最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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8章

232話 計画中

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「んー……もう20日もゲームしてんなあ……」
 
 私の有休パワーもそろそろ切れてしまう。
 ついでに言えばリアル自宅に蓄えた物資も結構底を付いてきている。
 何だかんだで数時間おきにログアウトして休憩をしたりしながら此処までやってきたわけだが、人間生きていくには飲んだり食べたりしなきゃならないからそりゃそうよって話だな。

「でも、もうちょっと大丈夫だから買いに行くのは今度でいいや」

 インスタントと冷食ばっかりになってきたけど、まだ大丈夫だからいいわ。
 さてと、とりあえず今と言うか今後の方針や目標を立てていこう。

 現状の問題として、ある程度の片が付いているのは例の偽クラン。
 大分あいつに釘を刺したし、これで少しでも改善が出来ないっていうのなら、今まで撮りためていたログやSSの証拠を運営に叩きつけて片っ端から全滅させてやろう。
 なーに、十数万いるプレイヤーのうちたった数十人消えるだけだし。何だったら消えたと言う事実も分からないだろうし、さらっと消えておしまいよ。
 うん、気に入らなかったら食らわしてやろう。


 で、次の問題が、新しい弾種の開発。
 物凄く数を量産する必要はなくて、センターヘッドに入れて一発ずつ使う運用なら、各種5発くらい実用できるレベルの物が揃えられれば問題ないか。
 その新しい物を作るってのがまた別の問題があるんだけど、魔法系素材は情報クランなりWikiなりで集めて、合わせてモンスターの情報収集もしておかないと。
 ……使い分ける銃器もそろそろ厳選と言うか、何でもかんでも持っているのもやめた方がいいな。新しい銃器を全然購入していないってのもあるのだが。
 2軍落ちは鳳仙花、ランペイジMk2は確定として、もう1本くらいは仕舞っておきたい。
 
「落とすならDボアだなぁ、マガジンもあるから装填の手間含めてG4の方が使えるし」

 リボルバー特有の回転弾倉で6発分にそれぞれの属性弾やらを入れて切り替えるってのは見栄えも浪漫もある。Xが3個並んだ映画でも1作目はそういう銃があったから、どちらかと言うと用途に応じて切り替えて火力度外視ならまだ?
 だったらセンターヘッドで一回ずつ入れ替えた方がいいか。ついでに銃器ラックとクローゼットもあるから何にもなかったマイハウスの自室もちょっとは彩り良くなるだろう。

 そんな事を思いつつ、いつもの愛用しているタブレットでやる事をつらつらと入力していく。
 大体の問題とやる事を書き連ねてHMDに入れるってのも何か久々にやっている気がするな。


 問題1 偽クラン
 対処済み、今後の動き方次第で運営に通報するかどうかを決定。
 証拠諸々はHMDから吸出し済み。報告メールもテンプレ作成済みなので送信を押せばすぐに完了。
 筋を通して、頭を下げるなら許してやるのもあり。

 問題2及びやる事 特殊弾の開発
 特殊能力持ちに対しての対抗手段の薄さ、解決策は特殊弾予定

 特殊弾はトカゲとポンコツピンクを使っての共同開発?
 開発により、魔法系素材(特に属性あり)の獲得、安定供給のためのモンスタードロップの把握。
 特殊弾頭、特に装甲を抜けるような貫通弾の開発も並行。
 →貫通力を上げるために無煙火薬、炸薬量の調整?
  →弾頭自体の貫通力を上げるために形状試作、鉛以外の物で作成?
   →何だったらナイフ自体を射出するとか?

 3:新マップ
 特殊弾開発完了もしくは目処が立ち次第、ドルイテンまでの進行。
 進行ルートは北エリア側、突破する場合はなるべくソロ。

「んー、思いつく限りではこんなもんか……1は別として、2と3は殆どセットだし、この辺りでしっかり私自身の強化を入れないと駄目なとこもきたし」

 対人イベント用の装備で揃えているから、対モンスター用が不安になってきたと言うのが正直な所。って言うかそもそも、このゲームってPvEがメインなんだから、そっちを揃えるのが当たり前なんだよな。
 無理やりではないけど、盛り上げるための対人要素はちょっと休んでおきたい。勝敗ばっかり求めてるのも嫌いじゃないのだが、それはそれで、そういったゲームをするからわざわざこっちでやらんくてもいいって事だな。

「またゴリマッチョの奴の世話になるんだろうなあ……もういっそのこと生産系一通り人員揃えてみるか」

 下唇に指をあててぷるぷると揺らしながら「んー」っと唸る。
 あんまり人を増やすってのは好きじゃないので、多くても15人位でいいかな。
 クラン対抗戦で人数が多ければ多いほど有利になるって要素も無いので、人数を増やすデメリットの方が強くなる。
 勿論そのデメリットってのがあの偽物連中の事になる。人数が多くなればなるほど、制御がしにくくなるので私の知らない所で余計な事をして、余計な問題を起こされたらたまったもんじゃない。
 ようやく手に入れたクランハウスを手放したくないし、この手のオンラインゲームであまりにもやらかしたことが大きく運営の所にまで入っていくと、規約違反じゃなくても未来永劫ネタやら汚名を被る事になる。
 まあ、そこは良いとして、やっぱり自分の所で抱えられる職人が欲しくなるわな。

 自分で何だかんだやってきたのは私だけど、あくまでも一通りできるってだけで専門でやってる奴には負ける。何だったらガンスミスに走ったトカゲの奴の方が銃弾や銃本体は私よりも出来が良い。
 結局のところ、アマとプロの違いが顕著に出てきたって事だな。
 
「ま、こんなとこか……で、あとはいつものようにーっと」

 USBでデータを吸出してから入れるだけの作業。
 タブレットから抜いたUSBをくるくると手の中で転がしつつ、HMDに差してデータ移動。

 よし、これで準備もできたし、16時だから大分やれるとして、まずは……。

「家事すっか」

 あんまり動かないけど部屋に埃が溜まるってのは不思議だな。
 ログインした時に例のめんどくさいやつ全部片付いているといいんだけどなあ。




『To The World Roadへようこそ』

 白い光の輪を出してクランハウスの2Fに降り立つ。
 そういえば3Fと地下が腐り気味だな。もうちょっと家具でも揃えて見栄えよくするかな。

「おはようございます、アカメ様」
「サイオンとアイオンは」
「1Fでショップ業務、地下でバイパー様のお手伝いをしております」

 早速うちの敏腕秘書を使いこんでいるな、あいつは。
 マイハウス用のNPCがいるかは分からんけど、専用の1人雇って庭の世話でもさせたくなってきた。ジャガイモと硝石回収するのめんどくせーんだよなあ……クランハウスに畑作れれば良かったのに。

「んじゃあ、ゴリマッチョと情報屋の所に行ってくるわ」
「お気をつけていってらっしゃいませ」

 丁寧にお辞儀をしてくるシオンの頭をわしゃってからクランハウスを後にする。
 結局例の風評被害はなかなか抑え込んできているのか、前よりも少しは盛況だな。

 と、そうそう、自宅に行ってアイテム整理するのも忘れないようにせんとな。
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