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19章
491話 結局暴れてる
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「なーんか、嫌な予感がするっす」
「もう、森に着く」
「っていうかやけに焦げ臭いっす」
ぶっ続けで走り、適度に敵に嫌がらせをしながらここまでやってきた二人。双子の片割れを先に回収……ではなく、当初の予定通りにどうにかこうにか松田を回収しに来たのだが、様子がどうもおかしい。
「うーん、調合周りのスキルは博打が過ぎるって聞いていたっすが……ここまでとは」
「……本当に、生きてると思う?」
「生存力は高いらしいっす、後は本人次第っす」
一応昼間の設定なのに空が赤くなっている森のほうを見て2人そろってため息を吐き出す。森のほうへ近づけば近づくほど、ぱちぱちと弾ける音、ごうごうと何かが燃える音が大きくなっていくのはなかなかに壮観。なんてことを言ってられないほどに延焼している。
「……ここまで来てあれっすけど、引き返したほうがいい気がしてきたっす」
「それは今更」
「そうっすね……」
もう一度2人揃って森の方を見れば焦げまくったプレイヤーがばたばたと蜘蛛の子を散らすように逃げてくるので、これ幸いと2人で毒付与したり吹っ飛ばしてがっつり漁夫。そんなことをしながら先に進み、松田を探すわけだが、森事態の延焼がかなり広がっているうえに、息をするのさえきつかったりする。
『おーい、いるっすかー』
『おぉ、ヤス殿!助けてください!』
遠距離で会話ができる時点である程度の範囲内にいるのは確定したが、この森の状況でよく生きているなんてことを思われていたりする。
『さっさと合流しよう』
『どこにいるっす?』
『まだ燃えてないほうの森ですな!』
つまり、ヤスとエルは燃え盛る森の中を突き進んで、まだ無事な森の方に行かなければならない。かといって回り道をするには距離がある上に、時間がかかるほど森が炎上していく。大体こういうのをやるのはアカメだと思っていたのだが、同じようにやばいのがいるのは流石のヤスも想定外だったかもしれない。やばいって噂は聞いていたのだが、これほどとは、といった感じだ。
「煙臭いのは苦手」
「文句を言ってもしゃーないっす、とにかく先にいくっす」
回収しろと言われたからには回収しないわけにはいかない、ただ無理してこっちまでやられたら仕方がない。本当だったら一人のためにここまでするのはかなりリスクがあるが、回復役がいなくなるのは長期戦になるかもしれない予選では致命的だ。
「……姉御ならもっと燃やしてるだろうから、マシっす」
放火じゃなくて爆破魔の可能性のほうが高いが。
「さて、どうするかね」
「喧嘩、売りすぎ」
「食べ残しはいけないからのう」
アルを背中にしたまま、関口が飛んできた雷を切り裂く。そしてすぐに納刀し、移動しながら次の攻撃に対処。街中を突っ切ろうとして失敗し、大規模な戦闘に巻き込まれて二人でどうにか対処中。
「どこかで一旦息入れないと、MPが足りない」
「そうじゃの……一つ風穴を入れるかね」
四方八方から飛んでくる攻撃を最小の動きと攻撃動作で落ち着くまで凌いでから、溜めて、一閃。ばっくりと逃げ道のほうに斬撃が飛ぶと、そっちの方へと風魔法を使っての加速で進んでいく。でかい攻撃とはいえ、防御してくるものはいる。
攻撃を防ぐ大きい音、それと合わせていきなり割れるような音を聞き、すぐに足を止めると、透明な斬撃が二人を襲う。
「ガラス片か?」
「魔力バリアを転用しての、攻撃……あんまり見ないね」
「これだから、このゲームはやめられん」
頬の傷から垂れてくる血をれろっと舐めてから関口が楽しそうに、追撃を打ち落としていく。暫くそれをやれば攻撃の手が止まるので、バリアを張っていた奴と対峙する。
「どう思うか?」
「見たことないタイプ、強いね」
「無理して爺に付き合わんでもいいぞ」
「分の悪い賭けは、しないから」
「良い返事じゃ」
びゅっと居合からの飛ぶ斬撃。びしっと音を立てて透明な壁にはじかれると、それの反撃で透明な刃が飛んでくるので、それを叩き落して一息。
「……わかった?」
「何がじゃ」
「じゃあ、言わない」
そこまで考慮しなくてもいいと、相手の魔法使いとにらみ合いが始まるのだが、どちらもぴたりと動きが止まる。
「なるほど、そういう事か……じゃあ、行くとするか」
「そう、だね」
また風魔法を使い、加速、ではなく跳躍であっさり飛び逃げる。さっきの防御兼攻撃がカウンターありきのものだというのがわかったので、ここはさっさと逃げの一手。余計な戦闘はしなくていって事だ。余計な戦闘で消耗するのは現状よろしくないので、避けられるのなら避ける。と、行きたい所なのだが、倒せるのなら倒したいというのが戦闘狂というもの。
アルだけ先に建物に残して、関口はそのまま魔法使いと対峙してにんまりと笑う。
「しかし、爺の楽しみはこれでな」
ぴっと指を構え、隠れていろと言うように合図を出してから関口がわざと遠距離攻撃を繰り出し、防御からの反撃。それを叩き落しながらじりじりと近づいて一閃。またガシャンと割れるような音が響くと、にやっと笑い、一歩踏み込んでさらに一撃。手ごたえありと楽しそうにすると共に跳躍。
「ふむ、風魔法を覚えるのもありじゃの」
「Agi上げるって選択肢は?」
「十分上がってるからのう」
穴に潜らされて暫く、銃撃音をメインに様々な音が響く。
爆発音、斬撃音、炸裂音、一番聞こえるのはアカメさんが吠えているのが多い。ちょっと勇気を出して前に出ようと思っても静止され、とにかく出るなと釘を刺される。景色だったりモンスターの造形を楽しみたいから防御を特化して周りを気にしないようにしたけど、何でかわからないけどとにかく防御力が強いトッププレイヤー、そんな感じの扱いをされている。
あんまり攻撃も得意じゃないし、口下手なので全くと言っていいほどパーティでも行動してなかったのに、いきなり誘われてこんなところに放り込まれて……事前に説明はあったけどこんな事になるとは思ってなかった。それを考えてなのか知らないけど、アカメさんが戦うの禁止と言ってこんな穴倉に閉じ込めたんだけど、それが優しさなのか厳しさなのかよくわからない。
【まだ、だめ?】
【いいから、そこにいろ】
ずっとこれ。巻き込んだのは私だから、つらいことはさせないって一点張り。こんなにも強情な人って見たこともないし、付き合ったこともない。別にそこまで気にしなくてもいいのに、気にしすぎてるような気もする。
【気にするなって方が、無理ですよう……】
【わかってるって言ってるだろ!】
そういわれると大きく爆発音が響く。
ひたすら戦闘音が響く中での爆発、それが起きるたびに少しの静寂が訪れ、また戦闘音が響く。とにかくこれが続いている。早く誰か助けに来てほしい。私じゃなく、アカメさんに。
「もう、森に着く」
「っていうかやけに焦げ臭いっす」
ぶっ続けで走り、適度に敵に嫌がらせをしながらここまでやってきた二人。双子の片割れを先に回収……ではなく、当初の予定通りにどうにかこうにか松田を回収しに来たのだが、様子がどうもおかしい。
「うーん、調合周りのスキルは博打が過ぎるって聞いていたっすが……ここまでとは」
「……本当に、生きてると思う?」
「生存力は高いらしいっす、後は本人次第っす」
一応昼間の設定なのに空が赤くなっている森のほうを見て2人そろってため息を吐き出す。森のほうへ近づけば近づくほど、ぱちぱちと弾ける音、ごうごうと何かが燃える音が大きくなっていくのはなかなかに壮観。なんてことを言ってられないほどに延焼している。
「……ここまで来てあれっすけど、引き返したほうがいい気がしてきたっす」
「それは今更」
「そうっすね……」
もう一度2人揃って森の方を見れば焦げまくったプレイヤーがばたばたと蜘蛛の子を散らすように逃げてくるので、これ幸いと2人で毒付与したり吹っ飛ばしてがっつり漁夫。そんなことをしながら先に進み、松田を探すわけだが、森事態の延焼がかなり広がっているうえに、息をするのさえきつかったりする。
『おーい、いるっすかー』
『おぉ、ヤス殿!助けてください!』
遠距離で会話ができる時点である程度の範囲内にいるのは確定したが、この森の状況でよく生きているなんてことを思われていたりする。
『さっさと合流しよう』
『どこにいるっす?』
『まだ燃えてないほうの森ですな!』
つまり、ヤスとエルは燃え盛る森の中を突き進んで、まだ無事な森の方に行かなければならない。かといって回り道をするには距離がある上に、時間がかかるほど森が炎上していく。大体こういうのをやるのはアカメだと思っていたのだが、同じようにやばいのがいるのは流石のヤスも想定外だったかもしれない。やばいって噂は聞いていたのだが、これほどとは、といった感じだ。
「煙臭いのは苦手」
「文句を言ってもしゃーないっす、とにかく先にいくっす」
回収しろと言われたからには回収しないわけにはいかない、ただ無理してこっちまでやられたら仕方がない。本当だったら一人のためにここまでするのはかなりリスクがあるが、回復役がいなくなるのは長期戦になるかもしれない予選では致命的だ。
「……姉御ならもっと燃やしてるだろうから、マシっす」
放火じゃなくて爆破魔の可能性のほうが高いが。
「さて、どうするかね」
「喧嘩、売りすぎ」
「食べ残しはいけないからのう」
アルを背中にしたまま、関口が飛んできた雷を切り裂く。そしてすぐに納刀し、移動しながら次の攻撃に対処。街中を突っ切ろうとして失敗し、大規模な戦闘に巻き込まれて二人でどうにか対処中。
「どこかで一旦息入れないと、MPが足りない」
「そうじゃの……一つ風穴を入れるかね」
四方八方から飛んでくる攻撃を最小の動きと攻撃動作で落ち着くまで凌いでから、溜めて、一閃。ばっくりと逃げ道のほうに斬撃が飛ぶと、そっちの方へと風魔法を使っての加速で進んでいく。でかい攻撃とはいえ、防御してくるものはいる。
攻撃を防ぐ大きい音、それと合わせていきなり割れるような音を聞き、すぐに足を止めると、透明な斬撃が二人を襲う。
「ガラス片か?」
「魔力バリアを転用しての、攻撃……あんまり見ないね」
「これだから、このゲームはやめられん」
頬の傷から垂れてくる血をれろっと舐めてから関口が楽しそうに、追撃を打ち落としていく。暫くそれをやれば攻撃の手が止まるので、バリアを張っていた奴と対峙する。
「どう思うか?」
「見たことないタイプ、強いね」
「無理して爺に付き合わんでもいいぞ」
「分の悪い賭けは、しないから」
「良い返事じゃ」
びゅっと居合からの飛ぶ斬撃。びしっと音を立てて透明な壁にはじかれると、それの反撃で透明な刃が飛んでくるので、それを叩き落して一息。
「……わかった?」
「何がじゃ」
「じゃあ、言わない」
そこまで考慮しなくてもいいと、相手の魔法使いとにらみ合いが始まるのだが、どちらもぴたりと動きが止まる。
「なるほど、そういう事か……じゃあ、行くとするか」
「そう、だね」
また風魔法を使い、加速、ではなく跳躍であっさり飛び逃げる。さっきの防御兼攻撃がカウンターありきのものだというのがわかったので、ここはさっさと逃げの一手。余計な戦闘はしなくていって事だ。余計な戦闘で消耗するのは現状よろしくないので、避けられるのなら避ける。と、行きたい所なのだが、倒せるのなら倒したいというのが戦闘狂というもの。
アルだけ先に建物に残して、関口はそのまま魔法使いと対峙してにんまりと笑う。
「しかし、爺の楽しみはこれでな」
ぴっと指を構え、隠れていろと言うように合図を出してから関口がわざと遠距離攻撃を繰り出し、防御からの反撃。それを叩き落しながらじりじりと近づいて一閃。またガシャンと割れるような音が響くと、にやっと笑い、一歩踏み込んでさらに一撃。手ごたえありと楽しそうにすると共に跳躍。
「ふむ、風魔法を覚えるのもありじゃの」
「Agi上げるって選択肢は?」
「十分上がってるからのう」
穴に潜らされて暫く、銃撃音をメインに様々な音が響く。
爆発音、斬撃音、炸裂音、一番聞こえるのはアカメさんが吠えているのが多い。ちょっと勇気を出して前に出ようと思っても静止され、とにかく出るなと釘を刺される。景色だったりモンスターの造形を楽しみたいから防御を特化して周りを気にしないようにしたけど、何でかわからないけどとにかく防御力が強いトッププレイヤー、そんな感じの扱いをされている。
あんまり攻撃も得意じゃないし、口下手なので全くと言っていいほどパーティでも行動してなかったのに、いきなり誘われてこんなところに放り込まれて……事前に説明はあったけどこんな事になるとは思ってなかった。それを考えてなのか知らないけど、アカメさんが戦うの禁止と言ってこんな穴倉に閉じ込めたんだけど、それが優しさなのか厳しさなのかよくわからない。
【まだ、だめ?】
【いいから、そこにいろ】
ずっとこれ。巻き込んだのは私だから、つらいことはさせないって一点張り。こんなにも強情な人って見たこともないし、付き合ったこともない。別にそこまで気にしなくてもいいのに、気にしすぎてるような気もする。
【気にするなって方が、無理ですよう……】
【わかってるって言ってるだろ!】
そういわれると大きく爆発音が響く。
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