最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
38 / 625
1章

37話 計画3 例のあれ

しおりを挟む
 ロックラックとの死闘を済ませ、休憩でHPを回復、ついでにウサ銃のカスタマイズをし直しておく。それにしてもまさかここで銃剣の弱点が露呈するとは思っていなかった。
 確かに今まで生物を相手にしていたから突き刺さったり、斬れたり出来ていたから問題なかった。今回の件に関しては完全に魔法生物って言うか硬い物体。硬い所に思い切り殴りつけたり、硬い物同士でぶつけ合ったら弾かれたり痺れたりするからそりゃそうよ。

「さーてと、蝙蝠の群生地は……ここだな」

 松明を掲げマップのマーカーの付いた所にたどり着く。狙い通り蝙蝠が天井にびっちりと逆さになってぶら下っている。こういうのダメな人には思い切りダメな映像だよなあ……私はどっちかっていうと蝙蝠は可愛いと思う。とは言えゲーム上のモンスターなので攻撃してくるのなら無慈悲に叩き斬ってやる所存だが。

 群生地の所は、もう洞窟って言ったら鍾乳洞、そんなテンプレートみたいなところだ。奥までは明かりが届かないので全貌が分からないのだが、奥は結構続いている。それでも今の所は奥の方に行く必要も無いし、狙いは蝙蝠の周りだから、今度でいいかな。

「さーて、狙いの物はあるかな?」

 足元や壁回りに何もいないというのを確認してから壁面をじっくりと確認していく。採掘や採取ポイントが出てくれれば可能性は高いのだがあまり実りはない。

「そういえば採掘とかってマーカーありきだったけど、掘ったら何か出てくるとかあるんかな」

 消えない様に松明を置いて、採掘つるはしで怪しそうなところをがんがんと掘ってみる。しばらく洞窟内に土を掘り返す音をさせるが特に変わったことは無し。なんなら穴掘っただけで終わる。

「うーん……糞尿がしみこんでて生成されてたとか期待したんだけど、ダメか……上から水滴とか垂れてるポイントないかな……」

 松明を掲げて地面を這う様にしながらじろじろと見ていく。これだけみたら絶対にやばい奴だわ。
 ロールプレイにしてもこんなドラゴニアンいたら怖いって。

「んー……湿ってるポイントはある……ちょっと待ってみる?」

 どういう状況で湿っているのか分からないが天井の方に松明を向ければ蝙蝠がびっしり。うん、これが硝酸か蝙蝠の糞尿なのかは分からんな。
 でもまあ、リアルではないとはいえ当たったらちょっと精神的ダメージやばそうだ。とりあえず見つけたポイントの近くに座ってしばらく待ってみる。

「……特に何にもないね……もうちょっと奥とか行ってみるか……」

 何か垂れるわけでもなく、単純に湿気ていただけだったらしい。もうちょっとじっとりと濡れているかどうか確認しとけばよかった。
 とりあえず群生地の奥の方へと歩みを進めつつ辺りを見回す。場所的には楕円型の広がりをしている。
 
 そういえばダンジョンのマップに関してはマップのデータを貰うか踏破しないと開示されないらしい。流石にこの部分に関しては攻略済みだとしても情報の解禁はされない。今回に関しては砂丘の舎弟からもらったデータにマップがあったので、あの情報クランで手に入れていたマップデータという事になる。
 
「うーん……先に進むたびにちょっとずつ萎えていく」

 さらに合わせてMREの追撃でテンションはダダ下がりだ。しかめっ面というかもう既に虚無顔で処理して食べ終わり、探索再開。何か良い物でもないかと思いながら先に進んで行くと、ちょっとだけテンションの上がる出来事が起きる。

「コボルト、ね……」

 この間出会ったシェパード獣人の様な犬顔人型モンスターだ。ぼろぼろの片手剣と小さい盾を装備しており、しっかりマーカーは赤く、敵というのがひしひしと伝わってくる。このダンジョンでの上から二つ目に強い相手だが、初見の相手はロックラックのような事態になると事故率が高い。特に私の場合は戦い方が受け反撃が基本だし、人型相手というのは分が悪い気がする。
 
「銃格闘取ってみるか、取っておけばガンカタとか出来そうだし」

 ガンカタと言えばあのカルト的人気のある映画の低予算を逆手に取った映像演出で、色んなゲームやらアニメにも出ている単純にカッコいい撃ち方だが、今更詳しく説明する程でもないくらいに有名な技だよね。銃撃+体術=ガンカタではあるが、あれはあくまで合わせ技だ。大量に銃弾使うだろうし浪漫が過ぎる。
 
「まあいいや、取ってみるか」



スキル名:銃格闘 レベル:1
詳細:【パッシブ】銃剣派生
近接戦闘用技術 カテゴリー「銃」を装備した状態での近接戦闘に補正
Notガンカタ



「ああ、これCQCとかそっち系か、銃剣派生だからスムーズに殴れたりコンビネーションできるようになるって事か?」

 残念ながらガンカタは別だった。じゃあ何かといわれると、ガチの格闘術になるわけだ。ここ最近のでわかりやすいものと言うと犬を殺された暗殺者が暴れまわる映画とかああいうのを見ると分かりやすい。
 今回に関しては銃剣を使った戦い方になるのでああいうのは出来ないが、どっちにしろ近接戦闘がしやすくなったと思っておけば大丈夫だろう。

「いつも通り此処は不意打ちとして……松明を置いて、構えて……」

 コボルトはロックラックと違い視覚、聴覚を使っての探知方法だ。何て言ったって物陰からひっそりと移動してるのにこっちを向いたり、松明の明かりを認識しているのかちらちらと様子を伺いに来てるからだ。
 わざと音を立て、コボルトと松明側へと誘導させ、近づいてきた所を角待ち。まずは銃剣での突き攻撃。斬撃音をさせ、犬らしい叫び声をあげたのを見てすぐに引いて構えなおす。
 銃格闘やっぱり取っておいてよかったかもしれない、こういう動作自体も以前よりスムーズに構え直しが出来るようになった気がする。
 こう見るとなかなかの犬だな、ガフガフと言いながら此方に斬りかかってくるのをいつも通りウサ銃での受け防御。から斬撃を横に流してそのまま肘打ち。肘を戻す動作と合わせて銃剣で斬撃し、後ろへと下がる。

「流石に生身の部分はダメージ低い方だけど、ヒットストップシステムで一瞬怯ませられるのいいじゃない?」

 人型相手というのもあるのだろうけど、銃剣だけの時よりも自分の動きに補正が掛かる。それに加えて近接格闘術というだけあって受け防御も効果が良くなっている……気がする。
 肘打ち斬撃のコンボを食らって怯んでいたコボルトだが、低い唸り声を発しながらぶんぶんと剣を振り回す。こういうのに限ってはちょっと対処が分からない、あとでこの手の動画を見て勉強しておこう。
 とりあえずという様に今まで通りウサ銃で受け続け、相手の攻撃が途切れるのを必死に耐える。こいつの攻撃結構痛い、ダメージは受け防御で低く抑えているが連続攻撃でダメージが蓄積している。具体的に言うと13HP削られた。

「んんっ、なめん、なっ!」

 連続攻撃の終わりに受け防御、そこから一度跳ねのける程ではない強さでウサ銃で押し込んでそれを引く際に袈裟斬り気味に戻して一撃。微調整とか繋がる攻撃できるようになってるだけで強くない?
 相手が怯んでいる時にHPポーションを飲み、空容器をぶつけてみる。ダメージは無いけど一瞬だけ怯んだっぽい。
 そうしてしばらく相手をしたが、斬りつける単純な攻撃だけしかしてこないので、いつもの受け反撃で対処しやすい相手だった。唯一厳しいのは連続系攻撃でのダメージ蓄積だろう、防御力が高いなら問題ないんだろうけど。
 とりあえずポリゴン状に消えていくのを見て一息、一戦ずつの疲労感が半端ないわ。


「それにしても、収穫無しかあ……もうちょっと奥に行って何かないか見てみるか」

 そうしてさらにダンジョンの奥に、道中出てくる蛇で銃格闘のコンボが入りずらいという欠点を見つけた。やっぱり人型とかそれなりに大きい相手に効果が強いみたいだ。後は拳銃とか手に入れればまた別の話になると思う。


 そうやってしばらく教えてもらった群生地のさらに奥に、基本はいまだに変わらず、天井にはびっちりと蝙蝠、そして足元にロックラック。

「ううん、此処でガチるの結構辛そうだけど……しょうがない、やってやるか」

 とりあえず松明を置いて、相手の探知範囲に入らないように気を付けてからさっきと同じように一撃加えるが、銃底での殴りを中心にしての攻撃になる。突進攻撃さえなければ横回転でのベイなブレード状態だが、移動距離と速度はないので銃格闘を使っての一定距離を保ちつつの打撃中心の不毛な殴り合いを続けるだけだ。
 とは言え死ぬほど時間はかかるし精神的に疲れるし、なおかつ2,3回食らったらHP結構削られるのが厄介だ、まあ結局のところHPポーション2本追加で使った。これそろそろ帰らないと限界だわ。
 そんな事を思いつつ、いつものポリゴン状になって消失しているのを見て一息。そしてログを確認した時に、不意打ちを貰った。

「あぁー……これ、もっと楽に倒す方法確立させなきゃならんなあ……」

 インベントリの新規入手のマークがついたアイテム。
 欲して止まない例のアレがドロップしていた。



名称:硝石
詳細:化学組成KNO3 主な用途は肥料や発火材 
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

処理中です...