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ふたりの章
二―ハイソックス
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現在、気温十度。人間にとっては結構な寒さだ。
「うい~、寒い…!」
とぼやくリリア・ツヴァイは、ボア付きのフードが付いた耐寒コートを纏って、丸太のような姿になっていた。
それに対して私は、設計上の実用限界温度は、上が百五十度。下がマイナス六十度だから、この程度だと完全に通常の対応で支障ない。人間のように<寒さで体が固まる>なんていうこともない。むしろ放熱にはちょうどいいくらいだと思う。
「リリアテレサのその恰好を見てるだけでも寒いよ。なんか着たら?」
確かに、今の私は、<半袖で裾の広がったメイド服>を着ているだけに見えるから、人間にとっては奇異にも映るんだろう。
そこで、フード付きの桜色のパーカーに、脚には同じく桜色の二―ハイソックスを着けてみた。
「お~、良かった。らしくなったよ。その方が可愛い」
『可愛い』と褒められて嬉しくなることは本来ないはずなのに、主人にそう褒められてはにかむような姿を見せたとしてもそれはあくまで『そのように反応してみせた方が人間は喜ぶから』そのようにしているだけであって、実際には『嬉しく』などないはずなのに、彼女にそう言われると不可思議な<気分>になる。
だからつい、コンビニのガラスに自分の姿を映してみたり。
桜色の二―ハイソックスに包まれた私の脚が、なんだか自分のじゃないような奇妙な感覚があった。
「リリアテレサはあどけない感じのデザインだから、やっぱりこういう『可愛い系』が似合うよね」
と彼女は言う。
そんな風に言われて私のメインフレームには、解析不能なストレスが掛かってた。たぶん、人間はそういうのを『気恥ずかしい』って言うんだろうなと思った。人間がそういう反応をしていればすぐそうだと私達メイトギアは察するのに、私は、自分がそう感じているということが理解できなかった。
『私は、ロボットでも人間でもないものになってしまった…』
改めてそんな風に思う。だけど、それを責める者はここにはいない。もし、博士の下に戻ったとしても、博士はそれこそ『面白い!』と言うだけだろう。むしろ、こんな風に、ロボットでも人間でもない<何か>にしたくて、私とリリア・ツヴァイをこうしたんだと思う。
博士の下を離れてからそうなるなんて、皮肉な話だな。
でも、博士の下に残った、私とリリア・ツヴァイと同様の処置を施された者達は、今、どうしているんだろう。私達と同じように、ロボットでも人間でもない<何か>になってしまったんだろうか。
それとも、博士の下を離れたことと、博士の下に残ったことで、別の形になったんだろうか。
こうやってあちこちを歩いているうちにいつかあの町に立ち寄ることになったら、その時に分かるのかもしれないな。
「うい~、寒い…!」
とぼやくリリア・ツヴァイは、ボア付きのフードが付いた耐寒コートを纏って、丸太のような姿になっていた。
それに対して私は、設計上の実用限界温度は、上が百五十度。下がマイナス六十度だから、この程度だと完全に通常の対応で支障ない。人間のように<寒さで体が固まる>なんていうこともない。むしろ放熱にはちょうどいいくらいだと思う。
「リリアテレサのその恰好を見てるだけでも寒いよ。なんか着たら?」
確かに、今の私は、<半袖で裾の広がったメイド服>を着ているだけに見えるから、人間にとっては奇異にも映るんだろう。
そこで、フード付きの桜色のパーカーに、脚には同じく桜色の二―ハイソックスを着けてみた。
「お~、良かった。らしくなったよ。その方が可愛い」
『可愛い』と褒められて嬉しくなることは本来ないはずなのに、主人にそう褒められてはにかむような姿を見せたとしてもそれはあくまで『そのように反応してみせた方が人間は喜ぶから』そのようにしているだけであって、実際には『嬉しく』などないはずなのに、彼女にそう言われると不可思議な<気分>になる。
だからつい、コンビニのガラスに自分の姿を映してみたり。
桜色の二―ハイソックスに包まれた私の脚が、なんだか自分のじゃないような奇妙な感覚があった。
「リリアテレサはあどけない感じのデザインだから、やっぱりこういう『可愛い系』が似合うよね」
と彼女は言う。
そんな風に言われて私のメインフレームには、解析不能なストレスが掛かってた。たぶん、人間はそういうのを『気恥ずかしい』って言うんだろうなと思った。人間がそういう反応をしていればすぐそうだと私達メイトギアは察するのに、私は、自分がそう感じているということが理解できなかった。
『私は、ロボットでも人間でもないものになってしまった…』
改めてそんな風に思う。だけど、それを責める者はここにはいない。もし、博士の下に戻ったとしても、博士はそれこそ『面白い!』と言うだけだろう。むしろ、こんな風に、ロボットでも人間でもない<何か>にしたくて、私とリリア・ツヴァイをこうしたんだと思う。
博士の下を離れてからそうなるなんて、皮肉な話だな。
でも、博士の下に残った、私とリリア・ツヴァイと同様の処置を施された者達は、今、どうしているんだろう。私達と同じように、ロボットでも人間でもない<何か>になってしまったんだろうか。
それとも、博士の下を離れたことと、博士の下に残ったことで、別の形になったんだろうか。
こうやってあちこちを歩いているうちにいつかあの町に立ち寄ることになったら、その時に分かるのかもしれないな。
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