魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ

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 流石に昨日は移動が長かったせいか疲れ果てベッドに倒れるように眠ってしまった。ラファルも疲れていたのね。

 朝までぐっすり眠って起こされなかったのよね。これからどうしよう。とりあえず、外見を変えて、ラファルも犬ではない動物にしないとね。

 朝起きて朝食を宿で取ると、食料品店で食料品を買い足して街を出る。この国も早めに出国してしまおう。

 検問所はギルドの管轄ではなく、国の管轄だから出国しても分からないわね。

 行き交う人もないが、しっかりと整備された街道を歩きながらラファルの朝食兼昼食を確保する。

 ラファルは狩りを楽しみながらしっかりと食べているし、日を追う毎に大きくなっている。これなら外見はポニーで問題無さそうね。

 私は髪色を変え、ラファルはポニーへと擬装する。まぁ、今回の私はローブを着ているのであまり目立ちはしないはず。

 ラファルの食事を終えると、私達は街道を沿うように少し外れた森の上を魔法で飛びながら西の検問所へと向かった。

 やはり東の検問所から西の検問所への道は遠い。本来なら二週間くらいかけて移動するものを数日で飛ぶのだし。

 国の真ん中に王都があるのだが、この国の王都には寄らない事にしよう。ギルドで人探しなんてされていたら発見されてしまうものね。

 途中、テントで休みながら丸二日かけて検問所に着き、人の列を見て安心するが、検問所は長蛇の列となっていた。

 何かあるのかしら?

 列に並んでいる間に聞こえてきた話からすると、どうやら隣国へ向かう避難する人が増え、手続きに時間がかかっているみたい。

 本来なら検問所を通る人達は許可証かギルドカードのような身分証を提示するのだけれど、避難民は犯罪歴などの確認があるだけなのだとか。

 私もこの避難民の波に紛れてしまおう。


 何時間並び、ようやく私達の番になると、検問所の職員から名前と問われ、犯罪歴が無いかを水晶で確認される。もちろん私に犯罪歴は無いので無事に通ることができた。

 さて、此処から何処へ行きましょうか。

 どうやら避難民が増えた理由は、先程出国した国の南部にドラゴンが出たようだ。

 甚大な被害が出ているらしく、ドラゴンから逃れる為に村や町から逃げ、隣国へ避難するらしい。

 私も冒険者の端くれとして手伝ったほうがいいのかと思ったけれど、これだけの避難民がいる。王都にあるダンジョンとは違い、もっと大きくて災害レベルの強さかもしれない。

 まだ攻撃も外してしまうような駆け出し冒険者の私が行っても返って迷惑でしかないわ。
 ギルドや国はこれから対応していくだろう。
 まぁ、私には関係がないけれどね。

 検問所を越えた人達は腰を降ろし、疲れた顔で休憩をしている人が大勢いる。中には怪我をしている人もいたわ。 

 検問所には残念ながら医務官は居ないし、平民は魔力を持っていないため、回復する術がない。

 少し躊躇ったけれど、私は検問所で訳ありの魔法使いである事を話した上で、検問所の部屋に案内してもらい、兵士に持ってこれるだけの水を入れる容器を用意させる。

 企業秘密だと言って兵士達には部屋から退出させる。全ての入れ物に清浄魔法を掛け、水魔法を唱える。

 用意されたバケツやコップ、瓶には水が並々と入った。『此処にある水を祝福し、心と体を癒せ、パナケイア』魔法を掛けた水は薄っすらポーションのような、ヒールのような淡い光を放ってから元に戻る。

 ここにある水のみに限定したおかげで消費魔力は少しで済んだわ。瓶の中味を口にすると、疲れが少し回復した。

 効果はしっかりとあるわね。

 治療魔法は怪我人を治す事が出来るが、水には溶けないし、ポーションを作るには専用の器具と薬草が必要ですぐには作る事が出来ない。

 原始魔法は自然に作用する魔法が多く、使い勝手が悪いと思っていたけれど、これなら使えそうね。

 少し時間を置いて兵士達を部屋に入れ、兵士達に一口飲ませて中味を確認させる。兵士達は、連日押し寄せる避難民で疲弊しきっていたようだわ。

 飲んだ兵士からは感謝の言葉を言われた。何とかしてはあげたいけれど、一箇所に留まる事が出来ないという理由を付けて、私が発って暫くしてから怪我人にこの水を飲ませるように指示をし、検問所を出た。


 さようならコロール国。
 こんにちはツヴィエート国。


 私はラファルと共に避難民達が押し寄せている街道とは別の北部へと続く小さな道に入る。森に続く道のせいか、避難民達は安全な街道を選んだ。

 ドラゴンの出現により、魔物の生息域が大きく変わる可能性がある。それに大勢の人達と一緒に居るのは不味い気がする。

 避難民が向かう道はきっと王都よね。

 人の波に紛れてしまえば見つからないと思われがちだけど、王都なら魔法に長けた人が多い。魔法を使って探されればすぐに見つかってしまう。見つかってしまえば今度こそ私の人生は終わってしまうわ。

 私はそう考え、王都に向かわず、北部の街へと向かおうと歩き出した。
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