最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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12章

325話 決戦開始

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 ばしゅうううっと大きい排気音をさせてからFWSの銃口を持ち上げる。
 これ準備から発射で30秒って言っていたが、発射後のクールタイム含めると40秒くらいはその場で動けなくなるから、やっぱり威力に対してデメリットがやっぱでかいわ。

『それ、撃つのは良いが予め言ってくれないか?』
『当たってないからセーフだって』
『相変わらず派手なスキルだよねぇ、他に使ってる人見た事ないわぁ』
『回復いれなきゃいけないんですから……もう……』

 ちゃんと射線に入れないようにしているんだから、文句を言うんじゃないっての、まあ当たった所でダメージは無いし、何だったら貫通してモンスターに当たるんだから……って毎回これぶっ放してる時に言ってるじゃん。

「全く……何度も使って見せているんだから、いい加減慣れてほしいわ」

 ガシャガシャと音を立て、砲身を戻してインベントリに放り込んだら、CHとG4を引っ張り出し、FWSで道が開いた所を眺めつつ、くるくると手元でG4を回しながらもう一個決めた。

「このイベント終ったらCH以外の銃を新調しよう」
 
 Lv1から使える銃をLv40過ぎてまで使っているんだから十分元は取った。ロングマガジンやグリップを付けて改良もしてきたけど、もういい加減に限界がきている。ドルイテン以降のマップじゃ費用対効果も悪い。
 近づいてきたモンスターに対してG4で2発速射、エルスタンベースのモンスターで、強化されている代わりにHPを落とされているので、十分太刀打ち出来ている。

「……取り回しは良いんだけど、やっぱ威力よね」

 ポリゴン状に消失していくモンスターの奥、更にこちらに突っ込んでくるのが見えるので、生活火魔法で火炎瓶に着火、接近される手前で足元前方に投げ付けて足止めさせる。
 その間に大筒を足元に2本落として火薬と荒い鉄片をまとめた布を装填、接触してMPを消費すれば刻印の発動が出来るので上に向きに落としていた大筒を撃ちたい方向に足で向けさせてから刻印発動。
 もちろんその数秒後には轟音と共に鉄片がモンスター群に発射されて広範囲を制圧し、辺りに漂う火薬の臭いを胸いっぱい吸い込んで一服。

「やっぱ硝煙の匂いってたまんねえ」

 ふはーっと胸いっぱいに吸い込んだのを吐き出しつつ、近づいてくるモンスターにはG4で2射、倒しきれないときにはCHで追撃し確実に仕留めつつ、足で2本目の大筒の向きを調整。
 装填済みにしておいた方が取り回しもっと良かった、ばら売りしていた弊害が此処に出てくるとは思って……たよ、勿論。
 落として設置、火薬入れて、弾入れて、着火だろ、4工程を2工程にスキップできるのであれば確実にそっちの方がいいって知ってるよ。装填するって事に浪漫があるんだから仕方がない。

『そっちはどうなってる?』
『問題ないな、最後のお祭り騒ぎで数は多いが、大筒で楽に立ち回れてる』
『でもぉ、アカメちゃんが売りまくったから他の人も結構使ってるねぇ』
『自爆してるのも結構いますね……』

 火気取り扱い注意って筒に書いておくってのもありだったなあ。砲口をしっかり撃つ方に向け、しっかり固定しないとあらぬ方向に飛んでいくし、しっかり火薬と弾を押し込まないと自爆する。
 ああ、懐かしいなあ、自爆。いまだにこのゲームでの爆死1号は私だと思っているが、あれがあったからこそ今があるわけだけど。

『流石にエルスタンベースのモンスターだと味気ないわね』

 CHを折って排莢、装填し片手で器用にこなしつつ、近づいてくるのにはG4で2射を繰り返す。そういえば久々に2丁拳銃使ってる気がする。装備もそうだけどスキルもちょっと上げていかないとなあ。
 何て事を考えつつ、火炎瓶で辺りを燃やし、モンスターが真っすぐ来れない状況を作ってからLマガジンを抜いて、通常のマガジンを差し直してから火の壁越しにモンスターの有無を確認。

『こっちはあらかた片付いた』
『流石に北エリアだし、余裕だねぇ』
『大型襲撃と言う割にはいつも通りっぽいな』
『いや、大型ってのはあながち間違いじゃないみたいですよ?』

 火炎瓶の延焼が収まり、辺りを焦げ臭くしている奥、全部片付けたと思っていたモンスターの群れの追加が押し寄せている。ああー、なるほど、大型襲撃ね……つまり、1~4エリアのモンスターがエルスタンに押し寄せるって事か。

「おお、困った……そんなに大量に来られたら頑張るしかないじゃないか」

 インベントリからドスドスっと重い音をさせて大筒を更に3個展開、そのまま流れる手つきで5本の大筒の砲口をモンスター群に足で調整し、火炎瓶で壁を作って迎撃準備を整える。

「わーお、おねーさん本気だねえ」
「私の所に来てもあんたの分は無いわよ?」
「そうかな、順当に行ったら一人じゃ大変だと思うけど」

 そう言いながら横から近づいてきていたモンスターに対して刀を投げ撃破するのを口笛一つ。CHの分一発節約できたわ。

「たまーにいるのよね、火を超えてくる奴」
「耐性持ちだねえ、あと空中にいる奴も一定高度まで上がると使いものにならんかったね」
「意外と弱点多いのよね、こいつ」

 足元にある大筒をブーツの先で小突きながら砲口の位置調整。浮遊相手に対してちょっとだけ対策と言う様に、1砲身を斜め上に向けておく。

「これからエリア3、4のが来るってなら、みんなで固まった方がよくない?」
「そうだなあ、エリア4のモンスターって相手したことないし」

 まだドルイテンをちまちま先に進んでいるだけだし、ヴィエまでの道のりが遠すぎてエリア4以降のモンスターがどれくらいの強さなのかよくわからないんだよな。しかも強化されているし、もしかしたらワンパンで倒されるくらいには強いんだろうか。

「……おねーさん、そんなに楽しみなの?」
「何が?」
「そーれ」

 紫髪が指をさすところ、私の手元で回転しているCHがある。おっと、気にしていなかったが、そんなに楽しそうにしていたか。

『エリア2のモンスター倒したら合流するか?』
『あたしはいいからぁ、ガヘリスちゃんとバイパーちゃんは合流かなぁ』
『ですね……アカメさんの方は?』
『こっちはいい、紫髪が到着したから』
『おねーさんとデートするから、邪魔しちゃうやーよ』

 モンスターを一緒になって狩るという点で言えばデートだが、雰囲気としては血生臭いな、別に流血するわけじゃないんだけどさ。

「マガジンに弾詰めるから前頼む、横は火炎瓶撒くから」
「はいはい、任せて」

 インベントリにG4を仕舞うのと合わせて火炎瓶二つを指で挟んで取り出し、生活火魔法で火を付けてから左右に投げ込んで、正面にモンスターが集中するようにしてからマガジンを取り出してちゃりちゃりと弾を込める。
 マガジン問題もまだ解決してないと言えば解決してないんだよなあ。もうG4にトカゲが使ってるようなボックスマガジン、ドラムマガジン系の大容量の物でも作らないと……ってあれを作るのはゼンマイがいるんだったかな。

「準備完了っと……そっちは?」
「余裕過ぎてへそで茶が沸けるね」

 足元に色々な刃物を刺し並べ代わる代わる使い、正面に集中してくるモンスターをバタバタと薙ぎ払っている。あれくらいの動きをポンコツも出来ると思うと、やっぱり私も近接射撃できるようにするのも有りだよなあ……うーん、銃の改造案も何かあればいいんだけど、ネットで実銃探して再現する?ってのも何となくだけど芸がない気がする。

「っと、そっち行った!」

 前にいるので大筒は使えないのでG4で2射、体勢が崩れないのでさらに2射追撃してからのCHで1射……の前に、消失していく。エリア2で耐久が倍になるってのを考えると、エリア3と4の相手はG4じゃ6発、8発?下手したら8発、16発前提の可能性もある。
 HPが低下してるから倒しやすくなってはいるがやっぱり格好がつかないわ。

「このまま行くと持久戦かあ……弾足りなそう」

 また火炎瓶の火が収まってきたので紫髪を少し後ろで投げ物で援護射撃、カットインできない場合にはCHで一撃。
 
「どうする一回戻る?」
「まあ、弾切れしても立ち回れる様にはしてきたし、エリア進めば数は減る仕様だから大丈夫だと思う」
「エリア3の襲撃で集合するならバイパーとももえもいるし持ってきてもらえば?」
「前者は自分で使う分が多いから何とも言えないけど、後者はいつくるかわかんないって」
「なるほどー……忍者刀と投げ物で立ち回ってみれば?」
「それも、ありねえ」

 そういえばすっかり忘れてたけど、そういう手もあるんだったな。
 だけど、そんな事よりやる事があってだね。

「ま、並の相手ならこれで十分だから」

 紫髪に下がれと合図し、その合図を悟って此方に下がった所で大筒発射。よく見れば地面も結構鉄片刺さったり、抉れたりして足場が悪くなってきた。

「雨降ったら一発だよねー」
「ああー、湿気ると死ぬってのも弱点だった」

 やっぱり銃弾のような形にした方がいいかな。

「ま、本番はエリア3からの敵だから、この辺は流していこう」
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