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リリア・ツヴァイの章
空腹感
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夕方。私はお腹が減ってくるのを感じてた。この感覚がまた面白い。ロボットがバッテリーの残量が少なくなった時に感じる危機感に似てるようで違う気がするんだよね。これは、ロボットの体と人間の体を比較できる私達にしか分からないものかも知れない。
ロボットはバッテリーの電力がなくなったって死ぬことはない。メモリーの一部が失われることはあってもそれを気にすることもないし、殆どは内部ストレージにバックアップが取られてるからそこからいつでも復帰できる。だからか、危機感というものはほとんどないと思う。自身の役目が果たせなくなるのは好ましくないなって思うだけだ。
だけど人間はそうじゃない。人間は飢えてそれが限界を越えれば死ぬ。死ねば復帰はできない。絶対に。
それは、アリスマリア・ハーガン・メルシュ博士が身をもって教えてくれた。博士の思考はまだ存在してるけれど、博士は死んだ。博士本人は死んだ。今残っているのは、博士の思考を引き継いだただの機械。バックアップさえ取っておけば、そしてそれを再現できるシステムさえあればどこからだって復帰できる。
だから、<あれ>はもう博士じゃない。皮肉だな。博士がそれを教えてくれるなんて。
そういう点からも、人間が感じる<空腹感>は、生命の危機を告げる警告なんだ。だから決して抗えない。それに抗えばその先に待ってるのは<死>だ。人間は死を回避する為に食べる。食べることを促す為に空腹感という警告が発せられる。それは強い焦燥感でもある気がする。
そしてまさしく今、私はそれを感じていた。
でも、近くに食事ができる施設はなかった。せめてコンビニがあればと思うけど、ようやく破壊しつくされた都市の痕跡を抜けたところだから、まだ当分ないと思う。
仕方ないので、これまでに立ち寄ったコンビニで回収した、エネルギーバーを食べる。賞味期限は過ぎてるけど、よっぽど保存状態が悪かったりしなければ事実上はほとんど変質しないので、問題なく食べられる。
もちろん食品衛生法上好ましくない行為なのは確かでも、ここにはもう法律はないし、それに非常事態だもんね。やむを得ないものとして、ロボットでも融通は聞いてくれる。災害等の際、他に食料を調達できる可能性がない非常時には生命の維持が優先されるってなってるんだよね。
私の場合はあくまで肉体だけの話だけど。
リリアテレサが引いてくれる荷台に横になりながらエネルギーバーをかじりつつ、星が瞬き始めた空を見上げる。
なんか、こうやっていろいろあってもやってても、星は変わることなく瞬いてるんだなと、感心してしまったのだった。
ロボットはバッテリーの電力がなくなったって死ぬことはない。メモリーの一部が失われることはあってもそれを気にすることもないし、殆どは内部ストレージにバックアップが取られてるからそこからいつでも復帰できる。だからか、危機感というものはほとんどないと思う。自身の役目が果たせなくなるのは好ましくないなって思うだけだ。
だけど人間はそうじゃない。人間は飢えてそれが限界を越えれば死ぬ。死ねば復帰はできない。絶対に。
それは、アリスマリア・ハーガン・メルシュ博士が身をもって教えてくれた。博士の思考はまだ存在してるけれど、博士は死んだ。博士本人は死んだ。今残っているのは、博士の思考を引き継いだただの機械。バックアップさえ取っておけば、そしてそれを再現できるシステムさえあればどこからだって復帰できる。
だから、<あれ>はもう博士じゃない。皮肉だな。博士がそれを教えてくれるなんて。
そういう点からも、人間が感じる<空腹感>は、生命の危機を告げる警告なんだ。だから決して抗えない。それに抗えばその先に待ってるのは<死>だ。人間は死を回避する為に食べる。食べることを促す為に空腹感という警告が発せられる。それは強い焦燥感でもある気がする。
そしてまさしく今、私はそれを感じていた。
でも、近くに食事ができる施設はなかった。せめてコンビニがあればと思うけど、ようやく破壊しつくされた都市の痕跡を抜けたところだから、まだ当分ないと思う。
仕方ないので、これまでに立ち寄ったコンビニで回収した、エネルギーバーを食べる。賞味期限は過ぎてるけど、よっぽど保存状態が悪かったりしなければ事実上はほとんど変質しないので、問題なく食べられる。
もちろん食品衛生法上好ましくない行為なのは確かでも、ここにはもう法律はないし、それに非常事態だもんね。やむを得ないものとして、ロボットでも融通は聞いてくれる。災害等の際、他に食料を調達できる可能性がない非常時には生命の維持が優先されるってなってるんだよね。
私の場合はあくまで肉体だけの話だけど。
リリアテレサが引いてくれる荷台に横になりながらエネルギーバーをかじりつつ、星が瞬き始めた空を見上げる。
なんか、こうやっていろいろあってもやってても、星は変わることなく瞬いてるんだなと、感心してしまったのだった。
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