私は本当に望まれているのですか?

まるねこ

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 バルベ伯爵から「ジネット嬢を嫁に娶りたい」と連絡があり、父の方で私は辺境伯を継ぐ者として変更できないと伯爵に話したみたい。

 バルベ伯爵もその意味を理解しているため、互いに曖昧な返事を返して両家とも後継者の話をまだ詰めてはいない状況だ。

 レオ様からの手紙では親をどう説得するか、ということで今は悩んでいるみたい。

 ……仕方がないわよね。

 私のことを思ってくれただけでも十分だわ。


 婚約の話はひとまず置いておき、体験ということで話が纏まったみたい。

 陛下からの許可も下りてひと月ほど彼は辺境伯領で過ごすことになった。

「レオ様、お久しぶりです」
「ジネット嬢! 会いたかった」

 青ざめた顔をしてドラゴンから降りたレオ様は、私の姿を見つけて駆け寄ってきた。

「ドラゴンは大丈夫でしたか?」

 私はいつも一人で乗るため小型のドラゴンで問題ないのだが、レオ様はドラゴンに一人で乗ったことがないため操縦者が必要となり、中型のドラゴンでやってきた。

 中型のドラゴンは力強い分、スピードも速い。魔法で風圧を軽減しているとはいえ、大変だったと思う。

「……ああ。何度か死にかけた気がするが大丈夫だ」
「よかったです」

 私は彼を父の執務室へ案内しながら彼にこの領地について説明していく。

「レオ様、ここベルジエ領はどんな場所か知っていますか?」
「魔獣の襲撃から国を守るための領だと聞いている」

「そうですね。私たちがここで食い止めなければ、魔獣が各領地まで移動して田畑は食い荒らされ、王都は壊滅します。それを防いでいるのは私たちベルジエ領の者です。

 ここは同時に魔獣と共存できるように研究もおこなっているんですよ。王都の魔獣騎士団で騎乗されている魔獣は全てここベルジエ領で育てられた魔獣なんです」
「研究施設があるのか」

「ええ、最近王都でも人気になりつつあるコカトリス料理。あれも我が領で毒を無害にする方法を発見し、食料にするまでに至ったんです」
「それは凄いな」
「執務室に行く途中ですからついでに厩舎も覗いていきますか?」
「ああ、頼む」

 私は今までの令息とは違い、レオ様が断らなかったため嬉しくなって言葉早くに厩舎の案内をはじめた。

「こ、ここはドラゴンの部屋、か。こんなに大きいドラゴンを見たことがない……」

 レオ様は少し驚いている様子だったので私がそっと横から果実を投げてみる。

 グァァ。

 大きく口を開けたドラゴンの口に果実が放り込まれ、美味しそうに食べ始めた。

「ね? 可愛いでしょう?」
「……あ、ああ……。そうだ、な」

 レオ様は目を泳がせている。
 もしかして気に入らなかった?

「この子は私と初めて主従契約をした子なんです」
「主従契約?」
「ええ。我が領にいる魔獣は野生の魔獣とここの厩舎で生まれた魔獣と二種類あって、外で主従関係を結べた子だけがここに入ることができるんです。

 この子は大人しいから主従関係を結ばなくても厩舎に入っていたけど、他の人を襲っちゃうかもしれないからって私からドラゴンにお願いして主従関係を結んでもらったんですよね」

 そう説明すると、ドラゴンはフンッと興味がなさそうに鼻息をかけてまた目を閉じてしまった。

「主従関係を結ばずに……」
「大丈夫です。今はマリリエットグリーンと主従契約を結んでいますから」
「マリリエットグリーン……。ドラゴンの名前だろうか?」
「はい。可愛い名前ですよね!」

「あ、ああ……」
「あっ、時間を取ってしまいましたね。執務室へ急ぎますか」
「ああ、そうだな」

 私は説明を切り上げて父のいる執務室へと向かった。

「お父様、レオ・バルベ伯爵子息が到着されました」
「ああ。待っていた。君がレオ君か」

 父がそう一言話すとレオ様は礼を執り、挨拶をする。

「レオ・バルベです。この度はベルジエ領にお呼びいただきありがとうございます。ベルジエ辺境伯にお会いできたことを嬉しく思います」
「ようこそ我がベルジエ領へ。私がここの領主、ジョセフ・ベルジエだ。よろしく。レオ君はひと月この領に滞在するのだったな。滞在中は魔獣の討伐に出ることもある。慣れるまでが大変だと思うが、ぜひ、生き延びて欲しい」

「生き延びる……」

 父の言葉にレオ様は顔色が悪くなっている。

「もう、お父様。生き伸びるなんて酷い言い方です。私とマリリンとで生き延びますからっ」
「そうだな。ジネットがいれば問題ないだろう」

 マリリンことマリリエットグリーンは魔獣の襲撃で厩舎が壊されるのを嫌っているせいか、魔獣の討伐や襲撃に参加し、敵を焼いたり、食べたりしてくれるの。

 頼もしいパートナーよね。

 そうして簡単に父と言葉を交わしたあと、彼がひと月滞在する部屋へと案内する。

「レオ様、ここの部屋をお使い下さい」
「あ、ああ。ジネット嬢、君は」

 彼がそう言いかけた時にけたたましく警鐘が鳴り響いた。

「行くわ! レオ様はどうぞ避難してください。ケイティ、レオ様をお連れして」
「畏まりました」
「レオ・バルベ様、どうぞこちらに」

「ジネット嬢、君は避難しないのか?」
「私は魔獣を討伐せねばなりませんから」

 私はそう言うと、駆け寄ってくる従者に現状を聞く。

「詳細を!」
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