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侯爵家へ向かう馬車の中、サラと抱き合い喜びあった。サラは母が亡くなってからずっと私を心配してくれたり、泣いたり、怒ったりと一緒に過ごしてくれた。
ミリア達が来てからは私の置かれた環境を憂え、少しでも良くしようと頑張ってくれていた本当に有難い存在。
「お帰り。ソフィア。疲れただろう?」
侯爵家の玄関で和かに出迎えてくれたのはカインおじ様。
「カインおじさま。ただいま……です」
はじめてのことで少し照れてしまう。
「もう、ソフィアは私の娘なのだからお父さんって呼んでおくれ」
「お、お父様。ただいま、戻りました」
カインお父様は私をぎゅっと抱きしめたその腕はとても温かくて涙が出そうになった。
カインお父様の息子で長男のレオン、次男のフィン、三男のテオの三人がいる。彼らはみんな王宮魔法使いとなっていて重要ポストに就いているらしく、普段は王宮に泊まりこんでいるという話だ。
「お父様、仕事は大丈夫なのですか? 筆頭ともなれば仕事がとても忙しいと聞くのですが」
「ああ、それは問題ないよ。息子たちが私の分まで動いてくれているからね」
私も小さな時によく遊んで貰ったが、大きくなってからは会っていない。カインお父様はお兄様たちに仕事を任せて(押し付けて)きたのだとか。
サラに荷物を任せると、私はサロンへ通され、カインお父様とお茶をする。
「ソフィア、この庭は昔と何もかわっていないだろう?」
「そうですね。おばさまが好きだった花も、お兄様たちと遊んだ木もあの頃のままですね」
今までのことを忘れさせてくれるような、とても穏やかに時間が流れている。私がずっと、ずっと欲しくて堪らなかった時間がここにはあった。
馬車から運び出された私の荷物は、カインお父様が用意してくれた私の部屋へと運ばれていく。
私の部屋は日当たりが良く、天蓋付きのベッドが準備されていて、クローゼットには既にいくつかのドレスは用意されていたわ。運んでくれた従者たちはみんな荷物が少ないと心配してくれている。
従者たちの反応になんだかこちらが申し訳ないと思ってしまうわ。
私も、荷物を纏める時に感じたのよね。
別に虐げられていた訳ではないの。
ただ、父は私を物としか見ておらず、余計な物は与えなかっただけ。
いつまでも感傷に浸っている場合ではないわ。明日からは学院へ登校しないといけない。
カインお父様は学院をもう少し休んで良いと言ってくれていたけれど、短期休み明けのテストが迫っているし、登校しないとね。気を引き締めて頑張らないといけないわ。
サラはというと、今日から一週間ほど、屋敷の事に慣れるため、一時的に私の侍女から離れる事になるが、朝や下校してから夕食までの間は侍女として私の世話に付くようだ。
自分で制服に着替え、食堂に向かうと、
「ソフィア、おはよう」
「おはようございます。お父様」
挨拶をして席に着き、一緒に朝食を摂る。
何気ない会話をしながらも笑顔で摂る朝食。本当に何気ないけれど、朝からなんて幸せなのだろう。涙が出てしまう。
その事に驚いたお父様は私から理由を聞いてとても怒っていた。
私の説明が下手なせいで心配させてしまい、オロオロしながらも『私を気にかけてくれている』と温かくなった気持ちのまま登校した。
「おはようございます。モニカ様、リナ様。今日から私、ソフィア・オリヴェタン侯爵令嬢として宜しくね」
「「ソフィア様。改めて、こちらこそ宜しく」」
私はそのままクラスの方々に名前が変わった事を伝えた。クラスのみんなはおめでとう、と祝福してくれたのはやはり、花畑の妖精である義妹の影響なのだろう。
気を取り直して授業を受けているうちに気づいてしまった。
今まで伯爵家を継ぐためだけに勉強してきたけれど、王宮魔法使いを目指すのなら全然知識が足りない。
一、二年生で魔法の基礎理論は習ったけれど、それでは最低限の知識でしかないわ。
……もうすぐ三年生になってしまう。卒業までの残り時間は短い。
私は焦りを感じて、昼食後と放課後は図書室で本を読んだり、借りて邸で読んだりすることにしたの。
魔法使いの歴史は一年生の最初に習うのだけれど、大まかな部分しか習わないのよね。
本には建国当初の魔法使い達はとてつもない程の魔力を持っていたと書かれている。
オリヴェタン一族は歴代の魔法使いを輩出している家系だから元を辿っていけば本に書かれている魔法使いに行きつくのだ。
先祖返りをした私はきっと祖先に近い魔力量や魔力の形も祖先に近いのではないかと漠然と考えている。
初代の魔法使いが使う魔法は大地を潤し、雨を降らせ、花を咲かせ、木を成長させるような記述がある。天気を操るようなこともあったらしい。
これらは原始の魔法と呼ばれていて今の魔法とは随分違うようだ。
ただ、文献はそこまで多くないため、魔力の量だけで原始の魔法が使えるようになるのか、質が違うと使えないのかも定かではない。
だけど魔力量の多い私は原始の魔法を使えるかもしれないと淡い期待を込めて更に様々な本を探す。
きっと自然に則した魔法が多いようで使う魔力も半端な量では使うことが出来ないのだろう。先祖返りをしたと言われている私なら、使えるかもしれない。
原始の魔法は覚えていても損はない。現在、魔力が豊富だと言われている王族でさえ使わない魔法なのだ。
私だけが使えるとなればそれだけで凄い魔法使いの仲間入りよね。そう考えるだけで興奮してしまうわ。
ミリア達が来てからは私の置かれた環境を憂え、少しでも良くしようと頑張ってくれていた本当に有難い存在。
「お帰り。ソフィア。疲れただろう?」
侯爵家の玄関で和かに出迎えてくれたのはカインおじ様。
「カインおじさま。ただいま……です」
はじめてのことで少し照れてしまう。
「もう、ソフィアは私の娘なのだからお父さんって呼んでおくれ」
「お、お父様。ただいま、戻りました」
カインお父様は私をぎゅっと抱きしめたその腕はとても温かくて涙が出そうになった。
カインお父様の息子で長男のレオン、次男のフィン、三男のテオの三人がいる。彼らはみんな王宮魔法使いとなっていて重要ポストに就いているらしく、普段は王宮に泊まりこんでいるという話だ。
「お父様、仕事は大丈夫なのですか? 筆頭ともなれば仕事がとても忙しいと聞くのですが」
「ああ、それは問題ないよ。息子たちが私の分まで動いてくれているからね」
私も小さな時によく遊んで貰ったが、大きくなってからは会っていない。カインお父様はお兄様たちに仕事を任せて(押し付けて)きたのだとか。
サラに荷物を任せると、私はサロンへ通され、カインお父様とお茶をする。
「ソフィア、この庭は昔と何もかわっていないだろう?」
「そうですね。おばさまが好きだった花も、お兄様たちと遊んだ木もあの頃のままですね」
今までのことを忘れさせてくれるような、とても穏やかに時間が流れている。私がずっと、ずっと欲しくて堪らなかった時間がここにはあった。
馬車から運び出された私の荷物は、カインお父様が用意してくれた私の部屋へと運ばれていく。
私の部屋は日当たりが良く、天蓋付きのベッドが準備されていて、クローゼットには既にいくつかのドレスは用意されていたわ。運んでくれた従者たちはみんな荷物が少ないと心配してくれている。
従者たちの反応になんだかこちらが申し訳ないと思ってしまうわ。
私も、荷物を纏める時に感じたのよね。
別に虐げられていた訳ではないの。
ただ、父は私を物としか見ておらず、余計な物は与えなかっただけ。
いつまでも感傷に浸っている場合ではないわ。明日からは学院へ登校しないといけない。
カインお父様は学院をもう少し休んで良いと言ってくれていたけれど、短期休み明けのテストが迫っているし、登校しないとね。気を引き締めて頑張らないといけないわ。
サラはというと、今日から一週間ほど、屋敷の事に慣れるため、一時的に私の侍女から離れる事になるが、朝や下校してから夕食までの間は侍女として私の世話に付くようだ。
自分で制服に着替え、食堂に向かうと、
「ソフィア、おはよう」
「おはようございます。お父様」
挨拶をして席に着き、一緒に朝食を摂る。
何気ない会話をしながらも笑顔で摂る朝食。本当に何気ないけれど、朝からなんて幸せなのだろう。涙が出てしまう。
その事に驚いたお父様は私から理由を聞いてとても怒っていた。
私の説明が下手なせいで心配させてしまい、オロオロしながらも『私を気にかけてくれている』と温かくなった気持ちのまま登校した。
「おはようございます。モニカ様、リナ様。今日から私、ソフィア・オリヴェタン侯爵令嬢として宜しくね」
「「ソフィア様。改めて、こちらこそ宜しく」」
私はそのままクラスの方々に名前が変わった事を伝えた。クラスのみんなはおめでとう、と祝福してくれたのはやはり、花畑の妖精である義妹の影響なのだろう。
気を取り直して授業を受けているうちに気づいてしまった。
今まで伯爵家を継ぐためだけに勉強してきたけれど、王宮魔法使いを目指すのなら全然知識が足りない。
一、二年生で魔法の基礎理論は習ったけれど、それでは最低限の知識でしかないわ。
……もうすぐ三年生になってしまう。卒業までの残り時間は短い。
私は焦りを感じて、昼食後と放課後は図書室で本を読んだり、借りて邸で読んだりすることにしたの。
魔法使いの歴史は一年生の最初に習うのだけれど、大まかな部分しか習わないのよね。
本には建国当初の魔法使い達はとてつもない程の魔力を持っていたと書かれている。
オリヴェタン一族は歴代の魔法使いを輩出している家系だから元を辿っていけば本に書かれている魔法使いに行きつくのだ。
先祖返りをした私はきっと祖先に近い魔力量や魔力の形も祖先に近いのではないかと漠然と考えている。
初代の魔法使いが使う魔法は大地を潤し、雨を降らせ、花を咲かせ、木を成長させるような記述がある。天気を操るようなこともあったらしい。
これらは原始の魔法と呼ばれていて今の魔法とは随分違うようだ。
ただ、文献はそこまで多くないため、魔力の量だけで原始の魔法が使えるようになるのか、質が違うと使えないのかも定かではない。
だけど魔力量の多い私は原始の魔法を使えるかもしれないと淡い期待を込めて更に様々な本を探す。
きっと自然に則した魔法が多いようで使う魔力も半端な量では使うことが出来ないのだろう。先祖返りをしたと言われている私なら、使えるかもしれない。
原始の魔法は覚えていても損はない。現在、魔力が豊富だと言われている王族でさえ使わない魔法なのだ。
私だけが使えるとなればそれだけで凄い魔法使いの仲間入りよね。そう考えるだけで興奮してしまうわ。
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