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10 レオ様王都に戻る
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そうして瞬く間にひと月が経っていた。
レオ様は日に日に窶れ、覇気がなくなっているように感じる。
彼にとって辛いものだったのかもしれない。父達は彼の状態を心配して魔獣の襲撃には一度も参加させなかった。
つまり、婚約者の候補として失格なのだ。
彼も薄々は感じていたかもしれない。でも、それでも私を好きでいてくれた。
いつも「訓練は厳しいが、ジネット嬢と共にいることが嬉しい」と言ってくれていたの。
私にとっては今までにないほど幸福な時間を過ごせた。彼に本格的な魔獣討伐が難しい場合は私が代わりに出ればいい。
私が彼の分まで強くなればいいと改めて思った。
両親にもそのことを話すと『愛があれば問題ない』と私の考えを理解してくれている。
あとはレオ様が嫡男だという問題だけなのよね。
残念ながら弟が跡取りとして育つにはまだ時間が掛かるし、両親だっていつまでも第一線で働けるわけではない。
一人でも領地を守り抜くことができる人が欲しい。
共に戦ってほしい。
でもレオ様の気持ちを優先したい。
レオ様は「この地に残りたい」と言ってくれるだろうか。
王都に戻った後にまたこの地に戻ってきて欲しい。
私はレオ様を想う気持ちはこのひと月の間大きくなった。
いつも優しく紳士的なレオ様に、私は心から喜びを感じていたの。だからこそ、無理強いして聞いてはいけない。
「レオ様、このひと月、お疲れ様でした」
「ジネット嬢、ありがとう。君のおかげで沢山の経験ができた。本当にありがとう。私は仕事も残っているから王都に戻るけど、また手紙を書くよ」
「はい。次回会うのは、王宮の舞踏会ですね」
「ああ、君に会える日を楽しみにしている」
レオ様は笑顔でそう言ってここへ来た時と同じようにドラゴンに乗り王都へと戻っていった。
その日から私はまた寂しい日常が戻ってきた。
毎日襲撃に備え、訓練する。次、レオ様に会える日を楽しみにして手紙を送っていたの。
レオ様は忙しいみたいで何回かに一度手紙が返ってくる。それでも返してくれることが私にはとても嬉しかった。
「ジネット、喜べ! バルベ伯爵から良い返事が来たぞ」
「お父様、本当!?」
「今度の王宮で開かれる舞踏会にはレオ君のエスコートで参加だな」
「嬉しい」
「ジネット、良かったじゃない。これでうちも安泰ね」
母も笑顔で次の舞踏会のドレスはどんなものにするか既に考えはじめている。
そうだ、マリーズ様にもしっかりと手紙を書いておかないとね。ずっと私のことを心配してくれていたもの。
レオ様は一応婚約者となったのだけど、まだ伯爵家の跡取りの問題は解決していないらしい。
それを聞き、私は少し不安になる。
そうして王宮の舞踏会の前日を迎える。
領地でギリギリまで魔獣の襲撃に対応していて王都へ向かう日が前日になってしまった。
「ケイティ、準備は大丈夫?」
「お嬢様、家令とはやり取りをしていますし、問題ありません」
「ジネット、さあ行こうか」
「はい」
家族で舞踏会に出るのは何年振りだろう。
今回は私の婚約者のお披露目も兼ねているため家族で参加することになっている。
マリリンに王都まで送ってもらいたいけれど、あの大きさでは王都の空を飛ぶだけで魔獣たちが騒ぎだすため、今回もお留守番になっている。
私達がいない間、マリリンは領地の見張り番として活躍してくれるだろう。
「ジョセフ様、マルフィア様、ジネット様、おかえりなさいませ」
邸に到着すると使用人たちは玄関で一斉に頭を下げている。
「ああ。変わりないか?」
「もちろんありません。ですが、少々お耳に入れたい話がございますので……」
家令のエルマンは少し言葉を濁している。その口ぶりや表情からして何か良くない情報を掴んだのだろう。
我が家は辺境の魔獣に関してのみの家だと思われがちだが、情報戦にも長けていて国の安定にも寄与している。
そのため、多少の我儘は許されているところがあるらしい。
私たちは家令と共に執務室へ入り詳しい話を聞くことにした。
「どうしたのだ?」
「ジネット様の婚約者であるレオ・バルベ様のことなのですが、彼の王都での行動があまり好ましいものではないようです」
家令は言いにくそうにしながらもそう話をする。
そして動かぬ証拠のように彼の行動を纏めた書類を父に渡している。他国からのスパイの場合もあるため我が領に受け入れる人は身辺調査が行われ、時にはこうして行動も監視されることがある。
「そうか……」
父が読み終わり、眉間に指を当て何かを考えながら母へと渡す。
「……マリリンの餌にした方がいいかしら」
母は笑顔で私に書類を渡してきた。
渡された書類に目を通していくと。書かれていたのはレオ様の王都に帰ってきてからの行動だった。
伯爵家に戻ってからはとにかくお茶会や舞踏会に参加しては『俺は騙された。あいつはドラゴン女だ』と私の悪口を言っていたようだ。
あながち間違ってはいないのが切なくて泣けてくる。
もっとお淑やかで可愛く着飾り、夫を立ててくれる女性がいいようだ。
彼は令嬢たちとデートを繰り返し、遊び惚けているとも書かれていた。
レオ様は日に日に窶れ、覇気がなくなっているように感じる。
彼にとって辛いものだったのかもしれない。父達は彼の状態を心配して魔獣の襲撃には一度も参加させなかった。
つまり、婚約者の候補として失格なのだ。
彼も薄々は感じていたかもしれない。でも、それでも私を好きでいてくれた。
いつも「訓練は厳しいが、ジネット嬢と共にいることが嬉しい」と言ってくれていたの。
私にとっては今までにないほど幸福な時間を過ごせた。彼に本格的な魔獣討伐が難しい場合は私が代わりに出ればいい。
私が彼の分まで強くなればいいと改めて思った。
両親にもそのことを話すと『愛があれば問題ない』と私の考えを理解してくれている。
あとはレオ様が嫡男だという問題だけなのよね。
残念ながら弟が跡取りとして育つにはまだ時間が掛かるし、両親だっていつまでも第一線で働けるわけではない。
一人でも領地を守り抜くことができる人が欲しい。
共に戦ってほしい。
でもレオ様の気持ちを優先したい。
レオ様は「この地に残りたい」と言ってくれるだろうか。
王都に戻った後にまたこの地に戻ってきて欲しい。
私はレオ様を想う気持ちはこのひと月の間大きくなった。
いつも優しく紳士的なレオ様に、私は心から喜びを感じていたの。だからこそ、無理強いして聞いてはいけない。
「レオ様、このひと月、お疲れ様でした」
「ジネット嬢、ありがとう。君のおかげで沢山の経験ができた。本当にありがとう。私は仕事も残っているから王都に戻るけど、また手紙を書くよ」
「はい。次回会うのは、王宮の舞踏会ですね」
「ああ、君に会える日を楽しみにしている」
レオ様は笑顔でそう言ってここへ来た時と同じようにドラゴンに乗り王都へと戻っていった。
その日から私はまた寂しい日常が戻ってきた。
毎日襲撃に備え、訓練する。次、レオ様に会える日を楽しみにして手紙を送っていたの。
レオ様は忙しいみたいで何回かに一度手紙が返ってくる。それでも返してくれることが私にはとても嬉しかった。
「ジネット、喜べ! バルベ伯爵から良い返事が来たぞ」
「お父様、本当!?」
「今度の王宮で開かれる舞踏会にはレオ君のエスコートで参加だな」
「嬉しい」
「ジネット、良かったじゃない。これでうちも安泰ね」
母も笑顔で次の舞踏会のドレスはどんなものにするか既に考えはじめている。
そうだ、マリーズ様にもしっかりと手紙を書いておかないとね。ずっと私のことを心配してくれていたもの。
レオ様は一応婚約者となったのだけど、まだ伯爵家の跡取りの問題は解決していないらしい。
それを聞き、私は少し不安になる。
そうして王宮の舞踏会の前日を迎える。
領地でギリギリまで魔獣の襲撃に対応していて王都へ向かう日が前日になってしまった。
「ケイティ、準備は大丈夫?」
「お嬢様、家令とはやり取りをしていますし、問題ありません」
「ジネット、さあ行こうか」
「はい」
家族で舞踏会に出るのは何年振りだろう。
今回は私の婚約者のお披露目も兼ねているため家族で参加することになっている。
マリリンに王都まで送ってもらいたいけれど、あの大きさでは王都の空を飛ぶだけで魔獣たちが騒ぎだすため、今回もお留守番になっている。
私達がいない間、マリリンは領地の見張り番として活躍してくれるだろう。
「ジョセフ様、マルフィア様、ジネット様、おかえりなさいませ」
邸に到着すると使用人たちは玄関で一斉に頭を下げている。
「ああ。変わりないか?」
「もちろんありません。ですが、少々お耳に入れたい話がございますので……」
家令のエルマンは少し言葉を濁している。その口ぶりや表情からして何か良くない情報を掴んだのだろう。
我が家は辺境の魔獣に関してのみの家だと思われがちだが、情報戦にも長けていて国の安定にも寄与している。
そのため、多少の我儘は許されているところがあるらしい。
私たちは家令と共に執務室へ入り詳しい話を聞くことにした。
「どうしたのだ?」
「ジネット様の婚約者であるレオ・バルベ様のことなのですが、彼の王都での行動があまり好ましいものではないようです」
家令は言いにくそうにしながらもそう話をする。
そして動かぬ証拠のように彼の行動を纏めた書類を父に渡している。他国からのスパイの場合もあるため我が領に受け入れる人は身辺調査が行われ、時にはこうして行動も監視されることがある。
「そうか……」
父が読み終わり、眉間に指を当て何かを考えながら母へと渡す。
「……マリリンの餌にした方がいいかしら」
母は笑顔で私に書類を渡してきた。
渡された書類に目を通していくと。書かれていたのはレオ様の王都に帰ってきてからの行動だった。
伯爵家に戻ってからはとにかくお茶会や舞踏会に参加しては『俺は騙された。あいつはドラゴン女だ』と私の悪口を言っていたようだ。
あながち間違ってはいないのが切なくて泣けてくる。
もっとお淑やかで可愛く着飾り、夫を立ててくれる女性がいいようだ。
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