【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ

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 私達はようやくサラン村に到着したわ。この村は王都が近い事もあり、街と言ってもおかしくは無いほど人が多いわ。

「オスカーさん、ルイ。今からギルドへ向かうのでしょう?ギルド前まで送るわ。私は教会横にいるから」

そう言い、2人をギルド前に置いて教会に向かう。

「すみませーん」

「おや。お嬢ちゃんどうしたんだい」

教会に入るとおばあちゃん達が席に座って喋っている。ここはおばあちゃん達の集会所なのかもしれない。

「神父様かシスター居ますか」

「ちょっと待っておれ。神父様ー。客じゃぞー」

呼ばれて出てきたのは若い神父様。

「お嬢ちゃんが呼んどるよ」

「これまた可愛らしいお嬢さんが私を呼んでいるとは。嬉しいですね」

長身の見目麗しい王子様と言われてもおかしくない神父様が微笑んでいる。おばあちゃん達のオアシスなのだわきっと。私は納得したわ。

「神父様。私、旅の治療師をしているゾエと言います。王都の教会からこの村を聞き、やってきました。数日の滞在ですが、教会の隣で治療を行っても良いでしょうか」

「なんて素晴らしい。是非、お願いします。場所を貸す代わりにと言っては何ですが、最近、肩が凝っていてね。私も治療して貰っても構わないですか?」

「もちろんです。では早速。神父様、その椅子に座って手を出して下さい」

 私は神父様の手を取る。神父様の手はゴツゴツしていて騎士をしていたような手ですわ。神父様に魔力を纏わせて足先から調べていく。左足と左肩に古傷なのかしら。

……あまり良い状態では無いわ。

怪我をした時にしっかり治療しなかったのね。そしてそれを他の人には隠している感じだわ。杖を付いていてもおかしくないほどの怪我だもの。

私はそっと魔力を流し、治療を始める。古傷なので時間と魔力は必要だけれど、治りそう。

ゆっくりと時間を掛けて古傷も癒やしていく。

「神父様、終わりました。これでもう大丈夫です」

神父様は確認するように左手を握ったり、立ってみたりしている。

「これは素晴らしい。古傷はポーションで治りきらず、諦めていたんだ」

「神父様は騎士だったのですか?」

「ええ。少し前まで騎士をしていて怪我をして引退せざるを得なかったんだ。これならまた騎士として戦えそうだ」

「神父様、元気になって良かった。良かった。後でワタシ達も治療して貰いに行こう」

「待っていますね。では、神父様、お隣をお借りしますね」

 私は開院の準備をする。人が来るまでは軟膏を作ったりしていたけれど、少しずつ教会にいた人達が帰るついでに、と寄ってくれたの。

 私はいつものように患者さんに話しかけて痛みの場所を聞き、探って治療していく。教会に着いたのが昼過ぎ。初日は10人程で人の波が途絶えたわ。

丁度良いわ。お買い物に行ってきますか。

少し歩いた先に商店があり、野菜や干し肉、フルーツを買う。あと、パンも忘れずに。これからあの2人を私が養う事になるのかしら。

買い物を終えて馬車に戻るとルイもオスカーさんも馬車前で座っていた。

「お帰りなさい。2人とも怪我してるわ」

擦り傷程度だが、そこはしっかり治療しないとね。

「ゾエ。ありがとう。はいこれ、お土産」

ルイが差し出したのはレッドホーンの肉と魔石。つまり、肉が食べたいのですね。

「今日は食堂に寄ろうかと思ったけど、食事を作るね」

 野菜を切って鍋に入れてスープを作る。切ったホーン肉を串に刺して塩、薬草等で味付けをしたら焚き火の前に置いて焼いていき、肉が焼けたらナイフで切ってパンと共にルイとオスカーに渡していく。

2人とも美味しいって食べているわ。私はその間にルイから貰った魔石に治療魔法を込める。魔石は魔力を貯めたり、単純な魔法を蓄える事が出来る。

 攻撃魔法を込めると扱いは気を付けないといけないのよね。魔石を投げると、ぶつかった衝撃で魔法が発動するのだけれど、誤って落とした時に発動する可能性があるからだ。そして衝撃の強さで魔石から漏れ出す魔法の量は増減するの。

「ルイ。はい、どうぞ」

「ん?いいのか?ゾエにあげたのに」

「また、くれれば良いわ。この魔石には回復魔法が入っているから怪我したらこれを使って頂戴」

「ありがとう。ゾエは料理も出来るし、魔法も使えていい嫁さんになりそうだ。ゾエは結婚とか考えているのか?」

「んー結婚ねぇ。この村の神父様なんて格好良くて素敵よね。騎士様だったそうよ。ここの神父様」

見る分にはいいわ。結婚かぁ。今は無いな。考えれないかな。

「ここの神父みたいなのが好みなのか?それとも騎士が良いのか……?オスカー、明日から指導よろしくな」

 神父様と張り合ってるような発言だったわ。ルイは騎士を目指しているのかしら?食事を終えて馬車の中へ入る時にルイから言われる。

「ゾエ、俺のスペースを広げてくれ。オスカーも寝るからさ」

「ルイ達は宿に泊まらないの?」

「ゾエを一人に出来ないからな」

「ふふっ。ありがとう。気にしなくていいのに」

私は魔法で自分のスペースとルイのスペース分の空間を確保した。

「広げた空間は揺れないし、温度も一定だから過ごしやすいわよ。凄いでしょう?じゃあ、おやすみなさい」



 翌日は患者が来る前に早めに食事の用意をする。遅いとまた食べ損なっちゃうしね。ルイもゴソゴソと起き始めているし、オスカーさんは朝食の準備を手伝ってくれている。

「ゾエ、おはよう」

私は昨日のお肉をパンに挟んでサンドイッチにするとルイとオスカーさんに渡す。

「2人とも今日もギルドの依頼?はい。お昼ご飯」

そう言って小さな籠に詰め込んだサンドイッチを渡す。

「ゾエ、ありがとう」

「さて、そろそろ患者さん達が来たわ。ルイもオスカーさんも気をつけてね」

私は一足先に元気よく治療を開始する。
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