魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ

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 翌朝になってもお父様とお兄様は帰って来ていない。おじい様の話によると、私が帰宅してから会議は紛糾し、今もまだ続いているらしい。

 私は特にすることもないのでラファルと近くの森に入り、狩りをしている。昨日の事は上手くいったか心配だけれど、考えても答えは出ないもの。

 側で楽しそうに走っているラファルはやはり魔鳥が一番の好みなのかも。選んで狩っている。王都にはオークが出ないのが残念なところよね。

 オークと鳥どちらが好みなのかしら。

 因みに魔鳥はどこの森にも種類は違えど住んでいる。繁殖力があり、放置しておくと森の葉を食べ尽くしてしまうらしいのだが、捕食魔物は好んで魔鳥を食べるらしく、被害はあまり出ていないのだとか。

 もうすっかり私を背中に乗せて飛ぶ事に慣れたラファルはとっても逞しい。

 狩りを終えて邸に戻ると、疲れ切ったお父様とレオンお兄様が帰ってきていたようだ。

 すぐに着替え、お父様の執務室へ入るとレオンお兄様が手招きしている。レオンお兄様の隣に座ると、頭をぐりぐりと撫ではじめた。

「レオンお兄様、私は子供ではありません」
「いいんだ。これは俺にとっての癒しだ」

 もうっ! せっかくサラが整えてくれた髪がぐしゃぐしゃになってしまったわ。

 若干おばあ様が引いている気がするし。

「昨日の王宮での会議の事だが、結果として上手く事が運び、王家から我が家の介入は無くなった。ソフィアが一筆書かせたのが決め手となった。

 ソフィアもレオンもフィンもテオも婚約者を自分達で決めても良いと変更された。

 そしてソフィアの学院卒業に関しては全ての単位を取っていたので卒業は出来ている。王宮魔法使いになるかはソフィアの希望次第だ。

 ソフィア、最後に一瞬だけ自分の魅力が上がる魔法を使っただろう? あれで会議に出ていた全ての要人がお前に同情的になった。

 どいつもこいつもソフィアを嫁に欲しいと煩いぐらいだ。会議が長引いた理由はそこにもある。

 中には信者のように信奉する者すら出たほどだぞ。ソフィアはそのままでも可愛いのだから魅力の魔法は禁止だ。危ない」

「最後にほんの一瞬だけだったのですが。分かりました。もう使いません」

 魅了の魔法ではないのに。なんだか納得はいかないですが従うしかないわ。

「そしてクリフォード陛下なのだが、奴隷禁止の国で王自ら罪も無い貴族であるソフィアに隷属の首輪を取り付け、奴隷にしようとした事が問われた。

 陛下直属部隊の半数が亡くなった事で騎士団総長も怒り狂ったわけだが。王子達も流石に陛下を庇いきれなかったようだ。

 今、国の心臓をソフィアが握っている状態だから色々と不味いだろう。後日、オリヴェタン侯爵家に正式な謝罪が来る事になっている。

 王家では現在でも話し合いが行われていると思うが、王は隠居し、第一王子が新たな王となるだろう。これから王宮は目紛しく変わってゆく事が予想される。まぁ、こんなところだ」

「お父様は魔法使い筆頭を続けていくのですか?」
「そうだな。もう、いつでも辞められるから無理はしないが、レオンもテオも今のところ残留だ」

 どことなく不満そうな顔をしているお兄様達がいる。

「婚約者についてだが、フィンは今の令嬢で良いのか?」
「あぁ。構わないよ。誰でもいい。可愛いソフィアをいじめない娘ならね」

「分かった。レオンとテオはどうする」
「俺はソフィアと今すぐに結婚したい」
「僕もソフィアと結婚したい」

「二人の気持ちは分かった。ソフィアはどうしたい?」

「私は一人前の魔法使いになるためにアーテナーの街に行き、ヴィシュヌ様のそばに居たいと思っています」
「だ、そうだぞ?」

 お父様の問いに答えると、お兄様達は焦ったような顔をして聞いてきた。

「ソフィア、アーテナーに行ってしまえばもうこっちに戻ってこないつもりなんだろう?」
「どうでしょうか。戻ってくる予定にはしていますが、あっちは時間の流れが少し違いますから……」

「なぜヴィシュヌ様の元に行きたいんだ?」

 レオンお兄様はそう聞いてきた。

「ヴィシュヌ様の優しさに触れ、街の人達にも好かれている。素晴らしい魔法使いだし、短い時間ではありましたが側にいたいと思ったのです」

「彼のことが好きなのか?」
「……ヴィシュヌ様にとっては私はまだまだ子供だと思われているかもしれません。でも、私はヴィシュヌ様をお慕いしています」

「だが、出会って間もないだろう? 人となりなんて良く知らないじゃないか」

「そうかもしれないです。でもアーテナーの街の人々は様々な魔法を使っていて自由に暮らしています。私もあの街で自由に暮らしたい」

 私の気持ちをお兄様達は否定しようとしている。

「ソフィアの気持ちは理解しよう。だが、ソフィアは先祖返りをしていて豊富な魔力を持っている。縛り付けるわけにはいかないが、魔法使いは一人でも多い方がいいとも思っている」

 お父様の言葉の意味も十分理解できる。貴族で、魔力量が多い私は結婚して一人でも多く子供を産んだ方がいいことも。

 でも、もう一度あの街で、ヴィシュヌ様に会いたいと思う。

 私はヴィシュヌ様の言葉を思い出し、ずっと持っていた鈴を鳴らした。
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