最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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16章

402話 すんなりとは倒せない

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『サンダースさん、もうちょっと手際よくやってくれないと、囲まれます』
『自分、そこまで戦闘が得意ではないので!』

 パラパラと軽い乾いた音をSMGからさせながら向かってくる中型の狼に向かって連射し、さくさくと倒していく。と言っても先にアオメがSMGの射程に入る前に撃ち、自分たちの方に攻撃を向けさせている間に細かくダメージを入れたり、牽制を入れて囲まれないようにしつつ、1匹1匹倒せるように意識している。

『リロード入ります』
『了解ー!』

 サンダースの後ろでアオメがマガジンを落とし、ポーチから新しいマガジンを入れているのをカバーするために、周りにSMGをばら撒き続ける。そしてサンダースの装填タイミングは同じようにアオメがカバーし合い、雑魚を散らしていく。
 
『それにしてもアサルトライフルって良いですね!両手持ちなのがネックですが!』
『火力は高いですよ、装弾や両手持ち等のデメリットはありますが……右に2』
『色んな銃が実装されてるので集めるのも大変なんですよね!』

 言われた通りに右に来たのに集中して撃ち込み、1体倒して1体足止めした所でインベントリからパイプ爆弾を取り出して、撃っていた方向と逆側に投げて爆破。爆風で流れてくる土煙やぱらぱらと振ってくる土砂も気にせずに一旦二人揃って装填して移動を開始する。
 
『そういうのを投げる時には一言欲しいんですが』
『何ともなければ事後報告で十分と言われましたので!』

 吹っ飛ばして視界の悪くなった地点から少し離れて、大型の狼と相対している2人が視界に入る位置を取りさっきと同じようにサンダースが前、アオメが後ろでの陣形で中型狼の相手をし続ける。

『上手い事こっちに雑魚が来ますけど何か条件があるんでしょうか!』
『うーん、ボスの獲物には手を出すな……と言った感じですね、あそこだけはかなり熾烈にやっていますし』

 ちらりとボス相手に戦っている2人を見てあそこの中には入れないとため息を吐きだしながら、襲い掛かる中型の狼を引き受け続ける。

『それにしてもこっちはこんなに楽でいいんでしょうか!』
『アカメさんなら……きっと、後ろは任せるって事なんですよ』

 土煙が張れ、吹っ飛ばしたところから追加の狼が来るのをアオメが牽制を入れ、足止めした所で軽く接近してSMGで追撃。言い合いもせず、バチバチでもない2人なのである程度どんな感じかの感触を確かめれば淀みなく連携が取れている。

『向こうは向こうで大変そうですね』

 ボスの咆哮が響くと共に楽しそうな声が響く。





『おらぁ、こっち見ろぉ!』

 2丁リボルバーでボス狼に向けて撃つシャールを前にし、その後ろでPウサ銃で援護射撃。大きく顔を振って両刃剣を振るうので、その攻撃の勢いを少しでも減らすために射撃。前に関してはシャールがいるので問題ないが、大きく振ってくる攻撃は流石に受けきれないとの判断だ。

『突っ込み過ぎるなよ?』
『分かってらぁ!』

 クリップを弾き飛ばし、次の弾を入れながら状況を確認し続ける。中々にこの狼の攻撃バリエーションが多い。普通に咥えている両刃剣を振るってくる、体躯を生かして突っ込んでくる。咆哮で衝撃波、普通に爪で切りかかる、尻尾を振って薙ぎ払い……どこぞのモンスターをハントする奴みたいだ。

『前行くぞ!』
『はいはい』

 ぎゅるっとボスが一回転して薙ぎ払いをした後の隙に合わせてシャールが1丁目の6発装填リボルバーを叩き込みながら前進。そのまま撃ち切ったリボルバーとスイッチして弾が残っている方で追撃しつつ、ガンベルトに沿って空になったリボルバーの弾倉を滑らせ回転させるとすぐに装填完了。あれ私もやってたな。
 こいつの動き方を暫く見ていたが、私がやっていたことをやっている感じがある。リボルバーの装填方法もそうだけど、銃受けのやり方もかなり似ている。
 
『右から来るぞ』
『ああ!?』

 攻撃後の隙を狙って前に出ていたシャールに向けて注意喚起。それと共に爪の攻撃を銃を構え防御を固めて受けるのだが、シャールの体が吹っ飛ぶ。
 2、3度バウンドして私の近くまでゴム毬のように跳ね飛ばされるので、インベントリから設置式タワーシールドを出して転がって動けないシャールの所にゴシャっと音を立てて置くと共に、ポーションも近くに投げておく。

『回復するのとそれを立てて障害物を作れ、回復するまで前に出る』
『クソ、すぐ戻るっての……!』
『良いからしっかり体勢整えろ』

 Pウサ銃を近くに突き刺し、アデレラと忍者刀の二刀流に持ち替えてからボス狼と接近戦で対峙する。サイズ的には、10tトラックくらいかな。結構でかいし、機敏。こいつに跳ねられたら異世界じゃなくて死に戻りしてしまうわ。

「そういえばボスクラスと戦うのは久々だ」

 煙草を咥え、火を付けない状態で煙草をぷらぷらと上下に揺らしながら目の前のボスをじっくり見ながらどう攻めるかを考える。4足歩行で両刃剣を咥えて接近したらしっかり剣で攻撃してくるし、足元に潜らせてくれない……と言うか、ガンナー足じゃ足回りに潜りこむのはリスクがありすぎる。撃破出来ればいいが……ま、時間稼ぎで良いだろう。
 何だかんだで後ろで良い感じに連携を取っているサンダースとアオメは上手い事、中型狼を倒しまくっているから、そのうちこっちに合流出来るだろう。シャールの方は回復なりを整えたらすっ飛んでくるだろうから、それまで抑え込めれればいいな。

「さてと、後は覚悟を決めるか」

 忍者刀を逆手に持ち、腕をクロスする様に構えてアデレラで2発ほど。その銃撃を器用に両刃剣で弾き、こっちに走り込んでくるので、3発さらに追撃。防御らしい防御はせずに銃撃を食らっても気にせず、減速もせずに攻撃をかましてくる。
 して、私の目の前で大きく飛び、前足での爪を振り下ろし攻撃をしてくるのでガンシールドを構えた状態でバックステップ。斬撃が目の前を掠めて、さっきまで立っていたところを抉り取る。

「あんなの食らったら一発か」

 ただこいつ、攻撃一回するたびに、プレイヤー側に攻撃してくださいと言う様に隙が生まれる。流石に理不尽に攻撃連打してきて殺しにかかるって事はしなかっただけ温情。ガンナーの耐久だと一発貰うと瀕死になるってのはあるが。

 勿論その隙を見逃さずに残った3発を撃ち込み追撃。ビッ、ビッと当たっている音を聞きながら、手首を捻ってアデレラのマガジンを飛ばし、すぐに新しいマガジンを入れていると、次の攻撃が飛んでくる。決まった行動をループするかと思ったらそうでもないっぽいな。
 頭を振って両刃剣の攻撃が飛んでくるので忍者刀と体、尻尾を使って攻撃の威力を少しでも和らげるが、攻撃自体の重さがかなりあるのでシャールと同じように吹き飛ばされごろごろと転がる。

「やっぱり直撃したら一発だわ」

 尻尾を立て、転がりの勢いを殺し、すぐに起き上がって煙草の先を揺らして一息。

『まだ回復できないか!』
『今行くっての!』

 ポーション飲んで回復を入れたい所だけどそれをしている間に、向こうが攻撃をしてくる。正直あいつの攻撃を避けられるのは距離がある状態じゃないと無理だ。ガンシールドと忍者刀で受けは出来るがダメージがきつすぎる。防御もHPもそこまで高くない私が3個も防御手段使ってようやくって、火力高すぎるだろ。

『こっちに合流する時火持ってきてくれ』
『馬鹿かよ!』

 転がった分の距離を詰めてくるので、またアデレラで牽制射撃……ではなく目の周辺を本気狙い。横からシャールが走っているのが見えるので、こっちに攻撃目標を向けさせつつ、攻撃が直撃しない様に目つぶし狙い。
 流石に走っている獣で、なおかつ獲物を持っているからなかなか当たらないが何発かは近くに当たったのか、少し寄れた走りになるので、ぎりぎりまで引き付けつつ射撃してから横っ飛び。さっきと同じように立っていた位置から横にずれた所の地面が抉れるのを尻目に、シャールと合流。

『次やったら自分で尻拭いだぞ』
『分かってるって言ってんだろ!』

 まだまだ楽しめそうじゃないか。
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