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56 オリヴェタン侯爵視点
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レオンとソフィアの結婚前にソフィアはエナ嬢と会い、知ってしまった。
レオン達の婚姻はある程度自由があるものの、王家からの命令で決められていたのだ。
ソフィアは、『魔力が他の貴族より多い為、オリヴェタン家の養女となった』と通知されており、それ以外の情報は秘匿命令が出されていた。
国からソフィアを国に差し出せと迫られる前にレオンとソフィアとの婚姻を急いでいたのだが、レオンの婚約者が先にソフィアに接触したのが不味かった。
婚約者筆頭だとまた騒ぎだし、国を刺激してしまう。
ずっと父とレオンとで王命による婚姻をどうするのかと話し合っていたのだが、レオンはソフィアと生涯を共に添い遂げたいと一点張りだった。
案の定、国からソフィアとレオンの婚約を白紙に戻すと通知が来た。公爵家から圧力があったのだろう。
息子達に残された道はレオンとテオの婚約者をエナ嬢とオフィーリア嬢に決める事だ。
父やレオンと話し合い、他の候補者達を解放した上で、エナ嬢とオフィーリア嬢の瑕疵を付け、婚約を解消させようとなった。
ソフィアには悪いが、少しの間嫌な思いをさせるだろう。
ソフィアに婚約の話をすると潤んだ目をしながらも微笑み、了承した。
健気な我が娘に辛い思いをさせる。レオンはずっと不満な表情で口を開くことはなかった。
翌日、早速令嬢達が初日から問題を起こした。ソフィアに言いがかりをつけている。彼女達が騒いでもソフィアはずっと黙っていた。
令嬢達はこれに調子付いたのか、部屋を横取りし、ソフィアに辛辣な言葉を投げた。
今のソフィアは伯爵家に居た頃のソフィアより酷い状態となった。
ソフィアから表情が抜け落ち、会話する事もなく、家族と会わなくなってしまった。食事も部屋で摂るように令嬢達は命令したらしい。
ソフィアの様子に気づいた母は泣きながら俺に怒鳴り込んできた。
そろそろレオン達も限界だろう。
王家へ彼女達の瑕疵を認めさせ、自分達で婚約を決める事が出来るようにするのに時間が掛かっているが、後少しだ。
そんな矢先、令嬢達はソフィアを中庭へ呼びつけ、詰った。
サラにお茶を掛けさせ、ソフィアを馬鹿にし、笑ったのだとか。
侯爵家を出ていけだの、勝手にソフィアを受け入れる家を決めてきただのと言っていたようだ。普段から胸糞悪い事を平気でやってきたのだろう。
……ソフィアの中で何かが壊れてしまった。
ソフィアは部屋に戻るとそのまま出て来なくなった。
翌朝、従者がソフィアの部屋に朝食を運びに入ると、部屋にはソフィアが居らず、二通の手紙が残されていた。
残された手紙を読む。
『お父様、不出来な娘でごめんなさい。侯爵夫人となるエナ様から邸を出ていくように言われました。オフィーリア様が仰っていましたが、私の次に住む場所を決めたのは公爵家の意向だったのですね。
既に来週、私は引き渡される事が決定事項との事。侯爵家の意向であるなら仕方がありません。ですが、どうしても私、ミリアのようにはなりたく、ないです。
どうか出ていくことをお許し下さい。
お父様達と過ごして家族の素晴らしさに毎日感謝していました。いつまでも未練がましくオリヴェタン家に居座り、ご迷惑を掛けてしまいすみませんでした。今まで有難う御座いました。
お父様、卒業式に出られず、申し訳ありませんでした。
お体に気をつけて下さい。
ソフィア』
……なんという事だ。
二通目の開封された封書はソフィアをウィスタリア男爵のサロンへ下げ渡しをする契約書だった。
そこにはオリヴェタン侯爵家がソフィアを自由に使ってくれ、生死は問わないと一筆書いてあった。
令嬢達はソフィアを追い出す為に侯爵家の書類を偽造していたのか。
許さない。
許すことは断じてできん。
俺はすぐさまサロンでお茶を飲んでいた令嬢達を拘束し、部屋に押し込めて王宮へ転移した。
そして陛下へソフィアの手紙と共にウィスタリア男爵の持つクラブへの下げ渡し契約書を陛下に投げるように渡す。
陛下はムッとした様子だったが、手紙を読み、焦り始める。
そこから陛下の指示の下、国を挙げソフィアの行方を探すが見当たらない。
不思議なことにソフィアの魔力が感知出来ないのだ。隣国へ繋がる各検問所に問い合わせるがソフィアという名前はなかったそうだ。
邸にはソフィアの持ち物は、普段着ている服以外、お金もギルドカードも身分を証明するもの全て置いてあった。
着のみ着のままで出て行ったのだろうか。
ソフィアが居なくなり、レオンもテオも気が狂わんばかりだ。
あれから何日も探しているが見当たらない。
各検問所へ何度も問い合わせているが、梨の礫だった。困りはてていたその時、一つの検問所の兵士から報告があり、騎士団へ情報が上がってきた。
「オリヴェタン侯爵、先ほど国境の検問所にいた兵士の報告があった。
ソフィア嬢が居なくなったとされる日の早朝、仮面を着け、大きな犬と一緒に隣国へ渡ったイーズという若い女の子が検問所を通ったそうだ。
女が一人検問所を通るのはよくあるが、荷物も何も持たずに歩いてきたため不思議に思っていたという話だ」
バートン騎士団長はそう言いながら報告書を寄越した。
「バートン、すまない」
「無事に戻ってくるのを祈っている」
彼はそう言って騎士団へ戻っていった。俺は目を皿にしながら報告書を読んだ。
もしかしてソフィアはラファルと一緒に隣国へ出たのか。
隣国へ出た可能性が出てきた。
国にとっても原始魔法を使える唯一と言っても過言ではない魔法使いを他国に流出させたのは失態である。
それに加え、イーライ殿下とエリオット殿下のお気に入りとして目を掛けているソフィアを性奴隷に落そうとしたエナ嬢とオフィーリア嬢は国からも王族からも敵と看做された。
彼女達はすぐにオリヴェタン侯爵家からすぐに王宮に身柄が送られた。
レオンとテオはソフィアが邸から居なくなったと知った途端にエナ嬢とオフィーリア嬢を殺さん勢いだ。
私もこの二人を許す事は出来ない。
大切な娘を傷付けてただではおかん。
今はエナ嬢とオフィーリア嬢は王家の平民用の牢屋に入れられている。
事態を引き起こした国にも本人達にもきっちり落とし前を付けてもらわねばならん。
後はソフィアを探し出すだけだ。レオンもテオも王宮魔法使いを辞めてイーズという女の子に一縷の望みを掛け、探しに行こうとしている。
ソフィア、無事でいておくれ。
レオン達の婚姻はある程度自由があるものの、王家からの命令で決められていたのだ。
ソフィアは、『魔力が他の貴族より多い為、オリヴェタン家の養女となった』と通知されており、それ以外の情報は秘匿命令が出されていた。
国からソフィアを国に差し出せと迫られる前にレオンとソフィアとの婚姻を急いでいたのだが、レオンの婚約者が先にソフィアに接触したのが不味かった。
婚約者筆頭だとまた騒ぎだし、国を刺激してしまう。
ずっと父とレオンとで王命による婚姻をどうするのかと話し合っていたのだが、レオンはソフィアと生涯を共に添い遂げたいと一点張りだった。
案の定、国からソフィアとレオンの婚約を白紙に戻すと通知が来た。公爵家から圧力があったのだろう。
息子達に残された道はレオンとテオの婚約者をエナ嬢とオフィーリア嬢に決める事だ。
父やレオンと話し合い、他の候補者達を解放した上で、エナ嬢とオフィーリア嬢の瑕疵を付け、婚約を解消させようとなった。
ソフィアには悪いが、少しの間嫌な思いをさせるだろう。
ソフィアに婚約の話をすると潤んだ目をしながらも微笑み、了承した。
健気な我が娘に辛い思いをさせる。レオンはずっと不満な表情で口を開くことはなかった。
翌日、早速令嬢達が初日から問題を起こした。ソフィアに言いがかりをつけている。彼女達が騒いでもソフィアはずっと黙っていた。
令嬢達はこれに調子付いたのか、部屋を横取りし、ソフィアに辛辣な言葉を投げた。
今のソフィアは伯爵家に居た頃のソフィアより酷い状態となった。
ソフィアから表情が抜け落ち、会話する事もなく、家族と会わなくなってしまった。食事も部屋で摂るように令嬢達は命令したらしい。
ソフィアの様子に気づいた母は泣きながら俺に怒鳴り込んできた。
そろそろレオン達も限界だろう。
王家へ彼女達の瑕疵を認めさせ、自分達で婚約を決める事が出来るようにするのに時間が掛かっているが、後少しだ。
そんな矢先、令嬢達はソフィアを中庭へ呼びつけ、詰った。
サラにお茶を掛けさせ、ソフィアを馬鹿にし、笑ったのだとか。
侯爵家を出ていけだの、勝手にソフィアを受け入れる家を決めてきただのと言っていたようだ。普段から胸糞悪い事を平気でやってきたのだろう。
……ソフィアの中で何かが壊れてしまった。
ソフィアは部屋に戻るとそのまま出て来なくなった。
翌朝、従者がソフィアの部屋に朝食を運びに入ると、部屋にはソフィアが居らず、二通の手紙が残されていた。
残された手紙を読む。
『お父様、不出来な娘でごめんなさい。侯爵夫人となるエナ様から邸を出ていくように言われました。オフィーリア様が仰っていましたが、私の次に住む場所を決めたのは公爵家の意向だったのですね。
既に来週、私は引き渡される事が決定事項との事。侯爵家の意向であるなら仕方がありません。ですが、どうしても私、ミリアのようにはなりたく、ないです。
どうか出ていくことをお許し下さい。
お父様達と過ごして家族の素晴らしさに毎日感謝していました。いつまでも未練がましくオリヴェタン家に居座り、ご迷惑を掛けてしまいすみませんでした。今まで有難う御座いました。
お父様、卒業式に出られず、申し訳ありませんでした。
お体に気をつけて下さい。
ソフィア』
……なんという事だ。
二通目の開封された封書はソフィアをウィスタリア男爵のサロンへ下げ渡しをする契約書だった。
そこにはオリヴェタン侯爵家がソフィアを自由に使ってくれ、生死は問わないと一筆書いてあった。
令嬢達はソフィアを追い出す為に侯爵家の書類を偽造していたのか。
許さない。
許すことは断じてできん。
俺はすぐさまサロンでお茶を飲んでいた令嬢達を拘束し、部屋に押し込めて王宮へ転移した。
そして陛下へソフィアの手紙と共にウィスタリア男爵の持つクラブへの下げ渡し契約書を陛下に投げるように渡す。
陛下はムッとした様子だったが、手紙を読み、焦り始める。
そこから陛下の指示の下、国を挙げソフィアの行方を探すが見当たらない。
不思議なことにソフィアの魔力が感知出来ないのだ。隣国へ繋がる各検問所に問い合わせるがソフィアという名前はなかったそうだ。
邸にはソフィアの持ち物は、普段着ている服以外、お金もギルドカードも身分を証明するもの全て置いてあった。
着のみ着のままで出て行ったのだろうか。
ソフィアが居なくなり、レオンもテオも気が狂わんばかりだ。
あれから何日も探しているが見当たらない。
各検問所へ何度も問い合わせているが、梨の礫だった。困りはてていたその時、一つの検問所の兵士から報告があり、騎士団へ情報が上がってきた。
「オリヴェタン侯爵、先ほど国境の検問所にいた兵士の報告があった。
ソフィア嬢が居なくなったとされる日の早朝、仮面を着け、大きな犬と一緒に隣国へ渡ったイーズという若い女の子が検問所を通ったそうだ。
女が一人検問所を通るのはよくあるが、荷物も何も持たずに歩いてきたため不思議に思っていたという話だ」
バートン騎士団長はそう言いながら報告書を寄越した。
「バートン、すまない」
「無事に戻ってくるのを祈っている」
彼はそう言って騎士団へ戻っていった。俺は目を皿にしながら報告書を読んだ。
もしかしてソフィアはラファルと一緒に隣国へ出たのか。
隣国へ出た可能性が出てきた。
国にとっても原始魔法を使える唯一と言っても過言ではない魔法使いを他国に流出させたのは失態である。
それに加え、イーライ殿下とエリオット殿下のお気に入りとして目を掛けているソフィアを性奴隷に落そうとしたエナ嬢とオフィーリア嬢は国からも王族からも敵と看做された。
彼女達はすぐにオリヴェタン侯爵家からすぐに王宮に身柄が送られた。
レオンとテオはソフィアが邸から居なくなったと知った途端にエナ嬢とオフィーリア嬢を殺さん勢いだ。
私もこの二人を許す事は出来ない。
大切な娘を傷付けてただではおかん。
今はエナ嬢とオフィーリア嬢は王家の平民用の牢屋に入れられている。
事態を引き起こした国にも本人達にもきっちり落とし前を付けてもらわねばならん。
後はソフィアを探し出すだけだ。レオンもテオも王宮魔法使いを辞めてイーズという女の子に一縷の望みを掛け、探しに行こうとしている。
ソフィア、無事でいておくれ。
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