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4章
108話 道のりが遠いのはいつもの事
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『今大丈夫ですか?』
『ジャガイモの収穫終わるまで待ってろ』
『アカメさん、ガンナーですよね』
『しってらぁ!』
フレンドコールをぶつっと乱暴に切ってからジャガイモの収穫を進める。苗1つで5個のジャガイモ。詰まるところ50個分のジャガイモを収穫できたわけだが、とりあえずインベントリに全部放り込んで酒造用に確保……する前にこれって種芋として使える気がする。
名称:ジャガイモ(質1)
詳細:ナス科ナス属の多年草 でんぷんがいっぱい 質良さ=味の良さ
うん、まあこんなもんだ。肥料を与えたりしたわけでもないし、なんなら植えっぱなしでほぼ手入れ無しなのでしょうがない。流石に品種までは詳しく書いてないので一般的なジャガイモって事かな。
『それで?』
『え、あ、ファーマーの人と話が付いたので紹介しようかと』
『兼業?専業?』
『メインはスピア系の戦士ですよ、アカメさんと同じで自前で何でもしたい人だって』
『とりあえずエルスタンにいるんだけど、そいつは?』
『畑メインなのでその人もエルスタンですね、冒険者ギルドの近くで待ち合わせでいいですか?』
『なんか特徴ないの、そいつ』
『獲物が槍斧なのでそれを目印に、あと今日はクランハウス見に行くんで相手できませんから』
そういうと向こうからコールを切られる。クランマスターにもなったせいか、私に言えるようになるくらいには鍛えられてるんだろうか?人数が増えるメンバーとメンバー外の衝突があったりするから、それを抑えたり、まとめ役って大変なのよね。
「とりあえず待たせるとまずいし、さっさと行くか」
自宅の畑からエルスタンの転移地点にさくっと転移し、冒険者ギルドの方へと向かう。それにしても槍斧なんて珍しい物を使ってるもんだ。重さと長さがあるから扱いが難しいとはいえ、突いて薙いで引っ掛けてと中々殺意の高い武器なのは確かだ。
ゲームとかでもちょいちょい持ってる、殺意の高い武器ってイメージは強いほうだが、私としては巴里にいる歌劇をする人を思い出す。
「と……冒険者ギルド近くのベンチで槍斧持ってる人ねえ……って言うか槍系の戦士ってまた特殊な所よね」
で、どこにいるかなと探し回る事3秒、ベンチに座ってるガタイがいい髭面のおっさんが槍斧を肩にもたれさせながらどっかり座っているのを発見する。農作業をするって感じのおっさんと言えばおっさんだな。
「まさかチェルからこんなガタイのでかいおっさん紹介されるとは思わなかったわ」
「ワシもこんな格好している女を紹介されるとは思ってなかったわ」
すぐに私が紹介された相手だと分かると立ち上がって私の事を見下ろしてくる。2m弱ある槍斧がまあまあ小さく見える程って凄いな。そういえばT2Wにおける体格差の有利不利は普通ある。でかい方が当たりやすいので防御力に小さいキャラに比べて高いらしい。比べた事もなければ気にしたことも無いので内部数値的な問題だろう。
「ファーマー専業の方が良かったけど、まあ、いいわ。どこまで話聞いてるわけ?」
「畑に手を出して、新しい事をするのに知識不足だからと言う所までは聞いた」
「はしょりやがったなあのチンチクリン……私がやろうとしてるのは酒造だけど、それは?」
「やったことはないが、知っている。畑に詳しいのをと言うだけで紹介されたからな」
「専業でもないのに?」
「専業だと外に行くのが厳しいだろう、採取スキルで採ってきたものを自作するのに戦闘力は大事だ」
ああ、タイプが似てるってこういう事か。確かに自前でやるのであれば戦闘力が必要になるのは確かだ。私だって黒色火薬や雷管を作る為に必死こいて戦って集めて自作したけど、これがPTとか複数で分担したらもっと楽なんだろうけど、そういうのが出来ないタイプって事だ。
良いように言えばとにかく自分でやって楽しみたい派。悪く言えば他人なんてしったこっちゃねえって話だ。
「……とりあえずどこまで手を出すか話し合おうや」
「いいだろう」
ベンチに二人で座りなおし、いかついおっさんと目つきの悪い女が大通りを二人で睨みながら情報交換を進める。それにしてもこの絵面だけで人が逃げていくって凄いな。でも特に何もしてないので通報されても問題は無し。
煙草を取り出し、咥えてからぱちっと指を鳴らすと共に火を出し、火を付ける。
「便利だな、それ」
「いいでしょ」
「ほう」と感嘆の声を上げ、所作を見てほしそうな顔をしている、色々教えて貰ったら条件教えてやるか。
「で、何について聞きたい?」
「とりあえずジャガイモ作ったんだけど、質は悪いし、1苗から5個だったんだけど……」
「植えて水を撒いただけか……基本的にはそれでも十分だが、個数や質を増やすと言うのであれば肥料や手入れは必須だ」
「あんたの最高は?」
「1苗10個、質が5だな、やはり本業ファーマーじゃない分ここが限界だ」
「ふむ……ちなみに種イモにしてまた植えたりとかは?」
「本職じゃないとダメだ、1枠に種にしたり苗にしたりするスキルがあるらしい」
やっぱりその辺のすみわけと言うか、特性は本業ファーマーじゃないとダメ、か。収穫数が10倍に出来るというのはこれからの事を考えるとかなり有益だ。樽1個に何個の芋ぶち込んで、どれくらいの量が出来るかもいまだに分かってないので、増やせれるのであれば増やせることに越したことはない。
「肥料は色々だな、腐葉土だったりおかくずを混ぜたり石灰を混ぜたり……関係なさそうなものであっても質が上がる場合もあるのは、ワシも研究中だ」
「それでも生育自体は早いでしょ?」
「それにショップに売っている作物の種や苗は質1からスタートだ。肥料を与えたりして質2にして、それを種にし、また……というのがファーマーの基本になる」
だとしたらどうやって質5の個数10個のジャガイモを作ったんだ?スキル2枠しか持ってないんだろうけど……?
「肥料自体の質を上げたり、土壌の改善や水を撒く頻度など、上げるテクニックは多いぞ」
専用スキルが無いところはそういうのでカバーするわけか。意外と奥が深いぞファーマー。生産系って裁縫とか鍛冶とかでもそうだけど別ゲーしているような気がする。
「ふむ、それで個数問題は大丈夫そうねえ……酒造知らないって言ったけど、やり方は?」
「基本は麹、酵母、水だな。そこから色んな材料を投入していくのが酒造のざっくりしたものだが……ハードルが高い」
「何で?」
「一番は酒造出来る場所がない。L畑についている小屋でもできるらしいが暗所が望ましい、マイハウスの地下とかがあると一番だが、最低でも40万は投資しなきゃならないからな」
場所問題に関してはクリア済みだから良し、このゲームにおいて麹と酵母って手に入るのか?
って言うかジャガイモと水ぶち込んで置いたら勝手に出来るもんだと思ってたわ。
「にしても酒造か……麹と酵母にはツテがあるから手に入れてやろうか?」
「急に友好的になったわね」
「此処じゃ幾ら食べても飲んでも問題ないからな、それもある」
「しょーがないわねえ……アルコール作るついでに作ってやるわ」
煙草を吹かしつつメニューを開いて、フレンド申請を飛ばす。
……あれ、初めて私から飛ばしてるんじゃないかな、これ。
そうしてすぐに隣でそのフレンドを承認されてさくっと完了。
「十兵衛って、すっげえ和風」
「見た目そのままのお前さんに言われたかないわ」
へいへいと、言ってから立ち上がって吸い切った煙草をぴっと捨てる。
「このスキル、火打石で何度も火を付けたりしたら出来るわよ」
目の前でまたぱちりと指を鳴らすと共に火を灯す。別に指を鳴らす必要はないのだがとにかく絵になるからついついやってしまう。
「酒待っておるぞ」
「はいはい」
『ジャガイモの収穫終わるまで待ってろ』
『アカメさん、ガンナーですよね』
『しってらぁ!』
フレンドコールをぶつっと乱暴に切ってからジャガイモの収穫を進める。苗1つで5個のジャガイモ。詰まるところ50個分のジャガイモを収穫できたわけだが、とりあえずインベントリに全部放り込んで酒造用に確保……する前にこれって種芋として使える気がする。
名称:ジャガイモ(質1)
詳細:ナス科ナス属の多年草 でんぷんがいっぱい 質良さ=味の良さ
うん、まあこんなもんだ。肥料を与えたりしたわけでもないし、なんなら植えっぱなしでほぼ手入れ無しなのでしょうがない。流石に品種までは詳しく書いてないので一般的なジャガイモって事かな。
『それで?』
『え、あ、ファーマーの人と話が付いたので紹介しようかと』
『兼業?専業?』
『メインはスピア系の戦士ですよ、アカメさんと同じで自前で何でもしたい人だって』
『とりあえずエルスタンにいるんだけど、そいつは?』
『畑メインなのでその人もエルスタンですね、冒険者ギルドの近くで待ち合わせでいいですか?』
『なんか特徴ないの、そいつ』
『獲物が槍斧なのでそれを目印に、あと今日はクランハウス見に行くんで相手できませんから』
そういうと向こうからコールを切られる。クランマスターにもなったせいか、私に言えるようになるくらいには鍛えられてるんだろうか?人数が増えるメンバーとメンバー外の衝突があったりするから、それを抑えたり、まとめ役って大変なのよね。
「とりあえず待たせるとまずいし、さっさと行くか」
自宅の畑からエルスタンの転移地点にさくっと転移し、冒険者ギルドの方へと向かう。それにしても槍斧なんて珍しい物を使ってるもんだ。重さと長さがあるから扱いが難しいとはいえ、突いて薙いで引っ掛けてと中々殺意の高い武器なのは確かだ。
ゲームとかでもちょいちょい持ってる、殺意の高い武器ってイメージは強いほうだが、私としては巴里にいる歌劇をする人を思い出す。
「と……冒険者ギルド近くのベンチで槍斧持ってる人ねえ……って言うか槍系の戦士ってまた特殊な所よね」
で、どこにいるかなと探し回る事3秒、ベンチに座ってるガタイがいい髭面のおっさんが槍斧を肩にもたれさせながらどっかり座っているのを発見する。農作業をするって感じのおっさんと言えばおっさんだな。
「まさかチェルからこんなガタイのでかいおっさん紹介されるとは思わなかったわ」
「ワシもこんな格好している女を紹介されるとは思ってなかったわ」
すぐに私が紹介された相手だと分かると立ち上がって私の事を見下ろしてくる。2m弱ある槍斧がまあまあ小さく見える程って凄いな。そういえばT2Wにおける体格差の有利不利は普通ある。でかい方が当たりやすいので防御力に小さいキャラに比べて高いらしい。比べた事もなければ気にしたことも無いので内部数値的な問題だろう。
「ファーマー専業の方が良かったけど、まあ、いいわ。どこまで話聞いてるわけ?」
「畑に手を出して、新しい事をするのに知識不足だからと言う所までは聞いた」
「はしょりやがったなあのチンチクリン……私がやろうとしてるのは酒造だけど、それは?」
「やったことはないが、知っている。畑に詳しいのをと言うだけで紹介されたからな」
「専業でもないのに?」
「専業だと外に行くのが厳しいだろう、採取スキルで採ってきたものを自作するのに戦闘力は大事だ」
ああ、タイプが似てるってこういう事か。確かに自前でやるのであれば戦闘力が必要になるのは確かだ。私だって黒色火薬や雷管を作る為に必死こいて戦って集めて自作したけど、これがPTとか複数で分担したらもっと楽なんだろうけど、そういうのが出来ないタイプって事だ。
良いように言えばとにかく自分でやって楽しみたい派。悪く言えば他人なんてしったこっちゃねえって話だ。
「……とりあえずどこまで手を出すか話し合おうや」
「いいだろう」
ベンチに二人で座りなおし、いかついおっさんと目つきの悪い女が大通りを二人で睨みながら情報交換を進める。それにしてもこの絵面だけで人が逃げていくって凄いな。でも特に何もしてないので通報されても問題は無し。
煙草を取り出し、咥えてからぱちっと指を鳴らすと共に火を出し、火を付ける。
「便利だな、それ」
「いいでしょ」
「ほう」と感嘆の声を上げ、所作を見てほしそうな顔をしている、色々教えて貰ったら条件教えてやるか。
「で、何について聞きたい?」
「とりあえずジャガイモ作ったんだけど、質は悪いし、1苗から5個だったんだけど……」
「植えて水を撒いただけか……基本的にはそれでも十分だが、個数や質を増やすと言うのであれば肥料や手入れは必須だ」
「あんたの最高は?」
「1苗10個、質が5だな、やはり本業ファーマーじゃない分ここが限界だ」
「ふむ……ちなみに種イモにしてまた植えたりとかは?」
「本職じゃないとダメだ、1枠に種にしたり苗にしたりするスキルがあるらしい」
やっぱりその辺のすみわけと言うか、特性は本業ファーマーじゃないとダメ、か。収穫数が10倍に出来るというのはこれからの事を考えるとかなり有益だ。樽1個に何個の芋ぶち込んで、どれくらいの量が出来るかもいまだに分かってないので、増やせれるのであれば増やせることに越したことはない。
「肥料は色々だな、腐葉土だったりおかくずを混ぜたり石灰を混ぜたり……関係なさそうなものであっても質が上がる場合もあるのは、ワシも研究中だ」
「それでも生育自体は早いでしょ?」
「それにショップに売っている作物の種や苗は質1からスタートだ。肥料を与えたりして質2にして、それを種にし、また……というのがファーマーの基本になる」
だとしたらどうやって質5の個数10個のジャガイモを作ったんだ?スキル2枠しか持ってないんだろうけど……?
「肥料自体の質を上げたり、土壌の改善や水を撒く頻度など、上げるテクニックは多いぞ」
専用スキルが無いところはそういうのでカバーするわけか。意外と奥が深いぞファーマー。生産系って裁縫とか鍛冶とかでもそうだけど別ゲーしているような気がする。
「ふむ、それで個数問題は大丈夫そうねえ……酒造知らないって言ったけど、やり方は?」
「基本は麹、酵母、水だな。そこから色んな材料を投入していくのが酒造のざっくりしたものだが……ハードルが高い」
「何で?」
「一番は酒造出来る場所がない。L畑についている小屋でもできるらしいが暗所が望ましい、マイハウスの地下とかがあると一番だが、最低でも40万は投資しなきゃならないからな」
場所問題に関してはクリア済みだから良し、このゲームにおいて麹と酵母って手に入るのか?
って言うかジャガイモと水ぶち込んで置いたら勝手に出来るもんだと思ってたわ。
「にしても酒造か……麹と酵母にはツテがあるから手に入れてやろうか?」
「急に友好的になったわね」
「此処じゃ幾ら食べても飲んでも問題ないからな、それもある」
「しょーがないわねえ……アルコール作るついでに作ってやるわ」
煙草を吹かしつつメニューを開いて、フレンド申請を飛ばす。
……あれ、初めて私から飛ばしてるんじゃないかな、これ。
そうしてすぐに隣でそのフレンドを承認されてさくっと完了。
「十兵衛って、すっげえ和風」
「見た目そのままのお前さんに言われたかないわ」
へいへいと、言ってから立ち上がって吸い切った煙草をぴっと捨てる。
「このスキル、火打石で何度も火を付けたりしたら出来るわよ」
目の前でまたぱちりと指を鳴らすと共に火を灯す。別に指を鳴らす必要はないのだがとにかく絵になるからついついやってしまう。
「酒待っておるぞ」
「はいはい」
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