27 / 35
27 捜索 オルガ視点
しおりを挟む
俺は王族の警備を担当する第一騎士団の団長と共にレイニード王太子殿下の執務室へ向かった。
殿下の執務室の前にはいつもより護衛騎士が立っている。フェール団長の指示だろう。
俺たちはノックした後、部屋に入る。
「レイニード王太子殿下、お時間よろしいですか?」
「ああ、どうしたんだ?」
「セレスティナ王女の件ですが」
フェール団長が王女という言葉を口にすると、途端に眉間に皺をよせて大きなため息を吐いた。
「で、セレスティナがどうした?」
つい先ほどあった話をレイニード王太子殿下に説明をする。
殿下はこれまでにもセレスティナ王女がしでかしたことをもみ消してきた。だが、今回は大勢いる場で起こった出来事だ。
もみ消しはかなり難しいだろう。王命を使い、緘口令でも敷くつもりだろうか。
彼はセレスティナ王女の話を聞いて眉間に寄せた眉を揉んでいる。
「ベルジエ侯爵家を敵に回せば王都はひと月も経たないうちに壊滅だ。母上はそれでもセレスティナを庇うのなら母共々修道院行きにしなければならない。いつも余計な仕事を増やしてくれる。で、毒はどこから?」
「まだ出所は掴んでおりません」
「セレスティナが居ない間にオルガ、お前はマケイン、カインディル、ステファンたちとセレスティナの部屋を探してこい。それと従者たちの聞き取りだ」
「畏まりました」
……厄介だな。
あの三人は王女の警備に当たっているが、彼女の取り巻きでもある。
証拠を隠滅する可能性もある。やはり王太子も王女を庇うのか。
なんとしても三人より早く毒を見つけなければならない。
俺は内心、覚悟を決めた。
レイニード王太子殿下の命を受けて俺たち四人はセレスティナ王女の居室へと入り、毒を調べていく。
マケインはベッド周辺を、カインディルは本棚や机の引き出し、俺とステファンはクローゼットを探し始めた。
「おい、オルガ。お前、セレスティナ王女の意向に逆らうつもりか?」
「は?どういうことだ?」
俺は毒のありかを必死に探しながらマケインの言葉を聞き返す。
「マケインの言う通りだ。セレスティナ様はお前を望んでいる。だからジネット嬢は死刑になる。邪魔をするなよ。私はマケインやステファンと同じで王女がいなければ無名の騎士なんだ。見目麗しき王女様の護衛という肩書きは必要なんでね」
「俺は望んでいないが?」
「けっ。王女に好かれているからっていい気になるな。証拠が見つかれば、王女は修道院送りが決定する。それだと俺らが困るんだよ」
ステファンは口を開くことはないが、頷き二人の話に同意している。
クローゼットの奥には、指輪などの装飾品が沢山仕舞われていた。よく見ると空の小瓶がいくつも装飾品の中に投げ入れられたように置かれている。
もしかして、これは使われた毒なのか?
いや、だが、こんなにいくつも空の小瓶があるのは毒じゃないんじゃないか?
俺は一つの小瓶を手に取り、手の内に隠しながら更に奥の方も調べていく。
金字で装飾された豪華な木箱の奥にこの場には似つかわしくない小さな木箱がある。怪しい。
俺は木箱を引っ張り出し、中身を確認すると半分だけ液体が残された小瓶が入っていた。
「おい! こっちに来てみろよ。セレスティナ王女様の日記が見つかったぜ! ……チッ。毒でジネット嬢を犯人に仕立て上げることも書かれているな」
「本当か!?」
マケインの言葉に他の二人が日記という言葉に興味を持ち、マケインの元へ歩いていく。
咄嗟に俺は中身の小瓶をすり替えて胸ポケットへと忍ばせた。
三人が日記を読みながら雑談しているところに俺は木箱を持っていくと、カインディルが木箱に気づいた。
「オルガ、その木箱は?」
「さあな? クローゼットの奥にあった」
「中身は何だ?」
「空の小瓶が入っているだけだ」
「毒か?」
「調べないとわからない」
マケインはチッと舌打ちする。
どうやら証拠らしき物を俺が持っていることにいら立っているようだ。
「オルガ、それを寄越せ」
「渡すわけがないだろう。このままレイニード王太子殿下の元へ向かう。その日記も渡すんだ」
「はっ!? 渡すわけがないだろ? これには何も書いていないんだからな」
「なら渡しても問題ないだろう」
すると何を思ったかマケインは懐に日記をしまった。
「オルガ、これはセレスティナ王女の大切な物だ。これは誰にも見せてはいけないから俺がしっかりと持っておく。お前、日記のことを話したら命は無いと思えよ。ああ、ジネット嬢はまだ取り調べが行われているんだっけか。お前の愛しの婚約者がどうなってもいいんだな」
マケインもカインディルもニタニタと嫌な笑みを浮かべている。
ジネット嬢を襲う気か。
奴らならやりかねない。
クソッ。
「脅す気か?」
「脅すなんてとんでもない。俺たちはただ提案しただけだ。その木箱を渡してくれればジネット嬢は無事だということだ」
「……分かった。彼女の安全が第一だ」
狭い客室で剣技に優れた騎士三人が彼女を襲ったらいくら彼女でも太刀打ちできないかもしれない。
拭えない不安に引き下がるしかないと考えた。
俺はふぅっと息を吐き、木箱を彼に投げ渡した。
「俺はどうなっても知らないからな?」
「ククッ。オルガ副官様、お前の判断は正しい。俺が証明してやるよ」
二人は下卑た笑いを浮かべ木箱を受け取り、中身を確認しているようだ。
ステファンは黙ったまま特に動くことはないようだ。
殿下の執務室の前にはいつもより護衛騎士が立っている。フェール団長の指示だろう。
俺たちはノックした後、部屋に入る。
「レイニード王太子殿下、お時間よろしいですか?」
「ああ、どうしたんだ?」
「セレスティナ王女の件ですが」
フェール団長が王女という言葉を口にすると、途端に眉間に皺をよせて大きなため息を吐いた。
「で、セレスティナがどうした?」
つい先ほどあった話をレイニード王太子殿下に説明をする。
殿下はこれまでにもセレスティナ王女がしでかしたことをもみ消してきた。だが、今回は大勢いる場で起こった出来事だ。
もみ消しはかなり難しいだろう。王命を使い、緘口令でも敷くつもりだろうか。
彼はセレスティナ王女の話を聞いて眉間に寄せた眉を揉んでいる。
「ベルジエ侯爵家を敵に回せば王都はひと月も経たないうちに壊滅だ。母上はそれでもセレスティナを庇うのなら母共々修道院行きにしなければならない。いつも余計な仕事を増やしてくれる。で、毒はどこから?」
「まだ出所は掴んでおりません」
「セレスティナが居ない間にオルガ、お前はマケイン、カインディル、ステファンたちとセレスティナの部屋を探してこい。それと従者たちの聞き取りだ」
「畏まりました」
……厄介だな。
あの三人は王女の警備に当たっているが、彼女の取り巻きでもある。
証拠を隠滅する可能性もある。やはり王太子も王女を庇うのか。
なんとしても三人より早く毒を見つけなければならない。
俺は内心、覚悟を決めた。
レイニード王太子殿下の命を受けて俺たち四人はセレスティナ王女の居室へと入り、毒を調べていく。
マケインはベッド周辺を、カインディルは本棚や机の引き出し、俺とステファンはクローゼットを探し始めた。
「おい、オルガ。お前、セレスティナ王女の意向に逆らうつもりか?」
「は?どういうことだ?」
俺は毒のありかを必死に探しながらマケインの言葉を聞き返す。
「マケインの言う通りだ。セレスティナ様はお前を望んでいる。だからジネット嬢は死刑になる。邪魔をするなよ。私はマケインやステファンと同じで王女がいなければ無名の騎士なんだ。見目麗しき王女様の護衛という肩書きは必要なんでね」
「俺は望んでいないが?」
「けっ。王女に好かれているからっていい気になるな。証拠が見つかれば、王女は修道院送りが決定する。それだと俺らが困るんだよ」
ステファンは口を開くことはないが、頷き二人の話に同意している。
クローゼットの奥には、指輪などの装飾品が沢山仕舞われていた。よく見ると空の小瓶がいくつも装飾品の中に投げ入れられたように置かれている。
もしかして、これは使われた毒なのか?
いや、だが、こんなにいくつも空の小瓶があるのは毒じゃないんじゃないか?
俺は一つの小瓶を手に取り、手の内に隠しながら更に奥の方も調べていく。
金字で装飾された豪華な木箱の奥にこの場には似つかわしくない小さな木箱がある。怪しい。
俺は木箱を引っ張り出し、中身を確認すると半分だけ液体が残された小瓶が入っていた。
「おい! こっちに来てみろよ。セレスティナ王女様の日記が見つかったぜ! ……チッ。毒でジネット嬢を犯人に仕立て上げることも書かれているな」
「本当か!?」
マケインの言葉に他の二人が日記という言葉に興味を持ち、マケインの元へ歩いていく。
咄嗟に俺は中身の小瓶をすり替えて胸ポケットへと忍ばせた。
三人が日記を読みながら雑談しているところに俺は木箱を持っていくと、カインディルが木箱に気づいた。
「オルガ、その木箱は?」
「さあな? クローゼットの奥にあった」
「中身は何だ?」
「空の小瓶が入っているだけだ」
「毒か?」
「調べないとわからない」
マケインはチッと舌打ちする。
どうやら証拠らしき物を俺が持っていることにいら立っているようだ。
「オルガ、それを寄越せ」
「渡すわけがないだろう。このままレイニード王太子殿下の元へ向かう。その日記も渡すんだ」
「はっ!? 渡すわけがないだろ? これには何も書いていないんだからな」
「なら渡しても問題ないだろう」
すると何を思ったかマケインは懐に日記をしまった。
「オルガ、これはセレスティナ王女の大切な物だ。これは誰にも見せてはいけないから俺がしっかりと持っておく。お前、日記のことを話したら命は無いと思えよ。ああ、ジネット嬢はまだ取り調べが行われているんだっけか。お前の愛しの婚約者がどうなってもいいんだな」
マケインもカインディルもニタニタと嫌な笑みを浮かべている。
ジネット嬢を襲う気か。
奴らならやりかねない。
クソッ。
「脅す気か?」
「脅すなんてとんでもない。俺たちはただ提案しただけだ。その木箱を渡してくれればジネット嬢は無事だということだ」
「……分かった。彼女の安全が第一だ」
狭い客室で剣技に優れた騎士三人が彼女を襲ったらいくら彼女でも太刀打ちできないかもしれない。
拭えない不安に引き下がるしかないと考えた。
俺はふぅっと息を吐き、木箱を彼に投げ渡した。
「俺はどうなっても知らないからな?」
「ククッ。オルガ副官様、お前の判断は正しい。俺が証明してやるよ」
二人は下卑た笑いを浮かべ木箱を受け取り、中身を確認しているようだ。
ステファンは黙ったまま特に動くことはないようだ。
365
あなたにおすすめの小説
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
要らないと思ったのに人に取られると欲しくなるのはわからなくもないけれど。
しゃーりん
恋愛
フェルナンドは侯爵家の三男で騎士をしている。
同僚のアルベールが親に見合いしろと強要されたと愚痴を言い、その相手が先日、婚約が破棄になった令嬢だということを知った。
その令嬢、ミュリエルは学園での成績も首席で才媛と言われ、一部では名高い令嬢であった。
アルベールはミュリエルの顔を知らないらしく、婚約破棄されるくらいだから頭の固い不細工な女だと思い込んでいたが、ミュリエルは美人である。
ならば、アルベールが見合いをする前に、自分と見合いができないかとフェルナンドは考えた。
フェルナンドは騎士を辞めて実家の領地で働くために、妻を必要としていたからである。
フェルナンドとミュリエルの結婚を知ったアルベールは、ミュリエルを見て『返せ』と言い出す、というお話です。
従姉の子を義母から守るために婚約しました。
しゃーりん
恋愛
ジェットには6歳年上の従姉チェルシーがいた。
しかし、彼女は事故で亡くなってしまった。まだ小さい娘を残して。
再婚した従姉の夫ウォルトは娘シャルロッテの立場が不安になり、娘をジェットの家に預けてきた。婚約者として。
シャルロッテが15歳になるまでは、婚約者でいる必要があるらしい。
ところが、シャルロッテが13歳の時、公爵家に帰ることになった。
当然、婚約は白紙に戻ると思っていたジェットだが、シャルロッテの気持ち次第となって…
歳の差13歳のジェットとシャルロッテのお話です。
存在しないことにされていた管理ギフトの少女、王宮で真の家族に出会う 〜冷遇された日々は、王宮での溺愛で上書きします〜
小豆缶
恋愛
「願った結果を、ほんの少しだけ変えてしまう力」
私に与えられたギフトは、才能というにはあまりにも残酷な自分も人の運命も狂わせるギフトだった。
そのあまりの危うさと国からの管理を逃れるために、リリアーナは、生まれたことそのものが秘匿され、軟禁され、育てられる。
しかし、純粋な心が願うギフトは、ある出来事をきっかけに発動され、運命が動き出す。
二度とそのギフトを使わないと決めて生きてきたのよ
だが、自分にせまる命の危機ーー
逃げていた力と再び向き合わなければならない状況は、ある日、突然訪れる。
残酷なギフトは、リリアーナを取り巻く人たちの、過去、未来に影響し、更には王宮の過去の闇も暴いていく。
私の愛する人がどうか幸せになりますように...
そう、リリアーナが願ったギフトは、どう愛する人に届くのか?
孤独だったリリアーナのギフトが今、王宮で本当の幸せを見つけるために動き始める
危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。
夢を現実にしないための正しいマニュアル
しゃーりん
恋愛
娘が処刑される夢を見た。
現在、娘はまだ6歳。それは本当に9年後に起こる出来事?
処刑される未来を変えるため、過去にも起きた夢の出来事を参考にして、変えてはいけないことと変えるべきことを調べ始める。
婚約者になる王子の周囲を変え、貴族の平民に対する接し方のマニュアルを作り、娘の未来のために頑張るお話。
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる