50 / 115
リリア・ツヴァイの章
またしても
しおりを挟む
お風呂に入って服も着替えて、私はすっきりした状態で再出発できた。
私がお風呂に入ってる間に、リリアテレサショットガンと予備の弾丸をリアカーに積み込んでた。
前のバスの時もそうだったけど、メンテナンス用のトレーラーを繋いだ軍用車両に乗って行けば旅はものすごく楽になる。でも、それじゃ意味がないんだよね。こうして歩きながらこの惑星を見て回るから意味があるんだ。
もっとも、その<意味>そのものが私達の自己満足でしかないのも事実だけど。
それでも、自己満足自体が意味なのかもしれないけどさ。
とぼとぼと歩くと、私達の前にまた影が現れた。こうやって現れるのは確実にCLSに感染した動物だ。
「豚だな…」
「豚だね……」
道路の脇の草むらから出てきたそれは、完全に豚だった。人間が持ちこんだ家畜の豚が逃げたりして野生化した豚が結構いたらしい。そういうのももちろん、CLSに感染した。
感染した筈だった。だからリリアテレサもCLSに感染した豚だと思って拳銃を構えていた。でも、おかしい。様子がおかしい。動きが妙に機敏すぎる。
まさか…!?
そのまさかだった。その豚は、CLSを発症していなかったんだ。
…人間も、理論上では十万人に一人の割合で感染しても発症しない人間がいることが分かってる。実際、私も少なくとも三件のそういう事例を確認してる。不顕性感染者ってやつだ。だから、人間以外の動物にも起こり得ることだというのはあった。でも実際に人間以外で確認したのは初めてだった。
「マジか……」
思わずそう声が出てしまう。
しかし、アウトブレイクから既に二十年以上。よくCLS患者や患畜に襲われずに生き延びたものだな。まあ、野生だから天敵とかから逃げるのはお手の物か。CLSに感染した動物は動きが緩慢になるし。
その豚は、丸々と太って少なく見積もっても五十キロはありそうだった。私よりもずっと重い。しかも何故かこっちに近付いてくる。向こうももしかして私達がCLS患者とかじゃないってことに気付いてるのかな。
だけど、私達の方から近付こうとするとお尻を向けて歩きだす。ある一定の距離以上は近付いてこないってこと? それでいて私達が立ち止まると近付いて来ようとする。
「もしかして…私達をどこかに誘導しようとしてる感じ?」
素直な印象を口にした私に、リリアテレサも「そうかもしれないな…」と応えた。
「…誘いに乗ってみますか…?」
私の提案に彼女も、
「まあ、時間はあるからな。万が一のことがあっても武器もある…」
という訳で、私達はその豚について行くことにしたのだった。
私がお風呂に入ってる間に、リリアテレサショットガンと予備の弾丸をリアカーに積み込んでた。
前のバスの時もそうだったけど、メンテナンス用のトレーラーを繋いだ軍用車両に乗って行けば旅はものすごく楽になる。でも、それじゃ意味がないんだよね。こうして歩きながらこの惑星を見て回るから意味があるんだ。
もっとも、その<意味>そのものが私達の自己満足でしかないのも事実だけど。
それでも、自己満足自体が意味なのかもしれないけどさ。
とぼとぼと歩くと、私達の前にまた影が現れた。こうやって現れるのは確実にCLSに感染した動物だ。
「豚だな…」
「豚だね……」
道路の脇の草むらから出てきたそれは、完全に豚だった。人間が持ちこんだ家畜の豚が逃げたりして野生化した豚が結構いたらしい。そういうのももちろん、CLSに感染した。
感染した筈だった。だからリリアテレサもCLSに感染した豚だと思って拳銃を構えていた。でも、おかしい。様子がおかしい。動きが妙に機敏すぎる。
まさか…!?
そのまさかだった。その豚は、CLSを発症していなかったんだ。
…人間も、理論上では十万人に一人の割合で感染しても発症しない人間がいることが分かってる。実際、私も少なくとも三件のそういう事例を確認してる。不顕性感染者ってやつだ。だから、人間以外の動物にも起こり得ることだというのはあった。でも実際に人間以外で確認したのは初めてだった。
「マジか……」
思わずそう声が出てしまう。
しかし、アウトブレイクから既に二十年以上。よくCLS患者や患畜に襲われずに生き延びたものだな。まあ、野生だから天敵とかから逃げるのはお手の物か。CLSに感染した動物は動きが緩慢になるし。
その豚は、丸々と太って少なく見積もっても五十キロはありそうだった。私よりもずっと重い。しかも何故かこっちに近付いてくる。向こうももしかして私達がCLS患者とかじゃないってことに気付いてるのかな。
だけど、私達の方から近付こうとするとお尻を向けて歩きだす。ある一定の距離以上は近付いてこないってこと? それでいて私達が立ち止まると近付いて来ようとする。
「もしかして…私達をどこかに誘導しようとしてる感じ?」
素直な印象を口にした私に、リリアテレサも「そうかもしれないな…」と応えた。
「…誘いに乗ってみますか…?」
私の提案に彼女も、
「まあ、時間はあるからな。万が一のことがあっても武器もある…」
という訳で、私達はその豚について行くことにしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる