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20 初デート
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オルガ様と顔合わせをしてから二週間が経った。
あれから頻繁に手紙のやり取りをしてお互いの距離が少しずつ縮まっている気がする。手紙を通して彼は私を気遣ってくれているのが嬉しい。
今度の休みに一緒に王都の街に遊びに行こうと誘われたの。もちろん私は快諾したわ。
「ケイティ、これでいい? 変じゃないかしら?」
「お嬢様、とても可愛いです。大丈夫ですよ」
何度も姿鏡を覗き、自分の姿を確認する。
「お嬢様、オルガ様が良いお方でよかったですね」
「そうね」
―コンコンコン
従者が呼びに来たようだ。
私はケイティを連れて玄関ホールまで歩いていくと、そこには普段の騎士服とは違い、生成りのシャツにスラックスを穿いていたオルガ様が立っていた。
「ジネット嬢、おはよう」
「オルガ様、おはようございます」
彼の笑顔に私の心は既に早鐘を打っている。
「ジネット嬢、とても可愛い」
「あ、ありがとうございます。オルガ様も素敵です」
「あ、ありがとう。では行こうか」
「はい」
私はオルガ様のエスコートで馬車に乗り込み、街の中心部までやってきた。
中心部は露店から漂う食べ物の香り、子供たちの足音、女性たちの会話に満ちていた。広場には大道芸も行われていてそのどれもが活気に溢れている。
「賑やかですね」
「ああ。はぐれないように手を繋ごう」
「は、はい」
オルガ様から差し出された手にそっと手を重ねる。オルガ様の手の温かさが伝わり、私の顔は赤く染まっていく。
「ジネット嬢、見たいところはあるかな?」
「い、いえ。こうしてオルガ様と一緒に歩くだけで、う、嬉しいです」
「そ、そうか。俺もジネット嬢とこうして歩いているだけで嬉しく思う。迷うといけない、手を繋ごうか」
「は、はい…」
差し出された手からは優しい温度が伝わってきた。とくり、とくりと心地よく浮かび上がる心とともに心臓の音を感じる。
私たちは手を繋ぎながら露店を見て回っていく。
温かな手を意識しながらゆっくり露店を見て回る。目に映るもの全てが新鮮に映る。
装飾品や服、武器、野菜や果物など様々な品物が売られていて見ていて飽きない。
一通り見て回り、休憩しようと露店で果実水を買い、広場に設置されている長椅子に座った。
「この果実水、美味しいですね」
「ああ。もう少し寒くなったらスープもいいな」
「そうですね」
私たちは先ほど巡った露店の話をしていると、向こうの方からこちらへ駆けてくる一人の令嬢が目に入った。
「……オルガ様」
「ああ、すまない……」
私たちはそのまま会話を止めた。
近づいてくる女の子は形振り構わずに駆け寄ってくる。その可愛い女の子が必死に走る姿を見た人たちはきっと微笑ましく思うだろう。
だが、後ろには護衛たちと侍女が一緒に付いてきており、物々しい雰囲気を醸し出していた。
「オルガ! 見つけたわっ」
私たちは立ち上がり、礼を執る。
「ここで礼はいらないわ」
セレスティナ王女はそう言葉にし、私たちは礼を止めて立った。
彼女は随分とご立腹のようだ。腕を組み、態度に表わしているが、持ち前の容姿が威圧を感じさせず、周りには微笑ましく映っている。
「オルガ、帰るわよっ! こんな汚らしい平民たちに混じるのは勘弁して欲しいわ。でも、そうね、オルガが一緒なら店を見て回ってもいいわっ」
「セレスティナ王女様、どうしてここに? 今日は休みをもらい婚約者と過ごしているのですが」
「ああ、月に一度の婚約者としての務めは大変よね。もう会ったのだから義務は果たしたでしょう?」
セレスティナ王女はグイグイとオルガの腕を取り、引っ張っている。
まさかこんな場所まで来て邪魔をされるとは思ってもみなかった。
私はため息を吐きたくなるのを抑え、口を開く。
「オルガ様、今日はありがとうございました。とても楽しい時間を過ごせたことを嬉しく思います。どうぞ、セレスティナ王女様を王宮まで送り届けてあげて下さい」
「……ジネット嬢。すまない。また連絡する」
「はい」
オルガ様とそう話をすると、セレスティナ王女はようやくと言わんばかりに腕を組んで歩き出した。
そして振り向きニヤリと私を見て笑った後、オルガ様にしがみつくように歩いて行った。
私はポツンと一人取り残された。
……ため息しか出ない。
私は周囲の目が気になり、私は人ごみに紛れるように歩き始めた。
「お嬢様、この通りを出たところに馬車を用意しております」
「わかったわ」
後ろから付いてきていた従者と共に馬車に乗り込み、邸へと戻っていった。
着替えて夕食を摂った後、私は自室のソファでくつろぐ。
「ジネットお嬢様、せっかくのデートをまさか邪魔されるとは思いませんでしたね」
「ええ、まさか王女自ら来るとは思っていなかったわ」
「王女様は執着心が強いと話も聞きますし、お嬢様、気を付けた方がよさそうですね」
「……ケイティ。そうね。用心に越したことはないわ。隣国の王子との婚約話はどうなっているのかしら?」
「現在順調に進んでおります。陛下は乗り気のようですね。身持ちが悪いという印象を持たせないためにこれからはもっと護衛や会う人を制限する話が出ているようです」
「そう。オルガ様が護衛から外されると良いわね」
ケイティは寝る準備をした後、一礼し、部屋を下がった。
私は窓を開けて夜風に当たる。
静かな夜。
虫の声も聞こえない。
ツンと肌を刺すような冷たい風が吹いている。
今、オルガ様は一体何をしているのだろう。
私は今日の出来事を思い出し、物憂げにソファに座ってお茶を淹れて飲む。
彼に会いたい。
私はどうしてしまったんだろう。
これが恋というものなの?
オルガ様ともっと話をしたい。
今までとは違う気持ちに動揺している自分がいる。
……また会いたい。
募る思いを抑えるように私はゆっくりと息を吐き、お茶を一口含んだ。
あれから頻繁に手紙のやり取りをしてお互いの距離が少しずつ縮まっている気がする。手紙を通して彼は私を気遣ってくれているのが嬉しい。
今度の休みに一緒に王都の街に遊びに行こうと誘われたの。もちろん私は快諾したわ。
「ケイティ、これでいい? 変じゃないかしら?」
「お嬢様、とても可愛いです。大丈夫ですよ」
何度も姿鏡を覗き、自分の姿を確認する。
「お嬢様、オルガ様が良いお方でよかったですね」
「そうね」
―コンコンコン
従者が呼びに来たようだ。
私はケイティを連れて玄関ホールまで歩いていくと、そこには普段の騎士服とは違い、生成りのシャツにスラックスを穿いていたオルガ様が立っていた。
「ジネット嬢、おはよう」
「オルガ様、おはようございます」
彼の笑顔に私の心は既に早鐘を打っている。
「ジネット嬢、とても可愛い」
「あ、ありがとうございます。オルガ様も素敵です」
「あ、ありがとう。では行こうか」
「はい」
私はオルガ様のエスコートで馬車に乗り込み、街の中心部までやってきた。
中心部は露店から漂う食べ物の香り、子供たちの足音、女性たちの会話に満ちていた。広場には大道芸も行われていてそのどれもが活気に溢れている。
「賑やかですね」
「ああ。はぐれないように手を繋ごう」
「は、はい」
オルガ様から差し出された手にそっと手を重ねる。オルガ様の手の温かさが伝わり、私の顔は赤く染まっていく。
「ジネット嬢、見たいところはあるかな?」
「い、いえ。こうしてオルガ様と一緒に歩くだけで、う、嬉しいです」
「そ、そうか。俺もジネット嬢とこうして歩いているだけで嬉しく思う。迷うといけない、手を繋ごうか」
「は、はい…」
差し出された手からは優しい温度が伝わってきた。とくり、とくりと心地よく浮かび上がる心とともに心臓の音を感じる。
私たちは手を繋ぎながら露店を見て回っていく。
温かな手を意識しながらゆっくり露店を見て回る。目に映るもの全てが新鮮に映る。
装飾品や服、武器、野菜や果物など様々な品物が売られていて見ていて飽きない。
一通り見て回り、休憩しようと露店で果実水を買い、広場に設置されている長椅子に座った。
「この果実水、美味しいですね」
「ああ。もう少し寒くなったらスープもいいな」
「そうですね」
私たちは先ほど巡った露店の話をしていると、向こうの方からこちらへ駆けてくる一人の令嬢が目に入った。
「……オルガ様」
「ああ、すまない……」
私たちはそのまま会話を止めた。
近づいてくる女の子は形振り構わずに駆け寄ってくる。その可愛い女の子が必死に走る姿を見た人たちはきっと微笑ましく思うだろう。
だが、後ろには護衛たちと侍女が一緒に付いてきており、物々しい雰囲気を醸し出していた。
「オルガ! 見つけたわっ」
私たちは立ち上がり、礼を執る。
「ここで礼はいらないわ」
セレスティナ王女はそう言葉にし、私たちは礼を止めて立った。
彼女は随分とご立腹のようだ。腕を組み、態度に表わしているが、持ち前の容姿が威圧を感じさせず、周りには微笑ましく映っている。
「オルガ、帰るわよっ! こんな汚らしい平民たちに混じるのは勘弁して欲しいわ。でも、そうね、オルガが一緒なら店を見て回ってもいいわっ」
「セレスティナ王女様、どうしてここに? 今日は休みをもらい婚約者と過ごしているのですが」
「ああ、月に一度の婚約者としての務めは大変よね。もう会ったのだから義務は果たしたでしょう?」
セレスティナ王女はグイグイとオルガの腕を取り、引っ張っている。
まさかこんな場所まで来て邪魔をされるとは思ってもみなかった。
私はため息を吐きたくなるのを抑え、口を開く。
「オルガ様、今日はありがとうございました。とても楽しい時間を過ごせたことを嬉しく思います。どうぞ、セレスティナ王女様を王宮まで送り届けてあげて下さい」
「……ジネット嬢。すまない。また連絡する」
「はい」
オルガ様とそう話をすると、セレスティナ王女はようやくと言わんばかりに腕を組んで歩き出した。
そして振り向きニヤリと私を見て笑った後、オルガ様にしがみつくように歩いて行った。
私はポツンと一人取り残された。
……ため息しか出ない。
私は周囲の目が気になり、私は人ごみに紛れるように歩き始めた。
「お嬢様、この通りを出たところに馬車を用意しております」
「わかったわ」
後ろから付いてきていた従者と共に馬車に乗り込み、邸へと戻っていった。
着替えて夕食を摂った後、私は自室のソファでくつろぐ。
「ジネットお嬢様、せっかくのデートをまさか邪魔されるとは思いませんでしたね」
「ええ、まさか王女自ら来るとは思っていなかったわ」
「王女様は執着心が強いと話も聞きますし、お嬢様、気を付けた方がよさそうですね」
「……ケイティ。そうね。用心に越したことはないわ。隣国の王子との婚約話はどうなっているのかしら?」
「現在順調に進んでおります。陛下は乗り気のようですね。身持ちが悪いという印象を持たせないためにこれからはもっと護衛や会う人を制限する話が出ているようです」
「そう。オルガ様が護衛から外されると良いわね」
ケイティは寝る準備をした後、一礼し、部屋を下がった。
私は窓を開けて夜風に当たる。
静かな夜。
虫の声も聞こえない。
ツンと肌を刺すような冷たい風が吹いている。
今、オルガ様は一体何をしているのだろう。
私は今日の出来事を思い出し、物憂げにソファに座ってお茶を淹れて飲む。
彼に会いたい。
私はどうしてしまったんだろう。
これが恋というものなの?
オルガ様ともっと話をしたい。
今までとは違う気持ちに動揺している自分がいる。
……また会いたい。
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