未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第三世代

閑話休題 「ますらおとヒナ」

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こうして悲しい結末になってしまったあんずとヒナの話だったが、実はこの直後、

「ヒナがまた落ちていました。いかがいたしましょうか?」

こんどは<ますらお>が落ちていたヒナを見付けてしまった。先日のとは別の巣ヒナだ。

正直、本当は放っておくべきなんだと思う。思うが、

「巣に戻せるようなら戻してやってくれ。ダメなら、看取ってやってくれ……」

前回と同じ結末に終わることを覚悟の上で、俺はそう指示した。

で、やっぱり巣には戻せず、<家>で保護することに。

とは言え、育てられない可能性が高いだろうと考え、期待はせずに様子を見ることにした。

なのに……

「今回のは、随分と元気だな……」

三日経っても、そのヒナは「ピイピイ!」と大きな口を開けて餌をねだった。

しかも、四日目、巣の中のヒナが少し育ってさらに餌が必要になったのか、雄と雌が同時に巣を離れた隙を狙って、あんずが木に登ってヒナを巣に戻すことに成功。

戻ってきた親鳥は突然ヒナの数が増えたことに戸惑ったのかしばらく巣の周りを飛び回っていただけだったが、餌をねだるヒナの声に負けたのか巣に戻り、餌を与え始めた。

一旦、巣から落ちていなくなっていたヒナにも、ちゃんと餌を与えてくれた。

「よかった……♡」

シモーヌが嬉しそうに頬を緩める。俺も、ホッとしていた。



正直、今回は、いなくなったはずのヒナが戻ってきたことに親鳥が警戒して他のヒナごと見捨ててしまう可能性もあったが、それについては大丈夫だった。もし、巣ごと捨てられたら全部保護するつもりだった。

なぜ前回のヒナは助からず、今回は助かったのか、はっきりとした原因は分からない。分からないが、こういうことがあるのもまた、<この世>というものだろう。

前回ダメだったからといって今回もダメとは限らないし、

前回上手くいったからといって今回も上手くいくとは限らない。

そういうものだ。

ただ、やはり、こういう例をすべて助けることはできないし、やはり家族や仲間を優先し、本当に余裕があった場合にだけ、

『気まぐれに助けることもある』

という程度にしておかなくちゃと改めて思った。

ますらおも、特にヒナのことは気にせずに作業を続けてくれている。

もっとも、鳥の巣がある木については、ヒナが巣立っていなくなるまで伐採は後回しにしてるけどな。

あんずがヒナを拾った方の巣は先にすべて巣立ったことで木を伐採し、ますらおがヒナを拾った方の巣も、次々とヒナが巣立っていった。皮肉なことに、巣から落ちたヒナが一番先に巣立ったようだ。

まったく、何がどうなるのか、さっぱりだよ。本当に。

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