6 / 35
6
しおりを挟む
その日から数日はフェルディナンドと学院でぎこちないながらも挨拶をして過ごした。
途中、ロジーナ嬢がフェルディナンドに食事に行こうと誘ったようだが断っていたみたい。その後もフェルディナンドを執拗に誘っていたらしいのだけれど、他の学生も見ている前では断り続けていたらしい。
ロジーナ嬢は諦めたのか同じ学年の子息達と行動するようになった。
それからは私とフェルディナンドの仲は元に戻り、噂も消え恙なく学院の卒業目前まで過ごした。
……なのに、なぜ?
悲しくて苦しくて涙が止まらない。
私とフェルディナンドは卒業して一年後の十七歳になったら豪華な結婚式を挙げるようにと母や公爵家主導で様々な計画が進んでいた。周りで動いているのを知っていてもそこに何も不安は無かった。
王妃は他の貴族達の前では私に優しく接していたわ。王妃は私を駒の一つとしか思っていないとしても。
私なりに努力をしてきたつもりだった。足を掬われないよう発言にも気を付けていたのに
……なのに。
ある日、私は王妃の管理する一室に呼ばれた。
何故王妃から呼ばれたのか?と疑問に思いながら部屋に入った。
扉を開けた時、真っ先に視界に入ってきたのは扇をバシパシと叩いてイライラしている状態の王妃の姿だった。
「リヴィア、そこに座りなさい」
私は王妃に促されるままソファに座った。
よく見ると部屋には公爵と夫人、フェルディナンド様が居て、公爵は疲れ切ったような表情、夫人は目を腫らしている。
フェルディナンド様は頬が赤くなっている。公爵に殴られた? 私は異様な雰囲気に戸惑ったが、こちらから聞かねばならないと口を開いた。
「公爵、どうしてここに?」
「……リヴィア王女殿下。愚息が申し訳ありません。この度の不祥事、私の不徳の致すところであり……」
公爵は言葉を詰まらせて謝っている。状況が読めない。でも、彼が何かをしたのは分かった。
「どういう、ことですか?」
言葉を詰まらせながら聞こうとすると王妃が代わりに告げた。
「ロジーナ・フリッジ子爵令嬢に子供が出来たのよ。フェルディナンドは父親になったそうよ。これまで私達が動いてきた事が全て水の泡になったわ! どうしてくれるの!?」
王妃は怒り狂い、扇を机に叩きつけた。公爵と夫人は床にひれ伏し謝っている。フェルディナンド様は公爵に頭を押さえられ、謝罪している状況だった。
私は、どこか違う世界の話じゃないかと思ったの。
どこか他人事のような感覚。
分かっているの、自分の事だって。
信じたくない気持ちがそう感じさせているのかもしれない。
「フェルディナンド様、何故、なの? 私は、忠告しましたわ。彼女に関わるなと。何故、子供が出来ることをしたの?」
「……リヴィア王女殿下。申し訳ありません」
「謝るだけではわからないわ」
私はさらに彼に詰め寄ると、彼は眉を下げ言いにくそうにしながらもポツポツと言葉を発していく。
「ロジーナが、彼女が隠れて会えば、問題ないと……」
「何故問題ないと思ったの? 婚約者は私では無かったの?」
「……すまない。彼女に嵌められたんだ。子爵家の彼女の部屋に通された僕はお茶を飲んで、不味いと思ったんだけど、彼女に抱きつかれて……。薬が切れるまで彼女と過ごした……」
彼がそう答えたと同時に王妃が扇を机に打ち付けて怒りが頂点に達したようだ。
「あぁっ! 忌々しい! アイツにしてやられたわ!!」
王妃が怒り狂っている理由はアンバー側妃しかいない。
フェルディナンド様は王妃や私を潰すために利用されたのだろう。公爵側としても将来王配にさせようとしていた息子が相手の策に引っかかったのだ。
貧乏子爵令嬢を一人消すことは容易いが、裏で側妃側の貴族が糸を引いていたのならそれを機に騒ぎ出すだろう。
そうすればこれまで水面下で行ってきた王妃の計画が明るみに出る。
水面下で行われていた事が公になれば、最悪の場合王妃まで罪に問われる可能性があるのだ。
王妃は全てが台無しになったことを怒っているのだろう。
王妃は立ち上がり、扇で私の顔を何度も打ち付けた。
婚約破棄という傷を負った私は駒としてもう使えないと捨てられることも分かった。
「忌々しい! 役立たずなお前はもう要らない! 死ねばいい!」
そう暴言を吐いて部屋を出て行ってしまった。
途中、ロジーナ嬢がフェルディナンドに食事に行こうと誘ったようだが断っていたみたい。その後もフェルディナンドを執拗に誘っていたらしいのだけれど、他の学生も見ている前では断り続けていたらしい。
ロジーナ嬢は諦めたのか同じ学年の子息達と行動するようになった。
それからは私とフェルディナンドの仲は元に戻り、噂も消え恙なく学院の卒業目前まで過ごした。
……なのに、なぜ?
悲しくて苦しくて涙が止まらない。
私とフェルディナンドは卒業して一年後の十七歳になったら豪華な結婚式を挙げるようにと母や公爵家主導で様々な計画が進んでいた。周りで動いているのを知っていてもそこに何も不安は無かった。
王妃は他の貴族達の前では私に優しく接していたわ。王妃は私を駒の一つとしか思っていないとしても。
私なりに努力をしてきたつもりだった。足を掬われないよう発言にも気を付けていたのに
……なのに。
ある日、私は王妃の管理する一室に呼ばれた。
何故王妃から呼ばれたのか?と疑問に思いながら部屋に入った。
扉を開けた時、真っ先に視界に入ってきたのは扇をバシパシと叩いてイライラしている状態の王妃の姿だった。
「リヴィア、そこに座りなさい」
私は王妃に促されるままソファに座った。
よく見ると部屋には公爵と夫人、フェルディナンド様が居て、公爵は疲れ切ったような表情、夫人は目を腫らしている。
フェルディナンド様は頬が赤くなっている。公爵に殴られた? 私は異様な雰囲気に戸惑ったが、こちらから聞かねばならないと口を開いた。
「公爵、どうしてここに?」
「……リヴィア王女殿下。愚息が申し訳ありません。この度の不祥事、私の不徳の致すところであり……」
公爵は言葉を詰まらせて謝っている。状況が読めない。でも、彼が何かをしたのは分かった。
「どういう、ことですか?」
言葉を詰まらせながら聞こうとすると王妃が代わりに告げた。
「ロジーナ・フリッジ子爵令嬢に子供が出来たのよ。フェルディナンドは父親になったそうよ。これまで私達が動いてきた事が全て水の泡になったわ! どうしてくれるの!?」
王妃は怒り狂い、扇を机に叩きつけた。公爵と夫人は床にひれ伏し謝っている。フェルディナンド様は公爵に頭を押さえられ、謝罪している状況だった。
私は、どこか違う世界の話じゃないかと思ったの。
どこか他人事のような感覚。
分かっているの、自分の事だって。
信じたくない気持ちがそう感じさせているのかもしれない。
「フェルディナンド様、何故、なの? 私は、忠告しましたわ。彼女に関わるなと。何故、子供が出来ることをしたの?」
「……リヴィア王女殿下。申し訳ありません」
「謝るだけではわからないわ」
私はさらに彼に詰め寄ると、彼は眉を下げ言いにくそうにしながらもポツポツと言葉を発していく。
「ロジーナが、彼女が隠れて会えば、問題ないと……」
「何故問題ないと思ったの? 婚約者は私では無かったの?」
「……すまない。彼女に嵌められたんだ。子爵家の彼女の部屋に通された僕はお茶を飲んで、不味いと思ったんだけど、彼女に抱きつかれて……。薬が切れるまで彼女と過ごした……」
彼がそう答えたと同時に王妃が扇を机に打ち付けて怒りが頂点に達したようだ。
「あぁっ! 忌々しい! アイツにしてやられたわ!!」
王妃が怒り狂っている理由はアンバー側妃しかいない。
フェルディナンド様は王妃や私を潰すために利用されたのだろう。公爵側としても将来王配にさせようとしていた息子が相手の策に引っかかったのだ。
貧乏子爵令嬢を一人消すことは容易いが、裏で側妃側の貴族が糸を引いていたのならそれを機に騒ぎ出すだろう。
そうすればこれまで水面下で行ってきた王妃の計画が明るみに出る。
水面下で行われていた事が公になれば、最悪の場合王妃まで罪に問われる可能性があるのだ。
王妃は全てが台無しになったことを怒っているのだろう。
王妃は立ち上がり、扇で私の顔を何度も打ち付けた。
婚約破棄という傷を負った私は駒としてもう使えないと捨てられることも分かった。
「忌々しい! 役立たずなお前はもう要らない! 死ねばいい!」
そう暴言を吐いて部屋を出て行ってしまった。
975
あなたにおすすめの小説
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
私の婚約者はちょろいのか、バカなのか、やさしいのか
れもんぴーる
恋愛
エミリアの婚約者ヨハンは、最近幼馴染の令嬢との逢瀬が忙しい。
婚約者との顔合わせよりも幼馴染とのデートを優先するヨハン。それなら婚約を解消してほしいのだけれど、応じてくれない。
両親に相談しても分かってもらえず、家を出てエミリアは自分の夢に向かって進み始める。
バカなのか、優しいのかわからない婚約者を見放して新たな生活を始める令嬢のお話です。
*今回感想欄を閉じます(*´▽`*)。感想への返信でぺろって言いたくて仕方が無くなるので・・・。初めて魔法も竜も転生も出てこないお話を書きました。寛大な心でお読みください!m(__)m
【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。
王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。
友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。
仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。
書きながらなので、亀更新です。
どうにか完結に持って行きたい。
ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。
旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!
恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。
誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、
三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。
「キャ...ス...といっしょ?」
キャス……?
その名を知るはずのない我が子が、どうして?
胸騒ぎはやがて確信へと変わる。
夫が隠し続けていた“女の影”が、
じわりと家族の中に染み出していた。
だがそれは、いま目の前の裏切りではない。
学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。
その一夜の結果は、静かに、確実に、
フローレンスの家族を壊しはじめていた。
愛しているのに疑ってしまう。
信じたいのに、信じられない。
夫は嘘をつき続け、女は影のように
フローレンスの生活に忍び寄る。
──私は、この結婚を守れるの?
──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの?
秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。
真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる