最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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10章

273話 サブ職への道

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 ガンナーをやめるとはいえ、じゃあどんな職になったら良いのかって話よ。
 ステータス的にはSAD型だからまあ物理職なのは確定だとして、案外均等振りしてるってのもネックな部分だよな。
 魔法職にするには流石にMPとINTが足りなさすぎる。装備で補えると言ってはいたが、それも何処までって話になるのでそこも問題になる。ステータスを上げる装備ってのもある事はあるのだが、それを使おうってなると金……は持っているから良いとして、どう調達するのかって話と、よっぽどじゃない限りは無くても変わらないって問題もある。
 うーん、もうちょっと手軽に戦えて、流用できるようなスキルってあったかなあ……。

「アカメ様、本日の収支報告です」
「……そういえばサイオン達って戦えるんだっけ?」
「それは出来ません、設定された通りクランハウス管理のみですので」

 ま、そりゃそうか。

「戦闘関係は聞いても駄目だろうしなあ……きっちりしてるわ」
「優秀ですので」

 ぺこりと頭を下げてくるわけだが、働き始めた時に比べて結構感情豊かになってきた気がする。
 それにしてもサブをどうするかって話よ。
 
「んー、私のスキルと相性の良い物なあ……」

 メイン武器である銃は変わらないので、装備しなくても良くてスキルで立ち回れる職。しかもなおかつそのスキルがガンナーでも腐らないような奴。
 やっぱり魔法になるんだよなあ、指向性を持たせて呪文を唱えるだけでいいから威力はMPポーションがぶ飲みして回数で威力をカバーするって事も出来る。ただ、それならスキル無しで少しでもダメージの出る武器を持ってぶん殴った方が効率は良くなるか。

「どーしようかなー……良い案を出してくれよー」
「と、言われましても」

 言ってもしゃーないのは分かってる。
 うーん、今までやってきたプレイ的に足りないと思っていたスキルを取る為にサブ職をするってのもありなのだが……武器関係無しにダメージ出せる……。

「あっ」
「良い事を思いついたようで」
「ちょっと出てくるわ」
「はい、いってらっしゃいませ」

 やっぱり話し相手がいると良いな、だらだらしゃべっているだけでも良い事を思いつくもんよ。



「さてと、ある意味では一番面倒な相手に聞くことになるとは」

 とは言っても、今までもそうだったが自分が強くなるって言う事に関しては別にプライドがある訳でもない。むしろその教えて貰った奴よりも上手く強くなってやろうとは思う。
 とりあえずドルイテンの転移地点でその面倒な相手を待つ為、葉巻を吹かしつつ大股開きつつ膝上に肘をついて待機。宇宙猫T着っぱなしだから、不良がイキってる感じが凄いわ。

「待ったっすか?」
「口は速い癖に来るのが遅いぞ」
「人使いがいつも荒いんすよ……バイオレットは元気っすか?」
「ちょっと前に対人してボコってやったわ」

 マジかよって顔でこっちを見てくるわけだが、今回に関しては事実だからな。二度とあいつと戦うって事はしないだろうけど。
 サブ職の出来次第によっては闘技場の消耗無しを使って色々と悪だくみも出来そうだからその時にはもう一回くらい戦ってもいいかな?

「マジで規格外っすね……それで、何を知りたいんすか」
「忍者ギルドおせーて」
「急っすねえ……別に隠してるわけじゃないからいいっすけど、何やるんすか」
「まあまあ、とりあえず教えなさいよ」
「エルスタン北東っすね、マップデータはこれっすよ」

 こういうやり取りできるってのもこのゲームの強みよな。とりあえず場所を確認、案外近い所にあるんだけど、だったら何でドルイテンまで来させたのか。

「まさかとは思うけど、呼びつけてこれだけっすか」
「何かやってほしいのか」
「いや、特にはないっすけど、珍しいなーって」
「面白い事するのに手抜きはしたくないのよ私って」

 それでも私の我儘で呼びつけたわけだから1万くらい渡しておこう。ちょっと情報を教えただけで小遣い貰えるんだから悪くはないと、思う。私自体の金銭感覚や今までの使用金額を考えて言ったらくっそ少額じゃねえかって言われそうだが、普通にやってれば1万ってそこそこの額なんだよな。

「じゃあもう行っていいわよ」
「ドライっすねぇ……何だったらギルドまで案内してもいいっすけど」
「おしゃべり相手が欲しいだけじゃないの、あんた」

 そうとも言うと言いながら一緒にエルスタンに転移。
 そこまで長い距離ではないのだが、ずっと喋りまくりだったのはそこそこ鬱陶しかった。適当に返事返していれば本人は満足そうだったので別に良かったが。

「この建物に入って、仕掛け扉の先っすね」
「勢いで来たけど、サブ職でいきなり二次って良いんだろうか」
「あー、問題ないっすよ、二次職の条件さえ満たしていればサブは前提がいらないっすから」
「じゃあガンナーをサブ選択ってのもいけるのか」
「出来るっすけど、やっぱ独立してる特殊職っすからね、選択してもーってのが大きいっす」

 ガンナー「へ」とガンナー「から」って部分は一緒って事だな。どっちにしろ独立している職だからスキルや武器の兼用出来ないのがやっぱネックになる。攻撃が当たって固定ダメージさえ通せばDPSは多分最強ではあるんだろうけど、色々含めて不遇って意味がよくわかる。

 そんな事を思っていれば建物内、仕掛け扉の1つを潜ると一気に世界観が変わる。何て言うんだろうな、ファンタジー世界だったのにいきなり日本に引き戻されたって感じ。簡単に言えば思いっきりからくり屋敷だな。

「あーっと、そうだった、最初はこの屋敷をクリアしないと行けないっす」
「それって、こういう事か」

 明らかに裏道であろう所に進もうとすると透明な壁に阻まれて進めない。どうにか突破出来ないかウサ銃の銃剣で何度か突いてみるが、システム的にこれは弾かれてるわ。

「ずるはダメっすよずるは」
「って言うかこれどういう事なの?」
「うん?二次職になる為のイベントみたいなもんっすよ、ガンナーの時にもなかったっすか?」

 言われてみればあったな。
 鉄扉見つけて、入る資格を手に入れてからと言った感じだったのはそうだったわ。

「……謎解きに続いて、からくり屋敷の攻略とはなあ……」
「答え教えてもいいんすけど……それは面白くなさそう何で言わないっす。対人イベントの時の仕返しって事で」

 そういえば遭遇すぐにどてっぱらにショットガンかましてたわ。
 まあ、それでもギミックのあるダンジョンってのは初見で突破するってのが礼儀ってもんか。

「さっさと突破してくるわ」
「うい、ファイトっす」

 もうちょっと楽な職でも良かったかもしれんなあ。
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