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ふたりの章
カスタマイズ
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『可愛い系が似合う』
リリア・ツヴァイにそう言われてしまった私だけど、元々、製造された時のコンセプトとしては、<ツン>だったそうだ。加えて、正式名称のリリアJS605sの<s>には、<サディスティック>という、開発者の<遊び心>が込められていたとも言われてる。
だから、初期状態の私は、元々がややきつい物言いをする、<ツンとした女の子>だったらしい。
博士はそういうところが気に入って私を買ったそうだった、その上で独自のカスタマイズを加え、普通のメイトギアにはできない『主人を蔑み罵る』ということまでできるようにしてしまった。
もちろん、本気で蔑んでいる訳でも罵っている訳でもない。あくまで<そういう体>っていうだけだ。それでも、普通のロボットは決してそんなことはしない。そんなことをすればかなりの割合で人間は傷付くから。だけど博士はそうじゃなかった。他人に何を言われてもまるで堪えない。だから蔑み罵る(ふり)ができた。
その時点で既に私は<普通>ではなかったけれど、でもまだロボットの範疇には収まってたと思う。それが今や見る影もないって感じかな。
「…雪…?」
さらに北に向かって歩き、日が暮れて一気に気温が下がってきたかと思うと、白いものが風に乗ってちらつき始めた。離れたところで降ってる雪が風に乗って運ばれてくる<風花>ってやつだ。
「降ってくる雪を見るのは初めてだ」
リリア・ツヴァイが感嘆の声を上げる。確かに彼女は、すでに積もってる雪を遠くから見たことはあっても、雪が降るのを見るのは初めてだったな。
「寒いね。人間はこんなところでも住むんだ」
アミダ・リアクターのおかげで人はいなくても電気だけは供給され続けることで、明かりだけは灯ってる人家が遠くに見えて彼女は呟くように言った。確かに人間はもっと寒いところにだって住む。エネルギー効率とかも考えれば適した気候の場所に住めばいいのにと私はつい思ってしまうけど、それを言ったら私達だってこんな当てのない意味のない旅を続けてるくらいなんだし、人間のことは言えないか。
「今夜はあの集落で休もう」
私はそう応えて、かろうじて空に赤みが残ってる中をリリア・ツヴァイと共に歩く。
辿り着いた集落はやっぱり無人で、簡便なAIに制御された<家>だけが、決して帰ってくることのない主人を待ち続けてた。
そこに勝手に入り込めば当然、<通報>される。だけどその通報によって駆けつける警察もいない。それに、CLSのアウトブレイクの際に発令された非常警報は解除されていない。だから、
『非常時の緊急避難として一時退避を要請します』
と申し入れれば、滞在中のすべての言動は記録される代わりに通報もされなかったりもするんだ。
リリア・ツヴァイにそう言われてしまった私だけど、元々、製造された時のコンセプトとしては、<ツン>だったそうだ。加えて、正式名称のリリアJS605sの<s>には、<サディスティック>という、開発者の<遊び心>が込められていたとも言われてる。
だから、初期状態の私は、元々がややきつい物言いをする、<ツンとした女の子>だったらしい。
博士はそういうところが気に入って私を買ったそうだった、その上で独自のカスタマイズを加え、普通のメイトギアにはできない『主人を蔑み罵る』ということまでできるようにしてしまった。
もちろん、本気で蔑んでいる訳でも罵っている訳でもない。あくまで<そういう体>っていうだけだ。それでも、普通のロボットは決してそんなことはしない。そんなことをすればかなりの割合で人間は傷付くから。だけど博士はそうじゃなかった。他人に何を言われてもまるで堪えない。だから蔑み罵る(ふり)ができた。
その時点で既に私は<普通>ではなかったけれど、でもまだロボットの範疇には収まってたと思う。それが今や見る影もないって感じかな。
「…雪…?」
さらに北に向かって歩き、日が暮れて一気に気温が下がってきたかと思うと、白いものが風に乗ってちらつき始めた。離れたところで降ってる雪が風に乗って運ばれてくる<風花>ってやつだ。
「降ってくる雪を見るのは初めてだ」
リリア・ツヴァイが感嘆の声を上げる。確かに彼女は、すでに積もってる雪を遠くから見たことはあっても、雪が降るのを見るのは初めてだったな。
「寒いね。人間はこんなところでも住むんだ」
アミダ・リアクターのおかげで人はいなくても電気だけは供給され続けることで、明かりだけは灯ってる人家が遠くに見えて彼女は呟くように言った。確かに人間はもっと寒いところにだって住む。エネルギー効率とかも考えれば適した気候の場所に住めばいいのにと私はつい思ってしまうけど、それを言ったら私達だってこんな当てのない意味のない旅を続けてるくらいなんだし、人間のことは言えないか。
「今夜はあの集落で休もう」
私はそう応えて、かろうじて空に赤みが残ってる中をリリア・ツヴァイと共に歩く。
辿り着いた集落はやっぱり無人で、簡便なAIに制御された<家>だけが、決して帰ってくることのない主人を待ち続けてた。
そこに勝手に入り込めば当然、<通報>される。だけどその通報によって駆けつける警察もいない。それに、CLSのアウトブレイクの際に発令された非常警報は解除されていない。だから、
『非常時の緊急避難として一時退避を要請します』
と申し入れれば、滞在中のすべての言動は記録される代わりに通報もされなかったりもするんだ。
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