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「リヴィア、母上からここに居ると聞いてきた。心配したよ」
突然の声に振り返ると、そこにいたのはアレンだった。
「アレン様、今日は大臣たちとの折衝ではなかったのですか?」
「予定より早く終わったんだ。貴族たちとの話し合いも終わらせて、時間が取れたからリヴィアに会いに来た」
アレンが私の隣へ来て、髪の毛を一房取り、キスを落とす。アレンの従者が後から椅子を持ってきて、ピタリと私の隣に座った。
「こうして時間が取れたことに感謝しないとな。リヴィアはなんでここでお茶をしているんだ?」
アレンは目の前の令嬢が見えていないらしい。
「ふふふっ。目の前に座っていらっしゃるアレン様の婚約者候補筆頭のエステル・メロード・セイン侯爵令嬢に呼ばれたのです」
「ん? 誰だ? もう一回言ってくれ?」
アレンは笑顔で聞いてきた。その様子が可笑しくて、こちらも笑顔になる。
「アレン様の婚約者候補筆頭のエステル・メロード・セイン侯爵令嬢ですわ」
「知らないな? 俺に婚約者候補がいたのか? 母上が勝手に決めたのか?」
アレンはリナの方に視線を向けて聞いている。
「いえ、そのような話を私共は聞いておりません」
エステル嬢は私たちの会話に堪えかねたのか、ふるふると身体を振るわせて涙を浮かべてアレンに向かって話し始めた。
「酷いですっ。アレン様っ! カインディールの属国の端にある小さな国の王女にすぎない人と仲良くするなんてっ」
手を前に組み、ふるふると震え、可愛い仕草をしているつもりなのね。
フェルディナンドだったらコロッと騙されそうだわ。私が彼女を制止しようと口を開こうとした時、アレンは私よりも早く口を開いた。
「ああ、君は確か子息たちに媚を売っている愛人希望の令嬢だったか。思い出した」
「あ、愛人希望? ち、違いますうっ。私はアレン様と婚姻するために待っていたのです」
「は? 悪い冗談だな。面白くも何ともない。リヴィアが小国の王女? とんでもない間違いだな。
王女じゃなく女王になれるほど女だ。
媚を売ることしか能のないお前とは器が違いすぎる。
貴族や隣国と対等に渡りあえるのは、俺の妃つまり王妃であるのはリヴィアしかいない」
「アレン様、リヴィア様が王妃ってどういうことですかっ。今回の戦で勝利を収めて私を妻にしてくれるのだと思って待っていたのですっ」
「おっと、公表するのに少し早まったな。カインディールとその属国を纏めるのは俺とリヴィアだ。ゆくゆくはこの国の王と王妃になるかもな」
「そっ、そんなっ!! 私はずっと待っていたんですっ」
うるうるしながら両手を合わせてアレンに話すエステル嬢。
「俺はお前を待っていないし、何年も前から俺はリヴィアに首ったけだ。
今回の戦争もリヴィアを妃に迎えるために起こったことだ。ああ、エステル嬢だったか。少しは現実を見た方がいい。侯爵が呼んでいたぞ、早く行った方がいいんじゃないか?」
クククッと笑っているアレン。アレンの話を聞いたエステル嬢は涙を流しながら立ち上がった。
「う、うっ。アレン様、ひどいですぅっ」
「ああ、酷いかもな。父親にでも慰めてもらうんだな」
セイン侯爵令嬢はうわーんと泣きながら去っていった。
「嵐のような人だったわ。それにしても、さっきの話は本当?」
「カインディールの話? 本当だ。
俺がカインディール国に時間を掛けずに入れたのも王妃の手引きがあった。
『今の王族ではこの国は立ち行かなくなる。攻めるのなら手引きをする代わりに、王族や一部の貴族のみを挿げ替えるだけにしてほしい』と。
まあ、全ての貴族を処刑すれば国は荒れるからな。王妃は全て分かった上で交渉してきた」
「王妃様は、処刑となるのでしょうか?」
一度しか会ったことはないけれど、私は感謝している。
「それは父の意向によるな。それよりもっと大事なことを伝えなければいけない……」
彼は私に向き直り、手を取った。
「俺は、リヴィアを妻に迎えるためにここまできた。改めて言うよ。どうか俺の妻になって欲しい」
……その言葉に胸が熱くなった。
「う、嬉しいです。私はアレン様を見送った後、後悔しかなかった。貴方とずっと一緒に過ごしたい。アレン様、あの時からずっと、お慕いしております」
私の返事を聞いたアレンはそのまま手を引いて私を抱き寄せた。
「ずっとこうして君といることを夢見ていた」
その様子を見ていた侍女や従者たちから拍手が起こった。
私は恥ずかしくて顔が火照るのを感じる。後ろでティポーたちも少し離れた場所で見守ってくれていたようで、ダリアが涙ぐんでいた。
「リヴィア様。戦勝報告まであと数日ですが、危険に曝されるかもしれません。お部屋に戻りましょう」
「ああ、そうだ。リヴィアに何かあってはいけない。部屋に戻ろう」ティポーの言葉にアレンは同意し、私をエスコートして部屋に戻った。
「アレン様、陛下がお呼びです」
「……仕方がないな」
従者が待ち構えていたかのようにアレンに駆け寄ってきた。やはり戦後処理で大変なのね。
私はアレンを見送って部屋で静かに過ごすことにした。
突然の声に振り返ると、そこにいたのはアレンだった。
「アレン様、今日は大臣たちとの折衝ではなかったのですか?」
「予定より早く終わったんだ。貴族たちとの話し合いも終わらせて、時間が取れたからリヴィアに会いに来た」
アレンが私の隣へ来て、髪の毛を一房取り、キスを落とす。アレンの従者が後から椅子を持ってきて、ピタリと私の隣に座った。
「こうして時間が取れたことに感謝しないとな。リヴィアはなんでここでお茶をしているんだ?」
アレンは目の前の令嬢が見えていないらしい。
「ふふふっ。目の前に座っていらっしゃるアレン様の婚約者候補筆頭のエステル・メロード・セイン侯爵令嬢に呼ばれたのです」
「ん? 誰だ? もう一回言ってくれ?」
アレンは笑顔で聞いてきた。その様子が可笑しくて、こちらも笑顔になる。
「アレン様の婚約者候補筆頭のエステル・メロード・セイン侯爵令嬢ですわ」
「知らないな? 俺に婚約者候補がいたのか? 母上が勝手に決めたのか?」
アレンはリナの方に視線を向けて聞いている。
「いえ、そのような話を私共は聞いておりません」
エステル嬢は私たちの会話に堪えかねたのか、ふるふると身体を振るわせて涙を浮かべてアレンに向かって話し始めた。
「酷いですっ。アレン様っ! カインディールの属国の端にある小さな国の王女にすぎない人と仲良くするなんてっ」
手を前に組み、ふるふると震え、可愛い仕草をしているつもりなのね。
フェルディナンドだったらコロッと騙されそうだわ。私が彼女を制止しようと口を開こうとした時、アレンは私よりも早く口を開いた。
「ああ、君は確か子息たちに媚を売っている愛人希望の令嬢だったか。思い出した」
「あ、愛人希望? ち、違いますうっ。私はアレン様と婚姻するために待っていたのです」
「は? 悪い冗談だな。面白くも何ともない。リヴィアが小国の王女? とんでもない間違いだな。
王女じゃなく女王になれるほど女だ。
媚を売ることしか能のないお前とは器が違いすぎる。
貴族や隣国と対等に渡りあえるのは、俺の妃つまり王妃であるのはリヴィアしかいない」
「アレン様、リヴィア様が王妃ってどういうことですかっ。今回の戦で勝利を収めて私を妻にしてくれるのだと思って待っていたのですっ」
「おっと、公表するのに少し早まったな。カインディールとその属国を纏めるのは俺とリヴィアだ。ゆくゆくはこの国の王と王妃になるかもな」
「そっ、そんなっ!! 私はずっと待っていたんですっ」
うるうるしながら両手を合わせてアレンに話すエステル嬢。
「俺はお前を待っていないし、何年も前から俺はリヴィアに首ったけだ。
今回の戦争もリヴィアを妃に迎えるために起こったことだ。ああ、エステル嬢だったか。少しは現実を見た方がいい。侯爵が呼んでいたぞ、早く行った方がいいんじゃないか?」
クククッと笑っているアレン。アレンの話を聞いたエステル嬢は涙を流しながら立ち上がった。
「う、うっ。アレン様、ひどいですぅっ」
「ああ、酷いかもな。父親にでも慰めてもらうんだな」
セイン侯爵令嬢はうわーんと泣きながら去っていった。
「嵐のような人だったわ。それにしても、さっきの話は本当?」
「カインディールの話? 本当だ。
俺がカインディール国に時間を掛けずに入れたのも王妃の手引きがあった。
『今の王族ではこの国は立ち行かなくなる。攻めるのなら手引きをする代わりに、王族や一部の貴族のみを挿げ替えるだけにしてほしい』と。
まあ、全ての貴族を処刑すれば国は荒れるからな。王妃は全て分かった上で交渉してきた」
「王妃様は、処刑となるのでしょうか?」
一度しか会ったことはないけれど、私は感謝している。
「それは父の意向によるな。それよりもっと大事なことを伝えなければいけない……」
彼は私に向き直り、手を取った。
「俺は、リヴィアを妻に迎えるためにここまできた。改めて言うよ。どうか俺の妻になって欲しい」
……その言葉に胸が熱くなった。
「う、嬉しいです。私はアレン様を見送った後、後悔しかなかった。貴方とずっと一緒に過ごしたい。アレン様、あの時からずっと、お慕いしております」
私の返事を聞いたアレンはそのまま手を引いて私を抱き寄せた。
「ずっとこうして君といることを夢見ていた」
その様子を見ていた侍女や従者たちから拍手が起こった。
私は恥ずかしくて顔が火照るのを感じる。後ろでティポーたちも少し離れた場所で見守ってくれていたようで、ダリアが涙ぐんでいた。
「リヴィア様。戦勝報告まであと数日ですが、危険に曝されるかもしれません。お部屋に戻りましょう」
「ああ、そうだ。リヴィアに何かあってはいけない。部屋に戻ろう」ティポーの言葉にアレンは同意し、私をエスコートして部屋に戻った。
「アレン様、陛下がお呼びです」
「……仕方がないな」
従者が待ち構えていたかのようにアレンに駆け寄ってきた。やはり戦後処理で大変なのね。
私はアレンを見送って部屋で静かに過ごすことにした。
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