人間社会の常識がまるで通じないと痛感する。
でも、悪くない。それがまた、可愛いんだよな。
今日は誉と光の誕生日ではあるものの、<誕生日>なる概念自体が存在しない環境ではそれを祝う意味がない気がして取り敢えず今回は見送った。
正直、ここにあるのは人間社会じゃない。だから、人間社会で生きていく為に身に付けるべき感覚とはまったく異なるというのを実感する。
他の子達もそうだが、明と翔は特に、生まれながらにしてのハンターだった。動くものを獲物と認識し、襲い掛かるということを既に始めている。
人間の場合は、社会の中で生きていくには『他者を傷付けるな』ということが大前提になる。でなければ社会を乱すリスクとして疎まれることになるからだ。人間は生物としては非常に脆弱で、成体でも他者の助けなしでは生きていくこともままならない。だから他人に疎まれ恨まれるのは本来は自らを危険に晒す振る舞いなのだ。
俺は、ここに来てそれを改めて思い知らされたよ。エレクシアがいなければ、とうの昔に死んでいたって何もおかしくない。
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非常に大人しくて、一見すると弱々しくも見える光でさえ、飛び掛かる明の顎に容赦のない掌底を入れて昏倒させることさえある。誰も教えていないのに腰の入った堂に入った見事な一撃だった。むしろ、光が一番、明のあしらいが上手いかもしれない。しかし、人間の俺からするとそのやり取りがおっかなくて敵わない。何度か本当に死んだんじゃないかと慌てさせられたことさえあった。
幸い、子供達は皆、肉体的にも非常に頑健でその程度では何ともないようだ。当然か。このくらいで死んでいてはここでは生きていけないだろうからな。
だが、おっかないものはおっかないんだよ! ほんと、勘弁してくれ。
それでも、時折、甘えるように俺に縋りついてきたりもする明は可愛いと思う。光を膝に抱いて明が俺の背中に縋りついて、誉が俺の頭に上って「うぉ~っ!!」って吠えて。
「って、じゃっかぁっしぃわ!! 落ち着いて絵本も読めないだろうが!!」
思わず声を上げると、明と誉はピューッと逃げ去ってしまう。が、まるで懲りる気配はない。光は自分が叱られた訳じゃないということを既に理解しているのか、俺が座るとすぐにまた膝に乗って「んっ!」と絵本をせがむ。
子供に対して『他人に迷惑を掛けるな』とついつい言ってしまいがちな人間社会の常識がまるで通じないと痛感する。
でも、悪くない。それがまた、可愛いんだよな。
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