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19章
522話 遅れてやってくるのは定石
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「どうしようか」
「どうしようね」
エルアル姉妹が肩で息をしながらぼろぼろになった自分たちをちらりと見てからどうするかの相談。対面にはまだまだ余裕そうな相手が3人いて、こっちの動き方を見ている。
「決着付けないと、負けるよ?」
「負けるのは……ないね」
どうにかこうにか松田から貰ったポーションや自前の物を使って回復して場を繋げては来たが、後手後手に回っている。序盤はこっちの方が優勢ではあったのだが、3人目が合流した段階で押されているので単純な戦力差が如実に出ている。
風魔法を使っての援護や攻撃、剣戟による前衛とかなりオーソドックスな戦いで押せてはいたのだが、相手が前衛2、後衛1になった時点で出来なくなった。後衛のアルを守るために、エルがあまりにも引き受けすぎていて被弾が増えているのが原因になる。
「エル、一回引こう、持たない……」
「ダメ、此処で少しでも抑えなきゃ」
「いつからそんなに肩入れするようになったの」
「昔から負けず嫌いだって知ってるでしょ」
剣持ちの基本スキルにまでなっている飛ぶ斬撃を弾き、後ろで言われることを返しつつも一定距離を保ちながら戦線を維持し続ける。
「もう少しだけしか持たない」
「分かってる」
斬撃を防ぎ、弾いたところで火炎球が飛んでくるが、横からすり抜けた風魔法がそれを相殺すると、熱風が辺りに広がる。それを嫌がるようにお互いのチームが揃って少しだけ下がって体勢を整えながら相手を見据える。散々行っている通り、2人で相手をするには少々きつい相手になっている。
『アリスと松田はどうしてる』
『持ちこたえてはいますな!ただ、相手の動きが怪しいですな!』
『まだ、大丈夫……』
唐突にクラン会話が飛んでくる。
こうなると次の質問はこっちの話になる。
『エルアルの方は』
『ちょっと、きつい』
『ちょっとどころじゃないよ』
会話をしつつ、向こうから飛んでくる魔法を弾き飛ばし、その弾き飛ばした瞬間を狙っての前衛。物凄くスタンダードな剣と盾を持った剣士が突っ込んでくるので金属音を響かせて攻撃を受け……ている所に、さらにもう一人の前衛、爪を装備した格闘型がサイコにクラッシャーしてくる。それを迎撃するように風魔法で押し返し、減速した所で剣盾持ちの奴から切り替えして弾いてまた距離を取って一息。さっきからこの連携を防ぐので手一杯になっているせいで引こうという話になっている。
『逃げて良いんだぞ』
『此処で引いたらまとめて相手することになる』
『私は引いても良いと思う』
『ダメ』
一向に引こうとしないアルをどうにかこうにか説得しようとするエル。そこまで強情になる理由が分からないからこその提案だが、、言うことは効きそうにない。姉だからと言うのも差し置いても、あまりにもムキになりすぎていると。
『堪えられるならそっちに行く、どうだ?』
『長くは持たない』
『だから無理しないで引こうって……』
『ここで引いたらなだれ込まれるから!』
少し大きく声をあげたのに反応してびくりと震える。いつもはこんなにも声を上げることがないので驚いたわけだが、本当にどうしたのか聞きたくなってくる。
『なんで、こんなにムキになるの』
『わかんない、多分アカメのせい』
爪と剣の攻撃を受け弾いて返しながら、飛んでくる魔法を魔法で返してと戦闘をしながらの姉妹会話。ヤスに誘われ、アカメの元に合流してから見えてきた、勝ちたいと言う思いに感化されたのか、あんまり見ない身内の事に少しだけ驚く。
『だとしても、おかしいくらい感化されてる』
『……それくらい、気持ちがある人って事だから』
そんな会話を続けながらも相手の猛攻をどうにか防ぎながら、戦闘を続ける。明らかに時間がたつにつれて細かい被弾が増え、形成が不利になっているのは確かだ。此処で無理をしても、逃げても仕方がないってのはあるが、アカメが来ることを信じて戦い続ける2人。
『ポーションももう殆どない』
『分かってる、分かってるよ』
魔法合戦も剣でのぶつかり合いも限界が来ているのか、上手く相殺できなくなっているので、相手がそれを見逃さずにラッシュを掛ける。振られる剣や突っ込んでくる格闘、飛んでくる魔法と、動き自体はそこまで難しい物ではないのだが、とにかく回転が良く、連携も取れている。
「や、ばい……!」
同時に貰った前衛二人の攻撃。体をねじり、無理な体制から弾いた所で、死角からの火球。後ろからの魔法で相殺というのも出来ず、完全に狙った一撃が直撃、吹っ飛ばされて転がっていくエルを尻目にすぐに防壁の風魔法を展開……の隙も与えずに突っ込んでくる相手。
「だから、引こうっていったのに……」
吹っ飛んだエルは間に合わない、魔法も間に合わない、せっかく我慢と言うか、此処までやってきてこんな一撃で終わりなのかと、ぎゅっと目をつむる。
「全く……意地っ張りな姉妹だこと」
前衛2人……ではなく、1人は吹っ飛び、もう1人が目の前で攻撃を止められている。
その攻撃を止めた人物が腕を捻ると、攻撃を横に流してから、銃のグリップで殴ってから、聞きなれた射撃音を響かせる。
「まあ、ちょっと間に合わない程度の方が恰好は付くよな」
連続した射撃音が響き、相手を引かせ、ちらっとこっちに目配せするので、吹っ飛んだエルを起き上らせて数の少なくなったポーションを飲ませる。
「大丈夫?」
「大丈夫」
「だったらさっさと援護してほしいな」
煙草を咥え、余裕綽々のアカメが3人相手に大立ち回りを始める。
「当たり前」
「もちろん」
ここから一気に攻勢に。
「どうしようね」
エルアル姉妹が肩で息をしながらぼろぼろになった自分たちをちらりと見てからどうするかの相談。対面にはまだまだ余裕そうな相手が3人いて、こっちの動き方を見ている。
「決着付けないと、負けるよ?」
「負けるのは……ないね」
どうにかこうにか松田から貰ったポーションや自前の物を使って回復して場を繋げては来たが、後手後手に回っている。序盤はこっちの方が優勢ではあったのだが、3人目が合流した段階で押されているので単純な戦力差が如実に出ている。
風魔法を使っての援護や攻撃、剣戟による前衛とかなりオーソドックスな戦いで押せてはいたのだが、相手が前衛2、後衛1になった時点で出来なくなった。後衛のアルを守るために、エルがあまりにも引き受けすぎていて被弾が増えているのが原因になる。
「エル、一回引こう、持たない……」
「ダメ、此処で少しでも抑えなきゃ」
「いつからそんなに肩入れするようになったの」
「昔から負けず嫌いだって知ってるでしょ」
剣持ちの基本スキルにまでなっている飛ぶ斬撃を弾き、後ろで言われることを返しつつも一定距離を保ちながら戦線を維持し続ける。
「もう少しだけしか持たない」
「分かってる」
斬撃を防ぎ、弾いたところで火炎球が飛んでくるが、横からすり抜けた風魔法がそれを相殺すると、熱風が辺りに広がる。それを嫌がるようにお互いのチームが揃って少しだけ下がって体勢を整えながら相手を見据える。散々行っている通り、2人で相手をするには少々きつい相手になっている。
『アリスと松田はどうしてる』
『持ちこたえてはいますな!ただ、相手の動きが怪しいですな!』
『まだ、大丈夫……』
唐突にクラン会話が飛んでくる。
こうなると次の質問はこっちの話になる。
『エルアルの方は』
『ちょっと、きつい』
『ちょっとどころじゃないよ』
会話をしつつ、向こうから飛んでくる魔法を弾き飛ばし、その弾き飛ばした瞬間を狙っての前衛。物凄くスタンダードな剣と盾を持った剣士が突っ込んでくるので金属音を響かせて攻撃を受け……ている所に、さらにもう一人の前衛、爪を装備した格闘型がサイコにクラッシャーしてくる。それを迎撃するように風魔法で押し返し、減速した所で剣盾持ちの奴から切り替えして弾いてまた距離を取って一息。さっきからこの連携を防ぐので手一杯になっているせいで引こうという話になっている。
『逃げて良いんだぞ』
『此処で引いたらまとめて相手することになる』
『私は引いても良いと思う』
『ダメ』
一向に引こうとしないアルをどうにかこうにか説得しようとするエル。そこまで強情になる理由が分からないからこその提案だが、、言うことは効きそうにない。姉だからと言うのも差し置いても、あまりにもムキになりすぎていると。
『堪えられるならそっちに行く、どうだ?』
『長くは持たない』
『だから無理しないで引こうって……』
『ここで引いたらなだれ込まれるから!』
少し大きく声をあげたのに反応してびくりと震える。いつもはこんなにも声を上げることがないので驚いたわけだが、本当にどうしたのか聞きたくなってくる。
『なんで、こんなにムキになるの』
『わかんない、多分アカメのせい』
爪と剣の攻撃を受け弾いて返しながら、飛んでくる魔法を魔法で返してと戦闘をしながらの姉妹会話。ヤスに誘われ、アカメの元に合流してから見えてきた、勝ちたいと言う思いに感化されたのか、あんまり見ない身内の事に少しだけ驚く。
『だとしても、おかしいくらい感化されてる』
『……それくらい、気持ちがある人って事だから』
そんな会話を続けながらも相手の猛攻をどうにか防ぎながら、戦闘を続ける。明らかに時間がたつにつれて細かい被弾が増え、形成が不利になっているのは確かだ。此処で無理をしても、逃げても仕方がないってのはあるが、アカメが来ることを信じて戦い続ける2人。
『ポーションももう殆どない』
『分かってる、分かってるよ』
魔法合戦も剣でのぶつかり合いも限界が来ているのか、上手く相殺できなくなっているので、相手がそれを見逃さずにラッシュを掛ける。振られる剣や突っ込んでくる格闘、飛んでくる魔法と、動き自体はそこまで難しい物ではないのだが、とにかく回転が良く、連携も取れている。
「や、ばい……!」
同時に貰った前衛二人の攻撃。体をねじり、無理な体制から弾いた所で、死角からの火球。後ろからの魔法で相殺というのも出来ず、完全に狙った一撃が直撃、吹っ飛ばされて転がっていくエルを尻目にすぐに防壁の風魔法を展開……の隙も与えずに突っ込んでくる相手。
「だから、引こうっていったのに……」
吹っ飛んだエルは間に合わない、魔法も間に合わない、せっかく我慢と言うか、此処までやってきてこんな一撃で終わりなのかと、ぎゅっと目をつむる。
「全く……意地っ張りな姉妹だこと」
前衛2人……ではなく、1人は吹っ飛び、もう1人が目の前で攻撃を止められている。
その攻撃を止めた人物が腕を捻ると、攻撃を横に流してから、銃のグリップで殴ってから、聞きなれた射撃音を響かせる。
「まあ、ちょっと間に合わない程度の方が恰好は付くよな」
連続した射撃音が響き、相手を引かせ、ちらっとこっちに目配せするので、吹っ飛んだエルを起き上らせて数の少なくなったポーションを飲ませる。
「大丈夫?」
「大丈夫」
「だったらさっさと援護してほしいな」
煙草を咥え、余裕綽々のアカメが3人相手に大立ち回りを始める。
「当たり前」
「もちろん」
ここから一気に攻勢に。
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