最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
445 / 625
16章

415話 合体変形

しおりを挟む
 相変わらず特に何かしらの変化も無くボスエリアらしいところで立ち往生。
 サンダースが前回と同じようにせかせかと他のプレイヤーに取り入って情報を聞いている間に、私らは私らで辺りを調べまわる。それにしてもこういう事ばっかりやってるな……って事も毎回毎回思ってるわ。

「なんかあったか?」
「何も」

 組み合わせ的に何かあった場合に前後で戦えるように、パーティ内でも3分けしている状態。シャールアオメの組み合わせと、私とベギー、サンダースはあっちこっち行ってるので単独行動中。

「こうも何も無いと逆に怪しすぎるわ」
「ボスの出現位置がエリア中央って感じはあるけど」

 中央だけやけに広がっているというか、何もない所が多いので怪しいと言うだけだったりする。上から湧いてくるからと思って空を見てみるが、特に其方にも無いし、ここでがっつりと足止めになる。何にも手掛かりがないってのも中々やらしい。さて、どうしたら良い物か。

「それでどうするの?」
「倒した敵が残ってたってのもキーっぽいんだけど、なんとも言えんわ。少しくらいヒントがあれば良いんだけど」

 残り10本を切った煙草を咥え、上下にぴこぴこと揺らしつつどうするかなと考える。流石に他の連中と違ってすぐに火を付けてくることは……あったわ。ガンナーが生活火魔法を覚えるのってそこまで必須じゃないと思うんだが、覚えているの多いんだよな。
 そもそも私がこの生活火魔法を覚えた理由って何だったかな。火縄銃だったり、グレネードを使う為だったかな?いや、煙草吸う為か。ロールプレイってのも大変だわ。吸引出来る回復アイテムの開発するのに調合スキル伸ばすのもありだな。

「なあ、リアルでも煙草吸うのか?」
「ぜーんぜん、ゲーム内でも効果も無いし、風向き気にするほどの遠距離射撃も無いけど」
「けど?」
「銃と煙草ってセットで使うもんでしょ」

 どこぞの後ろを取られたら嫌がる殺し屋だったり、常に帽子を被ってる早撃ち0.3秒のガンマンだったり、タイの辺りにある犯罪都市の連中もそうだけど、とにかく銃と煙草って浪漫があるから、どっちかっていとロールプレイの一環なんだよな。文字通りと言うか、狙い通りに私と言えば銃と煙草ってイメージが付いたし。

「アカメの咥えた煙草に火を付けるって、知ってるプレイヤーからしたら、かなりの憧れですけど」
「どこのアホがそんな事言い始めたんだ」

 そう言われても困るが、悪い気はしないので良しとしよう。
 そんな事を思っていたらサンダースの奴が戻ってきて情報をまとめて持ってくる。

「やっぱりボスの出現に関して特に分かった事はないですね!」
「ヒントらしいものもか」
「雑魚が怪しいと当たりを付けて倒しまわっているパーティも居ますけど、進展はないらしいです!」

 やっぱりか。
 雑魚に関しては私も怪しいと思っているけど、何がキーになっているかが分からないから手の出しようがない。そう考えるとやっぱりトータルの撃破数が関係してくる?ただ、私達よりも先にプレイヤーがいたってのを考えれば結構撃破数は稼いでいると思う。だから、その条件でならもう十分な数を倒している……倒している?

「あのゴーレム、消えた所見た奴いるか?」
「見ていないが、機能停止したらそれで問題ないんじゃ」
「そういえば消えたってのはないですね!」

 本当はあのまま機能停止した後に、殴りまくって倒さないといけないモンスターだったり?でもその場合のメリットとデメリットはなんだ?機能停止後に復活するのがメリットではあるけど、復活したからって言ってもまた倒すだけだし、そこに意味はあまりない気がする。
 
「私の悪い予感って大体当たるって前提で聞いて欲しいんだけど」

 紫煙を吐きだしてから煙草を咥えたまま、忍者刀の鞘鐺で地面にがりがりと線を書いて行く。

「あくまでも予想だけど、大前提としてあのゴーレム群は倒せていなかったのが1つ。して倒したと思わせる、消耗をさせるのが目的で、ボスエリアに誘導」

 くるりと中央に円を描いてから、周りにぽつぽつとくぼみをつけていく。

「して、このゴーレムの特性が一定範囲内のプレイヤーを探知、それと合わせて攻撃を貰っているゴーレムへの増援掛けつけ。プレイヤーは倒したと思ってボスに一直線」

 くぼみの何個から円に向かって矢印を引く。

「倒されたゴーレムはそのまま復活し、増援か、一定範囲にいるプレイヤーに向かって更に進軍」

 何も触っていなかったくぼみから更に円に向かって矢印を引いて。

「プレイヤーは倒したと思っているからボスエリアにまっしぐら……そうなると、マップ中央にもあるこのボスエリアに雑魚もプレイヤーも大集合、みんなで仲良くボス戦開始、ひたすらに強いボスが出現して大苦戦ってのが想定していた悪い予感」
「良い予感ってのはなんですか!」
「この想定が当たってボス戦が開始されるってのが良い予感」

 そんな話をしているといきなりビービーと警告音のような物が発される。
 音の発生源をすぐさま探りつつ、上下左右辺りを見回している時にシャールとアオメも合流する。

『やっぱり何にもねーぞ、つーかいきなりなんだよ』
『何の警告音ですかね……?』

 明らかに何か出てきますって合図だろうけど、何だろうな。
 辺りは特に問題ないし、出てくるとしたら上か下か、流石にいきなり異次元から出現って事はないかな?なんて思ってたら異次元から何か出現してくるんだから期待をあっさり裏切ってくれるよね。出てきたのは毎度お馴染みの様にはっ倒してきた小型ゴーレムだが、今まで出てきていたのとは色が違って少し黒い感じか?ちなみにベースの色は薄い茶色のような物になっている。

 他のプレイヤーはアホ面……って言うのは言い過ぎだな、ゆったり出現した色違いのゴーレムを眺めている。ので、先手必勝。色違いを視認し、アデレラを抜いて速射。マガジン内の8発全てを叩き込んで、速攻撃破。って事はいかずに、バリアのような物で弾かれちゃりちゃりと弾丸が落ちる。

『アカメさん様子見ってのは!』
『する前に倒せば全部良いだろ?』

 いきなりの銃声で私のパーティ含めて周りのプレイヤーが引いている間に、バチバチと何かしらのバリアのような物を発しつつ、ブザーのような警告音はいまだに鳴り響いている。
 その様子を見て軽く舌打ちをしてマガジンを入れ替え、グレネードに煙草の火で着火、すぱっと投げつつ距離を取る。当たり前だけど爆破でもノーダメージなので変化無し。

『ボス出現前に倒すのはNGか……前は通用したのに』

 そろそろグレネードも無くなってきているし、無駄な銃弾も撃てないから速攻を狙ったけどそんな事は許しませんって感じだ。そうしてとりあえずなすすべ無しなので状況を見つめてどうなるかを見守る。
 
『エリア外から何か飛んできてますね!』
『他の所からもわらわら湧いてきてるぞ』
『合体は浪漫』
『僕らのパーティは浪漫ばっかり求めすぎでは?』

 気が付けば辺りから小型、中型、大型のそれぞれのゴーレムが色違いのゴーレムに集まっていき、1体のゴーレムになっていく。

『やっぱりちゃんと消失するまでモンスターを倒すのって大事だよな』

 合体ロボやゴーレムと言えば世代によって色々変わるよなあ。いまだにシリーズが続いているツインアンテナのだったり、スーパーロボットって言われるごつめのタイプもあるし、人型にかなり近づけたものとかもあるし?目の前で合体したのはどっちかって言うと、バリってるスーパーロボット系のゴーレムなんだけど。肝心のボスの特徴は小型のゴーレムが随所にくっついているから、ビーム発射口がかなりあるって所だ。大きさも20~25mくらいはあるっぽい。

『ホンコン辺りでビルからのっそり出てきそうだ』
『それじゃあ大型輸送機で体当たりしないと駄目ですよ!』
『……何言ってんだ?』
『分かる人にしか分からないネタ』
『弱点は頭部か胸部でしょうけど、相手するのは骨が折れますね』

 しっかり人型だし、でかいし、雑魚の感じから言えばビームでの遠距離攻撃が主体なんだろうな。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?

今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。 バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。 追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。 シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。

処理中です...