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目が覚めると、お兄様達は真面目な顔で話をしている最中だった。
「お兄様」
ラファルは私の側にずっとついてくれていたみたい。
私はラファルの頭を撫でた。私が眠ってからどれくらいの時間が経ったのかしら。辺りはもう真っ暗だわ。
「ソフィア、起きたか。身体に異常はないか? 心配したが、何もなくて良かった。先程ソフィア宛にサモロンから魔法郵便が届いていた。
父上からも手紙が届いている。どうやらサモロンはしっかりと成功させたらしい。明日、父上が謁見を申し込んで首輪を確認してくるそうだ」
「そろそろ僕達の休みも終わるのか。嬉しいような寂しような」
「テオ、今回の襲撃で陛下直属部隊の半数が死亡。侯爵家の令嬢を強制的に奴隷に落とそうとした事が判明すれば確実に貴族から反発が起こる。
もうあいつらは好き勝手に口を出せないだろうな。帰国して一番にソフィアのウエディングドレスを用意した方が良いんじゃないか」
少し寝たお陰で不安も減った私はサモロンの郵便を開けてみる。
……気持ちが悪いわ。
サモロンは影だけあって首輪を付けた際の報告書だった。幻覚を見ていた陛下は私の名を呼び、裸に……。全身ゾッと鳥肌が立ったわ。
レオンお兄様が私の様子に気付き、私から手紙を取り上げるようにして読む。『あいつ殺す』なんて言っているわ。
テオお兄様も手紙を読んでレオンお兄様と同じことを言っている。
私はサモロンに引き続きバレないように影として活動し、陛下の監視をお願いする手紙を魔法郵便で送った。
翌日は昼前にお父様からレオンお兄様宛に魔法郵便が届いたようだ。『陛下は隷属の首輪をしているようだ。早急に国に帰ってくるように』と書かれてあったわ。
下手をしたら大事になる予感。
下手をしなくても、大事になる予感しかないのだけれど。
私は荷物を纏めようとしていたが、無意識に緊張していたようで気づけば手が震えている。
レオンお兄様もテオお兄様も頭を撫でて「心配ない」と声を掛けてくれる。
私達は宿を引き払い、お兄様達は私とラファルを抱えて転移する。一度では距離があるため何度かに分けて邸へと戻ってくることができた。
何ヶ月ぶりの邸だろう。
懐かしい気持ちと暗い過去がよぎり足を止めてしまう。
玄関はあの令嬢達が来る前に戻っているようだ。
私の部屋はどうかしら。
不安が渦巻き足は思うように動かない。カタカタと震える私をレオンお兄様は心配そうに私の肩を抱く。
「ソフィア、とりあえず私の部屋へ行こう。テオ、何か有れば部屋へ来い」
レオンお兄様はそう言い残し、震える私を支えながらレオンお兄様の部屋へ移動する。ラファルも走って付いてくる。
「怖かっただろう。すまない。これからはソフィアの恐怖も、不安も、辛い思いも俺が側にいて支えるから。この邸が辛いなら別の住まいも一緒に考えよう」
「……レオンお兄様」
ソファにそっと座りお兄様は隣に座った。
「お兄様、私、もう大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろう。こんなに震えて」
お兄様は心配そうに私を見つめているとノック音が聞こえてきた。
― トントントン ー―
レオンお兄様の『入れ』の声で入ってきたのは痩せ細り、窶れた姿のサラだった。
「ソフィア様、すみませんでした。私は、ずっとソフィア様にお仕えをしていたのに……」
「サラ、大丈夫? こんなに痩せて窶れてしまって。ちゃんと食べないとダメよ」
私はサラの姿を見て涙が溢れた。サラの元に駆け寄り、抱きついた。
「サラ、お茶を入れてちょうだい。久々にサラの淹れるお茶が飲みたいわ」
「かしこまりました」
サラと再会した喜びに私の涙は止まった。ボスンとソファに座ると、お兄様も隣に座り直し、サラがお茶を淹れるのを待つ。
久々にサラが淹れてくれるお茶は美味しかった。サラの淹れてくれたお茶を飲んで気持ちも落ち着き、ようやく周りを見る事が出来た。
レオンお兄様のお部屋。
紺を基調としたシンプルなお部屋で飾り気が一切ない。あまりここで過ごす事はないのかしら。
「俺の部屋が気になるかい。ソフィアが養女として来るまでは王宮に住んでいたと言っても過言ではなかったからな。
私物は殆ど王宮の魔法部管理室総監室(筆頭部屋)の隣の部屋に置いてあるんだ。ソフィアがこの部屋で落ち着けるならソフィアの好きな物を置く事にしよう」
その時、また扉をノックする音が聞こえる。執事がお父様の執務室へ来る様に、との連絡だった。
サラにラファルをお願いし、お兄様のエスコートでそのまま執務室へ向かう。
執務室には既にお父様やおじい様、おばあ様、フィンお兄様、テオお兄様が座っていた。
「ソフィア! ソフィア! おかえりなさい。ごめんなさいね。馬鹿な息子達ばかりであなたには辛い思いをさせてしまったわ」
おばあ様は泣きながら私を抱き締めた。おばあ様も少し痩せたように思う。
「母上、少し良いですか。ソフィアも座りなさい」
お父様は厳しい表情のままだ。私が座ると隣にレオンお兄様が座り、手を握っている。
「ソフィア、お帰り。何も知らせずにソフィアには辛い思いをさせてしまった。本当にすまない」
お父様が私に頭を下げた。
「お兄様」
ラファルは私の側にずっとついてくれていたみたい。
私はラファルの頭を撫でた。私が眠ってからどれくらいの時間が経ったのかしら。辺りはもう真っ暗だわ。
「ソフィア、起きたか。身体に異常はないか? 心配したが、何もなくて良かった。先程ソフィア宛にサモロンから魔法郵便が届いていた。
父上からも手紙が届いている。どうやらサモロンはしっかりと成功させたらしい。明日、父上が謁見を申し込んで首輪を確認してくるそうだ」
「そろそろ僕達の休みも終わるのか。嬉しいような寂しような」
「テオ、今回の襲撃で陛下直属部隊の半数が死亡。侯爵家の令嬢を強制的に奴隷に落とそうとした事が判明すれば確実に貴族から反発が起こる。
もうあいつらは好き勝手に口を出せないだろうな。帰国して一番にソフィアのウエディングドレスを用意した方が良いんじゃないか」
少し寝たお陰で不安も減った私はサモロンの郵便を開けてみる。
……気持ちが悪いわ。
サモロンは影だけあって首輪を付けた際の報告書だった。幻覚を見ていた陛下は私の名を呼び、裸に……。全身ゾッと鳥肌が立ったわ。
レオンお兄様が私の様子に気付き、私から手紙を取り上げるようにして読む。『あいつ殺す』なんて言っているわ。
テオお兄様も手紙を読んでレオンお兄様と同じことを言っている。
私はサモロンに引き続きバレないように影として活動し、陛下の監視をお願いする手紙を魔法郵便で送った。
翌日は昼前にお父様からレオンお兄様宛に魔法郵便が届いたようだ。『陛下は隷属の首輪をしているようだ。早急に国に帰ってくるように』と書かれてあったわ。
下手をしたら大事になる予感。
下手をしなくても、大事になる予感しかないのだけれど。
私は荷物を纏めようとしていたが、無意識に緊張していたようで気づけば手が震えている。
レオンお兄様もテオお兄様も頭を撫でて「心配ない」と声を掛けてくれる。
私達は宿を引き払い、お兄様達は私とラファルを抱えて転移する。一度では距離があるため何度かに分けて邸へと戻ってくることができた。
何ヶ月ぶりの邸だろう。
懐かしい気持ちと暗い過去がよぎり足を止めてしまう。
玄関はあの令嬢達が来る前に戻っているようだ。
私の部屋はどうかしら。
不安が渦巻き足は思うように動かない。カタカタと震える私をレオンお兄様は心配そうに私の肩を抱く。
「ソフィア、とりあえず私の部屋へ行こう。テオ、何か有れば部屋へ来い」
レオンお兄様はそう言い残し、震える私を支えながらレオンお兄様の部屋へ移動する。ラファルも走って付いてくる。
「怖かっただろう。すまない。これからはソフィアの恐怖も、不安も、辛い思いも俺が側にいて支えるから。この邸が辛いなら別の住まいも一緒に考えよう」
「……レオンお兄様」
ソファにそっと座りお兄様は隣に座った。
「お兄様、私、もう大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろう。こんなに震えて」
お兄様は心配そうに私を見つめているとノック音が聞こえてきた。
― トントントン ー―
レオンお兄様の『入れ』の声で入ってきたのは痩せ細り、窶れた姿のサラだった。
「ソフィア様、すみませんでした。私は、ずっとソフィア様にお仕えをしていたのに……」
「サラ、大丈夫? こんなに痩せて窶れてしまって。ちゃんと食べないとダメよ」
私はサラの姿を見て涙が溢れた。サラの元に駆け寄り、抱きついた。
「サラ、お茶を入れてちょうだい。久々にサラの淹れるお茶が飲みたいわ」
「かしこまりました」
サラと再会した喜びに私の涙は止まった。ボスンとソファに座ると、お兄様も隣に座り直し、サラがお茶を淹れるのを待つ。
久々にサラが淹れてくれるお茶は美味しかった。サラの淹れてくれたお茶を飲んで気持ちも落ち着き、ようやく周りを見る事が出来た。
レオンお兄様のお部屋。
紺を基調としたシンプルなお部屋で飾り気が一切ない。あまりここで過ごす事はないのかしら。
「俺の部屋が気になるかい。ソフィアが養女として来るまでは王宮に住んでいたと言っても過言ではなかったからな。
私物は殆ど王宮の魔法部管理室総監室(筆頭部屋)の隣の部屋に置いてあるんだ。ソフィアがこの部屋で落ち着けるならソフィアの好きな物を置く事にしよう」
その時、また扉をノックする音が聞こえる。執事がお父様の執務室へ来る様に、との連絡だった。
サラにラファルをお願いし、お兄様のエスコートでそのまま執務室へ向かう。
執務室には既にお父様やおじい様、おばあ様、フィンお兄様、テオお兄様が座っていた。
「ソフィア! ソフィア! おかえりなさい。ごめんなさいね。馬鹿な息子達ばかりであなたには辛い思いをさせてしまったわ」
おばあ様は泣きながら私を抱き締めた。おばあ様も少し痩せたように思う。
「母上、少し良いですか。ソフィアも座りなさい」
お父様は厳しい表情のままだ。私が座ると隣にレオンお兄様が座り、手を握っている。
「ソフィア、お帰り。何も知らせずにソフィアには辛い思いをさせてしまった。本当にすまない」
お父様が私に頭を下げた。
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