ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

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リリア・ツヴァイの章

またしても

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お風呂に入って服も着替えて、私はすっきりした状態で再出発できた。

私がお風呂に入ってる間に、リリアテレサショットガンと予備の弾丸をリアカーに積み込んでた。

前のバスの時もそうだったけど、メンテナンス用のトレーラーを繋いだ軍用車両に乗って行けば旅はものすごく楽になる。でも、それじゃ意味がないんだよね。こうして歩きながらこの惑星を見て回るから意味があるんだ。

もっとも、その<意味>そのものが私達の自己満足でしかないのも事実だけど。

それでも、自己満足自体が意味なのかもしれないけどさ。

とぼとぼと歩くと、私達の前にまた影が現れた。こうやって現れるのは確実にCLSに感染した動物だ。

「豚だな…」

「豚だね……」

道路の脇の草むらから出てきたそれは、完全に豚だった。人間が持ちこんだ家畜の豚が逃げたりして野生化した豚が結構いたらしい。そういうのももちろん、CLSに感染した。

感染した筈だった。だからリリアテレサもCLSに感染した豚だと思って拳銃を構えていた。でも、おかしい。様子がおかしい。動きが妙に機敏すぎる。

まさか…!?

そのまさかだった。その豚は、CLSを発症していなかったんだ。

…人間も、理論上では十万人に一人の割合で感染しても発症しない人間がいることが分かってる。実際、私も少なくとも三件のそういう事例を確認してる。不顕性感染者ってやつだ。だから、人間以外の動物にも起こり得ることだというのはあった。でも実際に人間以外で確認したのは初めてだった。

「マジか……」

思わずそう声が出てしまう。

しかし、アウトブレイクから既に二十年以上。よくCLS患者や患畜に襲われずに生き延びたものだな。まあ、野生だから天敵とかから逃げるのはお手の物か。CLSに感染した動物は動きが緩慢になるし。

その豚は、丸々と太って少なく見積もっても五十キロはありそうだった。私よりもずっと重い。しかも何故かこっちに近付いてくる。向こうももしかして私達がCLS患者とかじゃないってことに気付いてるのかな。

だけど、私達の方から近付こうとするとお尻を向けて歩きだす。ある一定の距離以上は近付いてこないってこと? それでいて私達が立ち止まると近付いて来ようとする。

「もしかして…私達をどこかに誘導しようとしてる感じ?」

素直な印象を口にした私に、リリアテレサも「そうかもしれないな…」と応えた。

「…誘いに乗ってみますか…?」

私の提案に彼女も、

「まあ、時間はあるからな。万が一のことがあっても武器もある…」

という訳で、私達はその豚について行くことにしたのだった。

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