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新世界の章
一致
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「気付いた時には手遅れでね。自己崩壊を始めていた。手の施しようもなかった。私としてもせっかくの被検体をこのような形で失うのは本意ではなかったが」
普通の人が聞けば薄情にも思えてしまうような博士のそんな言い方も、私にとってはいつものことだし別に腹が立ったりはしなかった。ただただ、リリア・ツヴァイの身に起こったことが悲しかっただけだった。
「そんな…こんな形でなんて……」
旅に出たばかりの頃は彼女のことを足手まといにも感じ、<処分>しようと思ったことさえあったのに、今はそんなことが嘘のように辛かった。
そう、辛いんだ。ロボットなのに。機械の体なのに。リリア・ツヴァイの肉体の反応が私の中に残っているから、こういう時はそうなるっていうのが分かってしまうから。実感できてしまうから。痛むはずのない胸が痛む気がするんだ。
「リリア・ツヴァイ……」
私は、力尽きるようにその場に膝をついてた。そして―――――
私の頬を何かが伝うのに気付いて手で拭うと、濡れていた。それは私の目から溢れているものだった。
『涙……?』
呆気に取られている私に、博士は言った。
「フルメンテナンスのついでに、機能を追加してみた。<リヴィアターネ人>であれば、涙の一つも流せてもおかしくはないだろう? メイトギア人間の本体であるメイトギア達にはすべて施してある処置だよ」
自分が涙を流してることに気付いて、私は一層、胸が締め付けられるような気がした。だから、
「うあああああ~っっ!」
って、生身の人間のように声を上げて泣いてしまってた。本当に、私の半分が失われたかのようなたまらない喪失感があった。
『人間は…人間は、こんなに辛い感情を抱えて生きているの……? こんなに苦しいのに、それでも生きているの……? 私には無理。こんなの耐えられない……
どうして……どうしてこんなことに……!』
いつ終わってもいい筈だった。
どこで最期を迎えても何とも思わない筈だった。
なのに今の私は、涙を流して、声を上げて、妹を亡くした人間の子供のように泣いている。全然、『どこで最期を迎えてもいい』なんて思えていない。
本当に私は変わってしまったんだ……
でも、その時―――――
「泣きすぎだよ、リリアテレサ」
私の耳に届いてきたその声。声の質は違う。明らかに別人のそれだと分かるのに、その<言い方>が、イントネーションが、間違いなく一致する。
「リリア・ツヴァイ…っ!?」
思わず顔を上げて振り返った私の視線の先にいたのは、見知らぬ女性だった。若いけれど、間違いなく成人した女性が、困ったように微笑みながら、私を見ていたのだった。
普通の人が聞けば薄情にも思えてしまうような博士のそんな言い方も、私にとってはいつものことだし別に腹が立ったりはしなかった。ただただ、リリア・ツヴァイの身に起こったことが悲しかっただけだった。
「そんな…こんな形でなんて……」
旅に出たばかりの頃は彼女のことを足手まといにも感じ、<処分>しようと思ったことさえあったのに、今はそんなことが嘘のように辛かった。
そう、辛いんだ。ロボットなのに。機械の体なのに。リリア・ツヴァイの肉体の反応が私の中に残っているから、こういう時はそうなるっていうのが分かってしまうから。実感できてしまうから。痛むはずのない胸が痛む気がするんだ。
「リリア・ツヴァイ……」
私は、力尽きるようにその場に膝をついてた。そして―――――
私の頬を何かが伝うのに気付いて手で拭うと、濡れていた。それは私の目から溢れているものだった。
『涙……?』
呆気に取られている私に、博士は言った。
「フルメンテナンスのついでに、機能を追加してみた。<リヴィアターネ人>であれば、涙の一つも流せてもおかしくはないだろう? メイトギア人間の本体であるメイトギア達にはすべて施してある処置だよ」
自分が涙を流してることに気付いて、私は一層、胸が締め付けられるような気がした。だから、
「うあああああ~っっ!」
って、生身の人間のように声を上げて泣いてしまってた。本当に、私の半分が失われたかのようなたまらない喪失感があった。
『人間は…人間は、こんなに辛い感情を抱えて生きているの……? こんなに苦しいのに、それでも生きているの……? 私には無理。こんなの耐えられない……
どうして……どうしてこんなことに……!』
いつ終わってもいい筈だった。
どこで最期を迎えても何とも思わない筈だった。
なのに今の私は、涙を流して、声を上げて、妹を亡くした人間の子供のように泣いている。全然、『どこで最期を迎えてもいい』なんて思えていない。
本当に私は変わってしまったんだ……
でも、その時―――――
「泣きすぎだよ、リリアテレサ」
私の耳に届いてきたその声。声の質は違う。明らかに別人のそれだと分かるのに、その<言い方>が、イントネーションが、間違いなく一致する。
「リリア・ツヴァイ…っ!?」
思わず顔を上げて振り返った私の視線の先にいたのは、見知らぬ女性だった。若いけれど、間違いなく成人した女性が、困ったように微笑みながら、私を見ていたのだった。
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