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街道で薬草採りに励みながら王都に向けてのんびりと進んでいます。確かギルドに入ると一番初めのクエストが薬草採りなのよね。
子供の小遣い稼ぎに丁度良い。ただ、高級薬草は毒草と見分けが付きにくいので間違えてよく怒られてたわ。前世で。
懐かしい感覚に浸りながら採った薬草は荷台の上部に括り付けて干しておく。新鮮な内にポーションに出来れば一番だろうけど、器具も無いので乾燥させて長期保存の軟膏にするのがベターなの。
今、向かっている王都はどんな所なのかしら。今世では邸からほぼ出た事が無かったからあまり街を知らないのよね。
前世でも国外は殆ど行った事が無かったの。
王宮魔法使いは1人でも充分脅威とされるらしく、国の移動は滅多に許されなかったのよね。今はどうなのかしら。
国内なら魔物退治でよく飛び回っていたけれど。ようやく王都の入り口の検問所までやって来れた。
門番は一人一人身分証と犯罪歴を確認しているみたい。私も列に並び順番を待つ。
「次、身分証を。16歳で1人で旅?この水晶に触れて。君の職業は?」
「魔物に襲われて1人になりました。職業は治療師です」
私の身分証を確認すると門番は見つけたと言わんばかりの顔をしている。
「ちょっと別室に来るように」
ようやく私の番だと思ったら別室に連れて行かれたわ。
……私、何かしたかな。
過去の記憶を引っ張り出して照合していくが思い当たる節は無い。不安になりながら椅子に座っていると、1人の兵士が部屋に入ってきた。そして門番と何か言葉を交わして門番は戻って行ってしまったわ。
「君がゾエの移動治療師か?」
兵士は何かを暴こうとしているのかジッと私を見つめてくる。
「報告があったのは薄い金髪に黒色が入った女の子と聞いていたのだが」
もしや、私の髪は黒髪に徐々に染まっていった?王族の色を纏ったとして捕まるとかではないよね??内心焦るけれど、この部屋には窓も無いので逃走出来なさそう。
いざとなったら部屋を破壊するしかない。
「まぁ、魔法で容姿は変えれるしな。まぁ、いい。付いてこい」
「あ、あの。私は何処へ連れて行かれるのですか?」
「主人がお前に会いたいと言っている。付いてくれば分かる」
「馬車はどうすれば良いですか」
「ここに置いていけ。後から別の者に取りに来させる」
兵士は端的に話すと後に付いて来るようにと促した。検問所を出ると、私達は用意されていた馬車に乗り込む。
馬車の窓から見渡す街は活気があって賑やかだわ。
大人も子どもも笑顔に溢れている。王都は平和なのね。少し前まで私も貴族だった。今頃家族はどうしているかしら。私が居なくなって清々しているわよね。
誰も私になんて関心も無かったから、居なくてもやっぱり気にしていないのかしらね。だって馬車にあった身分証はソフィと書いてある平民用だったもの。
お母様が前もって用意していたのでしょうから。魔法が使えればもっと違っていたかしら。
……きっと何も変わらなかったと思う。
ただ商人に売られるか、何処かの貴族へ売られるかだけの違いよね。
そんな事を考えながら窓の外を眺めている私を兵士はジッと観察している事に気づいていなかった。
……馬車が到着した場所は、王宮だった。
どういう事かしら?誰も私の疑問に答えてくれる人もなく、兵士に連れられて向かった先は謁見の間。どういう事なのかさっぱり分からず。
謁見の間には王様と王子様と思われる人と宰相がいたわ。
あれ?あの王子様って少し前に毒で死にかけていた人じゃないかしら??私はとりあえず、平民用の礼を取る。
患者第一号は関わってはいけない人だったのではと今更ながら感じたわ。
「面を上げよ。検問所の兵士から名は聞いた。ソフィよ、第三王子のルイを助けた事を褒めて遣わす。褒美は何が良いか」
「陛下。有難きお言葉。ですが、私は治療師として職務を全うしただけでございます。治療費も従者の方から頂きました。褒美は陛下のそのお言葉だけで充分で御座います」
「ほう。良かろう。本当にそれだけで良いのだな」
「はい」
「陛下。私、ソフィへのお礼としてお茶を共にしても宜しいでしょうか」
ルイ殿下が謁見を終わらせようとしている横で口を開いた。
「ああ。構わぬ。ソフィもそれで良かろう」
ルイ殿下は微笑みながら私の元へ歩いてくる。うぇぇ、なんだか怖い。治療はさっくり終わったのだから気にしなくていいのよっ。
「僕はルイ。ソフィ、お茶を一緒に飲もう。色々な話を聞きたいんだ」
「私こそ第三王子様と一緒にお茶をいただけるとは有難き幸せです」
気持ちとは裏腹に和かに返事をする。
私は殿下にエスコートされ、謁見の間を退出する。扉が閉まると待ち構えていた侍女達と交代し、別室へと案内される。
子供の小遣い稼ぎに丁度良い。ただ、高級薬草は毒草と見分けが付きにくいので間違えてよく怒られてたわ。前世で。
懐かしい感覚に浸りながら採った薬草は荷台の上部に括り付けて干しておく。新鮮な内にポーションに出来れば一番だろうけど、器具も無いので乾燥させて長期保存の軟膏にするのがベターなの。
今、向かっている王都はどんな所なのかしら。今世では邸からほぼ出た事が無かったからあまり街を知らないのよね。
前世でも国外は殆ど行った事が無かったの。
王宮魔法使いは1人でも充分脅威とされるらしく、国の移動は滅多に許されなかったのよね。今はどうなのかしら。
国内なら魔物退治でよく飛び回っていたけれど。ようやく王都の入り口の検問所までやって来れた。
門番は一人一人身分証と犯罪歴を確認しているみたい。私も列に並び順番を待つ。
「次、身分証を。16歳で1人で旅?この水晶に触れて。君の職業は?」
「魔物に襲われて1人になりました。職業は治療師です」
私の身分証を確認すると門番は見つけたと言わんばかりの顔をしている。
「ちょっと別室に来るように」
ようやく私の番だと思ったら別室に連れて行かれたわ。
……私、何かしたかな。
過去の記憶を引っ張り出して照合していくが思い当たる節は無い。不安になりながら椅子に座っていると、1人の兵士が部屋に入ってきた。そして門番と何か言葉を交わして門番は戻って行ってしまったわ。
「君がゾエの移動治療師か?」
兵士は何かを暴こうとしているのかジッと私を見つめてくる。
「報告があったのは薄い金髪に黒色が入った女の子と聞いていたのだが」
もしや、私の髪は黒髪に徐々に染まっていった?王族の色を纏ったとして捕まるとかではないよね??内心焦るけれど、この部屋には窓も無いので逃走出来なさそう。
いざとなったら部屋を破壊するしかない。
「まぁ、魔法で容姿は変えれるしな。まぁ、いい。付いてこい」
「あ、あの。私は何処へ連れて行かれるのですか?」
「主人がお前に会いたいと言っている。付いてくれば分かる」
「馬車はどうすれば良いですか」
「ここに置いていけ。後から別の者に取りに来させる」
兵士は端的に話すと後に付いて来るようにと促した。検問所を出ると、私達は用意されていた馬車に乗り込む。
馬車の窓から見渡す街は活気があって賑やかだわ。
大人も子どもも笑顔に溢れている。王都は平和なのね。少し前まで私も貴族だった。今頃家族はどうしているかしら。私が居なくなって清々しているわよね。
誰も私になんて関心も無かったから、居なくてもやっぱり気にしていないのかしらね。だって馬車にあった身分証はソフィと書いてある平民用だったもの。
お母様が前もって用意していたのでしょうから。魔法が使えればもっと違っていたかしら。
……きっと何も変わらなかったと思う。
ただ商人に売られるか、何処かの貴族へ売られるかだけの違いよね。
そんな事を考えながら窓の外を眺めている私を兵士はジッと観察している事に気づいていなかった。
……馬車が到着した場所は、王宮だった。
どういう事かしら?誰も私の疑問に答えてくれる人もなく、兵士に連れられて向かった先は謁見の間。どういう事なのかさっぱり分からず。
謁見の間には王様と王子様と思われる人と宰相がいたわ。
あれ?あの王子様って少し前に毒で死にかけていた人じゃないかしら??私はとりあえず、平民用の礼を取る。
患者第一号は関わってはいけない人だったのではと今更ながら感じたわ。
「面を上げよ。検問所の兵士から名は聞いた。ソフィよ、第三王子のルイを助けた事を褒めて遣わす。褒美は何が良いか」
「陛下。有難きお言葉。ですが、私は治療師として職務を全うしただけでございます。治療費も従者の方から頂きました。褒美は陛下のそのお言葉だけで充分で御座います」
「ほう。良かろう。本当にそれだけで良いのだな」
「はい」
「陛下。私、ソフィへのお礼としてお茶を共にしても宜しいでしょうか」
ルイ殿下が謁見を終わらせようとしている横で口を開いた。
「ああ。構わぬ。ソフィもそれで良かろう」
ルイ殿下は微笑みながら私の元へ歩いてくる。うぇぇ、なんだか怖い。治療はさっくり終わったのだから気にしなくていいのよっ。
「僕はルイ。ソフィ、お茶を一緒に飲もう。色々な話を聞きたいんだ」
「私こそ第三王子様と一緒にお茶をいただけるとは有難き幸せです」
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