158 / 625
5章
148話 ガチ勢の本気
しおりを挟む
「おー、やっとるやっとる」
木の上、枝の根本に丸くなるようにコートを頭からすっぽりと被り、双眼鏡構えてスキルや怒声が飛び交っている所を遠巻きに眺めながら戦況を調べる。
大体50人対50人くらいの中規模クランのかち合いって所だな。
そういえば結託みたいな事をしているから、小規模クランを纏めて50人にして、最後に決戦みたいな感じでやるんかね?何にせよすげえやり合ってる。
戦況的には纏まってるであろうクランの方が統率が取れているから、何となく統率が取れていない方は徐々にすり減っている。
こういう時に「まだやれる!」って頭をしていたら負けるんだから、さっさと抜けるなり早めの離脱して、先に回復して、立て直して、一息ついていた所にもう一度強襲掛けたりするのがいいんだろうけど。そこまで頭の回るやつって少ないんかな。
でもまあこういう集団の集まりってのは、その時の空気もあるし、抜けた所は抜けた所で結構目立つから他の連中から目の敵にされたりするから何とも言えないか。
『あのバトルジャンキーがまた喧嘩を売りに行ってるんだが、止めなくていいのか』
『いいのよ、予め喧嘩売って良い相手を指示してるから』
『人数差が多い所は避ける、複数相手する時は囲まれないように、倒したらきっちりとポーションを回収……だったな』
『よく覚えてるじゃない』
『手綱は引けんぞ』
『撃破した後にポーションさえ確保してくれればいいわ』
『それにしてもどこであんなの拾ってきたんだ』
『イベントでーす!』
対人戦ではあるが、クラン戦なのでクラン員同士で会話できるのは変わらず、参戦してる他2人とも会話が出来る。
流石に連絡も出来ないでバラバラで戦うってなると個人と変わらないからその辺で差別化を行ったんだろう。
どっちにしろ、髭親父とバトルジャンキーは別行動しているわけだが。
『こっちはまだ目標の奴を見つけてないからしばらく捜索するわ』
『アカメちゃんさぼりー』
『こういうバトロワ物ってね、結局最後に勝てた奴が一番なのよ?いくら道中でダメージを出そうが、キルを取ろうが、最後に負けたら全部徒労だし、余計な消耗と被弾を抑えるのは当たり前なんだから』
『攻めるのもありとは聞くが?』
『ゲーム内容やルール次第ね、とにかく人数が減ってきたらアナウンスをするだろうから、それまではゲリラ戦かかくれんぼで遊ぶしかないわね』
ぶつかってる奴らに横槍で凄い派手に魔法が飛んできた。漁夫を狙った戦闘になったのか、50人:50人:30人みたいな構図になってきた。
クラン戦だから集団戦闘がメインになるが、やはり大きくかち合っているとこうなるのは必然だな。
本来なら私も私で漁夫を狙って銃弾とポーションを回収しておきたいのだが、この人数の所に行くのは流れ弾で死ぬかもしれんので避けておく。
そして何で別行動していると言うのも、あのバトルジャンキーと髭親父の2人クランだと思わせ、その二人に単純にヘイトを向ける意味もある。
私の方はよっぽどの不意打ちや、大人数相手じゃなきゃ自衛できるし、振り直したステからもAGI重視だから問題ないだろう。
大きいのはあの二人に、細かいのは私がといった感じか。
「ま、本当は位置ばれしないように動かないといけないんだけどさ」
魔法や攻撃が飛び交い、三つ巴の乱戦になっている状況をまだ見ながら、他職のビルドをメモ帳に記載していく、このメモ機能そのまま使えるのマジで便利。
「撃破にポイントつかないからやるだけ無駄だってのに、ご苦労なこった」
疲弊して勝手に消耗してくれるのであればそれはそれで良し。人数が多いって事は疲弊する度合いも大きいし、かち合う頻度も目立つ関係で多いからポーションはガンガン減っていくだろう。
人数抱えてる所は共有財産としてのポーションを使う訳だから、なおさら。
とにかく戦うだけ無駄なルールなので、余計な戦闘を回避するってのは大事という事だ。
そういう訳で、観察していた連中も勝敗が付いたと言うか、流石に戦況が不利になった方が撤退をし始めたので此方も双眼鏡を仕舞いこみ、移動準備をしつつ、トラッカーで周囲確認。
MP消費5ですげえ優秀だな、このスキル。しかもMP増えた恩恵が地味に効いてるのでいつもよりがんがん使えるので、索敵も捗って悪くない。
「さてと、大手のクランを見つけにいくか」
少しだけ時を遡り……。
昨日のログアウトからイベント開始の夜まで用事やらを済ませてアイテム準備も完了、火炎瓶とパイプ爆弾を作ったうえで必要だと思う物を補充。
と言っても油と針金、松明、ショップに売ってた双眼鏡の4つで他の持ち込みは無し。銃弾増やそうかと思ったが、50発支給されるし、別に持ち込みはしない。
枠的には葉巻、火炎瓶2種、パイプ爆弾とさっきの4つで8枠消費、あまりぎちぎちに荷物持ってもしょうがないし、持つものが無いのでこんなもんで十分だろう。
焼酎を瓶に詰めて蒸留してアルコール作って、火炎瓶の作成。硝石も生成したのを掘り返して稼いで火薬化、いつものパイプ爆弾の製法で10発分。
さくさくっとアイテム作ってショップで使えそうなもの見繕って、スキルの取得を諦めていたらあっという間にイベント開始時間になるので参加手続き。
『うちはクランで参加するわよ、バトルジャンキーは参戦するけど、髭親父の方は来ないんでしょ』
『そうだな……参加するぞ』
『どういう心境の変化よ』
『これでも「男の子」なんでな』
『その言い方は嫌いじゃないわ』
そんな事を言いながらクラン単位でのイベント参加を申請、受理されると共に私含めてクラン員3人が準備部屋のような所に転移される。
そういえばジャンキーと髭親父は初対面だったか。
「さて、と……自己紹介は二人でやって頂戴」
転移と共にステータスのメニュー画面が開き、早速振り直ししてくれと言う様に全ステ0状態になり、ステータス59P分が付与されている。
既に使ってるステを振り直すだけなのでVIT、INT、RESは各1ずつ振り、STRに10、DEXに20、AGIに残り26を割り振り完了。
「アカメちゃんはどういうステ?」
「遠距離職はDASが基本だったか」
「私はADS型だから、ちょっと違うわよ。ほら、さっさとあんた達も準備しなさい」
生返事と二つ返事を聞きながらスキルの割り振りに移る。
ガンスミス、カスタマイズは完全に不要なので振らないとして、今回割り振るのはこうなる。
装填Lv5、トラッカーLv5、ボマーLv5、二度撃ちLv2
銃格闘Lv3、銃剣Lv3、曲撃ちLv3、跳弾Lv3、生活火魔法
これでぴったり30、2丁拳銃は持っている拳銃の弾数バランスが悪いのでパス、通常使っている物を軽く割り振り直して曲撃ちと跳弾を増やした、という感じだな。
とりあえず取ってみたが、MPの消費や特性的な物はあまり変わらない。跳弾だけはレベルを上げた事によって少しだけ特性が変わったが、他の部分は特に変わらず。
スキル名:跳弾 レベル:3
詳細:【アクティブ】【MP5】【効果時間45秒】
:発射した弾が最大「3回」反射する
効果時間が多少伸びて3回まで反射するようになったって所か。対人イベント使って取ってないスキルを試し上げとか考えてみたが、ちょっと邪道か。
スキルシミュの様な物が欲しくなるからこの辺も運営に要望出してみよう。
そういう訳でスキルも振り直し完了。
持ち込みアイテムに関してはさっき作ったものと買ったもの、後は装備品だな。
強力な物は枠が使われて、その上で10枠の装備と言う訳だが、まず銃、こいつがかなりネックになる。
ウサ銃とDボアだけで4枠、鳳仙花に至っては3枠消費。ガンベルト、コート、パンツスーツは各1枠で、これでいっぱいいっぱい。ブーツとグローブ外してどうにかしたが、運営的にやっぱり銃器って強武器扱いなんだろう。
まあ、確かに鳳仙花が直撃したら固定ダメージ120出るから問答無用で倒せるし3枠は妥当か。何だったら4枠になってもおかしくない性能か?120ダメ出すたびにリロード入るからその分差し引いてかもしれないが、とにかく強力と言うのは判明している。
接近戦用の鳳仙花、遠距離用のウサ銃、近距離戦のDボア。G4はマガジン作成忘れてたのでお留守番、何だったらマガジンで1枠使うだろうし、選択肢的にもないな。
これでステータス、スキル、アイテム、装備の選択が完了、メニュー画面が閉じ。待機部屋に置いてあるソファにどかっと座る。
うん、この中じゃまだ選択外のアイテムも使えるみたいだ、煙草に火を付けて紫煙を吸い、いつものように堪能しながら二人の終わりを待つ。
「うげー、頭使うのきらーい」
「あれこれ持っていくと枠がきついのよ」
「装備さえあればどうにかなるだろうな」
「ああ、そうだ、アイテム枠あるなら火炎瓶渡せるけど」
「じゃあもらーう」
「せっかく作った酒をこんな風にしおって……」
とりあえず余分に作っておいた1.0ℓ火炎瓶を10本ずつ渡す。当たり前だが時間内だったら変更はできるので枠があれば追加で突っ込むだけだ。
「結構燃えるから対集団のど真ん中に放り投げると楽しいわよ」
「炎上して楽しいってどういう事なんじゃ」
「むかつく住民を撃ち殺したり小便掛けたりするゲームをしているとそうなるかな」
「そんなもんあってたまるか」
あるんだよなあ、1,2が名作で3は駄作になって監督自らこんなの買うなって言ってたゲームが。しかもその3が公式に黒歴史扱いされてるうえに無かったことにされて、2の正式続編が4って言うんだからネタに事欠かないのがな。
「まあ、バカゲーの一種よ」
「ふーん……それで、これいつ使ってもいいのー?」
「火炎瓶なら好きなタイミングでいいわよ、で、作戦なんだけど、私は大手のクランを探して、細々した戦闘をぶつけるように仕掛けるから、あんた達二人で好きに暴れまわって」
「大雑把じゃの」
「ただ条件として、人数差が多い所は避ける、小規模でも囲まれないようにする、倒したらきっちりとポーションを回収ってのだけは守ってくれればいいわ」
「倒した相手からどう回収するんじゃ」
「そこはシステムがやってくれるでしょ、一般的なバトロワみたいに倒した相手からルート出来ると思うわ」
ぷぁっと紫煙の輪を吐き出して一息。基本方針さえできればバトルジャンキーがいれば髭親父は特に問題ないだろう。バトルジャンキーの戦闘力とゾンビ戦での立ち回りを見れば、下手な相手には負けないだろうし、髭親父の奴も何だかんだで世話焼きだからカバーくらいしてくれるだろう。
「中規模くらいの相手に立ち回れるなら、喧嘩売って損害与えて離脱でもいいわ。で、小規模で殲滅出来るなら一気に潰してポーション回収して……みたいな立ち回りがベターかしら」
「そんなに喧嘩売りに行っていいわけぇ?」
「その為に誘ったからな、自然回復も少ないから髭親父の方はポーション回収がメインになるかも」
「あまり戦闘は上手じゃないからな、後ろと荷物持ちに……」
ちらりと髭親父の奴がバトルジャンキーの方を見てため息を吐き出したのが見えた。
落ち着きのない動きをしているのを見てだろうけど、正直な所『お目付け役』として押し付けただけなんだよな。
で、本来であればそれは私がやるべき事なんだが、その役目を押し付けたのを理解したんだろう。
「何人くらい倒せるかなー」
「これの制御は出来なさそうだぞ、おい」
「私よりはマシでしょ」
にぃーっとギザ歯を見せつけると、また大きいため息を吐き出している。
そんなわけで作戦方針も決まったし、開始時間までだらだらと待機部屋で過ごす。
そうして今、特設マップに転移され、対人イベントの真っ最中と言う事になる。
あの二人はどう立ち回っているか分からないが、やられたって話は聞かないからまだどうにかなってんだろう。
私の方はと言うと、トラッカーでの事前発見を駆使して隠れながら移動しまわるだけだ。不意打ちで倒せるなら鳳仙花使って一気に攻めるべきなんだが、クランだから単独でってのはあんましいないな。
こういう時ばったり出会って戦闘開始ってなるんだろうけど、このゲームちゃんと足音鳴るし、何か動いて接触したらオブジェクトも移動するんで、散々FPSとTPSをやりこんだ私にとって常識みたいなもんよ。
「問題は盗賊系の職が足音消したりとか隠密系のスキルがあった時か……忍者とかな」
「うっす」
あー、クソ、序盤で会いたくなかったわ、お前の事。
木の上、枝の根本に丸くなるようにコートを頭からすっぽりと被り、双眼鏡構えてスキルや怒声が飛び交っている所を遠巻きに眺めながら戦況を調べる。
大体50人対50人くらいの中規模クランのかち合いって所だな。
そういえば結託みたいな事をしているから、小規模クランを纏めて50人にして、最後に決戦みたいな感じでやるんかね?何にせよすげえやり合ってる。
戦況的には纏まってるであろうクランの方が統率が取れているから、何となく統率が取れていない方は徐々にすり減っている。
こういう時に「まだやれる!」って頭をしていたら負けるんだから、さっさと抜けるなり早めの離脱して、先に回復して、立て直して、一息ついていた所にもう一度強襲掛けたりするのがいいんだろうけど。そこまで頭の回るやつって少ないんかな。
でもまあこういう集団の集まりってのは、その時の空気もあるし、抜けた所は抜けた所で結構目立つから他の連中から目の敵にされたりするから何とも言えないか。
『あのバトルジャンキーがまた喧嘩を売りに行ってるんだが、止めなくていいのか』
『いいのよ、予め喧嘩売って良い相手を指示してるから』
『人数差が多い所は避ける、複数相手する時は囲まれないように、倒したらきっちりとポーションを回収……だったな』
『よく覚えてるじゃない』
『手綱は引けんぞ』
『撃破した後にポーションさえ確保してくれればいいわ』
『それにしてもどこであんなの拾ってきたんだ』
『イベントでーす!』
対人戦ではあるが、クラン戦なのでクラン員同士で会話できるのは変わらず、参戦してる他2人とも会話が出来る。
流石に連絡も出来ないでバラバラで戦うってなると個人と変わらないからその辺で差別化を行ったんだろう。
どっちにしろ、髭親父とバトルジャンキーは別行動しているわけだが。
『こっちはまだ目標の奴を見つけてないからしばらく捜索するわ』
『アカメちゃんさぼりー』
『こういうバトロワ物ってね、結局最後に勝てた奴が一番なのよ?いくら道中でダメージを出そうが、キルを取ろうが、最後に負けたら全部徒労だし、余計な消耗と被弾を抑えるのは当たり前なんだから』
『攻めるのもありとは聞くが?』
『ゲーム内容やルール次第ね、とにかく人数が減ってきたらアナウンスをするだろうから、それまではゲリラ戦かかくれんぼで遊ぶしかないわね』
ぶつかってる奴らに横槍で凄い派手に魔法が飛んできた。漁夫を狙った戦闘になったのか、50人:50人:30人みたいな構図になってきた。
クラン戦だから集団戦闘がメインになるが、やはり大きくかち合っているとこうなるのは必然だな。
本来なら私も私で漁夫を狙って銃弾とポーションを回収しておきたいのだが、この人数の所に行くのは流れ弾で死ぬかもしれんので避けておく。
そして何で別行動していると言うのも、あのバトルジャンキーと髭親父の2人クランだと思わせ、その二人に単純にヘイトを向ける意味もある。
私の方はよっぽどの不意打ちや、大人数相手じゃなきゃ自衛できるし、振り直したステからもAGI重視だから問題ないだろう。
大きいのはあの二人に、細かいのは私がといった感じか。
「ま、本当は位置ばれしないように動かないといけないんだけどさ」
魔法や攻撃が飛び交い、三つ巴の乱戦になっている状況をまだ見ながら、他職のビルドをメモ帳に記載していく、このメモ機能そのまま使えるのマジで便利。
「撃破にポイントつかないからやるだけ無駄だってのに、ご苦労なこった」
疲弊して勝手に消耗してくれるのであればそれはそれで良し。人数が多いって事は疲弊する度合いも大きいし、かち合う頻度も目立つ関係で多いからポーションはガンガン減っていくだろう。
人数抱えてる所は共有財産としてのポーションを使う訳だから、なおさら。
とにかく戦うだけ無駄なルールなので、余計な戦闘を回避するってのは大事という事だ。
そういう訳で、観察していた連中も勝敗が付いたと言うか、流石に戦況が不利になった方が撤退をし始めたので此方も双眼鏡を仕舞いこみ、移動準備をしつつ、トラッカーで周囲確認。
MP消費5ですげえ優秀だな、このスキル。しかもMP増えた恩恵が地味に効いてるのでいつもよりがんがん使えるので、索敵も捗って悪くない。
「さてと、大手のクランを見つけにいくか」
少しだけ時を遡り……。
昨日のログアウトからイベント開始の夜まで用事やらを済ませてアイテム準備も完了、火炎瓶とパイプ爆弾を作ったうえで必要だと思う物を補充。
と言っても油と針金、松明、ショップに売ってた双眼鏡の4つで他の持ち込みは無し。銃弾増やそうかと思ったが、50発支給されるし、別に持ち込みはしない。
枠的には葉巻、火炎瓶2種、パイプ爆弾とさっきの4つで8枠消費、あまりぎちぎちに荷物持ってもしょうがないし、持つものが無いのでこんなもんで十分だろう。
焼酎を瓶に詰めて蒸留してアルコール作って、火炎瓶の作成。硝石も生成したのを掘り返して稼いで火薬化、いつものパイプ爆弾の製法で10発分。
さくさくっとアイテム作ってショップで使えそうなもの見繕って、スキルの取得を諦めていたらあっという間にイベント開始時間になるので参加手続き。
『うちはクランで参加するわよ、バトルジャンキーは参戦するけど、髭親父の方は来ないんでしょ』
『そうだな……参加するぞ』
『どういう心境の変化よ』
『これでも「男の子」なんでな』
『その言い方は嫌いじゃないわ』
そんな事を言いながらクラン単位でのイベント参加を申請、受理されると共に私含めてクラン員3人が準備部屋のような所に転移される。
そういえばジャンキーと髭親父は初対面だったか。
「さて、と……自己紹介は二人でやって頂戴」
転移と共にステータスのメニュー画面が開き、早速振り直ししてくれと言う様に全ステ0状態になり、ステータス59P分が付与されている。
既に使ってるステを振り直すだけなのでVIT、INT、RESは各1ずつ振り、STRに10、DEXに20、AGIに残り26を割り振り完了。
「アカメちゃんはどういうステ?」
「遠距離職はDASが基本だったか」
「私はADS型だから、ちょっと違うわよ。ほら、さっさとあんた達も準備しなさい」
生返事と二つ返事を聞きながらスキルの割り振りに移る。
ガンスミス、カスタマイズは完全に不要なので振らないとして、今回割り振るのはこうなる。
装填Lv5、トラッカーLv5、ボマーLv5、二度撃ちLv2
銃格闘Lv3、銃剣Lv3、曲撃ちLv3、跳弾Lv3、生活火魔法
これでぴったり30、2丁拳銃は持っている拳銃の弾数バランスが悪いのでパス、通常使っている物を軽く割り振り直して曲撃ちと跳弾を増やした、という感じだな。
とりあえず取ってみたが、MPの消費や特性的な物はあまり変わらない。跳弾だけはレベルを上げた事によって少しだけ特性が変わったが、他の部分は特に変わらず。
スキル名:跳弾 レベル:3
詳細:【アクティブ】【MP5】【効果時間45秒】
:発射した弾が最大「3回」反射する
効果時間が多少伸びて3回まで反射するようになったって所か。対人イベント使って取ってないスキルを試し上げとか考えてみたが、ちょっと邪道か。
スキルシミュの様な物が欲しくなるからこの辺も運営に要望出してみよう。
そういう訳でスキルも振り直し完了。
持ち込みアイテムに関してはさっき作ったものと買ったもの、後は装備品だな。
強力な物は枠が使われて、その上で10枠の装備と言う訳だが、まず銃、こいつがかなりネックになる。
ウサ銃とDボアだけで4枠、鳳仙花に至っては3枠消費。ガンベルト、コート、パンツスーツは各1枠で、これでいっぱいいっぱい。ブーツとグローブ外してどうにかしたが、運営的にやっぱり銃器って強武器扱いなんだろう。
まあ、確かに鳳仙花が直撃したら固定ダメージ120出るから問答無用で倒せるし3枠は妥当か。何だったら4枠になってもおかしくない性能か?120ダメ出すたびにリロード入るからその分差し引いてかもしれないが、とにかく強力と言うのは判明している。
接近戦用の鳳仙花、遠距離用のウサ銃、近距離戦のDボア。G4はマガジン作成忘れてたのでお留守番、何だったらマガジンで1枠使うだろうし、選択肢的にもないな。
これでステータス、スキル、アイテム、装備の選択が完了、メニュー画面が閉じ。待機部屋に置いてあるソファにどかっと座る。
うん、この中じゃまだ選択外のアイテムも使えるみたいだ、煙草に火を付けて紫煙を吸い、いつものように堪能しながら二人の終わりを待つ。
「うげー、頭使うのきらーい」
「あれこれ持っていくと枠がきついのよ」
「装備さえあればどうにかなるだろうな」
「ああ、そうだ、アイテム枠あるなら火炎瓶渡せるけど」
「じゃあもらーう」
「せっかく作った酒をこんな風にしおって……」
とりあえず余分に作っておいた1.0ℓ火炎瓶を10本ずつ渡す。当たり前だが時間内だったら変更はできるので枠があれば追加で突っ込むだけだ。
「結構燃えるから対集団のど真ん中に放り投げると楽しいわよ」
「炎上して楽しいってどういう事なんじゃ」
「むかつく住民を撃ち殺したり小便掛けたりするゲームをしているとそうなるかな」
「そんなもんあってたまるか」
あるんだよなあ、1,2が名作で3は駄作になって監督自らこんなの買うなって言ってたゲームが。しかもその3が公式に黒歴史扱いされてるうえに無かったことにされて、2の正式続編が4って言うんだからネタに事欠かないのがな。
「まあ、バカゲーの一種よ」
「ふーん……それで、これいつ使ってもいいのー?」
「火炎瓶なら好きなタイミングでいいわよ、で、作戦なんだけど、私は大手のクランを探して、細々した戦闘をぶつけるように仕掛けるから、あんた達二人で好きに暴れまわって」
「大雑把じゃの」
「ただ条件として、人数差が多い所は避ける、小規模でも囲まれないようにする、倒したらきっちりとポーションを回収ってのだけは守ってくれればいいわ」
「倒した相手からどう回収するんじゃ」
「そこはシステムがやってくれるでしょ、一般的なバトロワみたいに倒した相手からルート出来ると思うわ」
ぷぁっと紫煙の輪を吐き出して一息。基本方針さえできればバトルジャンキーがいれば髭親父は特に問題ないだろう。バトルジャンキーの戦闘力とゾンビ戦での立ち回りを見れば、下手な相手には負けないだろうし、髭親父の奴も何だかんだで世話焼きだからカバーくらいしてくれるだろう。
「中規模くらいの相手に立ち回れるなら、喧嘩売って損害与えて離脱でもいいわ。で、小規模で殲滅出来るなら一気に潰してポーション回収して……みたいな立ち回りがベターかしら」
「そんなに喧嘩売りに行っていいわけぇ?」
「その為に誘ったからな、自然回復も少ないから髭親父の方はポーション回収がメインになるかも」
「あまり戦闘は上手じゃないからな、後ろと荷物持ちに……」
ちらりと髭親父の奴がバトルジャンキーの方を見てため息を吐き出したのが見えた。
落ち着きのない動きをしているのを見てだろうけど、正直な所『お目付け役』として押し付けただけなんだよな。
で、本来であればそれは私がやるべき事なんだが、その役目を押し付けたのを理解したんだろう。
「何人くらい倒せるかなー」
「これの制御は出来なさそうだぞ、おい」
「私よりはマシでしょ」
にぃーっとギザ歯を見せつけると、また大きいため息を吐き出している。
そんなわけで作戦方針も決まったし、開始時間までだらだらと待機部屋で過ごす。
そうして今、特設マップに転移され、対人イベントの真っ最中と言う事になる。
あの二人はどう立ち回っているか分からないが、やられたって話は聞かないからまだどうにかなってんだろう。
私の方はと言うと、トラッカーでの事前発見を駆使して隠れながら移動しまわるだけだ。不意打ちで倒せるなら鳳仙花使って一気に攻めるべきなんだが、クランだから単独でってのはあんましいないな。
こういう時ばったり出会って戦闘開始ってなるんだろうけど、このゲームちゃんと足音鳴るし、何か動いて接触したらオブジェクトも移動するんで、散々FPSとTPSをやりこんだ私にとって常識みたいなもんよ。
「問題は盗賊系の職が足音消したりとか隠密系のスキルがあった時か……忍者とかな」
「うっす」
あー、クソ、序盤で会いたくなかったわ、お前の事。
20
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる