22 / 26
22
しおりを挟む
夕食はやはり王様の横から王妃様、側妃様、第一王子様と第二王子様、王女様と宰相や騎士団長様達との会食となったわ。
気が重いけれど、頑張るしかないわね。
因みに私は王子様達と兄弟ではあるけれど会った事もない。確か第一王子は私の2つ下だったはずよね。みんなは事情を知っているのかは知らないけれど、王妃様達は知っているはずだわ。
ルイと共に挨拶をし、私は重い足取りを気取られないようにそっと着席する。粗相をしないかとか、マナーは大丈夫か心配で表情は固いけれど、サーブされてくる料理はさすがと言って良いほど美味しかった。
そんな中で鋭利なナイフのような言葉が私に刺さる。
「ソフィだっけ?何で今頃になって王族に擦り寄ってきたの?君は今、平民なんだよね?一緒に食事なんてしたくないんだけど」
第二王子のその言葉に一同が手を止める。やはりそう思われていたのね。
「擦り寄ったわけでは無かったのですが、気分を害したのなら申し訳ありません。身分違いは自覚しております」
私は食事の手を止め、礼をしてから席を立とうとした所、陛下に座るように促される。
「ザナンよ。ソフィを呼んだのはこのワシだ。ワシに何か不服があると申すのか?」
「父上、納得がいきません!何故、妾の子。平民を呼ぶのですか!同じ王族として恥ずかしいです!」
「ザナン。黙りなさい」
見兼ねた王妃様が声を発します。表情に出さないけれど、王妃様も側妃様もどこか強張っている雰囲気。
「母上からも仰って下さい!」
「王妃の黙れと言うのが聞こえんのか」
……あぁ。
和やかな晩餐会とは程遠いピリピリと肌を突き刺すような雰囲気。
どうすれば良いのか分からない。もう食欲も吹き飛んでしまったわ。
第一王子も王女も声を発せず、じっと第二王子を睨んでいた。
「何故、ソフィを呼んだのか答えてやろう。ザナンよ。ソフィは王位継承権第一位なのだ。つまり、ワシの跡を継ぐのはソフィだ」
「父上!どういう事です!?」
矢継早にザナン王子は興奮した様子で声を出す。
「一部の者しか知らぬが、この国の王妃はフィラなのだ。全てはフィラを守る為。フィラの娘であるソフィが婚約したいと望んだため、一旦国に呼び戻したのだ」
どういう事なのか。
母と呼ぶ人は妾ではなく、王妃なの?
「ソフィ、意味が分からないという顔をしていますね。私から話をしましょう。フィラ様はこの国の正式な王妃なのです。私は王妃ではなく、第一側妃なのです」
「皆も知っているとは思いますが、国は魔物が王都や街に入らないように王宮を中心として術者が結界を張って民の生活を守っていますね。
フィラ様は特殊結界を扱うのに長けていた術者なのです。陛下と婚姻後、ソフィ様を出産されました。運悪く、産後間もなくスタンピードが発生し、フィラ様は結界を強化しようと魔法陣のある場所へ向かいました。
けれど、運悪く向かった先には結界を壊そうとしていた魔人が居たのです。
フィラ様は魔人と対峙し、魔人を結界内に取り込む事に成功したのですが、それと同時にフィラ様は魔人に掴まれ、引き摺られるように結界に引き込まれてしまい、魔法陣から離れられなくなったのです。
魔人は完全に結界に取り込まれたなら問題は無かったのですが、フィラ様を引き摺り込んだせいで中途半端になったのです。
魔人の影響が残ってしまい、一部は結界を通して広がるようで人間同士でいがみ合うようになりました。貴族同士の争いが起こり、その矛先は陛下やソフィ様へと向けられるようになりました。
陛下はまだ赤ん坊のソフィ様を守る為に王都でも結界から距離のあった伯爵家へ避難させる事を決断したのです。
フィラ様は魔人を結界に取り込ませる為に結界内で1人戦い続けていたのです。5年前にようやく魔人は結界に取り込まれ、魔人の影響は無くなりましたが、フィラ様もまた魔力を使い果たし、魔法陣から出れないまま眠りについてしまわれたのです。フィラ様は現在も魔法陣の中央部で眠っておられます。
フィラ様は全ての国民の犠牲になっているのよ。ザナン、貴方にはフィラ様もソフィ様の事も罵る権利は無いのです」
王妃様の言葉にその場にいた者全てが沈痛な面持ちとなっていて、ザナン王子もこれには黙るしか無かったようだ。私は初めて聞かされた母の事。母に会ってみたいと思った。
「陛下、私は母に会う事が出来ますか?」
「本来ならワシだけしか行く事が出来ぬが良い。明日、母に会いに行こう」
晩餐会はその後、何とか解散となり、ルイと共に部屋へと帰る。ルイも突然の話に驚きを隠せずにいたわ。仕方がないわよね。
母が王妃で私が女王になるかも知れないとか、降って沸いた話に驚くしかないわよね。
「ルイ。巻き込んでしまってごめんなさい」
「ソフィ。俺はソフィの事ならいつでも巻き込まれていたい。ソフィの事しっかり支えるよ」
気が重いけれど、頑張るしかないわね。
因みに私は王子様達と兄弟ではあるけれど会った事もない。確か第一王子は私の2つ下だったはずよね。みんなは事情を知っているのかは知らないけれど、王妃様達は知っているはずだわ。
ルイと共に挨拶をし、私は重い足取りを気取られないようにそっと着席する。粗相をしないかとか、マナーは大丈夫か心配で表情は固いけれど、サーブされてくる料理はさすがと言って良いほど美味しかった。
そんな中で鋭利なナイフのような言葉が私に刺さる。
「ソフィだっけ?何で今頃になって王族に擦り寄ってきたの?君は今、平民なんだよね?一緒に食事なんてしたくないんだけど」
第二王子のその言葉に一同が手を止める。やはりそう思われていたのね。
「擦り寄ったわけでは無かったのですが、気分を害したのなら申し訳ありません。身分違いは自覚しております」
私は食事の手を止め、礼をしてから席を立とうとした所、陛下に座るように促される。
「ザナンよ。ソフィを呼んだのはこのワシだ。ワシに何か不服があると申すのか?」
「父上、納得がいきません!何故、妾の子。平民を呼ぶのですか!同じ王族として恥ずかしいです!」
「ザナン。黙りなさい」
見兼ねた王妃様が声を発します。表情に出さないけれど、王妃様も側妃様もどこか強張っている雰囲気。
「母上からも仰って下さい!」
「王妃の黙れと言うのが聞こえんのか」
……あぁ。
和やかな晩餐会とは程遠いピリピリと肌を突き刺すような雰囲気。
どうすれば良いのか分からない。もう食欲も吹き飛んでしまったわ。
第一王子も王女も声を発せず、じっと第二王子を睨んでいた。
「何故、ソフィを呼んだのか答えてやろう。ザナンよ。ソフィは王位継承権第一位なのだ。つまり、ワシの跡を継ぐのはソフィだ」
「父上!どういう事です!?」
矢継早にザナン王子は興奮した様子で声を出す。
「一部の者しか知らぬが、この国の王妃はフィラなのだ。全てはフィラを守る為。フィラの娘であるソフィが婚約したいと望んだため、一旦国に呼び戻したのだ」
どういう事なのか。
母と呼ぶ人は妾ではなく、王妃なの?
「ソフィ、意味が分からないという顔をしていますね。私から話をしましょう。フィラ様はこの国の正式な王妃なのです。私は王妃ではなく、第一側妃なのです」
「皆も知っているとは思いますが、国は魔物が王都や街に入らないように王宮を中心として術者が結界を張って民の生活を守っていますね。
フィラ様は特殊結界を扱うのに長けていた術者なのです。陛下と婚姻後、ソフィ様を出産されました。運悪く、産後間もなくスタンピードが発生し、フィラ様は結界を強化しようと魔法陣のある場所へ向かいました。
けれど、運悪く向かった先には結界を壊そうとしていた魔人が居たのです。
フィラ様は魔人と対峙し、魔人を結界内に取り込む事に成功したのですが、それと同時にフィラ様は魔人に掴まれ、引き摺られるように結界に引き込まれてしまい、魔法陣から離れられなくなったのです。
魔人は完全に結界に取り込まれたなら問題は無かったのですが、フィラ様を引き摺り込んだせいで中途半端になったのです。
魔人の影響が残ってしまい、一部は結界を通して広がるようで人間同士でいがみ合うようになりました。貴族同士の争いが起こり、その矛先は陛下やソフィ様へと向けられるようになりました。
陛下はまだ赤ん坊のソフィ様を守る為に王都でも結界から距離のあった伯爵家へ避難させる事を決断したのです。
フィラ様は魔人を結界に取り込ませる為に結界内で1人戦い続けていたのです。5年前にようやく魔人は結界に取り込まれ、魔人の影響は無くなりましたが、フィラ様もまた魔力を使い果たし、魔法陣から出れないまま眠りについてしまわれたのです。フィラ様は現在も魔法陣の中央部で眠っておられます。
フィラ様は全ての国民の犠牲になっているのよ。ザナン、貴方にはフィラ様もソフィ様の事も罵る権利は無いのです」
王妃様の言葉にその場にいた者全てが沈痛な面持ちとなっていて、ザナン王子もこれには黙るしか無かったようだ。私は初めて聞かされた母の事。母に会ってみたいと思った。
「陛下、私は母に会う事が出来ますか?」
「本来ならワシだけしか行く事が出来ぬが良い。明日、母に会いに行こう」
晩餐会はその後、何とか解散となり、ルイと共に部屋へと帰る。ルイも突然の話に驚きを隠せずにいたわ。仕方がないわよね。
母が王妃で私が女王になるかも知れないとか、降って沸いた話に驚くしかないわよね。
「ルイ。巻き込んでしまってごめんなさい」
「ソフィ。俺はソフィの事ならいつでも巻き込まれていたい。ソフィの事しっかり支えるよ」
262
あなたにおすすめの小説
「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう
ムラサメ
恋愛
漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。
死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。
しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。
向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。
一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?
『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜
水都 ミナト
恋愛
マリリン・モントワール伯爵令嬢。
実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。
地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。
「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」
※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。
※カクヨム様、なろう様でも公開しています。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
追放悪役令嬢のスローライフは止まらない!~辺境で野菜を育てていたら、いつの間にか国家運営する羽目になりました~
緋村ルナ
ファンタジー
「計画通り!」――王太子からの婚約破棄は、窮屈な妃教育から逃れ、自由な農業ライフを手に入れるための完璧な計画だった!
前世が農家の娘だった公爵令嬢セレスティーナは、追放先の辺境で、前世の知識と魔法を組み合わせた「魔法農業」をスタートさせる。彼女が作る奇跡の野菜と心温まる料理は、痩せた土地と人々の心を豊かにし、やがて小さな村に起こした奇跡は、国全体を巻き込む大きなうねりとなっていく。
これは、自分の居場所を自分の手で作り出した、一人の令嬢の痛快サクセスストーリー! 悪役の仮面を脱ぎ捨てた彼女が、個人の幸せの先に掴んだものとは――。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる