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10章
275話 振り出しに戻る
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闘技場システムすげえ優秀。
消耗品は減らないし、HPもMPも回復いらず、死んでもデスペナも無いし、負けても勝っても闘技場で使える専用ポイントも貰えるしで悪い事無し。
ただレベルは上がらない上に、対人って部分が足を引っ張っている感じもある。元々がPvEをメインとしたゲームだから対人バランスってのはそこまで良くはない。
おしゃべり忍者と別れて、対人で投げ物や忍者刀の使い方を習熟するため、こういったジャンルでは一般的に言われる『野良』と言われるもので対人を繰り返したのだが、ランダムマッチングの関係もあって思い切り強い奴と当たる場合も多い。
一応カジュアルマッチと言うランクには関係ないルールでやってはいるから勝敗にそこまで影響はないが……負けるってのはあんまり気持ちのいいもんじゃないわ。
「これで47戦3勝41敗3引……っと、強いのに当たるとなすすべなくやられるのがなあ……」
闘技場の待機部屋で貰った苦無を手遊びしつつ、戦績を確認。
やっぱりこのゲーム、スキルあってなんぼだし、単純に手数の多さが勝ちに直結している。対人イベントの時やこの間の紫髪の時もそうだったが、私の使えるカードが忍者の状態だと0なので、立ち回りでカバーして……って事もあんまりできない。
3勝出来たのもたまたま私より弱いのと当たっただけなので、普通にスキル揃えてちゃんと育成してる奴が相手だと負ける。
「それにしたって負けてんなあ……」
こんなに負けると本当にやる気が失せる。戦うのが好きだから勝敗を気にしないって奴もいるけど、んなわけないだろって思うわ。
「覚える為と節約の為とは言え、いい気分ではないし、素直にモンスター倒してた方が良かった気がする」
結構な本数の手裏剣と苦無を投げまくったのにまた投擲と打剣のスキルは出てこない。ついで言えばちょいちょい使っている忍者刀に関係するスキルも特に無し。
ゲーム開始の時はスキルがあろうがなかろうが問題ないのは当たり前だが、有ったら便利ってのを知っているからこその不便よな。
「またここでおしゃべり忍者呼びつけるのもなあ……投げて振れって言われるだけだろうし」
累積解除にコツもクソもないって言われるだけなのは目に見えている。強い敵を足したらカウント2が入る、なんてことも聞いた事が無いし、マスクデータの1つなんだろう。一応専門職だと思うので、ガンナーで投げたりなんだりするより習得までは速いんだろうけど。
「しけた顔してんな」
「やる事の先が見えないからしけた顔してんのよ」
それにしてもそんなにしけた顔をしていたとは。どうも何か上手い事がいかないとそういう顔をしてしまう。と言うかそんな表情まで読み取れるこのゲーム凄くねえ?
「いつもの木工仕事はどうしたんだ?」
「終わったから来てんだろ、それこそてめえも闘技場なんて興味ないですーって顔してたくせにどうしたんだよ」
「サブ用のスキル増やしてるのよ……まー、負けまくりでちょっと気分がねー」
猫耳がにやにやとこっちを見ながらへーっと言っている。
「じゃあ俺様とやろうぜ?」
「やーよ、あんた木工のくせに強いし」
「いいだろ、可愛いクラン員の頼みじゃねえか」
これは確実に私の事をカモにする気満々だな。いつもと言うかのらりくらり良い様に扱われているって感じている復讐でもあるか。
「当たり前だけど、銃使わないわよ?」
「てめえのことボコれるなら構わねえよ」
「そういう正直なところは嫌いじゃないわ」
紫髪がやったように部屋を立て、とりあえず3本勝負、その他細かい設定をしてから戦闘開始。
「あー、すっきりした……やっぱ銃つかえねーとよえーな?」
あっという間に3タテ貰ってすぐ決着がついた。
生産系の戦闘だからって舐めたわけでもないし、猫耳がかなり戦闘に寄っていたのは知っていたが、反撃する事も殆ど出来ないとは思わなかったけど。
「素直にガンナー専売の方が強くねえか」
「そりゃそうよ、一番自覚してんのは私なんだから」
ふいーっと息を吐き出してから丁度あったベンチに座って休憩。
投げた物は全部弾かれるわ、まともにあいつの斧を刀で受けたらへし折れてそのまま吹っ飛ばされるわ、何一つ通じないって言う、まさにフルボッコ状態。これが顔も知らないどこぞの奴にやられていたら速攻でガンナーに切り替えてボコり返している所だわ。
「やっぱガンナーで相手してやった方が良かったか?」
「あー……トカゲの奴がうぜーから無しだわ」
そういえばあいつ強かったな。
「そのトカゲ野郎って確か闘技場のランク1位だっけか」
「いや、今は10位まで落ち込んでるぜ?ガト対策ガチガチにされてちょいちょいランク落としてっからな」
「ふーむ……あいつもこの辺が正念場よね」
メタられると弱いからなあ……弾幕張って近づかれる前に片付けられないとカモでしかないのを考えれば、未だに上位にいるってのは褒める所。しかもあいつってガンスミスだから生産職だし……ってのを加味したら随分頑張っている方なんだけど。
「ポンコツとトカゲはサブ何取ってるか聞いても良かったわ」
「他人の事よりてめえだろ……で、スキル覚えたのか?」
「いや、ぜんぜん?」
「当てて倒さないと意味ねえんじゃねえのか」
あー、可能性はあるな。50戦で20発、単純計算で1,000発、500発ずつ手裏剣と苦無を投げまくったけど、直撃してるってのはもっと少ない。やっぱり猫耳が言う様に当てて倒すって可能性は高いか。
「そうなるとまずは手裏剣と苦無のレシピ手に入れて量産するか、買うかだな……自作した方が安上がりにはなりそうだけど、結果的に数作って投げまくって、倒しまくるのは変わらんか」
どうやって数を揃えるかってのを唸りつつ考えていると、猫耳の奴が大きくため息を吐き出してこっちに近づいてくる。
「つーか俺様のボスなんだからいつもみたいに不敵に笑って楽しめよ、面白くねーぞ」
座っている私の背中をげしげしと蹴ってくる。
楽しんでいないというわけではないが、傍から見たらそう見えるって事か。確かにちょっと負けも続いていたわけだし、弾切れさせないって点でも数は揃えた方がいいか。
そもそもガンナーで残弾が重要だって散々言ってきたのにこの体たらくとは。闘技場の消耗無しって言う所に目を付けてたけど、そもそもの数を増やせばいいわけだ。とりあえず立ち上がって伸びつつ猫耳をわしゃってやる。
「てめえの撫で方、雑なんだよ!」
「はいはい、さーてと、久々に泥臭くゲームするとするかな」
「おーおー、とっとと行けよ」
髪の毛整えながら悪態を付き、さっさと行けというように手を払ってくる。今度は両手でわしゃわしゃしてやるかな。
さて、とりあえず手持ちの弾を増やすってのは大事なので忍者ギルドに。
受付で手裏剣40枚、苦無40本購入したうえでレシピも購入。1本100Zだし、レシピは1,000Zだったわけだけど、これなら買った方が良いかもしれんな、いちいち時間を掛けて作るの結構手間だし。
とりあえず 投げ物の数は揃ったし、戦う場を闘技場から北エリア1-1に切り替えるだけって話なんだけどさ。
「やっぱゲーム開始時を思い出すなあ……あの時も兎と鼠にボコられたっけか」
このゲームを始めて1ヶ月で新しい事をしているはずなのに、初めたての様な事をするとは。
消耗品は減らないし、HPもMPも回復いらず、死んでもデスペナも無いし、負けても勝っても闘技場で使える専用ポイントも貰えるしで悪い事無し。
ただレベルは上がらない上に、対人って部分が足を引っ張っている感じもある。元々がPvEをメインとしたゲームだから対人バランスってのはそこまで良くはない。
おしゃべり忍者と別れて、対人で投げ物や忍者刀の使い方を習熟するため、こういったジャンルでは一般的に言われる『野良』と言われるもので対人を繰り返したのだが、ランダムマッチングの関係もあって思い切り強い奴と当たる場合も多い。
一応カジュアルマッチと言うランクには関係ないルールでやってはいるから勝敗にそこまで影響はないが……負けるってのはあんまり気持ちのいいもんじゃないわ。
「これで47戦3勝41敗3引……っと、強いのに当たるとなすすべなくやられるのがなあ……」
闘技場の待機部屋で貰った苦無を手遊びしつつ、戦績を確認。
やっぱりこのゲーム、スキルあってなんぼだし、単純に手数の多さが勝ちに直結している。対人イベントの時やこの間の紫髪の時もそうだったが、私の使えるカードが忍者の状態だと0なので、立ち回りでカバーして……って事もあんまりできない。
3勝出来たのもたまたま私より弱いのと当たっただけなので、普通にスキル揃えてちゃんと育成してる奴が相手だと負ける。
「それにしたって負けてんなあ……」
こんなに負けると本当にやる気が失せる。戦うのが好きだから勝敗を気にしないって奴もいるけど、んなわけないだろって思うわ。
「覚える為と節約の為とは言え、いい気分ではないし、素直にモンスター倒してた方が良かった気がする」
結構な本数の手裏剣と苦無を投げまくったのにまた投擲と打剣のスキルは出てこない。ついで言えばちょいちょい使っている忍者刀に関係するスキルも特に無し。
ゲーム開始の時はスキルがあろうがなかろうが問題ないのは当たり前だが、有ったら便利ってのを知っているからこその不便よな。
「またここでおしゃべり忍者呼びつけるのもなあ……投げて振れって言われるだけだろうし」
累積解除にコツもクソもないって言われるだけなのは目に見えている。強い敵を足したらカウント2が入る、なんてことも聞いた事が無いし、マスクデータの1つなんだろう。一応専門職だと思うので、ガンナーで投げたりなんだりするより習得までは速いんだろうけど。
「しけた顔してんな」
「やる事の先が見えないからしけた顔してんのよ」
それにしてもそんなにしけた顔をしていたとは。どうも何か上手い事がいかないとそういう顔をしてしまう。と言うかそんな表情まで読み取れるこのゲーム凄くねえ?
「いつもの木工仕事はどうしたんだ?」
「終わったから来てんだろ、それこそてめえも闘技場なんて興味ないですーって顔してたくせにどうしたんだよ」
「サブ用のスキル増やしてるのよ……まー、負けまくりでちょっと気分がねー」
猫耳がにやにやとこっちを見ながらへーっと言っている。
「じゃあ俺様とやろうぜ?」
「やーよ、あんた木工のくせに強いし」
「いいだろ、可愛いクラン員の頼みじゃねえか」
これは確実に私の事をカモにする気満々だな。いつもと言うかのらりくらり良い様に扱われているって感じている復讐でもあるか。
「当たり前だけど、銃使わないわよ?」
「てめえのことボコれるなら構わねえよ」
「そういう正直なところは嫌いじゃないわ」
紫髪がやったように部屋を立て、とりあえず3本勝負、その他細かい設定をしてから戦闘開始。
「あー、すっきりした……やっぱ銃つかえねーとよえーな?」
あっという間に3タテ貰ってすぐ決着がついた。
生産系の戦闘だからって舐めたわけでもないし、猫耳がかなり戦闘に寄っていたのは知っていたが、反撃する事も殆ど出来ないとは思わなかったけど。
「素直にガンナー専売の方が強くねえか」
「そりゃそうよ、一番自覚してんのは私なんだから」
ふいーっと息を吐き出してから丁度あったベンチに座って休憩。
投げた物は全部弾かれるわ、まともにあいつの斧を刀で受けたらへし折れてそのまま吹っ飛ばされるわ、何一つ通じないって言う、まさにフルボッコ状態。これが顔も知らないどこぞの奴にやられていたら速攻でガンナーに切り替えてボコり返している所だわ。
「やっぱガンナーで相手してやった方が良かったか?」
「あー……トカゲの奴がうぜーから無しだわ」
そういえばあいつ強かったな。
「そのトカゲ野郎って確か闘技場のランク1位だっけか」
「いや、今は10位まで落ち込んでるぜ?ガト対策ガチガチにされてちょいちょいランク落としてっからな」
「ふーむ……あいつもこの辺が正念場よね」
メタられると弱いからなあ……弾幕張って近づかれる前に片付けられないとカモでしかないのを考えれば、未だに上位にいるってのは褒める所。しかもあいつってガンスミスだから生産職だし……ってのを加味したら随分頑張っている方なんだけど。
「ポンコツとトカゲはサブ何取ってるか聞いても良かったわ」
「他人の事よりてめえだろ……で、スキル覚えたのか?」
「いや、ぜんぜん?」
「当てて倒さないと意味ねえんじゃねえのか」
あー、可能性はあるな。50戦で20発、単純計算で1,000発、500発ずつ手裏剣と苦無を投げまくったけど、直撃してるってのはもっと少ない。やっぱり猫耳が言う様に当てて倒すって可能性は高いか。
「そうなるとまずは手裏剣と苦無のレシピ手に入れて量産するか、買うかだな……自作した方が安上がりにはなりそうだけど、結果的に数作って投げまくって、倒しまくるのは変わらんか」
どうやって数を揃えるかってのを唸りつつ考えていると、猫耳の奴が大きくため息を吐き出してこっちに近づいてくる。
「つーか俺様のボスなんだからいつもみたいに不敵に笑って楽しめよ、面白くねーぞ」
座っている私の背中をげしげしと蹴ってくる。
楽しんでいないというわけではないが、傍から見たらそう見えるって事か。確かにちょっと負けも続いていたわけだし、弾切れさせないって点でも数は揃えた方がいいか。
そもそもガンナーで残弾が重要だって散々言ってきたのにこの体たらくとは。闘技場の消耗無しって言う所に目を付けてたけど、そもそもの数を増やせばいいわけだ。とりあえず立ち上がって伸びつつ猫耳をわしゃってやる。
「てめえの撫で方、雑なんだよ!」
「はいはい、さーてと、久々に泥臭くゲームするとするかな」
「おーおー、とっとと行けよ」
髪の毛整えながら悪態を付き、さっさと行けというように手を払ってくる。今度は両手でわしゃわしゃしてやるかな。
さて、とりあえず手持ちの弾を増やすってのは大事なので忍者ギルドに。
受付で手裏剣40枚、苦無40本購入したうえでレシピも購入。1本100Zだし、レシピは1,000Zだったわけだけど、これなら買った方が良いかもしれんな、いちいち時間を掛けて作るの結構手間だし。
とりあえず 投げ物の数は揃ったし、戦う場を闘技場から北エリア1-1に切り替えるだけって話なんだけどさ。
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