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8 友人との会話
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「フラン様、体調はもう大丈夫なの?」
「カーディア様、あの時はご心配をおかけしました。もうすっかり良くなったわ」
「みんな心配していたんですよ。フラン様が普段口にしないような言葉を言ったかと思えば、突然倒れてしまって」
私は倒れた時の話を詳しく聞いて、違う意味で倒れそうになった。
まさかそんな暴言を吐いていただなんて。穴が合ったら入りたい。
カーディア様はその様子を見ながらクスクスと笑っている。
今日はお礼も兼ねてカーディア様の家に遊びに来ている。彼女は幼い頃からの親友でとても仲がいい。
彼女の家は特に裕福というわけでもない普通の子爵家なのだが、彼女が家を手伝うようになってから領地の農産物の収穫量が増え、品質も向上し、一大ブランドとして収益を上げ始めている。
「まさか元気が取り柄の貴女が倒れるなんて思ってもみなかったわ」
「ええ、私もよ。カーディア様が取り寄せてくれたお茶を飲んで『これだわ!』って雷が打たれたような衝撃を受けたの」
私は倒れた時のことを思い出した。
あの時、あのお茶を飲んで『このお茶を飲んだことがある』って記憶が揺さぶられたの。
「ふふっ。フラン様の好みそうな茶葉を取り寄せたのだけど、倒れてしまうくらい好きな味だったの?」
「ええ! 大好きな味よ。とても素晴らしいお茶だったわ。メルロワード国のアレン領で採れる茶葉だったのでしょう? 味も香りも申し分のない高品質な茶葉だったわ」
「そう言ってもらえると嬉しいのだけど。これからはフラン様が倒れないように気を付けるわ」
カーディア様はくすくすと笑っている。よほど私のやらかしが面白かったみたい。
彼女と話をしていると、どことなくアルティディア様のような芯の強さを感じさせる。アルティディア様とは全く違ってとても優しいけれどね!
「私こそごめんなさい」
私たちは笑いながら会話をしていく。そしてカーディア様が思い出したように私に聞いてきた。
「ところでフラン様、婚約者が出来たと聞いたのですが、お相手がブラジェク伯爵子息だとか。大丈夫でしょうか?」
「お父様が突然決めてきたので何とも言えないです。問題は山積しているけど、なんとかするしかないですよね」
「ブラジェク伯爵領は特産品がないってことはこれから作ればいいのではないかしら? それか、メルロワード国と交易していたということは伝手も残っていそうだけど……」
「確かにそうですね。そこはしっかりと確認しなくちゃいけないわよね。借金を減らすためには手段を選べないですから」
カーディア様の言葉を聞いて頷きながら考えている。
確かに借金で相手国との取引はできなくなったけれど、我が家からの資金を借りて取引を再開させる手は残っているのかもしれない。ただそこまで持っていく道筋を考えれば遠い道のりね。
「また行き詰ったらいつでも手紙をちょうだい。相談だけならいつでも乗るわ」
「ありがとうございます! カーディア様の言葉で一筋の光が見えた気がします」
「それにしてもブラジェク伯爵子息って見目麗しいって噂よね。しっかりと捕まえておかないといけないわね」
「家のこともあるから狙われないような気もするけど……」
「あら、そんなことはないわ。愛人にしたいって人も出てくるだろうし、最近は貴族の夫人方がブラジェク伯爵子息に声を掛けていると聞きましたよ? フラン様、その辺もしっかりと情報を抑えておかないと足元を掬われますわ」
「確かに。その辺りもしっかりと抑えておかないといけないですね」
友人というのはやはり大切なものだわ。こうして話をしていくうちに漠然とした不安もいつの間にかなくなっているもの。
私たちはその後も心行くまで雑談をして楽しく過ごした。
「カーディア様、あの時はご心配をおかけしました。もうすっかり良くなったわ」
「みんな心配していたんですよ。フラン様が普段口にしないような言葉を言ったかと思えば、突然倒れてしまって」
私は倒れた時の話を詳しく聞いて、違う意味で倒れそうになった。
まさかそんな暴言を吐いていただなんて。穴が合ったら入りたい。
カーディア様はその様子を見ながらクスクスと笑っている。
今日はお礼も兼ねてカーディア様の家に遊びに来ている。彼女は幼い頃からの親友でとても仲がいい。
彼女の家は特に裕福というわけでもない普通の子爵家なのだが、彼女が家を手伝うようになってから領地の農産物の収穫量が増え、品質も向上し、一大ブランドとして収益を上げ始めている。
「まさか元気が取り柄の貴女が倒れるなんて思ってもみなかったわ」
「ええ、私もよ。カーディア様が取り寄せてくれたお茶を飲んで『これだわ!』って雷が打たれたような衝撃を受けたの」
私は倒れた時のことを思い出した。
あの時、あのお茶を飲んで『このお茶を飲んだことがある』って記憶が揺さぶられたの。
「ふふっ。フラン様の好みそうな茶葉を取り寄せたのだけど、倒れてしまうくらい好きな味だったの?」
「ええ! 大好きな味よ。とても素晴らしいお茶だったわ。メルロワード国のアレン領で採れる茶葉だったのでしょう? 味も香りも申し分のない高品質な茶葉だったわ」
「そう言ってもらえると嬉しいのだけど。これからはフラン様が倒れないように気を付けるわ」
カーディア様はくすくすと笑っている。よほど私のやらかしが面白かったみたい。
彼女と話をしていると、どことなくアルティディア様のような芯の強さを感じさせる。アルティディア様とは全く違ってとても優しいけれどね!
「私こそごめんなさい」
私たちは笑いながら会話をしていく。そしてカーディア様が思い出したように私に聞いてきた。
「ところでフラン様、婚約者が出来たと聞いたのですが、お相手がブラジェク伯爵子息だとか。大丈夫でしょうか?」
「お父様が突然決めてきたので何とも言えないです。問題は山積しているけど、なんとかするしかないですよね」
「ブラジェク伯爵領は特産品がないってことはこれから作ればいいのではないかしら? それか、メルロワード国と交易していたということは伝手も残っていそうだけど……」
「確かにそうですね。そこはしっかりと確認しなくちゃいけないわよね。借金を減らすためには手段を選べないですから」
カーディア様の言葉を聞いて頷きながら考えている。
確かに借金で相手国との取引はできなくなったけれど、我が家からの資金を借りて取引を再開させる手は残っているのかもしれない。ただそこまで持っていく道筋を考えれば遠い道のりね。
「また行き詰ったらいつでも手紙をちょうだい。相談だけならいつでも乗るわ」
「ありがとうございます! カーディア様の言葉で一筋の光が見えた気がします」
「それにしてもブラジェク伯爵子息って見目麗しいって噂よね。しっかりと捕まえておかないといけないわね」
「家のこともあるから狙われないような気もするけど……」
「あら、そんなことはないわ。愛人にしたいって人も出てくるだろうし、最近は貴族の夫人方がブラジェク伯爵子息に声を掛けていると聞きましたよ? フラン様、その辺もしっかりと情報を抑えておかないと足元を掬われますわ」
「確かに。その辺りもしっかりと抑えておかないといけないですね」
友人というのはやはり大切なものだわ。こうして話をしていくうちに漠然とした不安もいつの間にかなくなっているもの。
私たちはその後も心行くまで雑談をして楽しく過ごした。
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