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2章
58話 注文は具体的に
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「ビー!ビー!」と鳴る携帯のアラームをもそもそと操作してスヌーズを切る
布団の中から時間を確認、リアル9時、普通に寝過ごした。
「予備時間考えておいて良かった……」
眠たい目を擦りながら布団から這い出て、シャワーを浴びる。
イベント自体は今日の18時だから、残り9時間。これから飯や掃除やら家事やらやって2時間は掛かるしとして残7時間、予備として1時間取って残6時間。
「大体予想通りじゃねぇかなぁ」
風呂から上がってご飯を用意、此処もいつもの冷凍ご飯を解凍し、焼き鳥缶詰を開けて用意する。食生活がワンパターンになってきた、ちょっと変化も付けたいからインスタント味噌汁と冷凍野菜のサラダを投入。
もっしゃもっしゃと食べながらこの先の事を考える……と思っていたら仕事の電話がかかってきた。
どうやら私にしか分からない案件があったので、電話とメールで対応をする。ちゃんとメモとか全部残しておいただろうがよ!
「飯時の電話ほんと嫌い」
いくら急用だとしても電話出るの本当に嫌だわ。飯時は飯時でそれに集中したいってのに。
で、結局のところメールやりとりやら後片付けやらを済ませたら更に時間を食らった。まったく、休みの日の仕事の電話はテンション下がりまくるわ。
『To The World Roadへようこそ』
最後にログインした鍛冶ギルドに光の輪を出しつつログイン完了。結局やる事と対応をしてたらリアル11時、ゲーム内時間で1/13の8時。イベント的にはあと7時間あるが、実の所やる事は殆どない。
本当はもっと時間をかける予定であった裁縫があっさり用意できたという点が一番大きい、ここはもっと採取や裁縫、GLvのレベリングをしてレシピ解放までを考えていたのだが、あのゴリマッチョのおかげでもある……が、あんなにがんがん来られると普通にたじろぐ。
「まあ、後で裁縫ギルド見てくるか、イベント受注で忙しいとか言ってるから他の所はいかないだろうし」
何でか知らないが、そこの信頼性はある。裁縫ガチ勢って本気度が違いすぎる。
そういえば一回ログアウトしたけど今回は特に計画を立てる事はしなかったな、方向性はイベント参加の準備であって、今までみたいに銃を作る、火薬を作るというのはもう終わっている話だ。
「細工でアクセサリーとか作ってみるかな、ガンベルトとか結構使えそうだし」
って思ったけど皮がないな、散々序盤の金策でうっぱらったツケが回ってきたと言う事だろうか。って言うかそもそも最初はこんな風になるとは思っていなかったわけだから、こうなっているんだが。
「めんどくせえし、買うか」
売値100Z(ゼニー)だし、買値200Z(ゼニー)くらいだろう。5枚程度買えれば試作して完成させるくらいは多分出来ると思う。まさか鞣しからやらされるわけはない……と思いたいが、作りこみからしたらそこからという可能性はある。
とりあえず、裁縫ギルドに行って細工の材料をチェックしよう。どうせ防具を取りに行くんだから、今から行って作業集中するだけなんだし、いいだろう。
裁縫ギルドはもう、趣味丸出しの自由製作所みたいな感じだ。生産施設の方から機織りの音だったり、奇声を発しながら製作してたり、わいわいきゃっきゃとしている声が聞こえる。賑わいのあるところって凄いな、本当に。
そんな作業場を横目にしながら、ギルドショップで材料を確認。動物の皮が1枚200Z(ゼニー)だったので5枚購入、やっぱりそこまで高額な物では無かった。ちなみに受付に話したら革細工の初級レシピも貰えた。
レシピ名:細工入門
詳細:まずは此処から、小物中心
どこまで作れるかが分からないが、皮、金属、木あたりのアクセサリーや小物は作れると思う。クラフトツールもあるし、レシピを見る限りでは小物入れ的な物だったり、ピアスやら指輪やらもある。
エンチャント的な物もあるんだろうか?細工メインのプレイヤーとか話はβでも見聞きした事は無かったが。
「まあ、ちょっと作ってみるか……ベルトとポーチみたいなものが出来ればそこに紙銃弾仕舞えるし」
そうして裁縫ギルドの生産施設に入り込むと、ゴリマッチョはまだいないのだが、他のプレイヤーに話しかけられる。とは言え、大体の理由が「私の作った服を着てみて!」と言う物ばかりなのだが。大体もうちょっと可愛い美形の相手に着て貰え言っているのだが、何でそこまでしてきて欲しいのやら……。
「私にうま味が無いのに着るわけないでしょ……ゴリマッチョのは防具の為なんだし……」
やるのは構わないのだが、せめて何かしらの報酬が欲しい。こっちも時間と手間を掛けるわけだし、それくらいの「うまみ」が無いとやってられん、
「この間来た時から、あなた、有名なのよ?モデル体型だし、ドラゴニアンの女の子は少ないし」
「せめて何かしらの見返りを寄越しなさい、何でもかんでもタダでやるほど安くないわよ」
そういうとすぐさま引っ込んで裁縫仲間と話し出す、内容はどういう物を渡せばいいんだろ、と。これも全部あのゴリマッチョのせいだろ。ログインしてきたら文句の一つや二つ言ってやらんと。そんな事のやり取りをしていたら、後ろから声を掛けられる。やっぱりインパクト大きすぎる容姿だな、ゴリマッチョ。
「あらぁ、もうきたの?連絡先聞いてなかったからどうしようかと思ってたのよぉ?」
「あんたのせいでマネキン扱いされるようになったじゃないの」
「だって本当に良い体してるしぃ、せっかく作った衣装が映えるのよ」
「もうそういう仲間でクラン作って、デパートみたいな事すればいいじゃないの……」
ゴリマッチョに電流走る。その手があったのか、と言った顔で小指を噛んでいる。
「確かにプレイヤーズショップは手ねぇ……生産施設は此処で十分だけどぉ」
「そう言う訳だから、マネキン料と相談料の防具をさっさと寄越しなさい」
両手で掛かってこい、と言ったポーズで寄越しな、と催促する。やってる事は完全に悪党か不良の動きだ。とりあえずゴリマッチョは「んもう」と言いながらトレード画面を出してくる。約束の物はしっかり作ってくれていたのだろう、自信ありげな顔をしている。
別に拒否する必要も無いのでさっさと「Yes」を押して承認。トレードが成立してからインベントリに追加された防具を確認する。
名称:キャットスーツ 防具種:衣服
必要ステータス: AGI5
防御力:+10
効果:衝撃耐性(小)斬撃耐性(小)
詳細:皮素材を使用したキャットスーツ
:体型が出るが動きの阻害が少ない、尻尾も出る様にしている
製作者:匿名
防御、必要ステータス、効果含めて優秀ではあるが、まさかキャットスーツとは思わなかった。いや、まあ悪くないのはわかる。どこぞのスパイなのか盗賊なのか謎な人も愛用しているくらいだし。……だとしてもちょっとこれは目立つんじゃないのか?
「これ、あんたの趣味でしょ!」
「やーねぇ、軽装かつ防御と効果を合わせた良い装備じゃないのぉ、それに2、3着ドレス着てこれならお釣りもくるのよぉ?」
確かにタダで作って貰った上に、ローブなんかよりも全然良い物だ。皮ベースだからか斬撃と衝撃にも少なからず耐性効果もあるし、私も嫌いじゃ無い部類の衣装なのは確かだ。しかし、だとしても、という問題があり。
「目立つじゃないの、こんなの着てたら」
「もぉー、文句ばっかりいってぇ、どんなものかまでは言ってないでしょ?」
「せめて上に着れるコートとか寄越しなさいよ……」
アイテム画面を見てみればもう、そりゃあ、黒いキャットスーツよ。うん、これは戦うときだけ着よう。流石にこれで街中歩くほどの根性はないぞ。
「拡張性もあるしぃ、アクセサリーも付けやすいのよぉ?タダでもらえるには破格でしょぉ?」
「あー、もうわかった、私の負けだよ……指定しなかった私の負け」
ため息を吐き出しつつ、納得する。まだ性能の良い物はあるだろうけど、さっきも言った通りタダでもらえるには破格なんだし、いいだろう。単純計算でローブの5倍は強い。
上着とアクセはやっぱり自作しよう。
残り5時間。
布団の中から時間を確認、リアル9時、普通に寝過ごした。
「予備時間考えておいて良かった……」
眠たい目を擦りながら布団から這い出て、シャワーを浴びる。
イベント自体は今日の18時だから、残り9時間。これから飯や掃除やら家事やらやって2時間は掛かるしとして残7時間、予備として1時間取って残6時間。
「大体予想通りじゃねぇかなぁ」
風呂から上がってご飯を用意、此処もいつもの冷凍ご飯を解凍し、焼き鳥缶詰を開けて用意する。食生活がワンパターンになってきた、ちょっと変化も付けたいからインスタント味噌汁と冷凍野菜のサラダを投入。
もっしゃもっしゃと食べながらこの先の事を考える……と思っていたら仕事の電話がかかってきた。
どうやら私にしか分からない案件があったので、電話とメールで対応をする。ちゃんとメモとか全部残しておいただろうがよ!
「飯時の電話ほんと嫌い」
いくら急用だとしても電話出るの本当に嫌だわ。飯時は飯時でそれに集中したいってのに。
で、結局のところメールやりとりやら後片付けやらを済ませたら更に時間を食らった。まったく、休みの日の仕事の電話はテンション下がりまくるわ。
『To The World Roadへようこそ』
最後にログインした鍛冶ギルドに光の輪を出しつつログイン完了。結局やる事と対応をしてたらリアル11時、ゲーム内時間で1/13の8時。イベント的にはあと7時間あるが、実の所やる事は殆どない。
本当はもっと時間をかける予定であった裁縫があっさり用意できたという点が一番大きい、ここはもっと採取や裁縫、GLvのレベリングをしてレシピ解放までを考えていたのだが、あのゴリマッチョのおかげでもある……が、あんなにがんがん来られると普通にたじろぐ。
「まあ、後で裁縫ギルド見てくるか、イベント受注で忙しいとか言ってるから他の所はいかないだろうし」
何でか知らないが、そこの信頼性はある。裁縫ガチ勢って本気度が違いすぎる。
そういえば一回ログアウトしたけど今回は特に計画を立てる事はしなかったな、方向性はイベント参加の準備であって、今までみたいに銃を作る、火薬を作るというのはもう終わっている話だ。
「細工でアクセサリーとか作ってみるかな、ガンベルトとか結構使えそうだし」
って思ったけど皮がないな、散々序盤の金策でうっぱらったツケが回ってきたと言う事だろうか。って言うかそもそも最初はこんな風になるとは思っていなかったわけだから、こうなっているんだが。
「めんどくせえし、買うか」
売値100Z(ゼニー)だし、買値200Z(ゼニー)くらいだろう。5枚程度買えれば試作して完成させるくらいは多分出来ると思う。まさか鞣しからやらされるわけはない……と思いたいが、作りこみからしたらそこからという可能性はある。
とりあえず、裁縫ギルドに行って細工の材料をチェックしよう。どうせ防具を取りに行くんだから、今から行って作業集中するだけなんだし、いいだろう。
裁縫ギルドはもう、趣味丸出しの自由製作所みたいな感じだ。生産施設の方から機織りの音だったり、奇声を発しながら製作してたり、わいわいきゃっきゃとしている声が聞こえる。賑わいのあるところって凄いな、本当に。
そんな作業場を横目にしながら、ギルドショップで材料を確認。動物の皮が1枚200Z(ゼニー)だったので5枚購入、やっぱりそこまで高額な物では無かった。ちなみに受付に話したら革細工の初級レシピも貰えた。
レシピ名:細工入門
詳細:まずは此処から、小物中心
どこまで作れるかが分からないが、皮、金属、木あたりのアクセサリーや小物は作れると思う。クラフトツールもあるし、レシピを見る限りでは小物入れ的な物だったり、ピアスやら指輪やらもある。
エンチャント的な物もあるんだろうか?細工メインのプレイヤーとか話はβでも見聞きした事は無かったが。
「まあ、ちょっと作ってみるか……ベルトとポーチみたいなものが出来ればそこに紙銃弾仕舞えるし」
そうして裁縫ギルドの生産施設に入り込むと、ゴリマッチョはまだいないのだが、他のプレイヤーに話しかけられる。とは言え、大体の理由が「私の作った服を着てみて!」と言う物ばかりなのだが。大体もうちょっと可愛い美形の相手に着て貰え言っているのだが、何でそこまでしてきて欲しいのやら……。
「私にうま味が無いのに着るわけないでしょ……ゴリマッチョのは防具の為なんだし……」
やるのは構わないのだが、せめて何かしらの報酬が欲しい。こっちも時間と手間を掛けるわけだし、それくらいの「うまみ」が無いとやってられん、
「この間来た時から、あなた、有名なのよ?モデル体型だし、ドラゴニアンの女の子は少ないし」
「せめて何かしらの見返りを寄越しなさい、何でもかんでもタダでやるほど安くないわよ」
そういうとすぐさま引っ込んで裁縫仲間と話し出す、内容はどういう物を渡せばいいんだろ、と。これも全部あのゴリマッチョのせいだろ。ログインしてきたら文句の一つや二つ言ってやらんと。そんな事のやり取りをしていたら、後ろから声を掛けられる。やっぱりインパクト大きすぎる容姿だな、ゴリマッチョ。
「あらぁ、もうきたの?連絡先聞いてなかったからどうしようかと思ってたのよぉ?」
「あんたのせいでマネキン扱いされるようになったじゃないの」
「だって本当に良い体してるしぃ、せっかく作った衣装が映えるのよ」
「もうそういう仲間でクラン作って、デパートみたいな事すればいいじゃないの……」
ゴリマッチョに電流走る。その手があったのか、と言った顔で小指を噛んでいる。
「確かにプレイヤーズショップは手ねぇ……生産施設は此処で十分だけどぉ」
「そう言う訳だから、マネキン料と相談料の防具をさっさと寄越しなさい」
両手で掛かってこい、と言ったポーズで寄越しな、と催促する。やってる事は完全に悪党か不良の動きだ。とりあえずゴリマッチョは「んもう」と言いながらトレード画面を出してくる。約束の物はしっかり作ってくれていたのだろう、自信ありげな顔をしている。
別に拒否する必要も無いのでさっさと「Yes」を押して承認。トレードが成立してからインベントリに追加された防具を確認する。
名称:キャットスーツ 防具種:衣服
必要ステータス: AGI5
防御力:+10
効果:衝撃耐性(小)斬撃耐性(小)
詳細:皮素材を使用したキャットスーツ
:体型が出るが動きの阻害が少ない、尻尾も出る様にしている
製作者:匿名
防御、必要ステータス、効果含めて優秀ではあるが、まさかキャットスーツとは思わなかった。いや、まあ悪くないのはわかる。どこぞのスパイなのか盗賊なのか謎な人も愛用しているくらいだし。……だとしてもちょっとこれは目立つんじゃないのか?
「これ、あんたの趣味でしょ!」
「やーねぇ、軽装かつ防御と効果を合わせた良い装備じゃないのぉ、それに2、3着ドレス着てこれならお釣りもくるのよぉ?」
確かにタダで作って貰った上に、ローブなんかよりも全然良い物だ。皮ベースだからか斬撃と衝撃にも少なからず耐性効果もあるし、私も嫌いじゃ無い部類の衣装なのは確かだ。しかし、だとしても、という問題があり。
「目立つじゃないの、こんなの着てたら」
「もぉー、文句ばっかりいってぇ、どんなものかまでは言ってないでしょ?」
「せめて上に着れるコートとか寄越しなさいよ……」
アイテム画面を見てみればもう、そりゃあ、黒いキャットスーツよ。うん、これは戦うときだけ着よう。流石にこれで街中歩くほどの根性はないぞ。
「拡張性もあるしぃ、アクセサリーも付けやすいのよぉ?タダでもらえるには破格でしょぉ?」
「あー、もうわかった、私の負けだよ……指定しなかった私の負け」
ため息を吐き出しつつ、納得する。まだ性能の良い物はあるだろうけど、さっきも言った通りタダでもらえるには破格なんだし、いいだろう。単純計算でローブの5倍は強い。
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※1話1500文字くらいで書いております
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