312 / 2,961
子供達
何が幸いするかなんて(どうせ分からない)
しおりを挟む
新暦〇〇一八年六月一日。
順は、見た目には光や灯と同じで完全に人間だが、服を着るようになってますます人間っぽくはなったが、しかしその振る舞いはやはり誉や焔や新と同じく<ボノボ人間の雄>だった。
<意中の雌>である光に対するアピールが激しい。
ボノボ人間は、めでたくカップルになってからでも、当分の間、雄は雌に対して求愛行動を行うらしい。自分が素晴らしい雄であることをさらに見せつける為だろうか。
なので、振り向いてもらえてないとなればなおのことかもしれない。
ただ、中学生くらいの体格でこれをやられると、家が大変なんだよなあ。
さりとて、それをやめさせるのも何か違うと思うから、壊れればただ淡々と直す。それだけだ。どうせ「壊すな」と言ったところで理解もできないだろうし。
そうだ。光や灯と違って、人間というものに全く触れず、人間の言葉を耳にすることもなく育った順は、おそらくまともに話すこともできるようにならないだろう。
それについては、エレクシアが言っていた。
「古来、人間以外の動物によって育てられた子供の事例はいくつか確認されていますが、いずれも、<社会復帰>という点においては厳しい結果に終わったと言わざるを得ないでしょう。特に、言語については十分なレベルに達したという明確な資料はありません。良くていくつかの単語を不明瞭な発音ながら辛うじて口にできる程度であったようです。
これは、脳の活動が非常に活発である乳幼児期に人間としての言語に触れないと、たとえ人間として十分な機能を有した脳を持っていても、具体的な<言語>というものを理解できるようにならないということを示していると言われています。
ただ、ボノボ人間には非常に原始的ながら言語に近いコミュニケーション方法がありますので、いわゆる<片言>程度であれば話せるようになる可能性はゼロではないでしょうが、光や灯と同等の、<人間としてのスムーズなコミュニケーション能力>を獲得するのは難しいと考えていただいた方がいいでしょう」
厳しい内容だが、俺としても異論はなかった。そうなるだろうということは、詳しい知識のない俺でも察せられたからな。
だが俺は、別に、順を<人間>にしたい訳じゃない。順は順のままでいてくれればいい。それでこの<群れ>に来て良かったと思ってもらえれば十分だ。
俺も今、こうしてることを後悔はしていない。やけっぱちで夢色星団に飛び込んだが、結果的にはそのおかげで満たされてる。
何が幸いするかなんてどうせ分からないんだ。なら、なるべく幸せになれるようにしたいもんな。
順は、見た目には光や灯と同じで完全に人間だが、服を着るようになってますます人間っぽくはなったが、しかしその振る舞いはやはり誉や焔や新と同じく<ボノボ人間の雄>だった。
<意中の雌>である光に対するアピールが激しい。
ボノボ人間は、めでたくカップルになってからでも、当分の間、雄は雌に対して求愛行動を行うらしい。自分が素晴らしい雄であることをさらに見せつける為だろうか。
なので、振り向いてもらえてないとなればなおのことかもしれない。
ただ、中学生くらいの体格でこれをやられると、家が大変なんだよなあ。
さりとて、それをやめさせるのも何か違うと思うから、壊れればただ淡々と直す。それだけだ。どうせ「壊すな」と言ったところで理解もできないだろうし。
そうだ。光や灯と違って、人間というものに全く触れず、人間の言葉を耳にすることもなく育った順は、おそらくまともに話すこともできるようにならないだろう。
それについては、エレクシアが言っていた。
「古来、人間以外の動物によって育てられた子供の事例はいくつか確認されていますが、いずれも、<社会復帰>という点においては厳しい結果に終わったと言わざるを得ないでしょう。特に、言語については十分なレベルに達したという明確な資料はありません。良くていくつかの単語を不明瞭な発音ながら辛うじて口にできる程度であったようです。
これは、脳の活動が非常に活発である乳幼児期に人間としての言語に触れないと、たとえ人間として十分な機能を有した脳を持っていても、具体的な<言語>というものを理解できるようにならないということを示していると言われています。
ただ、ボノボ人間には非常に原始的ながら言語に近いコミュニケーション方法がありますので、いわゆる<片言>程度であれば話せるようになる可能性はゼロではないでしょうが、光や灯と同等の、<人間としてのスムーズなコミュニケーション能力>を獲得するのは難しいと考えていただいた方がいいでしょう」
厳しい内容だが、俺としても異論はなかった。そうなるだろうということは、詳しい知識のない俺でも察せられたからな。
だが俺は、別に、順を<人間>にしたい訳じゃない。順は順のままでいてくれればいい。それでこの<群れ>に来て良かったと思ってもらえれば十分だ。
俺も今、こうしてることを後悔はしていない。やけっぱちで夢色星団に飛び込んだが、結果的にはそのおかげで満たされてる。
何が幸いするかなんてどうせ分からないんだ。なら、なるべく幸せになれるようにしたいもんな。
2
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる