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19陛下side2
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「何もないですが、どうぞそこへお座りになって」
布が引き裂かれた椅子を指して彼女は破れたカウチソファへ身を投げ出した。
「で、話とは何ですか?」
「何故こんなに部屋が荒れているんだ?」
「気に入らなかったからですわ。何か問題でも?」
「……いや。君をそこまで苛立たせていたことを謝りたい」
「別に謝って貰わなくて結構よ。今更じゃない。アンバーが好きなのでしょう? お飾り妃に気を遣わなくてよいではないですか」
話すのも疲れたと言わんばかりに溜息をついて侍女にお茶を淹れるように指示するオリーディ。
「毒は入っていないわ。今、エーゼットが倒れてラジーノが王になることなんて許せないもの」
「……ラジーノはそれほど、か」
「最悪ね。よくあんなのを王子として残しているわ。学院でもあの二人の頭はもちろん素行も相当悪いとこちらまで話がくるもの」
「……」
オリーディは不機嫌な様子を隠すことなく侍女の淹れたお茶を飲む。
優雅に飲む姿は王妃としての培ってきた素晴らしさを感じさせるが、彼女のカップがひび割れていることに気づく。
「オリーディ、カップが欠けているじゃないか。そこの侍女、新しいのを持ってこい」
「要らないわ。私にはこれでいいのよ。この部屋には合っているでしょう?」
オリーディは欠けたティーカップなど気にしていない様子。
「何故だ? 王妃の予算は出ているし、いくらでも買えるだろう。この部屋の家具にしてもそうだ。何故新調しないんだ」
はあ、と一つ溜息を吐いたオリーディ。
「誰も私の部屋に来ないのだからいいじゃない。好きにしたって。気の触れた王妃がいたところで何の問題もないわ」
「……すまない。君を蔑ろにしすぎた。リヴィアのことも」
「ええ、そうね。女王になるリヴィアを潰したのは貴方とアンバー。この国一番の才女を手放すことになった。どう責任を取るつもりなのかしら」
オリーディは躊躇うことなくリヴィアが女王になるための教育を受けさせていたことを口にする。
彼女は本気でリヴィアを女王にしようとしていたのだろう。
「あれほど、アンバーを迎えるなと言っていたのに無視したのは誰? 毎回毎回、私の前でいちゃついて。
貴方とアンバーの顔を見る度に苛立つわ。アンバーと一緒に後宮に篭っていればいいのよ。生涯私の隣に立たないで欲しいわ」
カシャンと音を立てながらティーカップを置いた彼女。
「アンバーのことなんだが、彼女は廃妃にする予定だ」
一瞬手が止まったが、鼻で笑うオリーディ。
「廃妃? 馬鹿々々しい。彼女が認めるとでも? あんな欲だらけの女。貴方が毒殺されて終わりでしょうね」
「側妃を新たに向かえ、新たな王子を儲けるつもりだ。もちろんオリーディ、君の協力が不可欠なんだ」
少し間が空いた後、彼女は口を開いた。
「……ラジーノの婚約者を側妃として迎え入れるといいわ。落ちこぼれのラジーノを補うために宛がった婚約者ですもの。優秀な彼女なら子も優秀になるでしょうね。あと、ファルンフェルト家からも側妃を向かえれば文句も出ないでしょう」
「息子の婚約者、か」
「仕方がないわ。家にとっては名誉なことよ。相手の令嬢もラジーノを嫌っているのだから受けてくれる。私が言えるのはその程度。あとは勝手にやればいい。これ以上、私に関わらないで」
オリーディが名を出した側妃候補者達。確かに彼女が口にした令嬢達は優秀だ。他の貴族達からも反対派でないだろう。だが、オリーディにとってまた負担が増えるのも間違いはない。
私が彼女からリヴィアを取りあげたのだ。恨まれても仕方がない。
これから私の生涯をかけてオリーディには寄り添うつもりだ。
私がそこまで彼女を追い詰めたのだから……。
「話はもう終わり? じゃあ、もう帰って」
そう促されて私は「また来る」とだけ返事をして部屋を出た。
布が引き裂かれた椅子を指して彼女は破れたカウチソファへ身を投げ出した。
「で、話とは何ですか?」
「何故こんなに部屋が荒れているんだ?」
「気に入らなかったからですわ。何か問題でも?」
「……いや。君をそこまで苛立たせていたことを謝りたい」
「別に謝って貰わなくて結構よ。今更じゃない。アンバーが好きなのでしょう? お飾り妃に気を遣わなくてよいではないですか」
話すのも疲れたと言わんばかりに溜息をついて侍女にお茶を淹れるように指示するオリーディ。
「毒は入っていないわ。今、エーゼットが倒れてラジーノが王になることなんて許せないもの」
「……ラジーノはそれほど、か」
「最悪ね。よくあんなのを王子として残しているわ。学院でもあの二人の頭はもちろん素行も相当悪いとこちらまで話がくるもの」
「……」
オリーディは不機嫌な様子を隠すことなく侍女の淹れたお茶を飲む。
優雅に飲む姿は王妃としての培ってきた素晴らしさを感じさせるが、彼女のカップがひび割れていることに気づく。
「オリーディ、カップが欠けているじゃないか。そこの侍女、新しいのを持ってこい」
「要らないわ。私にはこれでいいのよ。この部屋には合っているでしょう?」
オリーディは欠けたティーカップなど気にしていない様子。
「何故だ? 王妃の予算は出ているし、いくらでも買えるだろう。この部屋の家具にしてもそうだ。何故新調しないんだ」
はあ、と一つ溜息を吐いたオリーディ。
「誰も私の部屋に来ないのだからいいじゃない。好きにしたって。気の触れた王妃がいたところで何の問題もないわ」
「……すまない。君を蔑ろにしすぎた。リヴィアのことも」
「ええ、そうね。女王になるリヴィアを潰したのは貴方とアンバー。この国一番の才女を手放すことになった。どう責任を取るつもりなのかしら」
オリーディは躊躇うことなくリヴィアが女王になるための教育を受けさせていたことを口にする。
彼女は本気でリヴィアを女王にしようとしていたのだろう。
「あれほど、アンバーを迎えるなと言っていたのに無視したのは誰? 毎回毎回、私の前でいちゃついて。
貴方とアンバーの顔を見る度に苛立つわ。アンバーと一緒に後宮に篭っていればいいのよ。生涯私の隣に立たないで欲しいわ」
カシャンと音を立てながらティーカップを置いた彼女。
「アンバーのことなんだが、彼女は廃妃にする予定だ」
一瞬手が止まったが、鼻で笑うオリーディ。
「廃妃? 馬鹿々々しい。彼女が認めるとでも? あんな欲だらけの女。貴方が毒殺されて終わりでしょうね」
「側妃を新たに向かえ、新たな王子を儲けるつもりだ。もちろんオリーディ、君の協力が不可欠なんだ」
少し間が空いた後、彼女は口を開いた。
「……ラジーノの婚約者を側妃として迎え入れるといいわ。落ちこぼれのラジーノを補うために宛がった婚約者ですもの。優秀な彼女なら子も優秀になるでしょうね。あと、ファルンフェルト家からも側妃を向かえれば文句も出ないでしょう」
「息子の婚約者、か」
「仕方がないわ。家にとっては名誉なことよ。相手の令嬢もラジーノを嫌っているのだから受けてくれる。私が言えるのはその程度。あとは勝手にやればいい。これ以上、私に関わらないで」
オリーディが名を出した側妃候補者達。確かに彼女が口にした令嬢達は優秀だ。他の貴族達からも反対派でないだろう。だが、オリーディにとってまた負担が増えるのも間違いはない。
私が彼女からリヴィアを取りあげたのだ。恨まれても仕方がない。
これから私の生涯をかけてオリーディには寄り添うつもりだ。
私がそこまで彼女を追い詰めたのだから……。
「話はもう終わり? じゃあ、もう帰って」
そう促されて私は「また来る」とだけ返事をして部屋を出た。
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