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「王家からの詫びとしては何だが、ソフィア嬢が学院の卒業パーティーに参加が出来なかったのだな。デビュタントもまだだとか。今までの苦労が目に浮かぶ。
二ヶ月後に王宮で行われる舞踏会でソフィア嬢のデビュタントを許可する。ドレスもこちらで用意しよう。ソフィア嬢はレオンと結婚が決まったんだろう? 結婚式もこちらで全て費用を持つ。それでどうだろうか」
「有り難き幸せに存じます。ですが、結婚相手はレオンお兄様ではありません。ヴィシュヌという方の伴侶となりたいと思っております」
私がそう応えると、第一王子は不思議そうに聞き返してきた。
「聞いたことのない名だ。隣国の貴族だろうか?」
「いえ、魔法使いの始祖とよばれるうちの一人です」
私の代わりにお父様がそう言うと、その場にいる誰もが目を見開き驚いていた。
「ソフィアが自分で伴侶を見つけてきたのです。私としても偉大な魔法使いと義娘の縁が結ばれるのなら喜ばしいことです」
「……そうか。レオン達にとっては残念だろうが、ソフィア嬢にとっては良いことに違いない」
「そうですね。息子達には痛い教訓となったと思いますが、私もグリーン伯爵もソフィアの幸せを一番に考えているので嬉しい限りです」
第一王子はそうか、と頷いていた。
「ところで、ソフィア嬢へお願いがある。どうか、父の首輪を外してもらえないだろうか? そして、君の願いであった王宮の魔法使いとして働いて欲しい」
私はお父様の方をちらりと見ると、お父様は頷いた。
「分かりました。クリフォード陛下の首輪は外します。王宮に働きに出るかはお父様とヴィシュヌ様と話し合って決めたいと思います。ではクリフォード陛下、失礼します」
私は陛下の前に立った。
首輪に手を翳し、ゆっくりと魔力を流しはじめると、首輪は淡く光り、カシャンと音と共に隷属の首輪が外れた。クリフォード陛下は痛みから解放されたようにホッとしたようだったが、表情は硬く「すまなかった」と仰っていたわ。
短時間の謁見だったけれど、果てしなく疲れたわ。
邸に帰ってからはサラにお願いして私が寝るまで付き添ってもらう日々が続いた。
あの時の出来事は心の傷になっているみたいでまだ自分の部屋で寝ることが難しい。
少しずつ恐怖心が薄れてきてはいるけれど、まだ1人で邸や部屋に入る時は怖くて不安に襲われる事がある。
そうこうしているうちに日中はダンスの練習や結婚式の準備に忙しい日が過ぎていったわ。
その間もヴィシュヌ様はこちらへは戻ってこなかったけれど、手紙のやりとりをするようになった。
サラを始めとして侍女やお兄様達が私を支えてくれる事に感謝している。
ようやく邸にも平穏が戻り、私の不安や恐怖心が薄らいだ頃、王宮から荷物が届いた。
王宮から届いたデビュタントのドレスは白を基調としていて、総レースに真珠がふんだんに使われていながらも聖女を思い起こさせるような荘厳なドレスになっていたわ。
第一王子は絶対私の信奉者よね。
どうやらヴィシュヌ様の衣装とセットらしいのだけれど、ヴィシュヌ様の衣装はまだ見たことがない。
舞踏会当日は朝から邸内の侍女が総出で頑張ってくれていると言っても過言ではないほどだった。
舞踏会へ行くまでにクタクタよ。
サラ主導で私は着飾られていく。サラはソフィア様の生涯に一度きりの舞踏会デビューですからっ!と張り切っている。
刻々と迫る舞踏会の時間に緊張してくる。この年にでデビュタントは遅い方だ。
会場の人達から笑われてしまうかしら。
もし、ヴィシュヌ様が来てくれなかったらどうしよう。
緊張に不安が高まり、泣きたくなってくる。
するとヴィシュヌ様から『今から向かう』と手紙が来た。
さっきまでの不安は消えてなくなり嬉しくてはしゃいでしまいそうだわ。
「ソフィア様、準備が整いました。やはりこの国で一番の美女はソフィア様です。玄関ホールで皆様お待ちかねですよ」
「サラ、大丈夫かしら。魅力アップの魔法を使った方がいい?」
「ソフィア、魅力アップの魔法は禁止されていましたよね? そんな魔法などいりません! 魅力アップ魔法を使うと卒倒する殿方で舞踏会が成り立ちません。禁止です」
「そ、そう?」
真顔でそう言うサラに少し戸惑いながら玄関ホールへ向かった。
「お待たせしました。お父様、お兄様、ヴィシュヌ様」
玄関ホールには何故か家族全員が揃っていた。
えっと、私、みんなから凝視されている!?
「へ、変ですか」
おばあ様は涙を流しながら抱きしめられた。
「おばあ様」
「ソフィアちゃん、素敵よ。なんて素晴らしいの。長生きしていて良かったわ」
私とお揃いの衣装を着たヴィシュヌ様は一際美しく、私は言葉に詰まった。
「ソフィア、とても綺麗だ。長年生きてきてこれほど美しい人を見たことがない。私は役得だな」
「あ、ありが、とうございます。ヴィシュヌ様も素敵すぎて、直視できません」
「ありがとう」
今日はオリヴェタン侯爵家全員で参加となっている。フィンお兄様だけはこれから婚約者をお迎えに行くようです。
ヴィシュヌ様や家族は私の姿を素敵だと一杯褒めてくれている。
でも、私のせいで侯爵家の足を引っ張りかねないか心配になり、魅力アップ魔法を使っても良いかと聞いたが、みんなサラと全く同じ事を言っていたわ。
馬車に乗り込み外を見ながら私は話をする。
「お父様。私、一つだけ我儘を行っても良いですか」
「なんだい。ソフィアの我儘ならなんでも聞くよ」
「私のファーストダンスはお父様と踊りたいです。その後、グリーン伯爵と踊るのは駄目ですか?」
「なんて親孝行な義娘なんだ。嬉しいよ。是が非でも踊ろう。伯爵も喜ぶに違いない」
「その次は私だね。楽しみだ」
横に座っていたヴィシュヌ様は微笑んでいる。その姿に私はドキリと心臓が跳ねた。
「その次は俺達だソフィア」
「では、わしはその次だな。楽しみだ」
二ヶ月後に王宮で行われる舞踏会でソフィア嬢のデビュタントを許可する。ドレスもこちらで用意しよう。ソフィア嬢はレオンと結婚が決まったんだろう? 結婚式もこちらで全て費用を持つ。それでどうだろうか」
「有り難き幸せに存じます。ですが、結婚相手はレオンお兄様ではありません。ヴィシュヌという方の伴侶となりたいと思っております」
私がそう応えると、第一王子は不思議そうに聞き返してきた。
「聞いたことのない名だ。隣国の貴族だろうか?」
「いえ、魔法使いの始祖とよばれるうちの一人です」
私の代わりにお父様がそう言うと、その場にいる誰もが目を見開き驚いていた。
「ソフィアが自分で伴侶を見つけてきたのです。私としても偉大な魔法使いと義娘の縁が結ばれるのなら喜ばしいことです」
「……そうか。レオン達にとっては残念だろうが、ソフィア嬢にとっては良いことに違いない」
「そうですね。息子達には痛い教訓となったと思いますが、私もグリーン伯爵もソフィアの幸せを一番に考えているので嬉しい限りです」
第一王子はそうか、と頷いていた。
「ところで、ソフィア嬢へお願いがある。どうか、父の首輪を外してもらえないだろうか? そして、君の願いであった王宮の魔法使いとして働いて欲しい」
私はお父様の方をちらりと見ると、お父様は頷いた。
「分かりました。クリフォード陛下の首輪は外します。王宮に働きに出るかはお父様とヴィシュヌ様と話し合って決めたいと思います。ではクリフォード陛下、失礼します」
私は陛下の前に立った。
首輪に手を翳し、ゆっくりと魔力を流しはじめると、首輪は淡く光り、カシャンと音と共に隷属の首輪が外れた。クリフォード陛下は痛みから解放されたようにホッとしたようだったが、表情は硬く「すまなかった」と仰っていたわ。
短時間の謁見だったけれど、果てしなく疲れたわ。
邸に帰ってからはサラにお願いして私が寝るまで付き添ってもらう日々が続いた。
あの時の出来事は心の傷になっているみたいでまだ自分の部屋で寝ることが難しい。
少しずつ恐怖心が薄れてきてはいるけれど、まだ1人で邸や部屋に入る時は怖くて不安に襲われる事がある。
そうこうしているうちに日中はダンスの練習や結婚式の準備に忙しい日が過ぎていったわ。
その間もヴィシュヌ様はこちらへは戻ってこなかったけれど、手紙のやりとりをするようになった。
サラを始めとして侍女やお兄様達が私を支えてくれる事に感謝している。
ようやく邸にも平穏が戻り、私の不安や恐怖心が薄らいだ頃、王宮から荷物が届いた。
王宮から届いたデビュタントのドレスは白を基調としていて、総レースに真珠がふんだんに使われていながらも聖女を思い起こさせるような荘厳なドレスになっていたわ。
第一王子は絶対私の信奉者よね。
どうやらヴィシュヌ様の衣装とセットらしいのだけれど、ヴィシュヌ様の衣装はまだ見たことがない。
舞踏会当日は朝から邸内の侍女が総出で頑張ってくれていると言っても過言ではないほどだった。
舞踏会へ行くまでにクタクタよ。
サラ主導で私は着飾られていく。サラはソフィア様の生涯に一度きりの舞踏会デビューですからっ!と張り切っている。
刻々と迫る舞踏会の時間に緊張してくる。この年にでデビュタントは遅い方だ。
会場の人達から笑われてしまうかしら。
もし、ヴィシュヌ様が来てくれなかったらどうしよう。
緊張に不安が高まり、泣きたくなってくる。
するとヴィシュヌ様から『今から向かう』と手紙が来た。
さっきまでの不安は消えてなくなり嬉しくてはしゃいでしまいそうだわ。
「ソフィア様、準備が整いました。やはりこの国で一番の美女はソフィア様です。玄関ホールで皆様お待ちかねですよ」
「サラ、大丈夫かしら。魅力アップの魔法を使った方がいい?」
「ソフィア、魅力アップの魔法は禁止されていましたよね? そんな魔法などいりません! 魅力アップ魔法を使うと卒倒する殿方で舞踏会が成り立ちません。禁止です」
「そ、そう?」
真顔でそう言うサラに少し戸惑いながら玄関ホールへ向かった。
「お待たせしました。お父様、お兄様、ヴィシュヌ様」
玄関ホールには何故か家族全員が揃っていた。
えっと、私、みんなから凝視されている!?
「へ、変ですか」
おばあ様は涙を流しながら抱きしめられた。
「おばあ様」
「ソフィアちゃん、素敵よ。なんて素晴らしいの。長生きしていて良かったわ」
私とお揃いの衣装を着たヴィシュヌ様は一際美しく、私は言葉に詰まった。
「ソフィア、とても綺麗だ。長年生きてきてこれほど美しい人を見たことがない。私は役得だな」
「あ、ありが、とうございます。ヴィシュヌ様も素敵すぎて、直視できません」
「ありがとう」
今日はオリヴェタン侯爵家全員で参加となっている。フィンお兄様だけはこれから婚約者をお迎えに行くようです。
ヴィシュヌ様や家族は私の姿を素敵だと一杯褒めてくれている。
でも、私のせいで侯爵家の足を引っ張りかねないか心配になり、魅力アップ魔法を使っても良いかと聞いたが、みんなサラと全く同じ事を言っていたわ。
馬車に乗り込み外を見ながら私は話をする。
「お父様。私、一つだけ我儘を行っても良いですか」
「なんだい。ソフィアの我儘ならなんでも聞くよ」
「私のファーストダンスはお父様と踊りたいです。その後、グリーン伯爵と踊るのは駄目ですか?」
「なんて親孝行な義娘なんだ。嬉しいよ。是が非でも踊ろう。伯爵も喜ぶに違いない」
「その次は私だね。楽しみだ」
横に座っていたヴィシュヌ様は微笑んでいる。その姿に私はドキリと心臓が跳ねた。
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