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離宮に着くと、ダリアたちが出迎えてくれたわ。ここでも最低限の暮らしが保証されているだけのようだ。
ダリアたちはまたこの状況なのかと呆れているけれど、私は良かったと思っているわ。
離宮に来てから三ヶ月が経った。
相変わらずの状況。王宮から婚姻届けが送られてくるわけでもないし、知らせもない状態。
ドルク王子が拒否をし続けているのだろうか。
疲弊していた私の心は離宮に来て、ダリア達と過ごしていくうちに徐々に回復していった。
最低限の使用人たちとダリア家族とこのままここで暮らしていくのだろう。
ケルノッティの離宮では本を読んだりしていたが、ここの離宮は何もない。さすがに何もないのは暇になってくる。幸いなことにこの離宮は街に近い。
街へ出てみたいと言ってみたけれど、どうやらそれは許可できないらしい。結婚もしていない王女が街へ出て何かあれば国際問題に発展しかねないのだという理由だ。そう言われてしまえば仕方がない。
「モニカ、何もすることが無くて暇なのよね。この離宮では情報も入ってこないし、飽きたわ。何かすることはないかしら?」
「そう言われましても……。街には大きな商会があります。お呼びしましょうか?」
「うーん。特に買い物は無いし、要らないわ。何か、面白い話はないかしら?」
「そうですねぇ、そういえば下女の中には商会から針子の仕事を貰い内職をしているようですよ。今、街の流行など聞けるかもしれませんね」
「そうなの? 聞いてみたいわ」
街から離宮に来ている下女たちは午前中だけ仕事をするという形で働いている。中には午後は内職や別の職業に就いて生活している者もいるのだ。
街の話を聞こうと、ライアという一人の下女を呼んでもらった。
彼女は最初、ビクビクしながら話をしていたが、慣れてくると笑顔で話をしてくれるようになった。王都は少し離れているため滅多に話は流れてこないが、最近街では食料品を中心とした物の値段が上がってきたのだと言っていた。まだこの街は良い方だと言っていたわ。
なぜ物の値段が上がっているのかといえば、近年力を増している隣国、シューンエイゼット国との間で戦争が起こりそうだということらしい。
これまでカインディール国とシューンエイゼット国は仲は良くないが、国境付近の小競り合いで済んでいた。
戦争となると人の往来は無くなり、平民向けの食糧などの物流は滞りがちになる。それを見越して買占めが各地で起こり始めているのかもしれない。
下女からの話を聞いた後、ダリア家族を呼んだ。
「リヴィア様、どうされましたか?」
ダリアが心配そうに聞いてきた。
「ダリア、たまに街に出るのでしょう? 情報を得て欲しいの。
下女たちの言う通り戦争が始まるのであれば離宮や街への食糧は後回しにされて、最悪な場合途絶えてもおかしくないわ。
そうすれば民は飢え、治安が悪くなる。
様々な情報を仕入れてきて欲しいの。モニカ、あと、商会から内職などの作業はないかしら?」
「なぜでしょうか?」
モニカが困惑した表情で聞き返した。
「私が暇だから何かしたいのもあるけれど、商会の情報は侮れないの。
内職をするついでに聞いてきてほしいわ。戦争が始まったら王宮は手一杯で離宮は何かと後回しにされるわ。
資金がどこまで持つか分からない。私のドレスを売ればしばらくは暮らせるけれど、安く買いたたかれるでしょう? 僅かなお金でも継続的に収入がある方が良いのではないかしら?」
「リヴィア様が内職!? 今でもケルノッティ国とカインディール国から暮らしていける資金はいただいております。
働く必要はないと言いたいですが、戦争になればどんな事が起こるか分かりません。針子の仕事などがあれば探してきます。しっかりと情勢も調べてきます」
「無理はしなくていいからね。あとロン、折角のお庭だけど、この敷地全て畑に変えて頂戴。小麦や長期保存のできる野菜は難しいかしら?」
「今の時期ならぎりぎりですね。人手は必要になります」
「分かったわ。この邸の使用人の力を借りて畑を作りましょう」
離宮の敷地はかなり広い。もともと離宮では食糧を賄う分の畑があるのだが、戦争が起こるとどうなるか分からない。
治安を安定させるためにも街へ配給することも考えておかねばならない。離宮から出ることができない以上やれることは限られている。
自分にできることをやるしかない。
ダリアたち家族と話し合いが終わった後、私はシャーロット妃に手紙を書いた。
「ティポー、明日でいいからこれを配達人に渡してちょうだい。あと、離宮の塀や柵の強化と倉庫にある食糧の備蓄確認を」
「畏まりました」
翌日、モニカは商会から生地に刺繍をする仕事をもらってきた。
彼女が得た情報によると、王都に住んでいる貴族たち、特に令嬢の話題は着飾ることが話題の中心で、物価が上昇しているなどの情勢が不安定になりつつあるという話は話題にも上らないそうだ。
モニカが商会から仕入れてきた仕事は貴族のドレス生地に刺繍をするのだが、細かな刺繍をする人は少なく合格できる人は少ないらしい。
私の刺繍を商会へ持ち込み、合格をもぎ取ったのだとか。私はモニカの妹で、生まれながらに身体が不自由でベッドから出られないが、刺繍の腕は良いという設定になったようだ。
貴族向けの刺繍なので他の職業に比べ賃金はかなり良いらしい。まぁ、それでも平民が稼ぐ金額なので大した金額ではないとモニカは言っていたわ。
ダリアたちはまたこの状況なのかと呆れているけれど、私は良かったと思っているわ。
離宮に来てから三ヶ月が経った。
相変わらずの状況。王宮から婚姻届けが送られてくるわけでもないし、知らせもない状態。
ドルク王子が拒否をし続けているのだろうか。
疲弊していた私の心は離宮に来て、ダリア達と過ごしていくうちに徐々に回復していった。
最低限の使用人たちとダリア家族とこのままここで暮らしていくのだろう。
ケルノッティの離宮では本を読んだりしていたが、ここの離宮は何もない。さすがに何もないのは暇になってくる。幸いなことにこの離宮は街に近い。
街へ出てみたいと言ってみたけれど、どうやらそれは許可できないらしい。結婚もしていない王女が街へ出て何かあれば国際問題に発展しかねないのだという理由だ。そう言われてしまえば仕方がない。
「モニカ、何もすることが無くて暇なのよね。この離宮では情報も入ってこないし、飽きたわ。何かすることはないかしら?」
「そう言われましても……。街には大きな商会があります。お呼びしましょうか?」
「うーん。特に買い物は無いし、要らないわ。何か、面白い話はないかしら?」
「そうですねぇ、そういえば下女の中には商会から針子の仕事を貰い内職をしているようですよ。今、街の流行など聞けるかもしれませんね」
「そうなの? 聞いてみたいわ」
街から離宮に来ている下女たちは午前中だけ仕事をするという形で働いている。中には午後は内職や別の職業に就いて生活している者もいるのだ。
街の話を聞こうと、ライアという一人の下女を呼んでもらった。
彼女は最初、ビクビクしながら話をしていたが、慣れてくると笑顔で話をしてくれるようになった。王都は少し離れているため滅多に話は流れてこないが、最近街では食料品を中心とした物の値段が上がってきたのだと言っていた。まだこの街は良い方だと言っていたわ。
なぜ物の値段が上がっているのかといえば、近年力を増している隣国、シューンエイゼット国との間で戦争が起こりそうだということらしい。
これまでカインディール国とシューンエイゼット国は仲は良くないが、国境付近の小競り合いで済んでいた。
戦争となると人の往来は無くなり、平民向けの食糧などの物流は滞りがちになる。それを見越して買占めが各地で起こり始めているのかもしれない。
下女からの話を聞いた後、ダリア家族を呼んだ。
「リヴィア様、どうされましたか?」
ダリアが心配そうに聞いてきた。
「ダリア、たまに街に出るのでしょう? 情報を得て欲しいの。
下女たちの言う通り戦争が始まるのであれば離宮や街への食糧は後回しにされて、最悪な場合途絶えてもおかしくないわ。
そうすれば民は飢え、治安が悪くなる。
様々な情報を仕入れてきて欲しいの。モニカ、あと、商会から内職などの作業はないかしら?」
「なぜでしょうか?」
モニカが困惑した表情で聞き返した。
「私が暇だから何かしたいのもあるけれど、商会の情報は侮れないの。
内職をするついでに聞いてきてほしいわ。戦争が始まったら王宮は手一杯で離宮は何かと後回しにされるわ。
資金がどこまで持つか分からない。私のドレスを売ればしばらくは暮らせるけれど、安く買いたたかれるでしょう? 僅かなお金でも継続的に収入がある方が良いのではないかしら?」
「リヴィア様が内職!? 今でもケルノッティ国とカインディール国から暮らしていける資金はいただいております。
働く必要はないと言いたいですが、戦争になればどんな事が起こるか分かりません。針子の仕事などがあれば探してきます。しっかりと情勢も調べてきます」
「無理はしなくていいからね。あとロン、折角のお庭だけど、この敷地全て畑に変えて頂戴。小麦や長期保存のできる野菜は難しいかしら?」
「今の時期ならぎりぎりですね。人手は必要になります」
「分かったわ。この邸の使用人の力を借りて畑を作りましょう」
離宮の敷地はかなり広い。もともと離宮では食糧を賄う分の畑があるのだが、戦争が起こるとどうなるか分からない。
治安を安定させるためにも街へ配給することも考えておかねばならない。離宮から出ることができない以上やれることは限られている。
自分にできることをやるしかない。
ダリアたち家族と話し合いが終わった後、私はシャーロット妃に手紙を書いた。
「ティポー、明日でいいからこれを配達人に渡してちょうだい。あと、離宮の塀や柵の強化と倉庫にある食糧の備蓄確認を」
「畏まりました」
翌日、モニカは商会から生地に刺繍をする仕事をもらってきた。
彼女が得た情報によると、王都に住んでいる貴族たち、特に令嬢の話題は着飾ることが話題の中心で、物価が上昇しているなどの情勢が不安定になりつつあるという話は話題にも上らないそうだ。
モニカが商会から仕入れてきた仕事は貴族のドレス生地に刺繍をするのだが、細かな刺繍をする人は少なく合格できる人は少ないらしい。
私の刺繍を商会へ持ち込み、合格をもぎ取ったのだとか。私はモニカの妹で、生まれながらに身体が不自由でベッドから出られないが、刺繍の腕は良いという設定になったようだ。
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